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フェレットの疾病

2018年7月12日 木曜日

フェレットの異物誤飲(その2)

こんにちは 院長の伊藤です。

蒸し暑い日が続いてますが、皆様のペット達はいかがお過ごしでしょうか?

この1~2週間は熱中症の患者様の来院が増えています。

今の時期、涼しい環境で飼育することを念頭に置いて下さい。


さて、本日はフェレットの異物誤飲についてご紹介します。

以前も異物誤飲について載せましたが、興味のある方はこちらをクリックして下さい。

フェレットのユキちゃん(避妊済、体重1kg、1歳10か月齢)は異物誤飲の疑いで他院からの転院です。



触診しますと下腹部に小指頭大の腫瘤が認められます。

これが異物なのか腫瘍なのか、確認のためレントゲン撮影を実施しました。

下レントゲン写真の黄色丸は異物の可能性があります。

下写真赤矢印は顕著なガス貯留による腸管拡張を示してます。

一般には異物閉塞部から近位端(頭側側)にガスは貯留します。



下写真の黄色丸が上写真の異物と思しき陰影です。



続いて、エコーで異物と思われる部位を調べてみました。

下写真は球体状の異物を表しています(黄色丸)。



レントゲン・エコーの結果から、間違いなく異物を誤飲していると思われましたので早速、外科的に摘出手術を行うこととなりました。

まずは点滴のために前足の橈側皮静脈に留置針を入れます。



イソフルランで麻酔導入します。



導入がスムーズに出来ましたので、生体モニターを装着します。



ユキちゃんはしっかり寝ています。



これから開腹手術を実施します。



腹筋を切開します。



腸を体外に取り出した写真です。

黄色丸は異物を示します。

腸閉塞を起こしており、腸の色は充うっ血色を呈しており、閉塞から時間が経過しているのが推察されます。





異物の直上にメスで切開を入れます。



ボールと思しき球体が腸管内に閉塞しているのがお分かり頂けると思います。



切開部を軽く圧迫して、ボールを摘出します。





腸の内容物が漏出してきますので、速やかに切開部を縫合します。

腸管の管腔径の狭窄を防ぐために、欠損部を横断するように縫合していきます。



4-0の吸収糸を使用して、単純結紮縫合で行っています。





縫合は完了しました。

縫合部(黄色丸)は、腸管狭窄を防ぐため切開ラインと平行に縫合してため、若干いびつな形状をしてます。



縫合部を洗浄します。



腹筋を吸収糸で縫合します。



皮膚縫合して手術は終了です。



摘出した異物(ボール)です。



おそらく腸管内で停留していた時間が長くて、ボールの色は退色して表面は柔らかく劣化しています。



麻酔から覚醒したユキちゃんです。



以前に載せたフェレットの異物誤飲の記事にも書いたことなんですが、若いフェレットはボールやウレタン地の物体、消しゴムなどの弾力性のある異物が大好きです。

1㎝を超える異物を誤飲した場合は、すぐに病院を受診して下さい。

飼い主様が気づかないまま、数日を経過すると腸管が壊死する場合もあり、術後も予後不良になる場合があります。



ユキちゃん、お疲れ様でした!



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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2017年7月25日 火曜日

フェレットの皮膚腫瘍(その4 線維肉腫)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ちょっと久しぶりになりますがフェレットの皮膚腫瘍です。

