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産科系・生殖器系の疾患/犬

2021年3月 6日 土曜日

犬の子宮蓄膿症(その4)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介するのは、犬の子宮蓄膿症です。

これまでにも子宮蓄膿症については、記事を載せております。

興味ある方は、こちら(子宮蓄膿症その1) その2 その3 をクリックして下さい。



子宮蓄膿症は、子宮内膜の嚢胞性増殖と細菌感染による子宮内膜炎が起こり、子宮内に膿性液が貯留した疾患と定義されます。

発症の平均年齢は8~10歳齢で、発情出血開始後の1~2か月の黄体退行期に発症することが多いとされます。

子宮口が開口している場合は、子宮内の滲出液が外陰部に漏出します。

しかし、閉口している場合は子宮が滲出液で著しく膨大し、後述する一般的症状から予後不良となる場合があります。

一般的な臨床症状は、多飲・多尿、嘔吐・食欲不振、外陰部からの滲出液、触診時の腹部圧痛などが挙げられます。

注意が必要なのは、子宮内の細菌群が産生する毒素による菌血症や内毒素ショックの症状です。

血液検査で高窒素血症(BUN値の上昇)が認められたら、細菌毒によるエンドトキシン濃度の上昇が疑われます。

細菌毒は血中に放出されると飛んだ先の各臓器に障害を与えます。

状況によっては、播種性血管内凝固(DIC)を引き起こし、多臓器不全となる場合もあります。

子宮蓄膿症は、単なる子宮疾患ではなく、全身性の感染症であると認識して下さい。



ポメラニアンのナナちゃん(13歳9か月齢、雌、体重1.95kg)はお腹が腫れてきて、元気食欲がないとのことで来院されました。

血液検査の結果、白血球数は39,800/μl(正常値は17,000/μlが上限)、炎症性蛋白(CRP)は7.0㎎/dlオーバー(正常値は0.7㎎/dlが上限)、加えてBUNは71.5㎎/dl(正常値は上限が31.0㎎/dl)と高窒素血症を示しています。

