消化器の疾患/うさぎ
2018年10月25日 木曜日
ウサギの腹腔内膿瘍
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのはウサギの腹腔内膿瘍です。
膿瘍とは、細菌感染によって限局された組織間隙に膿が貯留した状態を指します。
特にウサギの免疫系は、細菌に限らず異物に対しても可能性反応を示し、乾酪様(チーズ様)の膿を形成して癒着を生じやすいとされています。
そして、その結果として厚い壁を持つ膿瘍を形成します。
今回のウサギは腹腔内に膿瘍が形成された症例です。
ホーランドロップのポロン君(雄、4歳、体重1.8kg)はお腹に出来物があるとのことで来院されました。


触診では下腹部に4~5㎝の腫瘤が認められました。
早速、レントゲン撮影を行いました。
下写真2枚の黄色丸はその腫瘤を示します。
中心部に石灰化した8㎜程の塊が認められます。


腫瘤が胃や腸を圧迫している感があります。
ポロン君は食欲が落ちてきているとのことです。
腫瘍かもしれないし膿瘍かも知れないのですが、いずれにせよ試験的開腹の目的で外科手術を飼主様に勧めさせて頂きました。
イソフルランのガス麻酔を実施します。


下写真の黄色丸は腹腔内の腫瘤です。
真上と真横から見た状態でも、腫瘤が盛り上がっているのが分かります。


これから開腹手術に入ります。

皮膚を切開します。

続いて腹筋を切開します。

開腹後、すぐ飛び出してくる空回腸ですが、慎重に腸を確認します。

少し奥まったところに腫瘤が見つかりました(黄色矢印)。

腫瘤を外に出しました。
空回腸から結腸に移行する部位にこの腫瘤が存在していました。

腫瘤は明らかに膿瘍で、粘稠性のある黄色を帯びた内容物が納まっています。


過去のウサギの腹腔内膿瘍は、腸に癒着した状態がほとんどです。
しかし、今回は下写真のように、完全に独立した膿瘍に血管を含んだ軟部組織が繋がっていました(黄色矢印)。

当初、膿瘍に繋がっている軟部組織は空回腸から分かれたものかと疑っていたのですが、膿瘍に栄養を運んでる血管を保護している脂肪組織でした。

止血のため、この栄養血管を結紮します。


結紮後、鋏で膿瘍と軟部組織とを離断します。

離断面からは特に出血や腸内容物の漏出は認められません。

その他に、腹腔内の膿瘍がないかチェックします。

特に膿瘍はありませんでした。

合成吸収糸で腹筋を縫合します。

皮膚を縫合して手術は終了です。

膿瘍摘出後のレントゲン像です。
下写真には、手術前に認められていた石灰化した部位を含む腫瘤は存在しません。


ガス麻酔を切り、覚醒を待ちます。

麻酔から覚醒したポロン君です。


摘出した膿瘍です。


内容を確認するため、硬性メスで切開しました。

膿瘍の内容はチーズ様の粘稠性の高い膿でした。
特に被毛や糞塊は認められません。

ウサギの腹腔内膿瘍は異物を摂取して、腸管を穿孔し、漏出した腸内容物が膜性の厚い壁を形成します。
今回、ポロン君がどんな異物を摂取したのかは不明です。
一般的にはウサギの場合、異物として壁紙や被毛が挙げられることが多いです。
幸いなことに腸管と膿瘍が癒着することなく、独立して膿瘍が存在していたため、容易に離断することが出来て幸いでした。
下写真は、術後2週間経過したポロン君です。
術後は、快食快便で体調も良好です。
早急に摘出手術に踏み切れて良かったです。
大きな膿瘍ほど、体を抱いたときに腹部を圧迫して膿瘍が破裂した場合、腹膜炎を引き起こして危険な状態になる可能性もあります。

ポロン君、お疲れ様でした!

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本日ご紹介しますのはウサギの腹腔内膿瘍です。
膿瘍とは、細菌感染によって限局された組織間隙に膿が貯留した状態を指します。
特にウサギの免疫系は、細菌に限らず異物に対しても可能性反応を示し、乾酪様(チーズ様)の膿を形成して癒着を生じやすいとされています。
そして、その結果として厚い壁を持つ膿瘍を形成します。
今回のウサギは腹腔内に膿瘍が形成された症例です。
ホーランドロップのポロン君(雄、4歳、体重1.8kg)はお腹に出来物があるとのことで来院されました。


触診では下腹部に4~5㎝の腫瘤が認められました。
早速、レントゲン撮影を行いました。
下写真2枚の黄色丸はその腫瘤を示します。
中心部に石灰化した8㎜程の塊が認められます。


