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ハリネズミの疾病

2017年4月13日 木曜日

ヨツユビハリネズミの肥満細胞腫

こんにちは 院長の伊藤です。

4月に入り、当院でも春の健康診断や狂犬病ワクチンの予防接種などイベントが重なってます。

ご来院の患者様にあっては長い時間お待ちいただく場合もあり、ご迷惑おかけして申し訳ありません。


さて、本日ご紹介しますのは、ヨツユビハリネズミの腫瘍(肥満細胞腫)です。

ウニ君(2歳2ヶ月、雄)は頭頂部に腫瘤が認められるとのことで来院されました。



針の中で皮膚がどの程度腫れているかを評価するのは、思いのほか難しいです。

下写真の黄色丸の箇所が皮膚にできた腫瘤です。





腫瘍の可能性も踏まえて、細胞診を実施しました。

検査センターからの回答は肥満細胞腫が第一に考えられるとのこと。

悪性の腫瘍であり、付属リンパ節や脾臓を初めとする内臓への波及も考えなくてはなりません。

局所的に独立して発生している肥満細胞腫であれば、外科的な摘出が第一選択となります。

飼い主様の了解のもと、摘出手術を行うこととしました。



麻酔導入箱にウニ君に入ってもらい、イソフルランを流します。



麻酔導入が効いて来たところで、直接口に自作ガスマスクをかけて維持麻酔を行います。



患部を露出するために針を一本づつ、可哀そうですが抜いていきます(黄色丸)。



下写真に現れたのが腫瘍(肥満細胞腫)です。



皮膚腫瘍を摘出する場合はマージンを十分に取る必要があります。

しかしながら、腫瘍が耳根部に接触しており、場所が頭頂部でもあるためマージンが十分に取れません。





患部を消毒します。





出来る限り腫瘍の外周のマージンを取るよう電気メス(モノポーラ)で切開を加えて行きます。



ある程度の切除のアウトラインをイメージして延長線上の針を抜去しましたが、周辺の針は電気メスの運行の障害となります。





腫瘍の表層部を縫合糸で牽引して(下写真黄色矢印)、腫瘍の基底部を電気メス(バイポーラ)でなるべく深くえぐるように切除します。

ハリネズミは頸背部から背部、腰背部にかけて分厚い脂肪層にガードされています。





腫瘍を切除しました。



摘出部の皮下脂肪層をさらにモノポーラで切除します。

前述したように皮下脂肪層が厚いため、どの程度の深さまで切除したら良いか難しい所です。



下写真は摘出跡です。

筋肉層があと少しで届くくらいまでメスを入れました。



最後は皮膚縫合です。

これも針に縫合糸が当たり、気を付けないと縫合糸が切れたりします。







なるべく細かくテンションを掛けながら縫合を終了しました。



皮下に乳酸リンゲルを輸液しています。



麻酔から覚醒したばかりのウニ君です。

手術は無事終了しました。





さて、2週間後のウニ君です。

抜糸のため、来院して頂きました。



縫合部には痂皮(かさぶた)が形成され、縫合糸はその中に埋没しています。



鉗子で痂皮を牽引してみました。



縫合糸ともに痂皮は綺麗に取れ、縫合部の皮膚は癒合完了しています。



ひとまず、肥満細胞腫の摘出は完了です。

ウニ君は今後、肥満細胞腫の再発がないか、経過観察が必要となります。




今回摘出した腫瘍です。

腫瘍の外周には皮下脂肪が巻き付いてます。



この腫瘍の病理組織像です(低倍率)。



さらに高倍率像です。

真皮域にシート状に配列する独立円形細胞の腫瘍性増殖が観察されます。

通常の皮膚に検出される肥満細胞数を超える細胞数が腫瘍内に検出されました。

結果、皮膚肥満細胞腫(中等度分化から低分化型)との診断を病理医から受けました。



ヨツユビハリネズミにおける皮膚肥満細胞腫の報告例は少ないです。

2005年のSeminars in Avian and Exotic pet Medicine誌における

A Review of Neoplasia in the Capture African Hedgehogという題目の論文上では

肥満細胞腫は世界でまだ3例しか報告されていないようです。

ハリネズミの世界では、まだまだ犬猫のように調べられていない疾病は多いのが実情です。



残念ながら、この手術の8か月後に今回の患部とは別の部位に肥満細胞腫が再発しました。

外科的敵手が完全に出来ないならば、化学療法を試すことに飼主様もご了解いただきました。

現在トセラニブという抗ガン剤(分子標的薬)を投薬させて頂いてます。

機会があれば、継続してウニ君の経過報告をさせて頂きます。

ウニ君、頑張ろうね!





