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その他の疾患/犬

2023年7月14日 金曜日

熱中症に備えましょう。

こんにちは 院長の伊藤です。

蒸し暑い日が続きますが、皆様のペット達は夏バテされていませんか?

先回と続けて熱中症関連の記事を載せます。



犬猫やウサギはヒトに比べ平均体温が2度ほど高い動物(犬の平均体温は37.5~39.5℃)です。

加えて肉球(ウサギにはありませんが)にしか、汗腺がありません。

したがって、気温の上昇に伴って汗をかいて、ヒトのように効率的に体温を下げることはできません。

そうなると彼らは、開口呼吸(口を開けてハアハア呼吸をします)をして換気による放熱効果で体温を下げようとします。

そんな彼らの努力でも、体温を下げられなければ最終的に 熱中症 に至ります。


熱中症になりますと以下の症状を示します。

1:41度以上の熱発

2:過呼吸(浅く、早い呼吸)

3:多量のよだれをたらし、ぐったりする。 状況によって起立不能となる。

4:ひきつけ、てんかん様の症状

他にも失禁、嘔吐などが認められる場合もあります。



熱中症は短時間内で起こります。

極度の脱水、体温上昇で適切な処置を施さないと命にかかわります。

大切なペットが熱中症になったら、緊急処置として頚や脇、鼠蹊部に水で濡らしたタオルなり保冷剤を当てていただき、体温を下げるようにして下さい。

落ち着いてきたら、水をゆっくり飲まして下さい。

緊急処置の詳細は 暑い日が続きます。 をご参照ください。


下写真は、先日健診で来院されたフレンチブルドッグの福助君です。



黄色矢印で示したのは、中に保冷剤を入れて頸に装着するタイプのネック・カラー(ネック・クーラー)です。






特に短頭種は換気不全に陥りやすいため、外出する時などはこのようなグッズを利用されると良いと思います。

今年の夏は、当院でも熱中症で犬2件、ウサギ2件治療にあたりました。

残念ながら、ウサギは2件とも亡くなられました。

犬と比較してもウサギは肺活量も少なく、換気による放熱効果は期待できませんので、すぐに熱中症になってしまいます。

まずは飼育環境の温度調整をしっかり行うようにお願い致します。

エアコンの温度設定は25度位に多少低く設定して下さい。

お散歩も早朝か夜に限定されてもよいと思います。

日中のアスファルトの温度は時間帯によっては50~60度に近いそうです。

我々が海岸の砂浜を炎天下で素足で歩くようなものですね。

くれぐれも熱中症にはご用心ください。


 
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2017年7月20日 木曜日

犬の帝王切開(その3)

こんにちは 院長の伊藤です。

連日猛暑の日が続きますが、皆様のペット達の体調は如何ですか?

熱中症が起こりやすい時期でもありますのでご注意ください。

さて、本日ご紹介しますのは犬の帝王切開です。

これまでにも帝王切開についてコメントした記事がありますのでご興味のある方はこちらこちらをクリックしてご覧ください。


雑種犬のミルクちゃん(雌、1歳5か月齢)は当院で既に妊娠しているのを確認しており、およその出産予定日も分かっていました。



下写真は1週間前のミルクちゃんのレントゲン撮影像です。

胎児は何匹いるかお分かりになりますか?