腫瘤が胃や腸を圧迫している感があります。
ポロン君は食欲が落ちてきているとのことです。
腫瘍かもしれないし膿瘍かも知れないのですが、いずれにせよ試験的開腹の目的で外科手術を飼主様に勧めさせて頂きました。
イソフルランのガス麻酔を実施します。


下写真の黄色丸は腹腔内の腫瘤です。
真上と真横から見た状態でも、腫瘤が盛り上がっているのが分かります。


これから開腹手術に入ります。

皮膚を切開します。

続いて腹筋を切開します。

開腹後、すぐ飛び出してくる空回腸ですが、慎重に腸を確認します。

少し奥まったところに腫瘤が見つかりました(黄色矢印)。

腫瘤を外に出しました。
空回腸から結腸に移行する部位にこの腫瘤が存在していました。

腫瘤は明らかに膿瘍で、粘稠性のある黄色を帯びた内容物が納まっています。


過去のウサギの腹腔内膿瘍は、腸に癒着した状態がほとんどです。
しかし、今回は下写真のように、完全に独立した膿瘍に血管を含んだ軟部組織が繋がっていました(黄色矢印)。

当初、膿瘍に繋がっている軟部組織は空回腸から分かれたものかと疑っていたのですが、膿瘍に栄養を運んでる血管を保護している脂肪組織でした。

止血のため、この栄養血管を結紮します。


結紮後、鋏で膿瘍と軟部組織とを離断します。

離断面からは特に出血や腸内容物の漏出は認められません。

その他に、腹腔内の膿瘍がないかチェックします。

特に膿瘍はありませんでした。

合成吸収糸で腹筋を縫合します。

皮膚を縫合して手術は終了です。

膿瘍摘出後のレントゲン像です。
下写真には、手術前に認められていた石灰化した部位を含む腫瘤は存在しません。


ガス麻酔を切り、覚醒を待ちます。

麻酔から覚醒したポロン君です。


摘出した膿瘍です。


内容を確認するため、硬性メスで切開しました。

膿瘍の内容はチーズ様の粘稠性の高い膿でした。
特に被毛や糞塊は認められません。

ウサギの腹腔内膿瘍は異物を摂取して、腸管を穿孔し、漏出した腸内容物が膜性の厚い壁を形成します。
今回、ポロン君がどんな異物を摂取したのかは不明です。
一般的にはウサギの場合、異物として壁紙や被毛が挙げられることが多いです。
幸いなことに腸管と膿瘍が癒着することなく、独立して膿瘍が存在していたため、容易に離断することが出来て幸いでした。
下写真は、術後2週間経過したポロン君です。
術後は、快食快便で体調も良好です。
早急に摘出手術に踏み切れて良かったです。
大きな膿瘍ほど、体を抱いたときに腹部を圧迫して膿瘍が破裂した場合、腹膜炎を引き起こして危険な状態になる可能性もあります。

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2015年10月11日 日曜日
ウサギの食滞(食餌内容物による胃内膨満)
こんにちは 院長の伊藤です。
ウサギの疾病で症状として一番多いのは、食欲不振です。
基本的にウサギは寝ている時以外は、口の中をモグモグと餌を咀嚼しているのが普通です。
食欲不振が24時間以上続くのは、要注意です。
食欲不振の原因は、口腔疾患(臼歯過長症など)あるいは消化器疾患であることが多いです。
以前、ウサギの消化器症候群(RGIS)についてコメントさせて頂きました。
詳細はこちらを参照下さい。
RGISは、各種原因による消化管うっ滞(食滞)を総称して呼びます。
原因とは、食餌内容や異物誤飲、消化管への微生物感染、飼育環境によるストレス等などです。
RGISにより、胃内容の停滞・胃内液の貯留・腸管蠕動の停滞・腸内ガス停留が生じ食欲廃絶に至ります。
今回、ご紹介しますのはRGISになり、胃内容が食餌で膨満し、外科的に胃切開を実施して治療したケースです。
ホーランドロップのソラ君(雄、3歳6か月)は朝突然、食欲が無くなったとのことで来院されました。
ソラ君は眼が虚ろで、軽度のショック状態に陥っています。

触診しますと腹部が膨満しており、RGISが関与する食欲廃絶の可能性が高いと思われました。
そのため、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の赤矢印は心臓で黄色丸が胃です。
心臓に比べてもかなり胃が、胃内容物で膨満しているのがご理解頂けるかと思います。
一般的に腹部レントゲン検査で腰椎3椎分以上で胃拡張と診断されます。
ソラ君の場合は、腰椎6椎分位あり、かなり胃は膨大しているのが分かります。

下写真の黄色丸は胃です。
胃が内容物で一杯に腫れている一方で、十二指腸から下へ胃内容物が蠕動運動と共に送られていないため、小腸はガスが貯留した状態になっています(下写真赤丸)。
胃内容物が腸まで送り込めていないことは、消化管閉塞を示唆します。

