その他特殊動物の疾病(リスザルなど)
2023年6月13日 火曜日
ミーアキャットの皮膚外傷
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのは、ミーアキャットの皮膚外傷で外科的に縫合した後、肉芽形成を促し完治した症例です。
ミーアキャットは、哺乳綱食肉目マングース科スリカータ属に分類される食肉類であり、アフリカのサバンナや荒れ地に広く生息します。
体の長さはおよそ30cm、尾の長さは20cmほど。体重はおよそ600~900gくらいです。
野生のミーアキャットは最大で40頭ほどの群れになり、地下に巣穴を掘って生活しています。
群れとしての団結力が強く、独特な立ち姿で猛禽類やジャッカル等から警戒活動をします。
太陽に向かって尾を支えにして直立し、体を温める習性が特徴的です。
肉食よりの雑食で、虫(カブトムシやイモムシ、クモ、サソリ)や爬虫類、鳥や卵、小型のげっ歯類、果物などを食べています。
ミーアキャットはまだペットとして飼育する家庭は少なく、正しい飼育法も確立されていないのが現状です。
野性味が強く、突然攻撃的(噛んだり、鋭い爪で引掻く)になったり、群れで生活する動物なので単独飼育ではストレスを感じることが多いとされます。
そんなミーアキャットですが、同居している猫と喧嘩して前足を怪我したとのことで来院されました。
ミーアキャットのぽぽちゃん(生後3か月齢、雌、体重450g)ですが、前足の皮膚が咬傷で皮膚ごと剥離しています。

右前腕部の皮膚が咬まれて開放創になっています(下写真黄色丸)。


前腕骨へのダメージがないかレントゲン撮影をしました。

患部の拡大像です。
幸いに骨損傷はなく、前腕部の軟部組織の外傷で済んでいます。

思いの外、傷口が広いので全身麻酔を施して皮膚縫合します。

麻酔導入箱にぽぽちゃんを入れて、イソフルランを流入させます。

受傷部が痛々しいです。
患肢を疼痛のため、常時拳上しています。

麻酔導入が効いて来たようで、ぽぽちゃんが横たわりました。

麻酔導入箱の蓋を開けたところです。

速やかに外に出して、維持麻酔に切り替えます。

仰臥姿勢に保ちます。

患部周辺をバリカンで剃毛します。
ミーアキャットの被毛は密で柔らかいため、剃毛が難しいです。
加えて、皮膚が欠損しているため緊張をかけての剃毛が難航しました。


最後にカミソリで剃毛します。

傷口に入り込んだ被毛を洗い流し、患部を清浄化するために何度も生食で洗浄します。


手根関節(手首)の真上から肘方向(近位端)へ広範囲の皮膚欠損です。

捲れあがった皮膚を外科鋏でトリミングします。

5-0ナイロン糸で縫合します。


ミーアキャットの皮膚は犬と猫の中間くらいの弾力性を示しますが、皮膚の薄さはウサギに近い感じです。


皮膚に分布する血管の流れを阻害しない範囲で密に縫合します。

あまり緊張(テンション)を加えて皮膚縫合すると血行障害を来し、皮膚癒合する前に創縁が壊死を起こし縫合は未遂に終わります。

皮膚欠損部の両端は縫合出来ましたが、中央部は皮膚の縫い代が確保できず厳しい状態です。
開創部が皮膚縫合でカバーできない場合、生体は欠損部に肉芽組織を形成して、やがて皮下組織や皮膚に肉芽組織は分化して、回復の経過をたどります。

結局、中央部は開放創のまま(下写真黄色矢印)で肉芽組織を形成させる方針でドレッシング材(創傷被覆材)を使用することにしました。

今回の様に浅い創傷部の場合は、患部を生食で洗浄を繰り返し、創傷内に残った異物・組織片を取り除き(デブリードマン)、そしてドレッシング材で患部を被覆して最終的に肉芽組
織が増殖し、皮膚組織に分化させ治療は終了となります。
ドレッシング材は、ポリウレタンフィルムドレッシング、ハイドロコロイドドレッシング、ハイドロポリマードレッシング、ハイドロジェルドレッシングあるいは食品包装用ラップ
(サランラップ等)など各種あります。
今回はドレッシング材としてメロリン®を使用しました。
メロリン®はコットン・ポリエステル繊維を多孔性ポリエステルフィルムとポリエステル不織布で挟み込んだ3層構造を持つ非固着性吸収性ドレッシング材です。
このように各種ドレッシング材は存在します。
結局のところ、肉芽組織を良好に導入・形成・分化させるための、創面の清潔性・適度な湿潤環境の提供の目的でドレッシング材を使用します。
下写真は開創部にイサロパン®を散布しています。
このイサロパンは損傷皮膚組織の修復作用と分泌物の吸着による患部の乾燥化作用により治癒を促進する外用散剤です。