5匹確認できます。



ミルクちゃんは予定通り、出産予定日の午前5時に陣痛が起こり出産が始まりました。

2匹目を出産後、陣痛は治まり5時間経過しても、3匹目は出てくる気配がありません。

時間的にこのまま、自然分娩に任せるのは危険な状態です。

レントゲンを撮りました。



2匹は間違いなく出産してるのですが、3匹はそのままです。

3匹ともに正常位で逆子ではありません。

頭囲も十分骨盤を通れるサイズで、いわゆる過大児というわけではありません。

陣痛さえ起これば無事出産できるんですが5時間も経過しています。



早速、帝王切開となりました。



胎児に極力麻酔が深くかからないよう注意して全身麻酔をかけます。





乳腺は十分に張っていますので、メスで傷つけないように皮膚切開をします。



下写真は胎児の入っている子宮です。



血管を避けて子宮にメスを入れます。



白い体色の胎児が出て来ました。



胎膜を切開します。



胎児はまだ自発呼吸はしてません。



へその緒を切り、自発呼吸できるようにスタッフに胎児を預けて、背中をこすり刺激を与えて、反応を見て行きます。



ついで体色が黒と白の胎児です。



先ほどと同じ手技で胎児を取り出します。





上記の流れで3匹を無事取出し胎児数の分、胎盤を間違いなく回収します。



3匹分の胎盤を確認しました。



子宮を縫合します。



帝王切開は短時間で済ませなくてはなりません。

母体に深く全身麻酔をかけると覚醒に時間がかかり、胎児にも麻酔が深く回ると命にも関わります。

ミルクちゃんには覚醒後、すぐに胎児に授乳をさせなくてはならないため大変です。



帝王切開を約40分で済ませ、覚醒直後のミルクちゃんです。





ミルクちゃんはまだ麻酔の影響もあり、赤ちゃんには興味を示しません。



3匹の赤ちゃんは自発呼吸も出来ており順調です。



赤ちゃん達は、直ぐにミルクちゃんの乳首を探して、授乳を始めます。



これでミルクちゃんの帝王切開は終了です。

無事手術は終わりました。





下写真は5日後の赤ちゃん達です。

まだ眼ははっきり開けることは出来ませんが、授乳はしっかり出来ているようです。

ミルクちゃんはしっかり、お母さんしているようです。











下写真は18日齢の赤ちゃん達です。

犬らしい風貌になりました。







下写真は46日齢の赤ちゃん達です。

見違えるほど立派になりましたね。






その後も赤ちゃん達は元気に育っています。

ミルクちゃん、お疲れ様でした!



当院では、最近はめっきり少なくなった帝王切開ですが、飼主様と密接に連絡を取りながら出産については対応させて頂いてます。

出産とは、命を紡ぐという作業ですから真摯に取り組みたいです。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年12月 4日 水曜日

今でもマダニは狙っている!?



マダニの予防は、飼い主様の多くが、日常的に予防薬を投薬して実施されています。

基本は周年予防をお願いしていますが、それでも冬場のマダニ感染は必要ないとお考えの飼主様も少なからずみえます。

本日、ご紹介しますのはマダニ感染を受けたトイプードルのテスちゃん(2歳、雌)です。



山の中を散歩して自宅に帰ってきたら、ダニがたくさん付着しているとのこと。

ちなみにテスちゃんは定期的なマダニ予防はしてません。

マダニは基本的に毛があまり生えていない部位を狙ってきます。

テスちゃんの眼の周辺、鼻の上部、耳介内側面に良く見るとマダニが喰いついているのがお分かりでしょうか?

まず右上瞼ですがマダニが5匹ほどいます(黄色丸)。



次に左瞼(下黄色丸)です。

4匹ほどいます。



次に耳介内側面です。



鼻部上部です。




マダニはノミの様にジャンプして犬に寄生することはできません。

丈のある草に登って行き、前脚(ハラ―氏器官)を触角のごとく広げて近くを通る動物を感知して寄生します。

マダニは寄生すると吸血しやすい場所(皮膚の薄い所)に移動していきます。

吸血する際には、くちばしを差し込んで、さらに唾液中のセメント状物質を出して、自分の体を固定します。

これは、吸血中に簡単に体が離れないようにするためです。

マダニは、吸血と同時に唾液を犬の体内に吐き出します。

この唾液によって、疾病が媒介されていきます。


マダニ感染症で有名なのは、犬バベシア症です。

バベシアは犬の赤血球に寄生する原虫で、赤血球を破壊することで極度の貧血を引き起こします。

重症例では3~4週間で死亡することもある疾病です。



下写真は、テスちゃんの体から取れたマダニ(フタトゲチマダニ)です。






今年はこのマダニ媒介性の新興感染症で重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が話題となりました。

日本では今年だけでこのSFTSウィルスによって、9名の死亡者が出ています。

このSFTSは中国での感染例では致命率が6~30%とされているそうです。

唯一のSFTS対策はマダニに咬まれないことと言われています。

犬に寄生しているマダニにヒトが咬まれれば、SFTS感染の危険はあります。

犬のマダニ対策は各社から予防薬が出ていますから、定期的に投薬していけば愛犬のマダニ感染症は恐れることはありません。

ヒト用のマダニ予防薬はありませんから、アウトドア志向の方は自己防衛しなければなりません。



マダニ予防薬のフロントラインをスポットオンして、帰宅して頂いたテスちゃんです。

冬とはいえ、マダニは活動をしている品種もいますからご注意ください!!




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2013年8月18日 日曜日

しおんちゃんとマイクロチップ


マイクロチップについては、世間的にも知られていると思いますが、ペットの身分証明ですね。

マイクロチップは直径が2mm、長さが12㎜前後の電子標識器具です。

その内部はIC,電極コイル、コンデンサから構成されています。

外部は生体適合ガラスで作られています。

このマイクロチップを専用の注射器(インジェクター)で、皮下に埋め込みます。

下写真がマイクロチップ内蔵のインジェクター(データ―マース社、アイディール)です。




東北大震災後に、このマイクロチップを入れてほしいという飼主様からの問い合わせが何件もありました。

迷子や盗難、事故などによって飼主様とペットが離れ離れになっても、マイクロチップのデータ―を専用リーダーで読み取って、データ―ベースに登録された情報と照合して、ペットが保護先から戻ってくることが出来ます。



