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スタッフブログ

2016年6月24日 金曜日

新米獣医師カーリーのつぶやき-part69~血液検査のとある項目は・・・②~-

こんにちは、獣医師の苅谷です。

現在梅雨のシーズン真っ只中で洗濯物が大変な時期ですね。

今回は前回の続きで貧血において赤血球があまり再生していない非再生のものについてお話しします。





まず非再生性貧血には大きく分けると2つに分けられます。

一つが赤血球の成熟障害です。

もう一つは骨髄の再生不良によるものです。

赤血球の成熟障害には栄養欠乏、臓器障害、慢性疾患、感染症が挙げられます。

始めに栄養欠乏によるものについてお話しします。

どのような栄養素が欠乏すると起こってくるのかというと葉酸やコバラミン、鉄が欠乏してくると起こります。

葉酸やコバラミンはいわゆるビタミンB群に含まれるものでこれらが欠乏してくると巨赤血球性貧血になります。

葉酸やコバラミンは体の中でDNAの合成に関わっており、これらが欠乏してくるとDNA合成障害が出てきます。

赤血球の元となる細胞がDNA合成障害に陥ると赤血球としての機能を発揮できない状態のままになってしまうため、貧血の状態に陥ります。

前回お話しした赤血球恒数から赤血球の状態を分類すると大球性正色素性に分類されます。

鉄の欠乏で起こる鉄欠乏性貧血です。

鉄が欠乏すると赤血球の色の成分であるヘモグロビンが作れなくなります。

このヘモグロビンが少なくなると赤血球の仕事の一つである酸素の運搬ができない状態になり、貧血となります。

鉄が欠乏してしまう原因としては鉄の摂取量が足りない、消化管での吸収障害がある、慢性的な出血があるといったことがあります。

この貧血の場合、小球性低色素性に分類され、通常よりも薄っぺらい赤血球が認められるようになります。





次に臓器障害によるものについてお話しします。

こちらでよく認められるものは腎不全に伴う腎性貧血です。

なぜ腎臓が貧血に関わるのかというと・・・

腎臓では赤血球の分化を指示するエリスロポイエチンと呼ばれるホルモンを作っています。

腎不全に陥るとこのエリスロポイエチンを作れなくなってしまい、貧血になっていきます。

この貧血の場合、エリスロポイエチンの欠乏は赤血球の形態には直接的には影響を与えないため、正球性正色素性に分類されます。

次の慢性疾患にて起こる貧血です。

慢性的に体内で炎症(ひどい歯周病や腫瘍)、代謝障害があるとマクロファージやリンパ球といった免疫細胞が活性化され、サイトカインと呼ばれるものを分泌し続けます。

このサイトカインの中には赤血球を造血を阻害したり、体内の鉄分の利用機能を抑えたり、赤血球の寿命を短くしたりするものもあります。

これにより貧血が起こり、犬や猫で認められやすい貧血の一つです。

この貧血ではその病態により正球性正色素性または低球性低色素性に分類されます。

感染症には猫白血病や猫エイズ、猫伝染性腹膜炎、エールリヒア症、リーシュマニア症があります。

こちらの感染症は前回再生性貧血で挙げた感染症のように直接赤血球を壊さず、白血球に影響を与えるため、慢性疾患におけるようなサイトカインによっての影響にて起こるものと考えられます。





最後に骨髄の再生不良によるものです。

再生不良性貧血とも呼び、非再生性貧血と呼び方がごちゃごちゃになりやすいため注意が必要です。

この二つは別々のものではなく、非再生性貧血の中の一つに再生不良性貧血が含まれるということです。

この骨髄の再生不良が起こると骨髄で作られる白血球、赤血球、血小板の大元となる多能性幹細胞が障害を受けています。

そのため骨髄低形成が生じ、汎血球減少症(白血球、赤血球、血小板が少なくなる)が起こるため、貧血になります。

原因としては化学物質(抗がん剤、重金属など)、自己免疫疾患、放射線、骨髄ろうといったものが挙げられます。

これは骨髄が化学物質などで直接ダメージを受ける、または前回挙げた再生性貧血にて骨髄での赤血球といった血球成分の大量造血により骨髄が疲弊してしまい骨髄ろうに陥ることで起こります。