過去にもフェレットの皮膚腫瘍はその1からその3まで紹介させて頂いてますので、こちらフェレットの疾病)をクリックして下さい。


さて本日ご紹介しますのは、フェレットの皮膚腫瘍の中でも悪性度の高い線維肉腫というものです。

マーシャルフェレットのラウル君(去勢済、7歳、体重1kg))は右腋下の腫瘤が大きくなり、当院を受診されました。

患部が床面と干渉して皮膚が破れ、出血を伴っています。



既に患部からは膿が出ており、浸出液と共に腐敗臭が漂うほどで状態はよろしくありません。



全身状態のことを考えるとこのまま抗生剤や消炎剤で腫瘤部の炎症が落ち着く目途も立ちません。

結局、外科的に摘出して腫瘤については病理検査に出すことにしました。



いつものように麻酔導入箱にラウル君を入れてイソフルランによる導入麻酔をします。



次に麻酔導入が出来たら維持麻酔に変えます。

患部周辺は出血や浸出液により汚染された被毛を剃毛します。



腫瘤はラウル君の体と比較しても大きなものです。





自重で腫瘤が餅の様につぶされて扁平状になっているのが分かります。



剃毛後、患部を徹底的に洗浄消毒します。





消毒が完了したところで手術に移ります。



出来るだけ腫瘤を腫瘍と想定して、マージンを広く取るようにします。



腋下の部位に腫瘤は及んでいます。

この場所は神経や動脈が集まっていますので慎重にメスを入れて行きます。





下写真の中央部にありますように太い血管が走行しています。



手術時間を短縮するため、止血を確実にするためにバイクランプを使って血管のシーリングを行います。





下写真は腫瘤の裏側にあたりますが、栄養を腫瘤に運ぶ栄養血管が沢山走行しているのが分かります。



ほとんど出血することなく摘出手術は終了しまた。



腫瘤はこの時点ではどんな腫瘍なのかも分かりませんが、筋肉層まで浸潤は認められませんでした。



極力、死腔を作らないようにするため皮下組織を丹念に縫合して行きます。





皮下組織の縫合は終了です。

関節の可動域はどうしても皮膚形成では皺が出来てしまいます。



細かく皮膚縫合を実施します。





これですべて終了となります。



イソフルランの維持麻酔を終了して、酸素吸入のみでラウル君の覚醒を待ちます。



麻酔から半ば覚醒し始めたラウル君です。



ラウル君は翌日、無事退院して頂きました。



術後2週間目に抜糸のため来院されたラウル君です。



下写真は抜糸後の患部です。

綺麗に皮膚は癒合しました。





摘出した腫瘤です。

表面は床材との干渉で細菌感染で膿瘍化してます。



病理検査の結果は高悪性度の線維肉腫とのことでした。

下写真は患部の低倍率像です。

錯綜状・束状に増殖する異型性に富む紡錘形細胞が認められます。



高倍率の画像です。

間葉系悪性腫瘍が検出され、線維芽細胞由来の線維肉腫と診断されました。

核が大小不同であり、腫瘍細胞の分裂像は多く認められ、悪性度の高さを示しています。



今後はラウル君のこの腫瘍が局所再発や遠隔転移していく可能性がありますので、経過観察が必要となります。

術後の経過は順調なので、定期的な健診を継続して頂きたいと思います。

ラウル君、お疲れ様でした!






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2015年12月 7日 月曜日

フェレットの直腸脱(後編 ぺんね君救済計画)


