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チンチラの疾病

2021年8月16日 月曜日

チンチラの膀胱結石・尿道結石

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、チンチラの尿路結石(膀胱結石及び尿道結石)の症例です。

チンチラの尿路結石は日常的に遭遇します。

特に尿道結石になった場合、尿道が細いためモルモットやウサギに比べて、排尿障害に陥りやすいという特徴があります。

排尿障害が24~48時間を超えると急性腎不全から尿毒症になります。

その結果、わずか直径数ミリの結石がチンチラの命を奪います。



結石が膀胱であれ、尿道であれ、症状は排尿障害と血尿です。

この症状を見逃さないようご注意下さい。

以前にチンチラの尿道結石チンチラの膀胱結石の2本の記事を載せていますので、興味のある方は下線部をクリックしてご覧下さい。



チンチラのジロ君(1歳4か月齢、雄、体重600g)は昨日から排尿がないとのことで来院されました。

排尿したくて息むけれども出来ないようです。



触診で膀胱が張っている感じがあります。

早速、レントゲン撮影を実施しました。

膀胱内の結石は直径が5㎜、尿道内は約2.5㎜(3個)です。



特に尿道内の3個の結石が排尿障害の原因となっています。



尿道カテーテルを挿入して、生理食塩水でフラッシュしましたが尿道内結石を膀胱に戻すことは出来ませんでした。

全身状態は良くなく、血圧が低下しており、採血も出来ない状態です。

そもそも尿が完全に閉塞していますので、解除しない限り治療は先に進めません。

ジロ君は既に腎不全になっている可能性もありますし、麻酔のリスクも十分あることを飼主様に理解して頂きました。

全身麻酔をかけて、速やかに膀胱・尿道の結石を摘出することとしました。


ジロ君に麻酔導入箱に入って頂き、イソフルランを流します。



イソフルランが効いて来たようで、ジロ君の麻酔導入は完了です。



続いてガスマスクで維持麻酔に切り替え、下腹部を剃毛します。





剃毛は完了です。



下写真黄色丸の部分は膀胱を示します。

膀胱はおそらく尿で膨満状態にあり、外観からも盛り上がってみえます。



患部の消毒も終わり、これから執刀に移ります。



下腹部にメスを入れます。



腹筋を切開します。



切開した箇所から、膀胱が突出しました。

膀胱は暗赤色を示し、膀胱内での出血、炎症の進行が疑われます。






膀胱内圧を減じさせるため、尿を吸引します。



下写真の注射器の中は出血で褐色に変性した尿が確認できます。



これから膀胱に切開を加えますので、その前に膀胱の位置を固定するために支持糸を掛けます。



膀胱にメスを入れます。



膀胱壁に切開を加え、膀胱内の結石を探します。





膀胱内に存在する5㎜の結石は、容易に見つかりました。





膀胱内は剥離した粘膜や血餅などが確認されます。

結石が膀胱内で暴れ回り、膀胱粘膜に激しい損傷を与えていたのが予想されます。



膀胱内を洗浄します。