この場合には、末梢血液中に出てきている赤血球は正常なものが多いため、正球性正色素性に分類されることが多いです。





前回の赤血球恒数の話から貧血の種類の話をしましたが、これだけでは疾患の特定をすることは難しいです。

そのため追加の検査(血液塗抹や感染症ならば遺伝子検査、鉄に関わるところならば鉄の量、それぞれの疾患に特有の検査など)をする必要があります。

最後の再生不良性貧血となってくると末梢の血液の検査だけではなく、骨髄の検査まで必要となってきます。

肉眼の見ることのできないレベルでのお話しになってくると検査、検査と多くなってきますが、原因がわかれば対応できるものもありますね。

今回は以上で終わります。


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投稿者 ブログ担当スタッフ | 記事URL

2016年6月10日 金曜日

新人スタッフ紹介 加藤


はじめまして、獣医師の加藤です。

先月の5月から勤務させていただいております。

勤務から1か月経ちまして、
少しずつですが病院に慣れてきたところです。

以前は犬猫中心の診療を行っている病院に勤務し
その後、保健所で勤務していました。


再び、臨床の現場に戻ることになり、
初めは感が戻らず戸惑う事が多々ありました。

現在は、患者様、病院のみなさんが
温かく受け入れていただいたおかげで、
緊張も和らいできたところです。



私生活では自宅で、ネコ4匹に囲まれて楽しく生活しています。













今まで勤務していた病院では
レントゲン検査だけではわからない心臓や腹部臓器の内部構造を、
超音波検査で確認しながら
内科を中心に診察を行っていたため、
その技術を活かしていきたいと思ってます。

伊藤院長の下で
来院される患者様の診療に従事させていただきます。





至らない面が多々ございますが、
どうぞよろしくお願い致します。




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2016年6月 1日 水曜日

新米獣医師カーリーのつぶやき-part68~血液検査のとある項目は・・・~-

こんにちは、獣医師の苅谷です。

4月のスギ花粉の時期にはくしゃみや鼻水で大変な状態に陥っていることが多いのですが、特に何もなく無事に過ごせたので今年は花粉症大丈夫かなと思っていたのですが・・・

今月に入り、眼の痒み、鼻水および痒みが出てきてしまい、現在つらい状態ですね。

今の時期だとイネ科の花粉が酷くなってくるそうですね。

何とかこの時期を乗り切っていきたいところです。





今回は血液検査で出てくるMCVやMCH、MCHCについてお話しします。

これらの項目は血液検査を受けると値は記載されていますがあまり説明されていないことが多いですね。

MCV、MCH、MCHCは全血球計算(CBC)でわかる貧血の種類を見当をつける赤血球恒数と呼ばれる項目のことを示します。

貧血かどうかはCBCにて赤血球数やヘモグロビン量(Hb)、ヘマトクリット(Ht)によって判断します。

赤血球恒数は赤血球数やHb、Htより値を算出します。

まずMCHは平均赤血球容積というもので赤血球1個あたりの平均的な大きさになります。

MCHは平均赤血球ヘモグロビン量というもので赤血球1個あたりの平均ヘモグロビン量になります。

MCHCは平均赤血球ヘモグロビン濃度というもので赤血球中のヘモグロビンの濃度になります。

これらの値を基に赤血球の大きさ(MCV)が正常(正球性)、大きい(大球性)、小さい(小球性)と色素の濃度(MCHC)が正常(正色素性)、薄い(低色素性)に形態学的に分類します。

以下がその分類をまとめた表です。



これにより形態学的に分類できたため、次に赤血球が新しく作られているか、つまり再生をしているかどうかで原因を絞り込みます。

再生している場合は基本的に大球性低色素性となります。

この場合、骨髄ではどんどん赤血球が作られるのですが、何らかの原因により再生量を上回る赤血球の喪失があります。

血液中に出てくる赤血球は成熟が間に合わず、若い状態で血中に出てきてしまうため、大きさが多くなり色素が薄くなります。

赤血球は若いときは大きく成熟してくると小さくなってきます。

正常な赤血球1つに含まれる色素の量は一定ですので、大きさが大きいと色素は薄くなりますね。





この再生性の大球性低色素性貧血には大きく2つに分けられ、どこかで失血している場合と溶血ー赤血球が破壊される場合に分けられます。

失血性には外傷や失血を伴う外科手術、寄生虫(マダニなどによる吸血、消化管内寄生虫による消化管内出血)、止血異常、腫瘍などがあります。

物理的に血管外に血液が出ていってしまいますが、骨髄には問題がなく赤血球の再生はしっかりとしているパターンですね。

溶血性貧血には血液(または赤血球)内に関わる感染症、玉ねぎや銅などといった中毒、免疫介在性疾患、不適合輸血、遺伝疾患、血管肉腫などの腫瘍などがあります。

この場合、血管内もしくは臓器内(主に脾臓や肝臓)で赤血球がどんどんと破壊されるます。

そのため、貧血の症状だけではなく、黄疸も一緒に出てくることが多いです。

今回は以上で終わります。

次回は赤血球があまり再生していない非再生性の場合についてお話しします。

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