こんにちは 院長の伊藤です。

先回、フェレットの直腸脱(前編 ぺんね君の受難)をブログに載せました。

今回はその続きで、ぺんね君の直腸脱を手術で治す内容となります。


フェレットのぺんね君(去勢済、2歳8か月)は直腸脱になり、脱出した直腸を戻して外肛門括約筋を縫合糸で絞り込んで、再脱出を防ぐ方法で対応しました。

しかしながら、2か月間で5回の再脱出を繰り返すことになりました。

ここまでが先回のブログ内容となります。

詳細はこちらをクリックして、ご覧下さい。




直腸脱4回目にして、肛門周囲を巾着縫合で絞り込み、何とか完治に持っていきたいと思っていたのもつかの間。

腹圧上昇に伴い直腸が、患部を突破して再脱出しました。



脱出している直腸の粘膜面(下写真黄色丸)も大きく腫大しています。





出血も伴い、このまま同じ処置を継続しても、回復の見込みは少ないと思われました。

そのため、外科的にしこりになっている直腸粘膜面を離断し、腸管を縫合して戻す方法を飼い主様に提案させて頂きました。




術式をイラストで表すと以下の通りです。

現時点でぺんね君の直腸は脱出し、粘膜は高度に炎症を起こしています。


脱出している直腸壁に支持糸を何ヶ所かにかけ、直腸を外に牽引します。

腫大している直腸粘膜面を離断します。

下のイラストは離断した直腸の断面です。

断面は二重に織り込まれているため、縫合糸で丁寧に縫い込んでいきます。



縫合が完了した時点で支持糸を離すと直腸は腹腔内に戻ります。

あとは縫合部が綺麗に吻合するのを待ちます。







飼い主様の了解を得て、早速外科的にアプローチをします。

ぺんね君の患部を洗浄消毒します。





脱出した直腸の拡大写真(黄色矢印)です。

ブログ前編時よりも腫大しています。



全身麻酔を施し、手術に移ります。





向かって右側が直腸のしこりです。

直腸壁に支持糸をかけて牽引したところ、直腸壁に裂け目が生じているのを確認しました。

この裂孔を縫合します。





直腸壁の縫合は完了です。



これから本題に入ります。

前述のイラスト通りにしこりの付根をメスで離断します。





離断すると直腸壁からの出血が認められます。



患部を洗浄します。



滅菌綿棒で患部を圧迫・止血してから直腸壁の縫合に移ります。



前述のイラストのように、直腸粘膜は2重に内反しているため、吸収性のモノフィラメント糸で細かく縫合します。



フェレットの直腸壁は犬に比べて薄いため、2重の内反している粘膜を縫い落とすと、後ほど腸管が狭窄します。

最悪、腸管に穴が開いた状態になりますので、糞便が腹腔内に漏出して腹膜炎になるため注意が必要です。







患部の縫合がしっかりできているのか、滅菌綿棒を腸管内に挿入して確認します。



綿棒が、腸管内である程度余裕をもって前後に可動できるか確認します。





下写真が腸管縫合の完成形です。



ここで支持糸を外します。

牽引力が無くなると腸管は腹腔内に戻ります。



これで手術は終了となります。

あとはぺんね君には安静にして頂き、消化に良い食餌を暫く摂ってもらうことになります。




手術翌日のぺんね君です。

表情もだいぶ良くなってます。



お尻の状態です。



私が一番うれしいのは、ちゃんと朝一番で排便がしっかりとできている点です。



入院中のぺんね君です。

フェレットバイトや高カロリー流動食も進んで口にしてます。





今回、離断した腫脹した直腸粘膜部です。



断面を見ますと高度に直腸粘膜が腫れているのが分かります。





断面をスタンプ染色しました。

粘膜上皮細胞に混じって、マクロファージ(黄色矢印)などの炎症細胞が遊走しています。

脱出反転した粘膜面が、床面との干渉で炎症を起こし、血行障害による浮腫を起こしていました。





結局、ぺんねは1週間ほどの入院となりましたが、術後の経過は良好です。

退院直前のぺんね君です。




退院1週間後のぺんね君です。

便通も問題なく、直腸脱になる前と同じ良好な排便が出来るようになっています。



お尻の状態です。

肛門周囲は炎症も治まり、綺麗になりました。



2か月余りの闘病生活でしたが、元気に回復されて良かったです。

ぺんね君、お疲れ様でした!





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2015年12月 3日 木曜日

フェレットの直腸脱(前篇 ぺんね君の受難)

こんにちは 院長の伊藤です。

お腹に力を込めて踏ん張ったりするとお尻から直腸が飛び出してしまうことを直腸脱と言います。

直腸脱の状態はイメージするだけでも痛そうです。

臨床の現場では、特にエキゾチックアニマルにおいては哺乳類のみならず、鳥類・爬虫類・両生類に至るまで幅広く発症例が認められます。


直腸脱は一般に初期のステージであれば、脱出した直腸を肛門から腹腔内に押し戻して、肛門の端に縫合糸をかけて再脱出を起こさぬよう処置します。

これまでも、何例もエキゾチックアニマルの直腸脱は報告させて頂きましたので、宜しければそちらの方も各種動物別の疾病紹介で参照して下さい。



イラストでこの直腸脱の整復を説明しましょう。

下イラストが健康なフェレットの肛門及び直腸の側面像です。



次に肛門に腹圧(下黒矢印)が加わり、直腸が脱出したイラストです。

靴下を裏返しにして引き出したイメージと言えば良いでしょうか。

外側に脱出しているのは直腸の内側の粘膜にあたります。

つまり、刺激に対してデリケートで非常に弱い組織が外面に露出しているわけです。


次に脱出した直腸に色んな外力(飼育環境下の床面との干渉、自咬など)によって、粘膜面は発赤・腫脹し出血を繰り返し、脱出が長期にわたると下イラストのように腫瘍のように腫れ上がります。