加えて、ヘマトクリット値は15.6%と低下しており、貧血が進行しており、輸血が必要な状態です。




レントゲン撮影を実施しました。

腹腔内に大きなマス(腫瘤)が認められます(下写真黄色矢印)。



側臥姿勢の写真で、このマスが胃・肝や腸を脊椎骨側に持ち上げている位、大きいのが分かります。



エコー検査を実施しました。

腫瘤は子宮であり、子宮内には流動性のある液体が貯留しています。



以上の点からナナちゃんは子宮蓄膿症になっていることが明らかです。

多くの症例では、蓄膿を呈している子宮を全摘出することで回復することが多いです。

ナナちゃんは高窒素血症(おそらく菌血症も起こっているでしょう。)、貧血を合併しているので手術も慎重に行う必要があります。

リスクを覚悟での手術となることを飼主様にお伝えして手術することになりました。


全身麻酔下のナナちゃんです。



下写真黄色矢印は子宮が膨満して下腹部が腫れているところを示してます。



外陰部からは、排膿が確認されます(黄色丸)。

ナナちゃんの子宮口は開口しているようです。



開腹を実施します。



腹筋・腹膜を開けたところで、大きく腫大した子宮が見えます。



子宮を破裂させないように外に出します。





左右の子宮角はご覧の通り、最大に膨らんでいます。



卵巣動静脈をバイクランプでシーリングします。



子宮間膜の血管も同じくシーリングします。



卵巣動静脈をシーリングして離断し、卵巣・子宮を子宮頚部を残して体外に出したところです。





子宮頚部を外科鋏で離断します。



摘出は完了しました。



腹筋を縫合します。



最後に皮膚縫合を行います。



ナナちゃんの手術は終了です。



白内障が進行していますので表情が分かりずらいのですが、全身麻酔から覚醒したところです。



貧血が進行していますので、輸血を実施しました。



摘出した卵巣・子宮です。

ナナちゃんの小さな体にこんなに大きな子宮が納まっていました。



手術前は体重が1.95kgありましたが、子宮自体の重さが512gありました。

実際のナナちゃんの体重は1.4kg弱ということになります。

健康な時(2ヶ月前)のナナちゃんの体重が2㎏であったことから、一挙に体重が落ちてしまったようです。



大変な手術を頑張って乗り越えてくれたナナちゃんですが、残念ながら翌日容態が急変し、逝去されました。

子宮蓄膿症の原因となった細菌群の産生するエンドトキシンによるショックです。

子宮蓄膿症の記事を書く時は、いつも結びの言葉として、早期の避妊手術を受けて下さいとお願いしています。

最初の発情を迎える前の避妊手術で乳腺腫瘍や子宮蓄膿症は予防できます。

合掌。






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2018年10月20日 土曜日

犬の子宮水腫

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは犬の子宮水腫です。

犬も10歳を超えるころになりますと避妊していない雌は、産科系疾患が多発します。

今回は、巨大に子宮内に水腫を形成した症例です。


ポメラニアンのサラちゃん(14歳、雌、体重4.25kg)は,お腹が3か月前から張り初めて、だんだん大きくなってきたとのことで来院されました。



触診しますと下腹部が高度に腫脹しています。

おそらく腹水が大量に貯留しているのではないかと思われました。

レントゲン撮影を実施しました。

下写真黄色矢印が腹腔内に水が溜まっていることを表しています。





血液生化学検査では、腎機能・肝肝機能共に問題なく、CRP(炎症性蛋白)は正常、CPK値(筋肉・小腸の疾患を表す)が若干上昇している位でした。

加えて完全血球計算では赤血球数も白血球数も正常で貧血、感染症も認められません。


念のため、エコー検査を実施しました。

下写真の黄色矢印は子宮内に貯留している液体を示します。

赤矢印は腫大した子宮に圧迫された小腸を表します。



サラちゃんの年齢からすると子宮蓄膿症の可能性は十分考えられると思いますが、CRP値とWBC値(白血球数)は正常であることから子宮内容物が膿の可能性は少ないと思われました。

