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チンチラの疾病

2016年11月 5日 土曜日

チンチラの子宮蓄膿症

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、チンチラの子宮蓄膿症です。

犬ではお馴染みの子宮蓄膿症ですが、私的にはチンチラの子宮蓄膿症は珍しいです。

一般にチンチラは齧歯類であることから、歯科疾患と消化器系疾患が圧倒的に多いです。


チンチラのナナちゃん(雌、5歳4か月、体重400g)は外陰部からおりものが出るとのことで来院されました。

受診時は既に外陰部をおそらく自身で舐めており、確認は出来ませんでした。



食欲がかなり落ちているとのことで早速、エコーで子宮を確認してみました。

下写真の黄色矢印は、子宮内部の低エコーから無エコー部を示しています。

これは子宮内に液体が貯留していることを示します。



子宮自体が何層にも折り重なる状態で描出されています。

何らかの液体が貯留して子宮が大きく腫大している点で子宮蓄膿症を疑います。

犬の子宮蓄膿症で度々申し上げていますが、子宮蓄膿症は全身感染症です。

緊急の疾患であり、全身状態が良ければ早急に卵巣子宮の全摘出が必要です。

飼い主様のご了解を頂き、早速全身麻酔下で卵巣・子宮全摘出手術を実施することとしました。

まずは麻酔導入を行います。





麻酔導入出来ましたので、導入箱から出て頂きマスクで維持麻酔を行います。







チンチラは体毛が密集していますので、実際の骨格は見た目よりも華奢です。

ナナちゃんは体重が400gですから、1歳のハリネズミとほぼ同じくらいでしょうか。



腹部に正中切開を入れます。





腹部を切開すると真下に腫大した子宮が認められます。



慎重に子宮を外に出します。



若干、黄色を帯びた子宮(黄色矢印)です。





子宮間膜の血管は充血怒張しています。



実際、私が手術している模様です。

腹腔内は非常に狭いため、傍から見ると何をやっているか分からないくらい細かな作業になります。



卵巣周辺の血管をバイクランプという器具でシーリングしています。



左右の子宮角です。

子宮角及び子宮頚部が腫大しており、健常なチンチラの子宮と比較して数倍大きくなってます。



子宮頚部を縫合糸で結紮しています。





腹腔内に臓器を収めて、出血がないことを確認し閉腹します。





これで手術は終了です。



手術終了時に外陰部から膿が出ているのを認めました。



ナナチャンは麻酔の覚醒も速やかです。





手術翌日のナナちゃんです。

患部を齧らないようにエリザベスカラーを付けたいところですが、齧歯類の中でもデリケートですから着衣で保護する方針で行きます。



術後2日目にして診察室内を走り回れるまで回復してます。







食欲も出てきました。



当院の新人の病院犬ドゥがナナちゃんに挨拶してます。



ナナちゃんの摘出した子宮を切開しました。

子宮角にはクリーム状の膿が貯留していました。





患部の顕微鏡所見です。

子宮内膜細胞は変性壊死を起こし、白血球やマクロファージの細菌を貪食した後、壊死腐敗した所見が認められます。



ナナちゃん手術後3日目にして、元気に退院して頂きました。

ナナちゃん、お疲れ様でした!