ウサギのRGISは、迅速な対応をしないと死の転帰をたどるケースも多いです。
胃内容が異常発酵してガスが貯留した場合は、胃カテーテルを入れてガス抜きを行いますが、今回はガスよりも多量の胃内容物による胃拡張が原因と思われますので、外科的に胃切開を施し内容物を除去することとしました。
ソラ君の頭側皮静脈に点滴のための留置針を入れます。


ガス麻酔を実施し、お腹の剃毛・消毒を行います。

胃の存在する上腹部(下写真黄色丸)は外から見ても以上に腫れているのがお分かり頂けるかと思います。


胃が下に位置していると思われる上腹部にメスを入れます。


腫れあがった胃が腹壁を切開すると同時に飛び出してきました。

胃に四方から支持糸をかけて、胃が腹腔内に戻らないように上方に牽引します。

胃壁に切開を加えます。

胃内は食渣で一杯です。

ティー・スプーンで胃内食渣を全て取り出します。

胃内を生理食塩水で洗浄して、バキュウームで吸引します。


内容が空になった胃壁を縫合します。

胃壁を隙間なく、しっかり縫合するため2層縫合法を実施しました。
1層目の縫合は漿膜・筋層・粘膜の全層貫通の縫合です。

2層目の縫合は、漿膜と筋層のみを貫通させる結節レンベルト縫合を実施しました。

これで胃切開部の縫合は終了です。

食渣で腹腔内が汚染されるのを防ぐため、腹腔内を加温生食で何度も洗浄します。

最後に胃縫合部に抗生剤を滴下して閉腹します。

腹筋を縫合します。

最後に皮膚縫合して手術は終了です。


胃内に停留していた食渣の一部です。
食渣からは発酵臭が認められます。

麻酔覚醒直後のソラ君です。
ぐったりはしていますが、意識はしっかりしています。

術後のソラ君の回復は良好で、食欲も翌日から順調に出て来ました。
とはいえ、大きく胃切開をしていますので、犬の異物誤飲のケース同様に流動食の強制給餌がしばらく必要となります。
術後4日目のソラ君のレントゲン写真です。
胃拡張の状態から、ほぼ正常な大きさに胃は戻っています。
加えて、盲腸以下のガスの貯留も抜けて落ち着いています。


ソラ君のRGISの原因は、食餌の内容にあるようです。
ペレットフード、チモシー(一番刈り)以外に、オオバコやチンゲンサイ、コマツナ、キャベツ、ニンジンの葉等の生野菜を中心とした食生活を送っていたそうです。
一度に多量の生野菜を摂食することで、胃内容が発酵したり、胃液が貯留したりして胃腸の蠕動運動が低下して、今回のRGISに至ったと考えられます。
今回、ソラ君は毛球症対策としてラキサトーンを利用されているとのこともあり、胃内異物としての毛球は認められませんでした。
食餌に関しては、体重の1.5%にあたるペレットフードと後の大部分はチモシーを給餌するようにして下さい。
退院時のソラ君です。

普通にチモシーもしっかり、食べられるようになりました。
元気に退院できて良かったです。

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ウサギの疾病で症状として一番多いのは、食欲不振です。
基本的にウサギは寝ている時以外は、口の中をモグモグと餌を咀嚼しているのが普通です。
食欲不振が24時間以上続くのは、要注意です。
食欲不振の原因は、口腔疾患(臼歯過長症など)あるいは消化器疾患であることが多いです。
以前、ウサギの消化器症候群(RGIS)についてコメントさせて頂きました。
詳細はこちらを参照下さい。
RGISは、各種原因による消化管うっ滞(食滞)を総称して呼びます。
原因とは、食餌内容や異物誤飲、消化管への微生物感染、飼育環境によるストレス等などです。
RGISにより、胃内容の停滞・胃内液の貯留・腸管蠕動の停滞・腸内ガス停留が生じ食欲廃絶に至ります。
今回、ご紹介しますのはRGISになり、胃内容が食餌で膨満し、外科的に胃切開を実施して治療したケースです。
ホーランドロップのソラ君(雄、3歳6か月)は朝突然、食欲が無くなったとのことで来院されました。
ソラ君は眼が虚ろで、軽度のショック状態に陥っています。

触診しますと腹部が膨満しており、RGISが関与する食欲廃絶の可能性が高いと思われました。
そのため、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の赤矢印は心臓で黄色丸が胃です。
心臓に比べてもかなり胃が、胃内容物で膨満しているのがご理解頂けるかと思います。
一般的に腹部レントゲン検査で腰椎3椎分以上で胃拡張と診断されます。
ソラ君の場合は、腰椎6椎分位あり、かなり胃は膨大しているのが分かります。