サラちゃんの腹腔のスペースの限界まで、子宮が腫脹してる一方で、本人の全身状態は良好です。

大至急開腹して卵巣・子宮全摘出手術をすることとなりました。

全身麻酔下で仰向けになったサラちゃんですが、お腹がかなり張っているのがお分かり頂けると思います。



側面から見た下腹部です。



腫大した子宮が横隔膜を介して心臓を圧迫しますので、手術台を斜めに傾斜させます。



下腹部にメスを入れたところ、飛び出す勢いの腫れた子宮が認められます。



子宮が頭を出してきました。

この時点で子宮水腫であることが判明しました。



子宮を全部体外に出せるか否かを検討します。



予想以上に子宮が大きく腫大してますので、下腹部の切開ラインを頭側部に向けて広げます。



子宮の自重が重いため、無理に牽引すると卵巣動脈や子宮間膜の血管を千切ってしまう恐れがあるため、慎重に対応します。




右子宮角の腫大が著しいです。



右子宮角は左子宮角の4倍は腫れています。

サラちゃんの頭部と比較すると子宮の大きさがお分かり頂けると思います。





卵巣動静脈をバイクランプでシーリングしています。



子宮頸管に走行している子宮動静脈をシーリングします。



全摘出した卵巣・子宮です。

かなりのボリュームがあります。



腹腔内から子宮を摘出した後は、大きな空きのスペースが認められます。



手術が完了しました。

サラちゃんのウェストラインが認められます。



まだ半覚醒状態のサラちゃんです。



さて、摘出した子宮です。



鉗子で止めてるのが、子宮頸管です。

右と左の子宮角の大きさの違いが分かります。



子宮内の内容物を取り出しました。

混濁した粘性の無い貯留液です。



子宮摘出後のサラちゃんの回復は目覚ましく、翌日から活動性が認められました。

手術前のサラちゃんの体重は4.25kgでしたが、術後は2.45kgでした。

摘出子宮の重さはなんと全体で1.8kgでした。

子宮内の液体だけでも1.5L位はありました。


今回の子宮水腫ですが、子宮蓄膿症の様に細菌が子宮内に感染しておこるのではなく、発情ホルモンの異常により子宮内に分泌される分泌液が過剰に貯留して発症します。

なぜ子宮水腫の発生するのかは、まだ不明な点が多いようです。

ただ子宮蓄膿症の様に全身の細菌感染症ではなく、全身状態は良好なことが多いです。

本人も自覚症状がなく、飼主様はお腹が腫れてるのに気付いて来院されるケースが殆どです。

いづれにせよ、早期の避妊手術を受けることでこれらの疾病は回避できます。

サラちゃんのように高齢になってからの手術は非常にリスクが高いのでご注意頂きたく思います。




側面からのサラちゃんですが、かなり痩せているのが分かります。



術後2週間目で抜糸しました。

子宮でお腹が張っていた分、摘出後皮膚は随分たるんでいます。



大変な手術でしたが、元気になって良かったです。

これから少しづつ体重を増やして行きましょう。

サラちゃん、お疲れ様でした!





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2018年9月20日 木曜日

犬の子宮蓄膿症(その3)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、犬の子宮蓄膿症です。

避妊手術していない高齢犬では、この子宮蓄膿症の罹患率は高いです。

子宮内に膿が貯留することで、細菌の産生する毒素が血流を介して全身に回り、最悪死亡する場合もある怖い産科系疾患の一つです。

過去の症例報告で犬の子宮蓄膿症犬の子宮蓄膿症(その2)を興味のある方はクリックしてご覧ください。

子宮蓄膿症もいろんな症例(臨床所見、開腹時の子宮の状態、術後の経過など)がありますので、機会を見て順次報告する予定です。


雑種犬のまなちゃん(7歳3か月齢、雌、体重8.4kg)は、食欲不振で来院されました。



この時点では、子宮蓄膿症に特有の多飲多尿や嘔吐などの症状は認められませんでした。

しかし、血液検査では白血球数が28,000/μl(正常値の上限は17,000)、CRP(炎症性蛋白)が7.0㎎/dlオーバー(測定不能な高値)と明らかに体内で大きな炎症が起こっていることが判明しました。