次いでメロリン®を患部のサイズに合わせてカットします。
患部(開創部)にメロリン®を貼付します。


紙ガーゼと粘着テープでテーピングして終了です。


抗生剤や止血剤を皮下注射します。

イソフルランを切り、酸素を吸入させます。


覚醒したぽぽちゃんです。

ひとまず手術は無事終了しました。
今後の開放創の肉芽形成を継時的に経過観察していきます。
術後1週目のぽぽちゃんです。

患部を生食で洗浄します。

下写真の患部(黄色丸)には開創部にうっすらと肉芽組織が形成されています。

ぽぽちゃんは患部をエリザベスカラーで保護してますが、カラーに馴染んでくると色んな形で患部の干渉をしてくるので注意が必要です。

術後2週のぽぽちゃんです。
下写真の黄色丸が肉芽組織ですが、1週目と比較して良好に欠損部をシートしています。

3週目の患部ですが、ぽぽちゃんは患部を齧って出血をしたそうです。
患部が明らかに腫大してます。
抜糸をしました。

下写真は4週目です。
患部の肉芽組織(黄色矢印)は良好ですが、まだ完全に皮膚に分化してません。

術後5週目です。
この1週間の回復スピードは素晴らしく、皮膚が綺麗に生着出来ています。
患部の周辺も発毛が始まっています。



患部の洗浄をします。

テーピングによる皮膚発赤はありますが、治療は終了です。


ペットとは言え、野生動物です。
飼育法を始め疾病、治療についても不明な点の多い動物ですが、比較的皮膚損傷の回復は犬猫より早いように感じます。
ぽぽちゃん、お疲れ様でした!

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本日ご紹介しますのは、ミーアキャットの皮膚外傷で外科的に縫合した後、肉芽形成を促し完治した症例です。
ミーアキャットは、哺乳綱食肉目マングース科スリカータ属に分類される食肉類であり、アフリカのサバンナや荒れ地に広く生息します。
体の長さはおよそ30cm、尾の長さは20cmほど。体重はおよそ600~900gくらいです。
野生のミーアキャットは最大で40頭ほどの群れになり、地下に巣穴を掘って生活しています。
群れとしての団結力が強く、独特な立ち姿で猛禽類やジャッカル等から警戒活動をします。
太陽に向かって尾を支えにして直立し、体を温める習性が特徴的です。
肉食よりの雑食で、虫(カブトムシやイモムシ、クモ、サソリ)や爬虫類、鳥や卵、小型のげっ歯類、果物などを食べています。
ミーアキャットはまだペットとして飼育する家庭は少なく、正しい飼育法も確立されていないのが現状です。
野性味が強く、突然攻撃的(噛んだり、鋭い爪で引掻く)になったり、群れで生活する動物なので単独飼育ではストレスを感じることが多いとされます。
そんなミーアキャットですが、同居している猫と喧嘩して前足を怪我したとのことで来院されました。
ミーアキャットのぽぽちゃん(生後3か月齢、雌、体重450g)ですが、前足の皮膚が咬傷で皮膚ごと剥離しています。