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投稿者 院長 | 記事URL

2016年8月30日 火曜日

ハリネズミの子宮内ポリープ

こんにちは 院長の伊藤です。

残暑厳しい中、皆様のペット君達は夏バテしてませんか?

この1か月、私自身は手術に追われてブログの更新もままならなく、読者の皆様にご心配おかけしております。

1年ほど前の手術症例もまだブログにまとめる時間がないままでいます。

それでも、頑張って報告して行きますのでよろしくお願い致します!



本日、ご紹介しますのはハリネズミの子宮内ポリープです。

ヨツユビハリネズミのリッチョちゃん(3歳9か月齢、雌、体重370g)は激しい血尿が出るとのことで来院されました。

リッチョちゃんは、はるばる新幹線で兵庫県から来院されました。



血尿が続く症例では、全身状態が不良なことが多いです。

実際のところ、エコーで腹部,特に子宮を確認したいところなんですが、そのために全身麻酔をかけることは避けることとしました。

代わりにレントゲン撮影を実施しました。

下写真の黄色丸が子宮の部位になりますが、多少の腫大が確認できます。





卵巣・子宮全摘出を前提とした試験的開腹を行うこととしました。

早速、全身麻酔を実施します。

麻酔導入箱にリッチョちゃんを入れてイソフルランを流します。



麻酔導入が効いて来たリッチョちゃんです。



導入箱から出して維持麻酔に変えます。

この時点でリッチョちゃんの陰部から出血(黄色丸)が認められます。



このような出血量が日常的に続くようですと高度の貧血状態に陥ってしまいます。



四肢を固定し、剃毛を施します。



術野を消毒し、手術の準備ができました。







腹部の正中線にメスで切開をします。





切開部の真下には、腫大している子宮が認められます。



丸く巻いている子宮角が白く貧血色を呈しているのがお分かり頂けると思います。

長らくの出血で貧血が進行しているようです。



下写真の向かって右側の子宮角(黄色矢印)が腫大しています。





卵巣動静脈(黄色丸)をバイクランプを用いてシーリングをします。



80℃の高熱で動静脈がシーリングされているのを確認後、メスで離断します。



反対側の卵巣動静脈(下写真黄色丸)をシーリングします。



子宮頚部を縫合糸で結紮したところ、その圧迫で外陰部(下写真黄色丸)からガーゼに出血が認められます。

子宮内にある程度の出血した血液が貯留していると思われます。



子宮頚部をメスで離断します。



離断した子宮頚部(下写真黄色丸)の断面を縫合糸で縫合して行きます。



腹腔内に不正出血や他の病変(腫瘍など)がないか確認します。



特に問題はありませんでしたので、閉腹します。





皮膚を縫合して終了です。



今回は、点滴のための留置針が入れられなかったので皮下にリンゲル液を輸液します。



麻酔覚醒後のリッチョちゃんです。

術後の疼痛で不機嫌な表情です。



術後3時間後のリッチョちゃんです。

麻酔から完全に覚醒してインキュベーター内を徘徊できるようになりました。



手術翌日のリッチョちゃんです。

食欲も出て来ました。



しっかり、ハリネズミフードを食べてます。



下写真は摘出した卵巣・子宮です。



両子宮角を切開したところ、子宮角内膜が肥大膨隆しています(黄色矢印)。



肥大した子宮内膜には血腫(黄色丸)が認められます。



下写真は低倍像の病理所見です。

子宮内膜は子宮腺上皮細胞の増殖があり、子宮内膜過形成となっています。

過形成構造の内部(下写真の空砲内)は液体が貯留しています。

この空砲をポリープと呼び、リッチョちゃんは子宮内膜ポリープ及びびまん性の子宮内膜過形成と病理医から診断されました。



子宮内膜ポリープの拡大像です。



過形成化した子宮内膜の拡大像です。

腫瘍細胞は認められませんでした。



子宮内膜過形成は、過剰な長期にわたるエストロゲンやプロゲステロンによる子宮内膜の刺激が原因で生じるとされます。

そして、子宮内膜ポリープは子宮内膜過形成の延長にあると解釈されます。

いずれにせよ、これらの病変が子宮内の出血を引き起こします。

ハリネズミの場合は、出血量が多いことが特徴です。

出血が、何日も続くようですと手術を受けて頂く時には貧血が酷く、全身麻酔のリスクが高くなります。

ウサギ同様、雌のハリネズミで血尿が認められたら、子宮疾患を疑って早期の受診をお勧めします。


リッチョちゃんは術後の経過は良好で、2週間後には無事抜糸することが出来ました。

リッチョちゃん、お疲れ様でした!