下写真の黄色丸は胃です。
胃が内容物で一杯に腫れている一方で、十二指腸から下へ胃内容物が蠕動運動と共に送られていないため、小腸はガスが貯留した状態になっています(下写真赤丸)。
胃内容物が腸まで送り込めていないことは、消化管閉塞を示唆します。

ウサギのRGISは、迅速な対応をしないと死の転帰をたどるケースも多いです。
胃内容が異常発酵してガスが貯留した場合は、胃カテーテルを入れてガス抜きを行いますが、今回はガスよりも多量の胃内容物による胃拡張が原因と思われますので、外科的に胃切開を施し内容物を除去することとしました。
ソラ君の頭側皮静脈に点滴のための留置針を入れます。


ガス麻酔を実施し、お腹の剃毛・消毒を行います。

胃の存在する上腹部(下写真黄色丸)は外から見ても以上に腫れているのがお分かり頂けるかと思います。


胃が下に位置していると思われる上腹部にメスを入れます。


腫れあがった胃が腹壁を切開すると同時に飛び出してきました。

胃に四方から支持糸をかけて、胃が腹腔内に戻らないように上方に牽引します。

胃壁に切開を加えます。

胃内は食渣で一杯です。

ティー・スプーンで胃内食渣を全て取り出します。

胃内を生理食塩水で洗浄して、バキュウームで吸引します。


内容が空になった胃壁を縫合します。

胃壁を隙間なく、しっかり縫合するため2層縫合法を実施しました。
1層目の縫合は漿膜・筋層・粘膜の全層貫通の縫合です。

2層目の縫合は、漿膜と筋層のみを貫通させる結節レンベルト縫合を実施しました。

これで胃切開部の縫合は終了です。

食渣で腹腔内が汚染されるのを防ぐため、腹腔内を加温生食で何度も洗浄します。

最後に胃縫合部に抗生剤を滴下して閉腹します。

腹筋を縫合します。

最後に皮膚縫合して手術は終了です。


胃内に停留していた食渣の一部です。
食渣からは発酵臭が認められます。

麻酔覚醒直後のソラ君です。
ぐったりはしていますが、意識はしっかりしています。

術後のソラ君の回復は良好で、食欲も翌日から順調に出て来ました。
とはいえ、大きく胃切開をしていますので、犬の異物誤飲のケース同様に流動食の強制給餌がしばらく必要となります。
術後4日目のソラ君のレントゲン写真です。
胃拡張の状態から、ほぼ正常な大きさに胃は戻っています。
加えて、盲腸以下のガスの貯留も抜けて落ち着いています。


ソラ君のRGISの原因は、食餌の内容にあるようです。
ペレットフード、チモシー(一番刈り)以外に、オオバコやチンゲンサイ、コマツナ、キャベツ、ニンジンの葉等の生野菜を中心とした食生活を送っていたそうです。
一度に多量の生野菜を摂食することで、胃内容が発酵したり、胃液が貯留したりして胃腸の蠕動運動が低下して、今回のRGISに至ったと考えられます。
今回、ソラ君は毛球症対策としてラキサトーンを利用されているとのこともあり、胃内異物としての毛球は認められませんでした。
食餌に関しては、体重の1.5%にあたるペレットフードと後の大部分はチモシーを給餌するようにして下さい。
退院時のソラ君です。

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2014年11月 1日 土曜日
食欲不振のウサギ(RGIS)
こんにちは 院長の伊藤です。
当院に来院されるウサギの多くは、食欲不振を訴えることが多いです。
よくウサギを犬猫と同じに考えて、食欲が無くなって数日経過してから受診されるケースが多いのですが、これは間違いです。
ウサギは草食獣であるため、寝ているとき以外は乾草などを口に入れてモグモグしているのが正常です。
水も乾草も口にしなくなって、一日経過していたら異常事態と思って下さい。
何らかの対処しないと命に関わることもあります。
ドワーフホワイトのパフちゃん(3歳、避妊済、体重900g)はペットホテルに預けられている中、突然食欲不振が一日続くとのことで
来院されました。


パフちゃんは大きさの不定型な軟便・下痢便が認められ、腹部を触診すると膨満感があり、圧痛を感じているようです。

便の一部には、体毛が絡んでおり毛球症の可能性も考えられます。
まずはレントゲン撮影を実施しました。


上写真の赤丸は胃を、黄色丸は盲腸・小腸を表します。
胃内に餌の食渣があり、盲腸内にはガスが貯留しています。
今回のパフちゃんは、消化管ガス貯留による腸管蠕動の停滞、ひいては食欲不振に至ったものと考えられました。
この消化管疾患をウサギ消化器症候群(RGIS)と称します。
RGISについては、以前コメントさせて頂きましたので詳細については、こちらをご覧ください。
治療法として、まず盲腸内のガスを抜くことが必要です。
このガスがなぜ生じたのかは、胃内の毛球かもしれません。
あるいは、ストレス等で消化管内の腸内細菌叢が崩れて、ガス産生菌が増殖して盲腸鼓張をもたらした可能性もあります。
いずれにせよ、パフちゃんは入院して頂くこととしました。
入院中は、ガスを抜くためにジメチコンという消泡剤、消化管内の毛球除去のためにラキサトーン、腸蠕動促進薬のプリンぺラン、ガス産生菌粛清のための抗生剤を投薬して経過をみることにしました。
下写真は消泡剤を飲んでいるパフちゃんです。