右前腕部の皮膚が咬まれて開放創になっています(下写真黄色丸)。


前腕骨へのダメージがないかレントゲン撮影をしました。

患部の拡大像です。
幸いに骨損傷はなく、前腕部の軟部組織の外傷で済んでいます。

思いの外、傷口が広いので全身麻酔を施して皮膚縫合します。

麻酔導入箱にぽぽちゃんを入れて、イソフルランを流入させます。

受傷部が痛々しいです。
患肢を疼痛のため、常時拳上しています。

麻酔導入が効いて来たようで、ぽぽちゃんが横たわりました。

麻酔導入箱の蓋を開けたところです。

速やかに外に出して、維持麻酔に切り替えます。

仰臥姿勢に保ちます。

患部周辺をバリカンで剃毛します。
ミーアキャットの被毛は密で柔らかいため、剃毛が難しいです。
加えて、皮膚が欠損しているため緊張をかけての剃毛が難航しました。


最後にカミソリで剃毛します。

傷口に入り込んだ被毛を洗い流し、患部を清浄化するために何度も生食で洗浄します。


手根関節(手首)の真上から肘方向(近位端)へ広範囲の皮膚欠損です。

捲れあがった皮膚を外科鋏でトリミングします。

5-0ナイロン糸で縫合します。


ミーアキャットの皮膚は犬と猫の中間くらいの弾力性を示しますが、皮膚の薄さはウサギに近い感じです。


皮膚に分布する血管の流れを阻害しない範囲で密に縫合します。

あまり緊張(テンション)を加えて皮膚縫合すると血行障害を来し、皮膚癒合する前に創縁が壊死を起こし縫合は未遂に終わります。

皮膚欠損部の両端は縫合出来ましたが、中央部は皮膚の縫い代が確保できず厳しい状態です。
開創部が皮膚縫合でカバーできない場合、生体は欠損部に肉芽組織を形成して、やがて皮下組織や皮膚に肉芽組織は分化して、回復の経過をたどります。

結局、中央部は開放創のまま(下写真黄色矢印)で肉芽組織を形成させる方針でドレッシング材(創傷被覆材)を使用することにしました。

今回の様に浅い創傷部の場合は、患部を生食で洗浄を繰り返し、創傷内に残った異物・組織片を取り除き(デブリードマン)、そしてドレッシング材で患部を被覆して最終的に肉芽組
織が増殖し、皮膚組織に分化させ治療は終了となります。
ドレッシング材は、ポリウレタンフィルムドレッシング、ハイドロコロイドドレッシング、ハイドロポリマードレッシング、ハイドロジェルドレッシングあるいは食品包装用ラップ
(サランラップ等)など各種あります。
今回はドレッシング材としてメロリン®を使用しました。
メロリン®はコットン・ポリエステル繊維を多孔性ポリエステルフィルムとポリエステル不織布で挟み込んだ3層構造を持つ非固着性吸収性ドレッシング材です。
このように各種ドレッシング材は存在します。
結局のところ、肉芽組織を良好に導入・形成・分化させるための、創面の清潔性・適度な湿潤環境の提供の目的でドレッシング材を使用します。
下写真は開創部にイサロパン®を散布しています。
このイサロパンは損傷皮膚組織の修復作用と分泌物の吸着による患部の乾燥化作用により治癒を促進する外用散剤です。

次いでメロリン®を患部のサイズに合わせてカットします。
患部(開創部)にメロリン®を貼付します。


紙ガーゼと粘着テープでテーピングして終了です。


抗生剤や止血剤を皮下注射します。

イソフルランを切り、酸素を吸入させます。


覚醒したぽぽちゃんです。

ひとまず手術は無事終了しました。
今後の開放創の肉芽形成を継時的に経過観察していきます。
術後1週目のぽぽちゃんです。

患部を生食で洗浄します。

下写真の患部(黄色丸)には開創部にうっすらと肉芽組織が形成されています。

ぽぽちゃんは患部をエリザベスカラーで保護してますが、カラーに馴染んでくると色んな形で患部の干渉をしてくるので注意が必要です。

術後2週のぽぽちゃんです。
下写真の黄色丸が肉芽組織ですが、1週目と比較して良好に欠損部をシートしています。

3週目の患部ですが、ぽぽちゃんは患部を齧って出血をしたそうです。
患部が明らかに腫大してます。
抜糸をしました。

下写真は4週目です。
患部の肉芽組織(黄色矢印)は良好ですが、まだ完全に皮膚に分化してません。

術後5週目です。
この1週間の回復スピードは素晴らしく、皮膚が綺麗に生着出来ています。
患部の周辺も発毛が始まっています。



患部の洗浄をします。

テーピングによる皮膚発赤はありますが、治療は終了です。


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2014年7月26日 土曜日
リスザルのターバンヘッド(骨格壊血症)
こんにちは 院長の伊藤です。
当院は基本的に霊長類の診察は行っていません。
それは、当院がショッピングモール内にありますので、何かの折に病院から逃走してモール内で捕り物沙汰になりますと責任問題となるからです。
それでも、治療が必要で性格がおとなしく、飼主様が確実に保定できる場合に限ってのみ診察します。
そんな霊長類のサルの中でも、新世界サルに分類されるリスザルについてコメントさせて頂きます。
リスザルの福君(3歳、雄)は、頭が大きく変形してきたとのことで来院されました。