この状態でレントゲン撮影を行いました。

尿道内の3個の結石は回復前と同じ位置に存在しています。



尿道にカテーテルを入れて、生理食塩水で圧をかけてフラッシュし、膀胱内へ結石が戻せるかトライします。





一挙に圧をかけてフラッシュしたところ、膀胱は膨らみました。

膀胱は切開を加えていますので、破裂することはありません。



今の状態をさらにレントゲン撮影します。

下レントゲン写真の青丸は尿道カテーテルの外套部を示し、赤丸は3個の尿道結石です。

既にこの3個は尿道から膀胱内へと移動してるのが判明しました。



あとは膀胱内に逆流してきた結石を摘出するのみです。

結石2個がまとめて摘出出来ました(黄色丸)。



次いで残りの1個が見つかりました(下写真黄色丸)。





切開した膀胱を縫合します。



縫合が完了しました。



尿道カテーテルから生食を注入して、膀胱のリーク(漏れ)チェックを実施します。



縫合部の漏れはありません。



最後に腹筋を縫合します。





皮膚を縫合していきます。





手術は終了です。



手術から覚醒したばかりのジロ君です。



術後2日目のジロ君です。

血尿は治まり、自身で排尿出来るようになりました。





ジロ君は手術後4日目に退院して頂きました。

しかし、退院した翌日にショック状態に陥り、ジロ君は急逝されました。

入院中は経過が良好であったため、非常に残念です。

過去に尿道結石の手術を施したチンチラは予後不良となるケースが比較的多いです。

それは、前述の通り尿道が細いという点もありますし、飼主様が排尿障害になっていることに気づかれていないケースが多い点も挙げられます。

チンチラの飼主様は血尿・排尿障害を認めたら、速やかに受診して頂くようお願い致します。

合掌。




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2021年6月 6日 日曜日

高齢チンチラの臼歯過長症(祝21歳誕生日)

こんにちは 院長の伊藤です。

今回は、今年5月に21歳の誕生日を迎えたチンチラのご紹介です。

一般に言われるチンチラの平均寿命は10~15歳です。

ギネスの長寿記録はなんと29歳8か月齢とのことです。

当院では、このチンチラちゃんが病院始まっての最長老となります。




チンチラに限らず、齧歯目の動物は高齢になると不整咬合や胃のうっ滞などの疾病が絡んできます。

チンチラのコットンちゃん(6月現在21歳と17日齢、雌、体重460g)は、口腔内の涎で口周りの被毛が汚れているとのことで来院されました。



以前から、定期検診で診せて頂いてる患者様ですが、チンチラはウサギよりも不整咬合の調整が微妙で困難な動物です。

実際、今回の診察の1~2か月前から右下顎第1,2前臼歯の歯棘が伸張して、舌へ干渉を起こしており、歯の調整を度々実施してきました。

当院では、基本的に全身麻酔を行わずに歯棘をカット、研磨を施して不整咬合の調整をします。

ウサギレベルの口腔内サイズであれば、問題ないのですがチンチラはさらに一回り以上小さいので、口腔内に開口器やその他の器具を無麻酔でセッテイングするのは限界があります。