翌日になりますとパフちゃんは食欲が少し出て来ました。
乾草も水も口にできるようになってきました。



入院二日目のレントゲン写真です。
胃内にガスが認められる点と盲腸内のガスが消化管下方へと移動し始めているのがわかります。


入院3日目からパフちゃんの食欲はさらに向上し、軟便も治まってきました。
入院4日目のレントゲン写真です。


胃内のガスは完全に抜け、盲腸内のガスもかなり抜けて来ました。
あとはご自宅で内服をしていただくことで大丈夫と判断し、入院5日目に退院となりました。
下写真は退院当日の足取りもしっかりしたパフちゃんです。


ひとくちにウサギの食欲不振といっても、その原因は歯科疾患であったり、消化管内の毛球・異物・ガスであったり、子宮疾患・肝腎不全がからんでいたり様々です。
ウサギは自然界では肉食獣に捕食される立場にありますから、疾病の兆候を隠します。
飼い主様が、ウサギの食欲不振に陥る前に気づかれると良いのですが、病院に来院される時点で疾病は進行していることが殆どです。
今回は、パフちゃんをホテル預かりしていたショップの方が注意深く異変に気付かれ、迅速な対応をしていただけたのでガス産生菌による腸毒素血症を未然に防ぐことが出来たと思います。
ウサギは食欲不振が丸一日続いたら、即受診されることをお勧めします。

最後に、退院時に飼主様から頂いたお土産をご紹介させて頂きます。


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当院に来院されるウサギの多くは、食欲不振を訴えることが多いです。
よくウサギを犬猫と同じに考えて、食欲が無くなって数日経過してから受診されるケースが多いのですが、これは間違いです。
ウサギは草食獣であるため、寝ているとき以外は乾草などを口に入れてモグモグしているのが正常です。
水も乾草も口にしなくなって、一日経過していたら異常事態と思って下さい。
何らかの対処しないと命に関わることもあります。
ドワーフホワイトのパフちゃん(3歳、避妊済、体重900g)はペットホテルに預けられている中、突然食欲不振が一日続くとのことで
来院されました。


パフちゃんは大きさの不定型な軟便・下痢便が認められ、腹部を触診すると膨満感があり、圧痛を感じているようです。

便の一部には、体毛が絡んでおり毛球症の可能性も考えられます。
まずはレントゲン撮影を実施しました。


上写真の赤丸は胃を、黄色丸は盲腸・小腸を表します。
胃内に餌の食渣があり、盲腸内にはガスが貯留しています。
今回のパフちゃんは、消化管ガス貯留による腸管蠕動の停滞、ひいては食欲不振に至ったものと考えられました。
この消化管疾患をウサギ消化器症候群(RGIS)と称します。
RGISについては、以前コメントさせて頂きましたので詳細については、こちらをご覧ください。
治療法として、まず盲腸内のガスを抜くことが必要です。
このガスがなぜ生じたのかは、胃内の毛球かもしれません。
あるいは、ストレス等で消化管内の腸内細菌叢が崩れて、ガス産生菌が増殖して盲腸鼓張をもたらした可能性もあります。
いずれにせよ、パフちゃんは入院して頂くこととしました。
入院中は、ガスを抜くためにジメチコンという消泡剤、消化管内の毛球除去のためにラキサトーン、腸蠕動促進薬のプリンぺラン、ガス産生菌粛清のための抗生剤を投薬して経過をみることにしました。
下写真は消泡剤を飲んでいるパフちゃんです。

翌日になりますとパフちゃんは食欲が少し出て来ました。
乾草も水も口にできるようになってきました。



入院二日目のレントゲン写真です。
胃内にガスが認められる点と盲腸内のガスが消化管下方へと移動し始めているのがわかります。


入院3日目からパフちゃんの食欲はさらに向上し、軟便も治まってきました。
入院4日目のレントゲン写真です。


胃内のガスは完全に抜け、盲腸内のガスもかなり抜けて来ました。
あとはご自宅で内服をしていただくことで大丈夫と判断し、入院5日目に退院となりました。
下写真は退院当日の足取りもしっかりしたパフちゃんです。