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2014年2月18日 火曜日

チンチラの食滞

チンチラはモルモットと同じく完全草食動物です。

その寿命は10~15年とも言われ、エキゾチックアニマルの中では際立って長寿な齧歯類です。

そんなチンチラですが、バランスを欠いた食餌内容の不備から消化器疾患が多発する傾向があります。

胃から腸までの消化管の長さは全長2.5mから3.5mあるとされ、一旦消化器疾患に陥ると腸管蠕動停止に始まり、食欲不振から死の転帰をたどるケースもあります。


本日ご紹介するのは、チンチラのシノちゃん(6歳7か月、雌)です。

突然の頻発する嘔吐から食欲不振でぐったりしているとのことで来院されました。



以前からシノちゃんはカーペットの線維をかじる傾向があり、異物誤飲の可能性もあるかもしれないとのことでした。

もともとウサギと同様、モルモット、チンチラは嘔吐をすることができない解剖学的構造をしていると言われます。

それでも胃の疾患が高度に進行すると、餌を食べた直後に吐き戻しをする症状は何例か私自身診たことがあります。

まず、レントゲン撮影を実施しました。





黄色丸に示した胃に内容物とガスが貯留しているのがお分かり頂けると思います。

加えて盲腸部にもガスが貯留しています。

強制給餌をしても口から流動食を吐き戻すとのことで、シノちゃんも軽度のショック状態になっています。

腸蠕動亢進薬や消泡薬を投薬して経過をみるという内科的アプローチではこの局面を打開できないと判断しました。

胃を切開し、胃内容物を摘出して胃を一旦洗浄することとしました。

シノちゃんに全身麻酔をかけます。







皮膚・腹筋を切開したところ、いきなり胃が飛び出してきました。

胃内容物が溜まっているのが分かります。



胃を切開します。



胃内には毛球、未消化の線維(カーペット)やドライフルーツ等、様々な内容物が入っています。



鉗子で取り除いた胃内容の一部です。



上手く取れない内容物は生理食塩水で胃内洗浄して吸引器(下写真)で吸引しました。



切開した胃を縫合します。



腹膜・腹筋を縫合します。



齧歯類は術後患部を齧る傾向にありますので、咬めないようにステープラーで縫合します。



手術当日は、沈痛な表情のシノちゃんでしたが、翌日になると食餌にも関心が出て来ました。

青汁を少し飲んだりできるようになりました。



さらに術後3日目です。

インキュベーター内で入院してもらっていますが、窓からかを出して脱出を試みようとします。





術後5日です。

既にインキュベータ内を駆け回れるくらいに回復してきました。



術後6日目です。

食欲もかなり出て来ました。

ペレットもチモシーもいい感じで食べてくれます。




チンチラはウサギと比較しても非常にデリケートな印象があります。

今回は食餌の内容物が胃内で停留して、いわゆる食滞という症状を示していました。

胃および盲腸内にもガスが貯留していましたが、シノちゃんはおそらく食滞による疼痛で食欲不振であったと思われます。

食滞に至る原因は様々です。

低線維、高蛋白・高脂肪食、異物の摂取、ストレス等が引き金になって胃腸の蠕動が抑制されます。

口に餌が入った端から、嘔吐するくらいですから胃内は未消化の内容物で一杯であったと思われます。

このまま内科的治療にこだわっていたら、高度の衰弱・ショック状態から脱却できずにいたことでしょう。

外科的に胃切開を実施するか、内科的治療を継続するかの判断が、齧歯類の食滞治療には要求されます。

判断ミスが無いように注意深い診断が要求されますので、毎回苦悩すること頻りです。



術後7日で退院当日のシノちゃんです。

元気に退院できて良かったです!




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2013年11月26日 火曜日

チンチラの脊椎障害(だいず君の危機!後編)


先日、チンチラのだいず君(1歳、雄)の脊椎障害の件(前篇)を報告させて頂きました。

突然、起立不能になっただいず君ですが、食欲もなくなり強制給餌で何とかしのぐ状況が続きます。





加えて、直腸脱を発症してしまいます。



直腸脱は整復に成功しましたが、排便もまだできていない状態です。

全身状態も不良で、回復出来るか否か不安定な状態です。



以上が前篇の概略(受傷後8日まで)となります。



非常に厳しい状況に追い込まれただいず君のその後の報告です。

受傷11日目(下写真)になりますと、強制給餌もしっかりと飲めるようになりました。

ほんの少しですが、ペレットも自分で採食し始めました。

ずっと眼は閉じていることが多かったのですが、パッチリ開けてくれるようになりました。

疼痛もある程度、投薬で管理できているようです。



直腸脱もその後、再発することなく排便も良好です。

まだ右足の跛行があり、体重を支えるのは辛そうです。

それでも自分で歩行しようとします。







リハビリ中のだいず君の傍らで、ベティが応援しています(?)





この頃からのだいず君の回復は素晴らしいものがあります。

食欲も出て来ましたし、排便・排尿も良好です。

受傷後13日目にだいず君は退院しました。



受傷後17日のだいず君です。

保定されるのも素直に抵抗して暴れるようになり、不全麻痺を起こしていた後肢も自分の意志である程度、可動することが出来ます。



下写真は受傷後19日目のものです。

両後肢はしっかり床面を蹴ることが出来るようになりました。



続いて受傷後32日目の写真です。

この段階で、表情は健常時と変わらないくらいになりました。





チンチラは非常に繊細な齧歯類です。

今回は特に、脊椎障害に伴う後躯不全麻痺、疼痛、直腸脱と立て続けに災難が降りかかってきました。

このような状況では、先のみえない介護・困難な食餌管理で、おそらくストレスで死亡する可能性もありました。

そんな中でも、飼い主様はほぼ毎日面会に来院され、だいず君を励ましてみえました。

そんな支えもきっとあったのでしょう。

だいず君がここまで回復されるとは思ってませんでした。

合計50本に及ぶ注射にも耐えてくれただいず君、全快おめでとうございます!