本日ご紹介しますのは、ウェルッシュコーギーのしおんちゃん(7か月令、雌)です。

マイクロチップを避妊手術の次いでに入れてほしいとのご要望がありました。

これから避妊手術を実施するところです。

しおんちゃんは、手術前ということもあって緊張しています。




さて手術も無事終了して、これからマイクロチップを皮下に打ち込みます。



下写真の様に針が、思いのほか太いことに驚かれるかもしれません。

それでも、一瞬で注入できますので過度の苦痛を与えることはありません。



マイクロチップが皮下にしっかり挿入されたのを確認して終了です。

数秒でこの処置は完了します。



マイクロチップ内にはバッテリーは入っておらず、読み取り専用リーダーから発信される電波が、電磁誘導によってマイクロチップ内のコイルに電力を発生させ、これによってICチップが起動して15桁の№データ―を発信する仕組みになっています。

そのため、マイクロチップは半永久的に使用することが可能となります。

下写真がそのリーダーです。



黄色矢印の小窓にマイクロチップのデータ―が表示されます。

このデータ―は15桁で表示され、世界でその動物に唯一のデータ―となります。

リーダーは全国の動物病院、保健所、動物愛護センターに配備されています。

犬は生後2週齢、猫は4週齢からマイクロチップの埋め込みが可能です。

現在は、生体販売時にすでにマイクロチップの埋め込みを完了しているペットショップも多いです。



マイクロチップの番号、飼主様の名前・住所などを動物ID普及推進会議(AIPO)に飼主様自ら登録していただきます。

その登録費用は1,000円です。

マイクロチップの皮下埋め込み費用は、各病院で異なりますが数千円からとなります。


マイクロチップを装着することで動物たちが受ける恩恵は大きいと思います。

ヨーロッパやオーストラリアでは、動物愛護団体が普及活動を実施しています。

その一方で、日本国内では行政、獣医師会とも足並みがそろわず、動物保護団体が個々で自助努力している状況です。

マイクロチップの普及活動が効率的に行えるよう、ささやかながら協力して行きたいと考えております。




しおんちゃんもマイクロチップを装着しましたから、迷い犬になっても飼主様のもとに帰ることが可能です。





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2012年11月24日 土曜日

犬の帝王切開(その2)

以前犬の帝王切開で帝王切開の概要を述べさせていただきました。


今回ご紹介しますのは、2度目の帝王切開をしなくてはならなくなったポメラニアンのクルミちゃんです。

クルミちゃんは3年前に初産を経験しました。

その当時、陣痛が始まり第一子が死産となり、その後3時間近く経過しても分娩が始まらなくて、帝王切開の運びとなりました。

結果、3匹を無事取り上げることが出来ました。


今回は、飼主様も自然分娩で行きたい思いが強かったのですが。。。

下の写真はクルミちゃんが、今回の帝王切開を受ける8日前のものです。





お腹がずいぶん大きくなっており、撮ったレントゲン写真が下のものです。





何匹の胎児がお腹にいるかお分かりでしょうか?

よりわかりやすくするためにレントゲンを拡大します。

黄色矢印で胎児の頭蓋骨を示します。





4kgたらずの小さな体に5匹の胎児が認められました。

内訳は5匹のうち、逆子が3匹、正常位が2匹です。

産道にいちばん近い位置にある胎児が正常位なので、今回はこの胎児が活路を開いてくれるのではという期待があります。

ところが出産予定日になって、最初の陣痛が起こってから4時間が経過しても分娩が始まりません。

そして既に2時間前に破水も起こっています。

飼い主様とも話し合って、帝王切開を実施することとなりました。



麻酔薬が胎児に回って、スリーピングベビーにならないよう麻酔を軽くかけます。













帝王切開は時間との戦いです。

迅速、正確に胎児を取出し、後産も子宮内に残さないように心がけます。

5匹の胎児を20分で取り上げ、胎児が産声を上げるようスタッフに任せます。



無事、5匹の新生児達は産声も上げ動き回り始めました。



最後に新生児達をクルミちゃんに会わせます。



クルミちゃん自身は、今しがた麻酔から覚めたところなので、状況がつかめません。

この5匹のベビーが、自分の赤ちゃんなんだと気づくにはまだ時間が必要でしょう。

浅い麻酔をかけられ、覚醒すれば痛い腹はそのままに、わが子達に初乳を与えなければならない状況がクルミちゃんに課せられます。

帝王切開当日は赤ちゃん達と共にクルミちゃんは帰宅してもらいました。

術後2日目に来院されたクルミちゃんと赤ちゃんです。



既に母親の貫禄が出てきて、赤ちゃんを触ろうとすると威嚇するほどのクルミちゃんです。



クルミちゃんの母乳も出ているようで、赤ちゃん達の体重も順調に増えています。



これから育児に大変だと思いますが、クルミちゃん、そして飼主様頑張ってください!

スタッフ共々、応援しています。



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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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