頭部を確認しますと皮下に液体が貯留しています。
下写真黄色丸の様に頭が変形しているかのように腫大しています。

側面です。

上から見ると、額から後頭部にかけて腫大しているのがお分かり頂けると思います。

なぜ福君はこのような容貌になってしまったのでしょう。
この症状はリスザルでは比較的遭遇することの多いターバンヘッドと呼ばれる症状です。
サル類は旧世界ザルと新世界ザルに分かれ、リスザルは新世界ザルに属します。
新世界ザルはビタミンとカルシウムの要求量が多く、バランスの悪い食生活を背景にしたビタミン欠乏症は多いです。
犬や猫などは自身でビタミンCを合成する能力があるのですが、モルモットやサル、ヒトは合成できない動物です。
したがって、食餌にビタミンCが必ず入っていなければなりません。
このターバンヘッドはビタミンC欠乏により引き起こされます。
ビタミンCは血管の構造・機能の保持や類骨形成に重要なコラーゲン合成に関与しています。
特にリスザルではビタミンC欠乏で骨膜出血が引き起こされ、血腫が形成されます。
血腫は時として巨大化し、あたかもターバンを頭部に巻きつけたよな外貌(ターバンヘッド)を呈します。

頭部の骨の状態を確認するため、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色矢印は血腫で腫脹した頭部です。

下写真では一部骨膜が破たんして骨新生しています(黄色矢印)。

骨の表面を覆う骨膜は、骨折時に障害を受けてその部位の骨新生を促すといった機能を持ちます。
しかし、ターバンヘッドの場合は骨膜の血管が破たんして出血が起こり、血腫が形成されて、その圧迫で新たにあらぬ方向・部位に骨が形成されてしまいます。
結果として、頭部や顔面が変形していく場合がありますので、状況に応じて過剰に新生した骨組織を削って行ったり、整形処置が必要となるケースもあります。
頭部血腫が福君の場合、進行してましたので血腫対策として皮下から血液を吸引して抜くこととしました。





福君は性格が穏やかで興奮することなく、素直に処置を受け入れてくれました。
頭部血腫の吸引血液は25mlに及びました。
ただ体重が950gという軽量なので、これ以上吸引すると貧血をおこしたり、ショック状態に陥っては大変なので終了と終了としました。
下写真の血液吸引後の福君は、頭部がすっきりしたのがお分かり頂けると思います。
残念ながら、この3日後に頭部の血腫は同じくらいに貯留してしまいました。

治療法としては、アスコルビン酸(25mg/kg/day)を投薬します。
福君の場合、ショップにいる頃からドッグフードに多少の栄養分を添加したフードを与えられていたとのこと。
リスザルの場合は、30~60日間ビタミンC欠乏が続くとターバンヘッドが発症するとされています。
現在、福君はモンキーフードを給餌してもらい栄養学的な問題点は改善されました。
しばらくは、アスコルビン酸の投薬は続きます。
福君、しっかり治していきましょう。
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2012年7月 6日 金曜日
キンカジューの皮膚糸状菌症
今年の3月に院長ブログで キンカジュー現る! とコメントしたキンカジューのリンちゃんが先日、来院されました。
一番最初に来院されたときは、まだ飼主様に慣れていなくて緊張してる感じでしたが、今回はしっかり飼主様に抱っこされて馴染んでいる感じです。


尻尾の背面に円形の脱毛があるとのことです。


細菌感染による膿皮症、アカラス、マラセチアなど原因をさぐりましたが結局、真菌症であることが判明しました。
患部としてはまだ小さくてまだ感染の初期のステージと思われますが、時節柄あっという間に脱毛エリアが拡大されても心配です。
加えて、ヒトにも感染しますのでしっかり治療して頂きたいところです。
以前、 デグーマウスの皮膚糸状菌症 でもこの皮膚糸状菌についてのコメントをしましたが、感染先については本当に節操がないというか、哺乳類にとどまらず、鳥類、爬虫類に至るまで感染してしまうという事実に驚かされます。
特に長雨の続くこの時期は、円形の脱毛が認められたら要注意です。