ヒトの歯科医のように咬み合わせのチェックを患者の意志で確認出来ると良いのですが、勿論、不可能です。

結局、微妙な咬合調整は麻酔下で実施するしかありません。

しかしながら、21歳という高齢のため麻酔は非常にリスクを孕んでいます。




飼い主様の強いご要望もあり、麻酔下での不整咬合調整をすることとなりました。

私自身も21歳のチンチラの全身麻酔は初体験となります。

基本は最短時間で確実に歯科調整することです。

麻酔前の入念な準備が必要です。

まずは、レントゲン撮影を行いました。




コットンちゃんの口腔内を確認したところ、以前と同様、右下顎第1.2前臼歯が湾曲・棘状で過長かつ舌干渉しているのが分かりました(上写真黄色丸)。

年齢を考慮すれば、不整咬合を初めとして根尖病巣も認められるのは当然のことです。

無麻酔での臼歯調整は、やはり限界がありますので全身麻酔を実施することになりました。

コットンちゃんの肺を少しでも酸素化させて、麻酔導入をスムーズにするためICU内で40%酸素を吸入します。





数時間ICU内で過ごしてもらい、これからイソフルランで麻酔導入します。





下写真黄色丸がコットンちゃんの流涎で乾燥・毛玉になっている被毛です。



麻酔導入箱にてイソフルランを流入します。



高齢でもあるため、麻酔導入は速やかに達成されました。



次に鼻に自家製のマスクを当てて、維持麻酔を行います。



口腔内は涎で一杯となっているため、綿棒で掻き出しています。



頬を拡張する器具を挿入します。



口腔内の写真は、光源が入れずらいこととフォーカスを合わせる対象物が小さすぎることで極めて撮影が困難です。

以下に載せる写真は、焦点がぼけていて見ずらい点があるかもしれませんがご了解ください。

前出のレントゲン像で、黄色丸で囲んでいた右下顎第1,2前臼歯が変形して棘状(下写真黄色矢印)になっているのがお分かり頂けると思います。



コットンちゃんをこの姿勢で維持し、過長の歯棘を切断・研磨します。



開口器を装着したところです。



臼歯カッターで歯棘を切断します。

カットした歯棘の一部を黄色丸で囲みました。



何ヶ所も歯棘をカットし、上下の臼歯の咬み合わせがスムーズになるように調整します。



新たにカッターで離断した歯棘を黄色矢印で示します。

この後、切断した臼歯の断面をヤスリで研磨処置します。



全ての処置後の口腔内です。

肉眼で見る限りは綺麗に咬合出来る様になったと思います。



この姿勢は辛そうに見えるかもしれませんが、呼吸する上ではウサギ、チンチラ、モルモットなどの齧歯目はこの仰け反る姿勢(スターゲージング)は呼吸が一番

楽な姿勢とされます。



離断した歯棘を黄色丸で囲みました。

無麻酔で開口する方法では、これほど詳細にわたる調整は難しかったと思います。



さて、処置は無事終了したコットンちゃんですが、麻酔から安全に覚醒して頂けるかが心配なところです。

イソフルランを切って、酸素吸入をしているコットンちゃんです。

体温も麻酔で低下しますので、常時温湯パックとヒーターで温めて対応してます。

既に意識は戻っています。



覚醒後、落ち着いてから再びICUに戻ったコットンちゃんです。

処置は終了し、無事生還出来て良かったです。



歯の処置3か月後のコットンちゃんです。

その後の歯のコンデションは良好で、以前のように流涎で悩まされることはないようです。

そして、この来院日の数日前にコットンちゃんは21歳の誕生日を迎えられました。



ウサギに比べると比較的長寿のイメージが強いチンチラです。

もともとタフな動物だと思いますが、10歳を過ぎても大きな病気ひとつ罹らずにいる個体も多いです。

その一方で、歯科疾患や食滞に一旦なると完治するのに長期戦になるケースが多い動物種でもあります。

特に歯科疾患となると口腔内が狭く、その一方で咽頭までが長いのでアプローチが非常に難しいです。

ウサギ用の歯科器具では限界を感じており、オリジナルのチンチラ用器具の開発を考えてます。





21歳を無事迎えられたのも、ひとえに飼主様の愛情の賜物です。

コットンちゃん、さらに長生きして周りの人たちに元気を与えて下さいね!








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2021年2月 4日 木曜日

チンチラの腸重積(その2)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日、ご紹介しますのはチンチラの腸重積の症例です。

チンチラの場合、下痢や便秘によるしぶり(いきみ)が原因で腸重積や直腸脱が発症します。


腸重積とは、腸管の一部が連続する腸管の肛門側に引き込まれてしまうことによって生じる病気です。

例えとして、釣竿を折りたたむような感じで腸が腸に入り込むような感じと言えば、イメージして頂けるでしょうか?

