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2017年2月16日 木曜日

新米獣医師カーリーのつぶやき-part77~副腎皮質機能亢進症~-

こんにちは、獣医師の苅谷です。
  
この時期はまだまだ寒いのでコタツがあるとなかなか抜け出せなくなりますね。


今回は副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)についてお話します。

この病気は副腎皮質ホルモンが過剰分泌されるようになり、体に異常が出てくる内分泌疾患、いわゆるホルモンの病気です。

この副腎皮質ホルモンは名前の通り副腎と呼ばれる腎臓より頭側にある臓器から分泌されています。

このホルモンの働きは多岐にわたります。

電解質のバランスの調整、糖や脂質、蛋白質の代謝、炎症の制御などといった生命活動に不可欠な働きをになっています。

またこのホルモンは大きく二種類に分けられ、主に電解質のバランスを調整する鉱質コルチコイドと代謝に関わる糖質コルチコイドに分けられます。





今回は副腎皮質機能亢進症のため、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されるため、主に以下の症状が現れます。

・飲水量が増加し、排尿の回数と量が増加する

・左右対称の脱毛が現れる

・毛づやが悪くなる

・お腹が垂れてくる

・傷の治りが悪くなる

またこの病気になると糖尿病や甲状腺機能低下症といった他の内分泌疾患も併発しやすく、それぞれ単独で発症した場合よりも治療が難しくなります。

さて、どのような原因でこの病気になるかというと以下に分けられます。

一つ目はホルモン分泌に関わる脳内の下垂体と呼ばれる組織が腫瘍化した下垂体腺腫です。

二つ目は副腎そのものが腫瘍化した副腎腫瘍です。

三つ目はステロイドの長期投与による影響で起こってしまうものです。

下垂体腺腫の場合、副腎自体には問題はないのですが、下垂体から副腎へのホルモンを分泌させる指令となるホルモンが過剰に分泌されます。

そのため、指令を受けた副腎が本来体に不必要な、過剰なホルモンを分泌します。

本来であればここでこれ以上過剰なホルモンが分泌されないように脳の下垂体よりも上位の組織(視床下部)にストップがかけられますが、下垂体はこれを無視をしてどんどん指令を出し続けます。

一方、副腎腫瘍の場合は下垂体は正常で司令系統しっかりとしていますが、副腎腫瘍が指令を無視し、どんどんとホルモンを分泌し続けます。

この副腎皮質機能亢進症は犬において原因のほとんどが下垂体腺腫で、その割合は下垂体腺腫:副腎腫瘍は80%と20%となっています。





ではこの病気はどのように見つけていくか・・・

まずは血液検査を行います。

一般血液検査(肝臓や腎臓etc...)はもちろんのこと、血液中の副腎皮質ホルモンの濃度を調べます。

副腎皮質機能亢進症においてATCH試験という方法にて副腎皮質ホルモンの濃度を調べます。

ACTH試験とは注射にて副腎皮質ホルモンの分泌を促し、注射する前とした後のホルモンの濃度を測ります。

副腎皮質機能亢進症の場合は注射する前も高い場合もありますが、注射後もかなり高くなります。

またステロイドの長期投与によるものの場合は逆に低くなります。

この段階で副腎皮質機能亢進症と目星はつきますが、原因が下垂体か副腎かはまだわかりません。

ここからは副腎をエコーで大きさを計測したり、場合によってはCTやMRIで下垂体の大きさも含めてみていく必要があります。

診断がついた後は治療を開始します。

腫瘍であれば外科的に摘出がべストですが、摘出が困難なことが多いため副腎のホルモン分泌を抑える薬によって以後付き合っていくこととなります。

また、他の病気を一緒に発症している場合はその治療も行う必要があります。

ステロイドの長期投与が原因である場合はステロイドを少しづつ減らしていきます。

内分泌疾患の場合、発症すると一生付き合っていくこととなります。

これらの病気は高齢になってから発症することが多いため、少なくとも一般血液検査は受けられることをお勧めします。

今回は以上で終わります。


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投稿者 ブログ担当スタッフ

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