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2013年11月24日 日曜日

チンチラの脊椎障害(だいず君の危機!前篇)

チンチラは非常に繊細な齧歯類です。

上手に飼育されると平均寿命は10年。

記録によると18~20年という長寿の個体もいるそうです。


今回、ご紹介させて頂きますのはチンチラのだいず君(1歳、雄)です。

突然起立不能に陥り、来院されました。

チンチラは体調が思わしくなかったり、疼痛が激しかったりすると眼を閉じて耐えていることが多いです。

だいず君はまさに、眼を閉じて自力で立ち上がることもできません。





さらに呼吸不全の兆候が表れてきましたので、ICU処置室(酸素室)に入れて呼吸管理を実施しました。



食欲は全くなく、ショック状態に陥っています。

後肢の痛覚が消失しており、おそらくは脊椎損傷の可能性があると思われます。



対症療法として、ステロイド剤、腸蠕動促進剤、抗生剤の注射をします。





呼吸が落ち着いたところで、レントゲン撮影を実施しました。





単純レントゲン撮影では特に脊椎骨の脱臼、亀裂などの所見は認められません。

CTで脊椎造影できれば、今回の原因の詳細は判明するかもしれませんが、今のだいず君にはこれ以上の検査は命に関わるため出来ません。

しかし、後躯不全麻痺と疼痛による振戦から脊椎障害であることは疑いないと思います。

だいず君は食欲が全くありませんので、流動食を少しずつ飲ませていくこととなりました。



チンチラはウサギと比較しても、繊細で今回のような状況におかれるとストレスだけで命を落とすこともあります。

投薬と強制給餌を続けて6日目のだいず君です(下写真)。

自主的に少しづつですが、流動食を飲んでくれるようになってきました。

でも、まだチモシー・ペレットについては口をつけてくれません。

相変わらず、眼はつむったままです。





受傷後、8日目にして流動食だけで生活していましたので、軟便が続き、だいず君は排便時に腹圧をかけていきむようになり、直腸脱を発症してしまいました。



肛門周囲を拡大したのが下写真です。





直腸が肛門から脱出した場合、その原因は2つあります。

直腸脱と腸重積の2種類です。

ゾンデ(探子)で用いて鑑別したところ、幸い直腸脱でしたので、飛び出した直腸をもどして肛門を縫合糸ですこし縫いこんで絞り込みました(下写真)。

1週間以内に縫合糸を抜糸します。

腸重積ですと開腹手術が必要となります。

正直、腸重積でなくて良かったです。

以前、腸重積のチンチラに症例報告をしましたが、興味をある方はこちらをクリックして下さい。



食餌も自力で摂食できず、いまだ起立不能のだいず君。

今後の展開が不安ですが、この続きは次回、「だいず君の危機!後編」をお待ちください。




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2013年3月31日 日曜日

チンチラの尿道結石

本日は、チンチラの尿道結石をご紹介します。

チンチラ君(雄、4歳、体重450g)は半年くらい前から、不定期に排尿時の血尿がありました。

今回は、全く排尿できないとのことで来院されました。

早速、レントゲン撮影を実施しました。


患部を拡大したのが下の写真です。

黄色丸の部分が結石を示しています。









チンチラ君はすでに中等度の虚脱状態にあります。

この数日の排尿不能で尿毒症になっているかもしれません。

血圧は低下しており、血管確保もできない状況で点滴も行えません。

加えて十分な採血が出来ず、チンチラ君が尿毒症になっているかの確認すら出来ません。

すでに膀胱ははち切れんばかりに膨張しています。

そんな状況ですが、膀胱内部に存在する結石(膀胱結石)であれば、膀胱を切開して結石を摘出すればそれで終了となります。

しかし、レントゲンの結果からすると尿道まで結石が下りている可能性もあります。

時間的猶予はないと判断して、開腹手術に踏み切りました。





下腹部の皮膚を切開するといきなり膀胱が飛び出してきました。



膀胱の内圧を下げるため、膀胱をメスで切開します。





膀胱は内部で出血があり、高度の膀胱炎を起こしています。

膀胱内部を深査しましてもレントゲンにあった結石は見つかりません。

尿道に結石があると確信して、尿道にカテーテルを入れ外部から生食でフラッシュして、結石を膀胱内に戻す処置を実施します。





上写真の黄色矢印がカテーテル(実際はサイズがありませんので、留置針で代用しています)です。

黄色丸の膀胱から結石が出てくるのを期待します。

約100mlほどフラッシュしたところで、非常に小さな栓(プラグ)が出て来ました。

でも本命の結石はまだ出ません。

さらに約100mlフラッシュしたところで、膀胱内に結石(下写真黄色丸内)が降りてきました。



レントゲンを再度撮って結石が他にないことを確認し、膀胱を縫合、閉腹します。







全身状態が不良であるチンチラ君は、手術が終了して麻酔を切ってから、覚醒するまで数時間を要しました。

下写真は覚醒直後のチンチラ君です。

ペニスを非常に気にして、咬み始めたので防護のため服を作り着せました。





摘出した尿道結石(左側、シュウ酸カルシウム結石)と栓(プラグ)です。



チンチラ君は手術翌日には、動き回れるようになったのですが、3日目に残念ながら逝去されました。

排尿障害が長かったため、尿毒症を発症していたのが大きな原因と思われます。

ウサギと比較してチンチラは、非常にデリケートで体格が小さいこともありますが、基礎体力も弱いため先手先手の対応をしていかないと治療は厳しいです。

全力を尽くして治療にあたりますが、力及ばず残念です。

合掌




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