進行すると腸管の血行不全で壊死を来します。

腸重積は緊急手術が必要になることも多いです。

腸が壊死していれば切除後、腸管吻合が必要となり、予後不良となることもある怖い疾患です。



チンチラのぐりちゃん(雌、10か月齢、体重490g)はお尻から腸が出ているとのことで受診されました。



下写真黄色丸は直腸が脱出しているのを示します。



拡大像です。

直腸が脱出して、充うっ血しており痛々しい感じです。



レントゲン撮影を実施しました。

盲腸にガスの貯留が認められます。

おそらく腸蠕動の障害があるように思われます。






単純な直腸脱ならば、整復処置を施し肛門に支持糸をかけて経過観察となります。

しかし、腸重積の場合は開腹手術となりますので、まずは綿棒を用いて腸重積の確認をします。

下写真のように綿棒を2本やさしく肛門と脱出してる直腸の間隙に挿入します。

約2㎝ほど綿棒は、この間隙に容易に入りました(下写真黄色矢印)。

直腸脱の場合は、この間隙は形成されませんので、腸重積の疑いが強いです。



腸重積の場合、緊急手術が必要となります。

飼い主様の了解を得て、早速開腹手術に移ることとなりました。

イソフルランによる麻酔導入を行います。



維持麻酔に切り替え、患部の剃毛処置を実施します。



ぐりちゃんの麻酔が安定してきたところで、手術のスタートです。



開腹手術に移ります。



腹筋を切開します。



膀胱は蓄尿が著しいため、膀胱穿刺して尿を吸引します。



ピンセットで確認しているのは、ぐりちゃんの子宮です。



直腸へ綿棒を挿入して、開腹した腹腔内の腸の動きを観察します。



触診すると硬くなって、動きが認められない小腸の部位がありました。

指先ではこの部位だけ太く、周囲からの血管も怒張しているのが分かります(下写真)。



下写真青丸は盲腸です。

黄色矢印は空回腸の盲腸へと移行する部位です。

この部位が腫脹し、触診で硬く感じられます。



この部位が腸重積を起こしている可能性があり、綿棒で持ち上げて周囲の余分な組織を分画していきます。



患部を脂肪組織が取り巻いているため、丁寧に切除します。



脂肪組織などを取り除いていくと赤く腫れた空回腸が現れました。





下写真の黄色丸は釣竿を折りたたむようにして、腸の中に腸が入り込んでいます。





患部を上方に牽引すると重責部が明らかになりました。



重責部を優しく、さらに牽引してみます。



重責部を伸展すると血行不良で充うっ血が確認できます(黄色矢印)。



患部(下写真黄色丸)は壊死が進行しているようです。



下写真の充うっ血色の部位を切除して、正常な腸管を吻合することとします。



切除する上流の腸に支持糸を掛けます。





外科鋏で壊死している腸管を切除します。





次いで、離断した腸管の断面同志を端・端並置縫合します。



縫合に使用する縫合糸は5-0のモノフィラメント合成吸収糸です。





チンチラの腸管内腔は、せいぜい3㎜程度なので縫合には細心の注意を払います。



腸管の全周を6か所縫合しました。









腸管縫合終了です。



支持糸を外して、患部を生理食塩水で洗浄します。





腹筋を縫合しています。



最後に皮膚縫合をして手術は終了です。



全身麻酔から覚醒したばかりのぐりちゃんです。



手術後、ICUの部屋に入ってもらいましたが、辛そうです。



今回、切除した小腸を調べてみました。



うっ血して腫脹しています。



断端を綿棒で抑えて、ピンセットで反対方向へ腸を牽引します。



腸管内に入り込んだ腸がズルズルと出て来ます。



腸が入り組んでいた箇所(下写真黄色矢印)が重責を起こしていた部位となります。

重責部は壊死を起こしていました。







術後翌日のぐりちゃんです。



食欲は少しづつ出てきて、青汁を自ら飲み始めました。



チモシーのような乾草を給餌すると縫合部に負荷を極端にかけますので、しばらくは青汁や強制給餌用のライフケア®などで給餌します。



運動性も出て来ましたので1週間入院の後、ぐりちゃんには退院して頂きました。



肛門から出ていた腸も無事納まりました。



腸重積は、直腸脱と誤認されるとその治療のため何日も経過してから、あわてて実は腸重責であったと気づいた時には、もう手遅れになっていることが多いです。

チンチラは小さな体の繊細な動物なので、長時間に及ぶ疼痛やストレスには耐えられません。

肛門から腸が飛び出していたら、早急に受診されることをお勧めします。

ぐりちゃん、お疲れ様でした!