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投稿者 院長 | 記事URL

2016年6月22日 水曜日

ハリネズミの平滑筋肉腫

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ヨツユビハリネズミの平滑筋肉腫です。

ハリネズミは色々な腫瘍に罹患します。

平滑筋は消化器などを構成する筋肉組織ですが、この平滑筋が肉腫という悪性腫瘍になりますと難しいことになります。



ヨツユビハリネズミの芝ちゃん(8か月齢、雌、体重500g)は血尿が頻発するとのことで来院されました。

雌のハリネズミの血尿は以前から子宮疾患を疑うように申しておりましたが、今回は一般的な子宮内膜炎か子宮腺癌あたりではないかと思われました。



触診をしてもなかなか下腹部を触らせてくれませんので、レントゲン撮影を実施しました。





膀胱内の尿石や子宮が特に腫大した所見は見当たりません。

しかしながら、出血量は多くて、このままでは高度の貧血状態に陥る可能性大です。



上写真にあるように排尿時に出血が認められます。

飼い主様の了解を頂き、試験的開腹をさせて頂く事にしました。

いつものごとく、芝ちゃんに麻酔導入箱に入ってもらいます。





少しづつ麻酔が効いてきます。



麻酔導入箱から出て頂き、手製のマスクに顔を入れてイソフルランで維持麻酔を行います。



心電図や血中酸素分圧などをモニタリングするための電極を装着します。





これから下腹部にメスを入れます。



下写真は子宮です。

赤紫のうっ血色を呈している腫瘤(下写真黄色丸)が、ちょうど子宮頚部に認められます。



この赤紫色の部位はおそらく腫瘍と考えられますので、接触による患部出血を回避するために慎重に取り扱います。



次にいつものごとくバイクランプにより、卵巣動静脈をシーリング致します。

犬や猫の卵巣なら鉗子で把持することは容易ですが、ことハリネズミになりますと小さいことと組織脆弱なことで、鉗子を使わず指先で把持しての手術となります。



卵巣動静脈をバイクランプでシーリングします。





度重なる出血から子宮自体は貧血色を呈しています。



子宮頚部の腫瘤(黄色丸)の全容です。



子宮頚部を結紮します。





子宮頚部を離断します。

ハリネズミの子宮頚部は短く、離断する位置はなるべく膀胱に近い遠位に持っていきたいのですが、限界があります。



子宮頚部を離断しました。



卵巣・子宮切除後の腹腔内を確認します。

この時点で、特に腹腔内臓器に腫瘍病巣は見当たりませんでした。



腹壁を縫合します。



皮膚縫合して手術は終了です。



ガス麻酔を切って、芝ちゃんの覚醒を待ちます。



麻酔から覚醒直後の芝ちゃんです。

覚醒時は暴れることが多いですが、それは覚醒が良好な状態であることを示しています。



手術は無事終了です。



術後一時間の芝ちゃんです。

四肢での起立は出来ていますが、筋肉は硬直し疼痛を感じているようです。



翌日の芝ちゃんです。

排尿時の出血はなくなり、排尿(黄色丸)もスムーズに行うことが出来ます。



摘出した子宮(下写真)の腫瘤を細胞診しました。



黄色丸で囲んだ部位は病変部を縦断して切開したものです。



細胞診の顕微鏡像です。





核の異型性を示す紡錘形細胞が多数認められました。

発生部位が子宮頚部筋層であることから、平滑筋肉腫の判定が出ました。



術後2日目に芝ちゃんは元気に退院して頂きました。

しかし、残念ながら術後11日目に急逝されました。

合掌。



子宮腺癌ではなく、平滑筋肉腫ということで、恐らく子宮筋層から発生した腫瘍が子宮の漿膜面(外層)に出て空回腸などの消化器や腹膜などへ転移していたのかもしれません。