レントゲン撮影を実施しました。

下写真の黄色丸は子宮が大きく腫大している部位を表します。





次いでエコー検査を行いました。

下写真の黄色矢印は、子宮が液体状のものを内腔に貯留して腫大していることを表しています。



以上の検査結果から、まなちゃんは子宮蓄膿症を発症してることが判明しました。

子宮蓄膿症は緊急疾患の一つです。

全身状態がまだ良好なので、薬(ホルモン製剤や抗生剤)で散らすのではなく外科手術を優先して行います。

速やかに卵巣・子宮の全摘出手術を行うこととなりました。



全身麻酔を施されたまなちゃんです。



導入及び維持麻酔も順調に施されています。



皮膚及び腹筋を正中切開します。



腹筋を開腹したところ、腹腔内から子宮が飛び出してきました。



注意深く子宮を少しづつ、体外に引き出していきます。



左右の子宮角を体外に出したところ、思いのほか子宮が腫大していました。





左卵巣動静脈をバイクランプでシーリングします。



子宮間膜の血管も怒張しています。



卵巣動静脈や子宮間膜の血管をメスで離断します。



右卵巣動静脈を同じくシーリングしてます。



子宮頚部を残して体外に子宮を出したところです。



子宮の中は膿が貯留しているはずです。

子宮角の太さ・長さは健常時のおそらく3~4倍に腫大していると思われます。

かなり子宮は腫れており、早めに手術を実施出来て良かったと思いました。





子宮頚部を縫合糸で結紮して離断します。



離断した子宮頚部断端を縫合します。

これで卵巣子宮全摘出は終了です。



腹筋を縫合します。



皮膚を縫合して手術は終了しました。



全身麻酔覚醒直後のまなちゃんです。

無事、手術は終了しました。





摘出した子宮の全容です。

すでに、子宮内の細菌はまなちゃんの全身にも飛んでいますので、暫く入院して抗生剤の投与が必要です。



手術後4日目でまなちゃんは退院して頂きました。

経過は良好です。



まなちゃんの場合は、8歳を前にしての子宮蓄膿症の発症でした。

避妊していない雌の場合は、シニア世代と言われる7歳以降になると子宮蓄膿症の罹患率は一挙に上昇します。

毎回、申しあげていますがこの子宮蓄膿症や乳腺腫瘍を回避するためには、初回の発情前に避妊手術を受けて頂くのが最善です。

まなちゃん、お疲れ様でした!





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2018年4月26日 木曜日

犬のライディッヒ細胞腫

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介するのは犬の精巣腫瘍です。

精巣腫瘍については以前、犬のセルトリ細胞腫ウサギのライディッヒ細胞腫

についてコメントさせて頂きました。

その詳細について、興味のある方は上記下線をクリックして下さい。


ボストンテリアのモモタロウ君(雄 13歳4か月齢)は睾丸が腫れてきたとのことで来院されました。



モモタロウ君は高齢犬でもあり、未去勢でこれまでいたため精巣が腫瘍化したことは明らかです。

精巣腫瘍についても良性のものもあれば悪性腫瘍もあります。

まずは精巣腫瘍を摘出し、病理検査に出すことにしました。

モモタロウ君に全身麻酔をかけます。



仰向けの姿勢で手術台に保定します。



左側の精巣が腫大しています。



下写真の黄色丸が腫大してる精巣を示してます。

左下方に腫瘍精巣に圧迫された右精巣(正常)が認められます。



腫大してる左精巣をまず摘出します。

陰嚢の付根近くをメスで切開します。




左精巣を包む白色を呈する総鞘膜が現れます。



この総鞘膜と精巣が癒着している場合は必ず総鞘膜を含めて精巣ごと閉鎖式で摘出します。

今回は癒着は全くなく、総鞘膜を切開して行う開放式で去勢を実施しました。



精巣を牽引して蔓状静脈叢、精管・精管動静脈を結紮し、メスで離断します。





下写真は健常な精巣です。



一般の去勢術よりも皮膚の切開部位は大きめに取らざる得ませんでしたが、無事手術は終了しました。





麻酔から覚め始めたモモタロウ君です。



術後の患部からの出血は認められません。



下写真は摘出した精巣です。

左側が正常な精巣で、右側が腫瘍化して腫大した精巣です。



腫瘍化した精巣のに割を入れてみました。

精巣実質には空砲が形成され、液体の貯留が認められました。




今回摘出した左精巣を病理検査に出しました。


結果はライディッヒ細胞腫(精巣間細胞腫)であることが判明しました。

精巣腫瘍は高齢犬で発生率が高く、特に腹腔内に停留する潜在精巣では陰嚢内精巣の10倍以上の腫瘍発生率が高いとされています。

精巣腫瘍は大きく3つに分類されます。

セルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、ライディッヒ細胞腫の3つです。

セルトリ細胞腫と精上皮腫は精巣全体が顕著に腫大・硬結し、特にセルトリ細胞腫ではいびつな形状をすることが多いとされます。

加えて、この2つの精巣腫瘍はリンパ節や主要臓器に転移病変を作る場合もあり、注意が必要です。

一方、ライディッヒ細胞は腫瘍自体は実質内部に球状に存在することが多く、精巣全体が腫瘍化することがないため精巣全体が腫大化することはないとされます。

また、ライディッヒ細胞は大多数が良性腫瘍であり、去勢手術により治癒します。



下写真は今回のモモタロウ君の病理写真(低倍率)です。



下は中倍率の写真です。

ライディッヒ腫瘍細胞は多角形を呈して細胞質内に空胞を含み、間質で増殖して肝細胞の様に索状に配列する特徴があります。



いづれの精巣腫瘍であれ、若齢で去勢手術を受けることで精巣の腫瘍化は未然に防ぐことが可能です。

特にセルトリ細胞腫になった場合は、高濃度のエストロジェンにより骨髄の造血機能が顕著に抑制され、重度の再生不良性貧血を起こし死亡する場合もありますので要注意です。




モモタロウ君、お疲れ様でした!