一番最初に来院されたときは、まだ飼主様に慣れていなくて緊張してる感じでしたが、今回はしっかり飼主様に抱っこされて馴染んでいる感じです。


尻尾の背面に円形の脱毛があるとのことです。


細菌感染による膿皮症、アカラス、マラセチアなど原因をさぐりましたが結局、真菌症であることが判明しました。
患部としてはまだ小さくてまだ感染の初期のステージと思われますが、時節柄あっという間に脱毛エリアが拡大されても心配です。
加えて、ヒトにも感染しますのでしっかり治療して頂きたいところです。
以前、 デグーマウスの皮膚糸状菌症 でもこの皮膚糸状菌についてのコメントをしましたが、感染先については本当に節操がないというか、哺乳類にとどまらず、鳥類、爬虫類に至るまで感染してしまうという事実に驚かされます。
特に長雨の続くこの時期は、円形の脱毛が認められたら要注意です。

キンカジューもカビの感染を受けることを初めて知った方は
こちらをクリック
、宜しくお願い致します。

投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2012年3月10日 土曜日
キンカジュー現る!!
皆さんはキンカジューなる動物をご存知でしょうか?
アライグマ科キンカジュー属の食肉類で、メキシコからブラジルにかけて広く分布しています。
食性は植物が好物で主に果実(アボガド・ガァバ・マンゴー)や蜂蜜、昆虫等です。
20数年前にアライグマも日本で流行って、ペットとして飼われることがありましたが、その気性の荒さから捨てられて日本の生態系を乱したことがありました。
当時、勤務医をしていた私は患者で来院されたアライグマの診察をする機会がありましたが、タヌキ同様攻撃的で保定に苦労した記憶があります。
今回ご紹介するキンカジュー君(1歳半)は健康診断で来院されました。
こころなし緊張して固まっている感じです。


その前日に購入されたとのことで飼い主様もまだ慣れていないようでした。
キンカジューもアライグマ科の動物ですから、慎重に対応します。
下は全身の身体検査から爪切りに移る時の写真です。


咬みつき、暴れ始めました。
尻尾を手のように自在に操り、我々の腕に巻きつけて動きを制御しようとしています。

最初はこちらの出方をみていたようで、ゆるい奴だなと思われたかもしれません。
筋力もあり、こちらが力でねじ伏せるのはかなり厳しい状況です。
結局、洗濯袋に入ってもらい、処置を終えました。


かのパリス・ヒルトン嬢はこのキンカジューをペットとして飼育しており、最近では咬まれて病院で破傷風のワクチンを接種したことで話題になりました。
珍獣と言われても野生動物です。
獣医学的にも基礎データさえない動物ですから、病気になった時には治療は試行錯誤を繰り返すことになるかもしれません。
理想的な飼育環境とバランスのとれた食餌で元気に過ごされることを祈念いたします。
アライグマ科キンカジュー属の食肉類で、メキシコからブラジルにかけて広く分布しています。
食性は植物が好物で主に果実(アボガド・ガァバ・マンゴー)や蜂蜜、昆虫等です。
20数年前にアライグマも日本で流行って、ペットとして飼われることがありましたが、その気性の荒さから捨てられて日本の生態系を乱したことがありました。
当時、勤務医をしていた私は患者で来院されたアライグマの診察をする機会がありましたが、タヌキ同様攻撃的で保定に苦労した記憶があります。
今回ご紹介するキンカジュー君(1歳半)は健康診断で来院されました。
こころなし緊張して固まっている感じです。


その前日に購入されたとのことで飼い主様もまだ慣れていないようでした。
キンカジューもアライグマ科の動物ですから、慎重に対応します。
下は全身の身体検査から爪切りに移る時の写真です。


咬みつき、暴れ始めました。
尻尾を手のように自在に操り、我々の腕に巻きつけて動きを制御しようとしています。

最初はこちらの出方をみていたようで、ゆるい奴だなと思われたかもしれません。
筋力もあり、こちらが力でねじ伏せるのはかなり厳しい状況です。
結局、洗濯袋に入ってもらい、処置を終えました。