小さな動物のため、開腹時に腹腔内をつぶさに確認することが難しく感じます。

過去のハリネズミの子宮疾患は子宮内膜炎が一番多く、術後の経過は良好です。

しかし、今回の様に平滑筋肉腫が絡んだりすると既に他の臓器に転移いてる可能性があります。

諸検査を実施するにしても、すぐに針を立てて丸くなる性格上、鎮静・麻酔が必要になったりします。

なるべくストレスのない検査をしたいのですが、難しいのがハリネズミです。

病巣部の早期発見・早期治療を心がけたいと思います。




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投稿者 院長 | 記事URL

2016年3月24日 木曜日

ハリネズミの直腸脱(後編)

こんにちは 院長の伊藤です。

先回、ハリネズミの直腸脱(前編)を載せました。

直ぐに後編を載せる予定でしたが、日常業務に追われ遅れて申し訳ありませんでした。

前編の詳細についてはこちらをクリックして下さい。


さて、ハリネズミのまりぃちゃん(雌、5歳)は直腸脱を起こして来院されました。

脱出した直腸を整復しましたが、結局再脱出を繰り返して、外科的に脱出した直腸を切断して縫合することになりました。

2度に亘る直腸脱による疼痛でまりぃちゃんは苛立った表情を示しています。





早速、全身麻酔を行い外科手術を実施することとなりました。



全身麻酔が効いてから脱出直腸を洗浄・消毒します。



脱出した直腸(下写真黄色丸)です。



まりぃちゃんの麻酔状態を心電図・酸素分圧などモニタリングしながら全身麻酔を実施しています。





今回の外科的手技は、フェレットの直腸脱(後編 ぺんね君救済計画)を参考にして下さい。



直腸を牽引するために、脱出直腸壁に支持糸を複数個所かけていきます。





脱出した直腸粘膜部は、非常に脆弱な組織で強い力で支持すると簡単に千切れてしまいます。



フェレットの直腸と比較してハリネズミのそれは短く、そのため外部への牽引をしっかりしないと腹腔内へ直腸が引き込まれてしまいます。

のんびり牽引してると直腸壁が支持糸で避けてしまいそうで緊張する場面です。



脱出している直腸粘膜部(丸く腫瘤状になっている部位)をメスで離断します。





脱出直腸の離断面は血行障害もあって浮腫を起こしていました。



幸いに脱出直腸部は壊死を起こしておらず、離断後は出血が認められました。



次に離断した直腸粘膜断面部を円周状に縫合していきます。















離断直腸粘膜を縫合する際に対側部を縫合糸でひっかけないように鉗子を直腸に挿入して保護します。

フェレットの時の様に綿棒では太すぎるため、モスキート鉗子の先端を利用します。



直腸を誤って対側部まで縫合していないのを確認して、直腸壁の支持糸を外します。



縫合した直腸はスムーズに腹腔内に戻っていきます。



イソフルレンの主麻酔を切ったところで、まりぃちゃんは速やかに覚醒しました。



短期間に何度も全身麻酔をかけることは非常に心配でしたが、まりぃちゃんは頑張って耐えてくれました。





手術翌日のまりぃちゃんです。

食欲もありますが、少量の流動食でしばしの間、対応します。



術後に排便もしっかりできています。



縫合部の直腸が癒合するまでの2週間近くは、排便状態を注意して飼主様にお世話して頂きます。

エキゾチックアニマルは比較的長い期間、下痢が続くと腹圧をかける傾向があり、直腸脱を引き起こすことが多いです。

ハリネズミの場合は神経質な傾向もある一方で、瞬発的に怒ったりもしますので、加えて腹圧をかけることが多いです。


少しでも直腸脱の気配が認められたら、至急受診下さい。

直腸脱を起こして短時間であれば、前編のような整復処置で解決できます。

時間がたつにつれ、外科的直腸切除が必要になります。

退院当日のまりぃちゃんです。



まりぃちゃん、お疲れ様でした!