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2018年2月23日 金曜日

犬の卵巣嚢腫

こんにちは 院長の伊藤です。

卵巣に関わる疾病には各種あります。

今回は、その卵巣疾患の中で卵巣嚢腫について述べたいと思います。


卵巣嚢腫とは卵巣に液体成分が貯留して腫れている状態のことを指します。

ホルモン分泌の影響で卵巣に液体が溜まる非腫瘍性病変も、あるいは卵巣の外壁を構成する細胞が腫瘍化して分泌する液体が貯留することによる腫瘍性病変も一緒に合わせて、現在では卵巣嚢腫と呼ぶようです。


一般に卵巣嚢腫は初期の臨床症状は無症状です。

その後、脱毛や不規則な性周期、持続性の発情や無発情などの異常が認められる場合があります。



柴犬のクメちゃん(雌、年齢不明)は乳腺に腫瘍が出来たとのことで来院されました。



クメちゃんは保護犬で年齢は良く分かっていません。

拝見すると右第5乳房が乳腺腫瘍です(下写真)。

乳腺腫瘍が発生するくらいですから、おそらく7~8歳以上にはなっているでしょう。



飼い主様の意向もあり、避妊手術も合わせて実施することになりました。

全身麻酔を施します。



本編の主旨と異なりますが、乳腺を切除する場面も載せておきます。

下写真の黄色丸が乳腺腫瘍です。











今回は乳腺の部分切除に留めさせていただき、メスの切開ラインはこの乳腺切除部位から頭側に向けて切る予定で行いました。

つまり、避妊と乳腺腫瘍切除に切開ラインを一直線に仕上げることとしました。



下写真は、臍の下を切開したところ、いきなり腫大した卵巣が飛び出してきたところです。



卵巣内に液体が貯留しているのがお分かり頂けると思います。



卵巣に過剰な力を加えて破裂させないよう、慎重に卵巣を牽引します。



卵巣動静脈をバイクランプでシーリングしているところです。





両側の卵巣動静脈をシーリングして離断し、体外に出したところです。

卵巣嚢腫が確認できます。



以下、拡大写真です。







続いて、子宮頚部を離断して皮膚を縫合したところです。

乳腺腫瘍を摘出した部位と避妊手術切開部位を連結して縫合しました。



麻酔から覚醒し始めたクメちゃんです。





摘出した卵巣と子宮です。

卵巣自体の腫瘍と言うよりは、卵巣内に液体が多量に貯留したように感じます。

これだけ大きな嚢腫ですが、クメちゃんは無症状で、飼主様もまさか卵巣がこのような状態とは思いもよらなかったようです。











下写真は手術後、病理検査に出した組織標本です。

病理所見として、左右の卵巣は異型性のない単層扁平上皮によって内張りされた複数の嚢胞が形成されています(下写真)。

異型性のないとは腫瘍性ではないということです。

クメちゃんは卵巣腫瘍ではなかったです。



次に下写真2枚は、子宮内膜の病理像です。

子宮腺上皮細胞の過形成で子宮内膜が肥厚しています。



過剰あるいは長期にわたるエストロジェンおよびプロゲステロンによる子宮内膜の刺激が原因で子宮内膜過形成が起こります。

その結果、子宮腺や子宮内腔に漿液が貯留して、子宮内膜炎や子宮蓄膿症・腺筋症になったりします。



いづれにせよ、今回のクメちゃんの卵巣・子宮共に腫瘍は絡んでいなかったのは幸いです。

また、タイミング的にも卵巣・子宮全摘出ですべての問題はクリアされて良かったです。




クメちゃん、お疲れ様でした!



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