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2020年12月 1日 火曜日

チンチラの鼻腔外傷と食滞

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、チンチラの鼻を咬傷の傷で呼吸不全となり、結果食滞(消化管内ガス貯留)となった症例です。

チンチラのオレオ君(2歳、雄、体重500g)は一週間ほど前に同居している他のチンチラに鼻を咬まれ、鼻腔内から膿が出始めたとのことで来院されました。





下写真の黄色丸は咬まれた鼻です。

鼻腔内からジワジワと膿が出ています。



鼻の正面(鼻鏡)は鼻汁と痂皮(かさぶた)で鼻は詰まり気味です。







チンチラに限らずウサギ、モルモットたちは鼻呼吸が基本の齧歯目の動物です。

何らかの原因で鼻呼吸が出来なくなると重篤な症状になります。

オレオ君は鼻呼吸が満足に出来ないため、口呼吸をするようになっています。

いわゆる開口呼吸になりますと、肺に行くよりも食道を介して胃の方に回る空気が多くなります。

結果として消化管は空気で鼓張し、胃腸蠕動は停滞し、食欲廃絶となり全身状態は不良となります。


オレオ君の全体像ですが、下写真をご覧いただけると腹が誇張しているのがお分かり頂けると思います。





上から見た写真です。

腹囲が腫れています。

食欲は既に無くなっており、被毛の艶はなくなり、所どころに脱毛があります。





レントゲン撮影を実施しました。

下写真で胃・盲腸にガスが停留しているのが分かります。



上写真の拡大像です。

食餌の内容物は殆どなく、食滞・鼓張状態です。



側臥状態のレントゲン像です。



盲腸にガスが多量に貯留しており、背骨を超えて鼓張しています。



鼻周辺の組織は、鼻骨の障害(融解)はありませんが、咬傷による組織炎症が進行しているのが分かります(黄色丸)。



オレオ君の一番の問題はこのガスを早急に抜くことです。

ウサギのように鼻腔がある程度の直径があれば、栄養カテーテルを経鼻胃カテーテルとして、鼻に挿入します。

そのままカテーテルを胃まで到達させ、胃内のガスを抜去する方法(減圧法)も考えられます。

しかしながら、チンチラは極めて鼻腔が狭いことに加えて、オレオ君の鼻腔は外傷で狭窄してるため、カテーテルの挿入は困難です。

そうなると直接胃へカテーテルを入れる方法が考えられます。

オレオ君の全身状態はよろしくなく、鼻呼吸が殆ど出来ていない状態です。

この状態で開口姿勢を維持して、胃へカテーテルを入れると呼吸停止に陥る可能性が大きいです。

また盲腸から下部のガス貯留については、開腹して腸切開してのガス抜きも困難です。

ましてや、皮膚から針を穿刺して腸管からガスを抜去するという処置は、ショック死する危険を伴います。

結局のところ、消泡剤・胃腸蠕動亢進薬・抗生剤・鎮痛剤の組み合わせで投薬して経過を診ていくこととしました。

残念ながら、オレオ君は受診当日に亡くなられました。



チンチラは細菌感染にウサギ以上に弱いこと、鼻腔の炎症や歯の疾患などで鼻呼吸が出来なくなると容態は急変することをご理解下さい。

特に草食獣は肺が小さく、呼吸不全になりやすいです。

鼻呼吸が出来なくなれば、開口呼吸に移行するのは時間の問題で、簡単に食滞・鼓張症に陥ります。

一旦、食滞・鼓張症になると回復させるには大変な努力が必要となります。

鼻呼吸がスムーズに出来ていないと感じたら、速やかに受診して下さい。

チンチラの病態の進行は非常に早く、犬猫の比ではないことをご了解下さい。






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2020年11月 9日 月曜日

チンチラの膀胱結石

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介するのは、チンチラの膀胱結石摘出の症例です。