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投稿者 院長 | 記事URL

2016年3月14日 月曜日

ハリネズミの直腸脱(前篇)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ハリネズミの直腸脱です。

エキゾチックアニマルは、鳥類も爬虫類も直腸脱が多いと感じています。

以前、フェレットの直腸脱についてコメントさせて頂きました。

直腸脱がなぜ生じるか、イラストを含めて詳説しておりますのでご興味のある方はこちらをクリックして下さい。




ヨツユビハリネズミのまりぃちゃん(雌、5歳)はお尻から黒いものが出ているとのことで来院されました。

お尻周りの疼痛のためか、不機嫌な表情を示しています。



ハリネズミはすぐに体を丸める傾向があり、今回肛門周囲を確認したかったのですが上手くできません。

焼き魚用の網に乗ってもらい、下から肛門を診てみます。

下写真黄色丸が肛門から突出している直腸です。



既に脱出した直腸は色が暗赤色になり、血行障害を疑います。

場合によっては、直腸が壊死してるケースもあります。

ハリネズミの病変部を確実に視診するためには、全身麻酔を実施しなければならないことが多いです。

まりぃちゃんを全身麻酔することとしました。



麻酔導入箱(上写真)にまりぃちゃんに入ってもらい、導入麻酔としてイソフルランを流し込みます。



段々麻酔が効いてきます。



完全に麻酔が効いて来たところで、麻酔導入箱を出てもらいます。

自作の専用マスクに切り替えて、維持麻酔を実施してます。



この状態で初めて、患部の詳細を診ることが出来ます。

下写真黄色丸が脱出している直腸です。



直腸の傷の有無や血行状態の確認のため、脱出した直腸を洗浄消毒します。





直腸は一時的に血行障害になってますが、整復することで十分回復すると判断して直腸を元に戻すことにしました。

直腸に抗生剤軟膏を塗布し滑りを良くします。





次に注射器の押し子を当てて、ゆっくりと整復して行きます(黄色矢印)。



直腸を傷つけないようにゆっくりと押し戻していきます。





無事、直腸はもとに戻りました。

しかし、このままでは再脱出してしまいますので、肛門の端を縫合して肛門を絞り込むことで脱出を防ぎます。









今回のまりぃちゃんの脱出は厳しい感じでしたので、肛門の両端部を2か所縫合しました。



直ぐに覚醒しました。







あとは、この状態で排便がしっかりできれば大丈夫です。

しかしながら、まりぃちゃんは翌日に直腸が再脱出してしまいました。

患部の写真です。



脱出しやすいということは整復しやすいという事でもあります。

比較的簡単に直腸は整復できました。



直腸が再脱出した時に縫合していた部位は1か所しか残ってませんでした(下写真黄色矢印)。

まりぃちゃんの腹圧に対して肛門の絞り込みが弱かったようです。



再脱出を予防するため、むらなく均等な力で肛門周囲を絞り込める巾着縫合を採用することにしました





肛門の外周に沿って縫合糸を縫い込んでいきます。







縫合糸の締結がきついと排便障害になりますので、綿棒を肛門内に挿入して(下黄色矢印)、締結の調整をします。



縫合糸の締結と同時に綿棒を抜き取ります。



これで直腸脱の整復は完了です。



フェレットの直腸脱をご覧いただいた方はもうお気づきかも知れません。

フェレットのぺんね君のケースと同様、まりぃちゃんも再脱出を繰り返す難治例と言えます。

直腸脱の非観血的に整復が難しい症例(今回のまりぃちゃんもそうです)は、最後は救済的処置として脱出してる直腸を切断して縫合する外科的アプローチが必要となる場合も多いです。



まりぃちゃんはこの巾着縫合の処置後、10日目にして残念ながら再脱出してしまいました(泣)。



次回は、まりぃちゃんの直腸切断手術をご紹介いたします。

乞うご期待下さい。




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投稿者 院長 | 記事URL

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