ひとくちにウサギの食欲不振といっても、その原因は歯科疾患であったり、消化管内の毛球・異物・ガスであったり、子宮疾患・肝腎不全がからんでいたり様々です。
ウサギは自然界では肉食獣に捕食される立場にありますから、疾病の兆候を隠します。
飼い主様が、ウサギの食欲不振に陥る前に気づかれると良いのですが、病院に来院される時点で疾病は進行していることが殆どです。
今回は、パフちゃんをホテル預かりしていたショップの方が注意深く異変に気付かれ、迅速な対応をしていただけたのでガス産生菌による腸毒素血症を未然に防ぐことが出来たと思います。
ウサギは食欲不振が丸一日続いたら、即受診されることをお勧めします。

最後に、退院時に飼主様から頂いたお土産をご紹介させて頂きます。


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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2013年9月20日 金曜日
ウサギ消化器症候群(RGIS)
ウサギの食欲不振は突発的に発症することが多いです。
ウサギの食欲不振の原因は、その大部分が歯科疾患か消化器疾患によるものです。
口腔内検査で切歯や臼歯の伸びすぎが認められなければ、次に消化管の評価をします。
今回、ご紹介しますのはこの消化器疾患の中で、消化管うっ滞を主徴とする消化器症候群(RGIS)です。
消化管うっ滞は何かといいますと、胃腸の運動機能が何らかの原因によって低下している状態です。
原因は様々なストレス(栄養性・食餌性・精神的・基礎疾患)です。
その結果として胃内容の停滞、胃内ガス・胃液貯留、腸管蠕動の停滞、腸内ガス貯留といった病態が干渉して、食欲不振・排便量の減少・元気消失といった症状が現れます。
つまるところ、まさに便秘と思っていただければ結構です。
ただこの便秘、その病態によっては死に至ります。
ロップイヤーのミミ君(雄、5歳)は食欲不振で来院されました。
下顎の臼歯過長が認められ、棘状縁 (臼歯が伸びて棘を作っている箇所) を切断研磨し経過観察としました。
その後1週間ほど食欲改善が認められなくての再診です。
口腔内からのよだれがたくさん出ており、脱水は進行し全身状態は芳しくありません。
早速、点滴の準備をします。

レントゲン撮影を実施しました。


胃腸、特に盲腸にガスが高度に貯留しています(盲腸鼓張)。
胃内には毛球が認められます。
患部を拡大して黄色丸で示します。


このRGISに伴う胃腸内ガス貯留については、ガス抜去を第一に考えます。
ミミ君の場合、胃よりは盲腸部のガスが多量に貯留していました。
胃カテーテルを入れて、胃内ガスを除去する手法では盲腸部ガスまでは抜去できません。
今回は、腸管蠕動改善薬(メトクロプラミド)と腸内ガスを除去する消泡剤(ジメチコン)、ニューキノロン系抗生剤を投薬しました。
ミミ君は既に食欲廃絶状態になっていますので、強制的に給餌しなくてなりません。
鼻から栄養チューブを挿入して胃まで持っていき、流動食を流し込んで栄養状態を改善していきます。

胃の中にチューブがきちんと入っていれば、注射器の押し子(プランジャー)が陰圧で引っ張っても元に戻ります。
経鼻胃カテーテルの正しい留置を確認しました。


頭頂部にチューブを装着します。
このチューブに流動食(MSライフケア、青汁等)を流し込みます。


以上の内科的治療でミミ君の経過を診ていきます。
内科的治療に反応しない場合、特に毛球・異物による腸閉塞などでは外科的アプローチが必要になります。
ウサギ消化器症候群(RGIS)を予防する上で、日常食には留意して頂きたいと思います。
チモシーを主食とすること。
固形食(ペレット)は体重の1.5%程度に留めて給餌すること。
この2点を守って頂きたいです。
ウサギは非常にストレスに弱い動物です。
どんなに飼主様が飼育に気を遣い、ウサギの日常に目を光らせていても見抜けないことも多いと思います。
絶食状態が24時間以上続くようなら、ウサギにとって緊急事態であると認識して下さい。
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ウサギの食欲不振の原因は、その大部分が歯科疾患か消化器疾患によるものです。
口腔内検査で切歯や臼歯の伸びすぎが認められなければ、次に消化管の評価をします。
今回、ご紹介しますのはこの消化器疾患の中で、消化管うっ滞を主徴とする消化器症候群(RGIS)です。
消化管うっ滞は何かといいますと、胃腸の運動機能が何らかの原因によって低下している状態です。
原因は様々なストレス(栄養性・食餌性・精神的・基礎疾患)です。
その結果として胃内容の停滞、胃内ガス・胃液貯留、腸管蠕動の停滞、腸内ガス貯留といった病態が干渉して、食欲不振・排便量の減少・元気消失といった症状が現れます。
つまるところ、まさに便秘と思っていただければ結構です。
ただこの便秘、その病態によっては死に至ります。
ロップイヤーのミミ君(雄、5歳)は食欲不振で来院されました。
下顎の臼歯過長が認められ、棘状縁 (臼歯が伸びて棘を作っている箇所) を切断研磨し経過観察としました。
その後1週間ほど食欲改善が認められなくての再診です。
口腔内からのよだれがたくさん出ており、脱水は進行し全身状態は芳しくありません。
早速、点滴の準備をします。