以前に膀胱結石が尿道まで降りてきて摘出した症例を載せました。

その症例に興味ある方はこちらをクリックして下さい。



チンチラのマチルダ君(雄、9歳、体重700g)は最近、血尿が出るため来院されました。

排尿時の疼痛感も伴っているようです。





まずは、レントゲン撮影を実施しました。





上のレントゲン写真の黄色丸は膀胱内の結石を表しています。

結石の大きさは直径が6㎜あります。

おそらくこの結石が原因で排尿時の疼痛や血尿などの症状が引き起こされてます。

膀胱結石が原因で排尿障害になりますとチンチラの場合は重篤な状態に陥るケースが多いように思います。

飼い主様の了解を得て、膀胱結石摘出手術を実施することとなりました。

麻酔導入箱にマチルダ君に入ってもらい、イソフルランで麻酔導入を行います。



麻酔導入が完了したところです。



麻酔導入箱から出てもらい、ガスマスクで維持麻酔に切り替えます。

術野を剃毛し、消毒します。



マチルダ君の麻酔状態も安定してきたところで手術を開始します。



開腹のためにメスで切皮します。



腹筋を切開します。



チンチラの臓器は非常に脆いので、極力指先で弄り回さずに滅菌綿棒で体外に出します。



下写真の中央部が膀胱です。



膀胱を牽引して支持するための支持糸を膀胱の先端部にかけます。



下写真は膀胱尖部に支持糸をかけ、牽引しているところです。

膀胱の腹側面を露出しており、ここからメスで膀胱壁を切開します。



№11のメスの先端部で膀胱に切開を入れます。

既に指先には硬い結石の存在を触知しています。



膀胱の漿膜面から切開し、粘膜面まで割を入れます。



下写真の黄色矢印は膀胱結石を示しています。



膀胱粘膜を傷つけないように結石を摘出します。



マチルダ君の膀胱と比べても大きく感じるサイズの結石です。





膀胱内部を生理食塩水でしっかり洗浄し、5‐0のモノフィラメント吸収糸で膀胱壁を縫合します。





チンチラの場合は膀胱自体が小さいため、犬猫に適用するような二重内反縫合法は行いません。

単層の単純結紮縫合法で対応します。



約2㎜間隔で縫合していきます。



縫合部がしっかり縫合できているか確認するためにリーク試験(漏出試験)を最後に行います。

これは、生理食塩水を注射器で膀胱内に注入し、縫合部から生食が漏れていないかを見ます。



下写真黄色矢印から生食が一部漏出しているようなので、この部位に縫合を追加することとしました。







再度漏出試験を実施し、漏れがないことを確認しました。



膀胱を腹腔内に戻し閉腹します。



腹筋を縫合したところです。



最後に皮膚を縫合します。



皮膚縫合完了です。



手術は完了しました。

後は麻酔を切り、マチルダ君の覚醒を待ちます。



皮下にリンゲル液を輸液してます。



麻酔から覚醒してきたマチルダ君です。





手術翌日のマチルダ君です。

エリザベスカラーはストレスの原因となりますが、2週間は頑張って装着して頂きます。

食欲もあり、排尿も出来ています。

特に問題なくマチルダ君は術後2日目に退院して頂きました。



下写真は摘出した膀胱結石です。

炭酸カルシウムの膀胱結石でした。

チンチラにおいては、食餌から摂取した過剰なカルシウムは殆どが糞便から排泄されるとされています。

一方、尿から排泄されるカルシウムも一定量に維持されるとされます。

結果、高カルシウムの食餌が膀胱結石の誘因とはならないと考えられています。

ならば、膀胱結石の原因はどこにあるのか、遺伝的要因なのか、あるいは他の要因が関連しているのか、今のところ不明です。



2週間後に抜糸に来院されたところです。

抜糸も問題なく終了しました。

退院後は血尿もなく、排尿もスムーズに出来ているとのことです。



マチルダ君、お疲れ様でした!




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