かのパリス・ヒルトン嬢はこのキンカジューをペットとして飼育しており、最近では咬まれて病院で破傷風のワクチンを接種したことで話題になりました。
珍獣と言われても野生動物です。
獣医学的にも基礎データさえない動物ですから、病気になった時には治療は試行錯誤を繰り返すことになるかもしれません。
理想的な飼育環境とバランスのとれた食餌で元気に過ごされることを祈念いたします。
投稿者 もねペットクリニック | 記事URL
2011年11月26日 土曜日
リスザルの歯石除去
リスザルは、オマキザル科の中では最小種のペットとしても有名なサルです。
別名"コモンリスザル"とも呼ばれています。
体色は黄色~黄褐色をしており、耳・顔・のど~胸にかけて白く、口のまわりが黒いことが特徴です。
当院では基本的にサルは診察しません。
サルの種類によっては、病院から逃亡した場合、ショッピングモール内に開業しておりますので大変な騒ぎになるのは明らかです。
サルは特に口腔内はいろんなヒトに感染性を持つ怖いウィルス・細菌を持っています。
犬猫の比ではありません。
また犬のようにしつけが出来ている個体は皆無に近く、保定は極めて困難です。
詳しい診察・治療ができない以上、残念ながらサルの診察はお断りしています。
今回、ご紹介するのはそんなサルの中でも比較的おとなしいリスザル君です。
口の中が痛いようで食欲がないとのことで来院されました。

口の中を見てみるとしっかりと歯石がついています!
歯茎も真っ赤にはれて一部は出血が認められました。


しっかりと全身麻酔をして超音波スケーラーで歯石を取ってあげたかったのですが、サル科の全身麻酔は経験がなく、リスザル君の性格も穏やかであったので、マニュアルでスケーラーで歯石を取ることとしました。





犬や猫の歯石予防のためデンタルケアを飼い主様にお伝えする機会は多いのですが、はたしてサルに対してデンタルケアは可能なのか不明です。
しかし、歯の手入れをしなければ残念ながら今回のようにびっしりと鎧のごとく歯に歯石がこびりつく結果となります。
もしこの歯石がついた歯で噛まれたらちょっと怖いですね。
最近、当院では高齢で全身麻酔があぶなくてかけられない犬・猫に歯石除去のためLEBAⅢというスプレー様式の薬をお出しすることが多いです。
口腔内にスプレーするだけで、1~2カ月継続すると歯石に亀裂が生じて歯石が取れてしまうという便利なものです。
サルにもこのスプレーは有用かもしれません。
動物種を問わず、日常的なデンタルケアは忘れずに実施していただきたく思います。
別名"コモンリスザル"とも呼ばれています。
体色は黄色~黄褐色をしており、耳・顔・のど~胸にかけて白く、口のまわりが黒いことが特徴です。
当院では基本的にサルは診察しません。
サルの種類によっては、病院から逃亡した場合、ショッピングモール内に開業しておりますので大変な騒ぎになるのは明らかです。
サルは特に口腔内はいろんなヒトに感染性を持つ怖いウィルス・細菌を持っています。
犬猫の比ではありません。
また犬のようにしつけが出来ている個体は皆無に近く、保定は極めて困難です。
詳しい診察・治療ができない以上、残念ながらサルの診察はお断りしています。
今回、ご紹介するのはそんなサルの中でも比較的おとなしいリスザル君です。
口の中が痛いようで食欲がないとのことで来院されました。

口の中を見てみるとしっかりと歯石がついています!
歯茎も真っ赤にはれて一部は出血が認められました。


しっかりと全身麻酔をして超音波スケーラーで歯石を取ってあげたかったのですが、サル科の全身麻酔は経験がなく、リスザル君の性格も穏やかであったので、マニュアルでスケーラーで歯石を取ることとしました。





犬や猫の歯石予防のためデンタルケアを飼い主様にお伝えする機会は多いのですが、はたしてサルに対してデンタルケアは可能なのか不明です。
しかし、歯の手入れをしなければ残念ながら今回のようにびっしりと鎧のごとく歯に歯石がこびりつく結果となります。
もしこの歯石がついた歯で噛まれたらちょっと怖いですね。
最近、当院では高齢で全身麻酔があぶなくてかけられない犬・猫に歯石除去のためLEBAⅢというスプレー様式の薬をお出しすることが多いです。
口腔内にスプレーするだけで、1~2カ月継続すると歯石に亀裂が生じて歯石が取れてしまうという便利なものです。
サルにもこのスプレーは有用かもしれません。
動物種を問わず、日常的なデンタルケアは忘れずに実施していただきたく思います。
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