レントゲン撮影を実施しました。


胃腸、特に盲腸にガスが高度に貯留しています(盲腸鼓張)。
胃内には毛球が認められます。
患部を拡大して黄色丸で示します。


このRGISに伴う胃腸内ガス貯留については、ガス抜去を第一に考えます。
ミミ君の場合、胃よりは盲腸部のガスが多量に貯留していました。
胃カテーテルを入れて、胃内ガスを除去する手法では盲腸部ガスまでは抜去できません。
今回は、腸管蠕動改善薬(メトクロプラミド)と腸内ガスを除去する消泡剤(ジメチコン)、ニューキノロン系抗生剤を投薬しました。
ミミ君は既に食欲廃絶状態になっていますので、強制的に給餌しなくてなりません。
鼻から栄養チューブを挿入して胃まで持っていき、流動食を流し込んで栄養状態を改善していきます。

胃の中にチューブがきちんと入っていれば、注射器の押し子(プランジャー)が陰圧で引っ張っても元に戻ります。
経鼻胃カテーテルの正しい留置を確認しました。


頭頂部にチューブを装着します。
このチューブに流動食(MSライフケア、青汁等)を流し込みます。


以上の内科的治療でミミ君の経過を診ていきます。
内科的治療に反応しない場合、特に毛球・異物による腸閉塞などでは外科的アプローチが必要になります。
ウサギ消化器症候群(RGIS)を予防する上で、日常食には留意して頂きたいと思います。
チモシーを主食とすること。
固形食(ペレット)は体重の1.5%程度に留めて給餌すること。
この2点を守って頂きたいです。
ウサギは非常にストレスに弱い動物です。
どんなに飼主様が飼育に気を遣い、ウサギの日常に目を光らせていても見抜けないことも多いと思います。
絶食状態が24時間以上続くようなら、ウサギにとって緊急事態であると認識して下さい。
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2012年9月18日 火曜日
ウサギの毛球症
ウサギの疾病の中でも致死率が高いのが、この毛球症です。
当院に来院されるウサギの半数が、この毛球症が関係しているといっても良いでしょう。
ウサギは換毛期になりますと進んで毛づくろいをします。
その時に自らの毛を飲み込み、その毛が胃腸内で毛玉を形成し、状況によっては消化管内で閉塞を起こし毛球症に罹患します。
ウサギは猫のように嘔吐ができません。
加えてウサギは単胃動物の中でも、最も大きな胃と十二指腸を有するとされています。
単純に摂食した食物を胃内に多量に貯蔵してしまい、一方で毛玉で腸が閉塞を起こしていたりすると胃拡張と胃内容が食渣で充満してしまいます。
この胃内容が食渣で一杯になった状態が続くとガスがさらに胃から腸へと生じ、腸蠕動は停止します。
その先は、適切な治療を施さないとショック状態に陥り、死の転帰をたどります。
今回、ご紹介するのは突然、食欲が無くなったホーランドロップ君です。

最近、毛が著しく抜ける点、臼歯の過長が認められない点、数珠のように毛で連結した便をする点等などから毛球症を疑いました。
以前は積極的に外科的手術を実施しておりましたが、単純に胃内に停滞している毛玉を摘出してしまえば、すべて終了というほど簡単な治療ではありません。
毛球症のステージに合わせて、ガスを消す消泡剤、胃内容物を軟化させる緩下剤、消化管運動改善薬、鎮痛薬、強制給餌などをうまく組み合わせることで内科的治療で完治する場合も多いです。
今回のホーランドロップ君のレントゲン撮影は以下の通りです。
黄色丸で示した胃には内容物とガスが溜まっています。

急性期というよりは亜急性期に分類される病態です。

現在の私の治療法としては、突発的な急性期は手術を優先しますが、それ以外の亜急性期から慢性期は内科的治療で対応します。
このホーランドロップ君は一週間ほど内科治療を実施しましたが、いよいよ薬の反応が弱く本人の衰弱の兆しが認められましたので外科手術を行うことにしました。