ダメージを受けた直腸粘膜面を保護・修復するために脱出した直腸を元に戻し(下イラスト赤矢印)、整復処置を実施します。


脱出した直腸を戻して、あとは障害を受けた直腸粘膜の修復を待ちます。




以上が整復処置の概略です。


さて、フェレットのぺんね君(去勢、2歳8か月)は、直腸脱になったとのことで来院されました。



下写真の黄色丸は脱出した直腸です。



前述したイラストの様に脱出した直腸粘膜は暗赤色に腫大しています。



早速、全身麻酔を施して直腸を戻すこととしました。



下写真の黄色矢印は、直腸の腫大部側面から便が漏出しているのが見つかりました。



ゾンデで確認したところ、裂けているのが分かります。

直腸は柔らかく脆いため、脱出してから床で擦れたのかもしれません。



裂孔部を修復するため、縫合します。



数針の縫合でクリア出来ました。



次に直腸を傷つけないように戻していきます。





まだそれほど大きな腫脹ではないので,容易に指先で戻すことが出来ました。



戻すことが成功しても、そのままでは直腸は再脱出してしまいます。

直腸脱防止のため、肛門の端に縫合糸で糸をかけて肛門の幅を絞り込む方法を採ります。

哺乳類に限らず、爬虫類や鳥類でも私はこの方法で対応することが多いです。



下写真はナイロン縫合糸で肛門の一端を縫い絞り込むところです。



一つの目安として、綿棒を肛門に挿入して排便が可能かを確認します。



この状態で一週間経過観察し、問題なければ抜糸して治療は終了です。



ぺんね君、お疲れ様という所だったのですが..........。





その後、ぺんね君は程度の差こそあれ、4回直腸脱を繰り返すこととなります。

肛門の両端を縫合する方法では、どうしても腹圧が強いと外肛門括約筋を縫合糸が分断して外れてしまいます。

ぺんね君の活動的な性格もあるのでしょうが、この一般的な整復法では限界です。



下写真は、1か月後のぺんね君です。

直腸脱の疼痛のため、排便も出来ず食欲廃絶、ショック状態になっています。



度重なる脱出で直腸粘膜は強い暗赤色を示しています。



肛門端の先回縫合した糸も直腸が脱出した勢いで、外肛門括約筋を寸断して皮膚にぶら下がっています。



再度、直腸を戻します。

既に直腸粘膜面は腫大したしこりの様になっています。



無事戻せましたが、ここからが本番です。



肛門の外周を巾着縫合という縫合法で締め上げることにしました。



このように巾着袋の口を締めるような形で、直腸の再脱出を抑え込みます。

この方法は、先の肛門端を縫合する方法よりも強い力で直腸を抑えることが可能です。



排便が出来るほどに肛門の開口幅を調整して締結します。



ショック状態になっているぺんね君の処置をして、これで本当に終了です、と言いたかったのですが.........。





なんとこの3週間後に再脱出が起きてしまいました。

あの脱出した直腸のしこりの部分が、綺麗に修復するまで巾着縫合の糸もまだ抜糸せずに経過観察でいたのですが残念です。

ぺんね君は最初に直腸脱になってから、なんと7週間も排便時の不快感や疼痛との戦いを展開してきたことになります。

ここで、私が飼主様に提案させて頂いたのは脱出している直腸を切断して、体外で直腸を吻合して体内に戻す方法です。

ぺんね君を救うにはこの方法しかありません。



次回、フェレットの直腸脱(後編 ぺんね君救済計画)をご期待ください!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2015年3月20日 金曜日

フェレットの副腎疾患(その2)


