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産科系・生殖器系の疾患/猫

2014年2月28日 金曜日

猫の子宮蓄膿症(その2)


本日、猫の子宮蓄膿症の第2弾をご紹介させて頂きます。

犬の子宮蓄膿症と比較して、猫の子宮蓄膿症はそれほど多くは遭遇しないと思います。

猫の飼主様からすれば、子宮蓄膿症になるとどんな症状が現れるのか関心をお持ちと思いますので再度コメントします。



猫のミナちゃん(7歳9か月、雌)は陰部から血の混ざったおりものがたくさん出てくるとのことで来院されました。



陰部を見ますと血液の混ざった膿が出ています。



早速、レントゲン撮影を実施しました。



下写真・黄色丸で異常な患部を示します。

太くしたソーセージのようなものが黄色丸内にあふれているのがお分かりいただけると思います。

このソーセージにあたるものが子宮です。







結果、子宮蓄膿症と診断しました。

血液検査の結果、脱水症状と白血球数が23,000/μlと少し高いくらいで麻酔にも十分対応できると判断しました。

子宮蓄膿症は全身感染症とみるべきで早急に対処しないと命の関わります。

早速、子宮摘出手術を実施することとなりました。

全身麻酔をします。



全身麻酔下のミナちゃんの下腹部ですが、少し膨隆しているのが分かると思います。



開腹直後、膿で膨満した子宮が飛び出してきました。

メスのサイズと比較しても子宮が大きく腫れています。



バイクランプで卵巣動静脈を速攻でシーリングして子宮を摘出します。



避妊手術と異なり、膿を腹腔内に漏らさないように確実に子宮を摘出しなければなりません。

麻酔覚醒直後のミナちゃんです。



摘出した子宮です。



しばらく入院して頂いて、ミナちゃんは無事退院されました。



一般に避妊手術をしていない犬も猫も、シニア世代と言われる7歳以降になると子宮蓄膿症を発症するケースが当院では多いようです。

陰部から血様おりものが出てくる、水をたくさん飲むようになった、嘔吐をする、下腹部が腫れているなどの症状が出て来ましたら、子宮蓄膿症の可能性があります。

0歳児のうちに避妊手術を出来る限る受けて、子宮蓄膿症を未然に防いで頂きたく思います。

手術は無事成功しても、術後に子宮内にいた細菌が全身に回って敗血症に至るケースも経験しておりますので要注意ですね!





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年5月12日 日曜日

猫の低形成卵巣・子宮角について

しばらくぶりのブログです。

ゴールデンウィーク中は緊急の手術が続いて、体力的にも限界に来ていました。

何とか体調も戻り、ブログの記事も更新頑張っていきたいと思います。


さて、本日ご紹介しますのは猫の左側卵巣と子宮角が未成熟(低形成)の症例です。

スコテッシュ・フォールドのエルちゃんは当院で避妊手術を受けることとなりました。




早速、開腹して左の卵巣と子宮角を確認したところ、非常に細い子宮角だなと感じました。

次に右の卵巣と子宮角を探したところ、見つかりません。

慎重に見ていきますと、左よりもさらに細く、脆弱な子宮角と痕跡程度の卵巣が見つかりました。

下写真の黄色矢印が左子宮角(まだ太い)、白矢印が卵巣と子宮角(最初は血管と見間違えました)です。







白丸は右卵巣、黄色丸は左卵巣、白矢印は右子宮角、黄色矢印は左子宮角です。



子宮の先天性異常は、性染色体の数の異常が関係します。

性染色体数以上がそれ以降の性腺や発現系の発達に影響を与えます。

XXY(クラインフェルター症候群)やXO(ターナー症候群)等は様々なレベルで性腺・生殖器に不明瞭さを発現するそうです。

今回のエルちゃんも性染色体数の問題があるかもしれません。

いずれにせよ、エルちゃんのこの子宮では妊娠することはできないでしょう。

これまで多くの猫たちの避妊手術を実施して参りましたが、今回のエルちゃんのようなケースは初めてです。

以前、犬の真性半陰陽の症例を載せたことがありますが、今回のケースとは異なります。







いろいろな体の難しいシステムの中で繁殖という点は不完全であっても、避妊していまえば特にその後の問題はありません。

エルちゃん、猫としての命を全うして下さいね!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年11月 3日 土曜日

猫の子宮蓄膿症

犬の子宮蓄膿症については、以前にコメントさせて頂きました。

その一方で、猫の子宮蓄膿症については比較的遭遇するケースは少なく思います。

今回ご紹介しますのは、この猫の子宮蓄膿症です。

7歳になる猫のひめちゃんは、陰部から膿が持続的に出てくるとのことで来院されました。

過去に一度、帝王切開を他院にて受けたとのことです。

早速、レントゲン撮影を実施しました。





ウグイス色の矢印は膀胱を表します。

黄色丸は膀胱の上に乗りかかるような感じで膀胱よりも大きな臓器が認められます。

これが子宮で、一般に健康な犬猫の子宮はレントゲン上に写ることはありません。

子宮内に何かが貯留してそのコントラストでレントゲン上に描出されるわけです。

子宮蓄膿症は犬の疾病の項で詳しく述べましたが、全身性の感染症とみるべきで、緊急の対応が必要です。

ひめちゃんの子宮摘出手術を実施しました。





開腹と同時にかなり腫大した子宮が飛び出してきました。

卵巣動脈をバイクランプでシーリングしているところです。



黄色矢印が膿で腫大した子宮です。



昔の帝王切開時の事と思われますが、子宮頚部と膀胱が癒着して剥がすのが大変でした。



子宮頚部を結紮してます。



これが摘出した子宮です。

子宮口が解放しているタイプの子宮蓄膿症で、少量ながら持続的に排膿していたため思いのほか大きくはありませんでした。



ひめちゃんは術後の経過も良好で、元気に退院されました。

何度も申し上げていますが、やはり早期の避妊手術を受けていただき、このような産科疾患にかからないよう予防して頂きたいものです。






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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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