胃を切開したところ、毛玉を含めドライフルーツ等がたくさん貯留していました。




毛玉は胃の内容物や胃液などと混ざり合い、汚泥のような性状になっています。


術後は点滴を施し、鎮痛剤・抗生剤・腸蠕動促進剤等を投薬します。


毛球症の外科手術をどの病態期で決断するのかというのは、非常に難しいです。
私の場合は、内科療法で4日以内に反応が乏しければ積極的に外科手術をお勧めすることが多いです。
できれば、内科的治療で治してあげたいです。
しかし、内科的治療にこだわっていると命を救うタイミングを失することもあります。
毛球症は胃内の食渣を停滞させて腹痛やガスを発生し、拒食は悪液質へと移行します。
これらの病態が進行する中で肝リピドーシスや腎不全、免疫低下も引き起こされます。
ウサギの飼主様にお伝えしたいのは、毛球症は初期の段階で気づいて欲しいということです。
食欲廃絶という症状が出る前に、糞便が毛で連結して出てこないか(毛の混入便の有無)・排便量の低下・歯ぎしりといった症状がないか必ず確認して頂きたく思います。
そしてもっと重要なのは、毛球症の予防を日常的にして欲しいということです。
具体的には、換毛期ならばまめなブラッシングをすること・ペレットよりもチモシーを大量にたべさせること・ラキサトーン等の緩下剤を与えることを守って頂けたら、毛球症はある程度は予防が可能です。
引き続き毛球症の情報を発信していきたいと考えています。
当院に来院されるウサギの半数が、この毛球症が関係しているといっても良いでしょう。
ウサギは換毛期になりますと進んで毛づくろいをします。
その時に自らの毛を飲み込み、その毛が胃腸内で毛玉を形成し、状況によっては消化管内で閉塞を起こし毛球症に罹患します。
ウサギは猫のように嘔吐ができません。
加えてウサギは単胃動物の中でも、最も大きな胃と十二指腸を有するとされています。
単純に摂食した食物を胃内に多量に貯蔵してしまい、一方で毛玉で腸が閉塞を起こしていたりすると胃拡張と胃内容が食渣で充満してしまいます。
この胃内容が食渣で一杯になった状態が続くとガスがさらに胃から腸へと生じ、腸蠕動は停止します。
その先は、適切な治療を施さないとショック状態に陥り、死の転帰をたどります。
今回、ご紹介するのは突然、食欲が無くなったホーランドロップ君です。

最近、毛が著しく抜ける点、臼歯の過長が認められない点、数珠のように毛で連結した便をする点等などから毛球症を疑いました。
以前は積極的に外科的手術を実施しておりましたが、単純に胃内に停滞している毛玉を摘出してしまえば、すべて終了というほど簡単な治療ではありません。
毛球症のステージに合わせて、ガスを消す消泡剤、胃内容物を軟化させる緩下剤、消化管運動改善薬、鎮痛薬、強制給餌などをうまく組み合わせることで内科的治療で完治する場合も多いです。
今回のホーランドロップ君のレントゲン撮影は以下の通りです。
黄色丸で示した胃には内容物とガスが溜まっています。

急性期というよりは亜急性期に分類される病態です。

現在の私の治療法としては、突発的な急性期は手術を優先しますが、それ以外の亜急性期から慢性期は内科的治療で対応します。
このホーランドロップ君は一週間ほど内科治療を実施しましたが、いよいよ薬の反応が弱く本人の衰弱の兆しが認められましたので外科手術を行うことにしました。

胃を切開したところ、毛玉を含めドライフルーツ等がたくさん貯留していました。




毛玉は胃の内容物や胃液などと混ざり合い、汚泥のような性状になっています。


術後は点滴を施し、鎮痛剤・抗生剤・腸蠕動促進剤等を投薬します。


毛球症の外科手術をどの病態期で決断するのかというのは、非常に難しいです。
私の場合は、内科療法で4日以内に反応が乏しければ積極的に外科手術をお勧めすることが多いです。
できれば、内科的治療で治してあげたいです。
しかし、内科的治療にこだわっていると命を救うタイミングを失することもあります。
毛球症は胃内の食渣を停滞させて腹痛やガスを発生し、拒食は悪液質へと移行します。
これらの病態が進行する中で肝リピドーシスや腎不全、免疫低下も引き起こされます。
ウサギの飼主様にお伝えしたいのは、毛球症は初期の段階で気づいて欲しいということです。
食欲廃絶という症状が出る前に、糞便が毛で連結して出てこないか(毛の混入便の有無)・排便量の低下・歯ぎしりといった症状がないか必ず確認して頂きたく思います。
そしてもっと重要なのは、毛球症の予防を日常的にして欲しいということです。
具体的には、換毛期ならばまめなブラッシングをすること・ペレットよりもチモシーを大量にたべさせること・ラキサトーン等の緩下剤を与えることを守って頂けたら、毛球症はある程度は予防が可能です。
引き続き毛球症の情報を発信していきたいと考えています。
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