こんにちは 院長の伊藤です。

本日は暫くぶりにフェレットの話題です。

フェレットは5歳以降のシニア世代になりますと内分泌系腫瘍疾患が多発します。

インンシュリノーマ、リンパ腫そして副腎疾患です。

以前、副腎疾患の概略についてコメントさせて頂きました。

興味のある方ははこちらを参照下さい。


我々獣医師のフェレット・副腎疾患の診療現場での遭遇率は非常に高いという事実があります。

なぜ副腎疾患になるのかという確固たる原因は、まだ立証されていません。

仮説としては、早期の避妊・去勢説。日照時間説。遺伝的背景説。給餌内容説。等などあります。

日本での副腎疾患の実態は2006年に国内の31動物病院、521例の患者を対象にアンケート調査を実施し、その発生状況が論文にまとめられています。

その結果では、フェレットの腫瘍疾患における副腎腫瘍発生率は21.9%という結果です。


フェレットの副腎疾患はどんな症状からはじまるかというと脱毛です。

副腎疾患に罹患したフェレットの80%以上に脱毛が認められます。

エンマ君(去勢済、5歳)は尾から腰背部にかけて脱毛があるとのことで来院されました。





まず尻尾の脱毛です。



両大腿部の脱毛です。



下腹部から胸腹部にかけての脱毛です。



実際、換毛期になると2~3歳の若齢フェレットで生理的に尻尾に限定した脱毛や全身性の被毛が薄くなる現象が起こります。

そのため、脱毛だけの臨床症状で副腎疾患と確定診断はできません。



次に超音波検査による副腎の大きさを測定します。

下写真の黄色丸はエンマ君の副腎(左)です。

傍らに見える大きな臓器は腎臓です。

左副腎の厚さは5.5mmでした。



次は右の副腎です。

厚さは6.0㎜です。



Kuijtenらは副腎は厚さが3.9㎜以下は正常と報告しています。

一般的には副腎の厚さが5㎜を超えると異常と私は診断しています。

エンマ君は両側の副腎が腫大傾向にあります。

副腎疾患のステージはまだそれほど進行はしていないけれど治療の必要を感じました。



他に性ホルモン(エストラジオール、17ヒドロキシプロゲステロンなど)を血液検査で測定する方法もあります。

しかし、国内の検査機関では偽陰性結果となる可能性が高いとされていますので、その実用価値は低いと思っています。



次に、副腎疾患の治療法ですが、外科的摘出手術がベストです。

しかしながら、解剖学的には、右側副腎は後大静脈に隣接していて外科的切除は困難です。

左側副腎は後大静脈から単離してますから、切除は可能です。

つまり、副腎のどちら側に腫瘍ができるかで手術適応になるか判断されます。

エンマ君は両側性の副腎腫瘍の疑いがあると診断しました。

この場合は、外科的摘出はできませんので内科的治療を選択します。



内科的治療として、副腎から性ホルモンが過剰に分泌されて各種臨床症状が発現するフェレットは、GnRHアナログ製剤が使用されます。

具体的には、酢酸リュープロレリン(リュープリン®)が使用されることが多いです。

早速、エンマ君にリュープリン®(下写真)を接種します。

早ければ、約2週間ほどで全身の発毛が認められます。





約1か月ほどでリュープリンの薬効は消失するとされます。

したがって1~2か月に1回、リュープリン®(250μl)による接種が終生必要となります。

ヒトではこのリュープリン注は、前立腺癌や子宮内膜症、子宮筋腫の治療に用いられています。


脱毛以外の副腎腫瘍の症状について触れておきます。

1:掻痒

 副腎腫瘍の40%以上に認められる症状です。
 頚部から肩甲骨間に皮膚の自傷が認めらます。


2:雌の外陰部腫大

 本疾患に罹患した雌の50%以上に認められます。


3:雄の排尿障害

 前立腺の嚢胞化、腫大により頻尿・尿漏れを生じる。
 排尿時の疼痛を訴えるケースもあります。


4:去勢雄の発情回帰
 副腎腫瘍に罹患した雄では、他のフェレットを咬みついたり乗駕して交尾姿勢を取ろうとします。
 一般には、去勢雄は攻撃性は低く、雌や他の個体の頚部を咬んで引きずり回すことはありません。


5:貧血と紫斑
 罹患副腎から過剰分泌されるエストロゲンにより、高エストロゲン血症の影響を受けた骨髄が抑制され再生不良を生じます。
 白血球減少に伴う皮膚の紫斑や皮下出血も認められます。

以上、脱毛以外にもこれらの症状が認められたら、副腎腫瘍を疑って下さい。



最後にエンマ君とは別件のフェレットのピーちゃん(避妊済雌、4歳)の脱毛状態の写真です。

ピーちゃんも同様に副腎腫瘍でした。

超音波検査で、両側副腎が9㎜近くの腫大が認められました。

エンマ君同様、リュープリン®を接種します。










フェレットの副腎疾患は、副腎皮質原発の腫瘍や増殖性疾患がほとんどなので下垂体の異常や血清コルチゾール上昇は血液検査では確認できません。

一方、犬の副腎疾患である副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)は、血清コルチゾールの上昇が認められ、その80%以上が下垂体依存性の疾患です。

つまり犬では、副腎皮質腫瘍が原因となる確率はわずか15%程度であるということです。



動物種による差がある点は当然かもしれませんが、多くのフェレットがシニア世代以降に副腎疾患になるという事実は辛い所ですね。

本記事の諸症状が認められましたら、なるべく早くフェレットの診察可能な動物病院を受診下さい。






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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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