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犬の疾病

犬の異物誤飲(その17 軍手・ヘッドホンのイヤーパッドetc.)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、異物誤飲の症例です。

毎回、各種の異物を犬は誤飲しますが今回は大型犬です。

大型犬の場合、一度に多量の異物を誤飲してしまうケースも多く、また常習的に誤飲する犬もいます。


シベリアンハスキーのホクト君(雄、10歳8か月)は軍手を飲み込んだとのことで他院にかかっていたのですが、嘔吐が続き良くならないとのことで当院を受診されました。



飲み込んだ異物にもよりますが、長い時間そのままで放置することは危険です。

エコー・レントゲンでお腹の中を確認しました。



下はレントゲン写真ですが、黄色丸の胃内には何か異物が存在しているのは明らかです。

加えて黄色矢印が示している十二指腸から空回腸の領域にはガスが貯留しています。



下写真は側面の状態ですが、黄色丸の胃には線維状の異物があるようです。

さらに赤丸の空回腸にはまた別の異物があるようです。



ホクト君は異物を誤飲してから数日は経過しているそうなので、早速試験的開腹を行うこととなりました。

気管挿管を行います。



大型犬のシベリアンハスキーなので手術台から頭一つ分はみ出してしまいます。





上腹部からメスを入れていきます。



最初に胃からアプローチします。

下写真の中央部に見えるのが胃です。

胃の4か所に支持糸をかけて胃にテンションを与えます。



血管があまり走行していない部位にメスを入れます。



胃切開直後に出てきたのは、黒い物体です。

摘出後に分かったのですが、ヘッドホンの耳当て(イヤーパッド)でした。



次に出てきたのは、飼主様も誤飲を認識していた軍手です。







この軍手を摘出して胃内はスッキリしたのですが、まだ胃内に硬い線維が触知されました(下写真黄色矢印)。



この線維は十二指腸へと入り込んでおり、空回腸まで及んでいるかもしれません。

十二指腸にメスを入れ、この線維の断端を鉗子で把持します。





ついでさらに下に位置する空腸近位端を引き出します。

写真にありますように空腸は中に入り込んだ線維物により、アコーディオンカーテンのように引っ張られて固まっています。



この空腸に切開をして、内容物を摘出することとしました。

このような線維状の異物を線状異物といいます。

ホクト君は腸閉塞の状態にあります。

線状異物は腸を強い力で牽引して、腸の粘膜を傷害します。

場合によっては、腸が壊死を起こすこともあり慎重に摘出します。



数か所にわたり、空腸を切開して線状異物をリレー式に摘出します。



随分長い繊維が空腸まで降りていました。



メスを入れた複数個所を縫合します。



空回腸の腸間膜には下写真の黄色矢印にします点状出血が認められます。

線状異物により牽引された空回腸及び腸間膜の血管が破たんして出血したものと思われます。



胃も縫合します。



腹腔内を何回も洗浄して閉腹します。

手術終了後のホクト君です。





摘出した胃腸内異物です。



下の黒い物体がヘッドホンの耳当てです。



軍手です。



下写真の黄色丸が空回腸までダメージを与えた線維状の異物です。

ボロボロになった雑巾の端切れのようです。



これらの異物は胃腸内で長らく停留すれば、胃腸に障害を与えますし、腸内フローラを乱して腸内発酵を生じます。

その結果、腸内細菌の産生する毒素により腸性毒血症を引き起こし、ショック症状に至る場合もあります。

なぜこのような異物を摂食するのかは犬自身の性格や本能に根差す部分もあると思います。

しかしながら、口の届く範囲に食べて問題を起こしそうな物体は下げておくこと。

これが一番大切なことです。

異物誤飲は飼い主様の責任です。



退院時のホクト君です。

お疲れ様でした!








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投稿者 院長 | 記事URL

犬の異物誤飲(その16 湿布)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、久しぶりとなります犬の異物誤飲シリーズです。

色んな異物を犬は誤飲します。

飼い主様からすれば、意外な物を誤飲しますので、どんな異物を誤飲するのかをご紹介しています。

皆様の愛犬は、このような異物を誤飲しないよう日常生活でご注意いただければ幸いです。



トイプードルのシュシュ君(6歳、雄)は飼主様の湿布を誤飲したとのことで来院されました。



実は、このシュシュ君は免疫介在性溶血性貧血(IMHA)で、以前から当院で治療を受けて頂いています。

このIMHAとは、免疫グロブリンが結合した赤血球がマクロファージによって貪食され、赤血球が破壊される難しい疾病です。

その治療のため、シュシュ君は免疫抑制量のプレドニゾロンを投薬して頂いている最中でのアクシデントです。



まずは、レントゲン撮影を行いました。

下写真の黄色丸の部位が気になります。



下は患部をさらに拡大した写真です。

小腸内に湿布と思しき異物(下黄色丸)が確認されます。



飼い主様が誤飲した事実を確認している場合は、こちらも状況を把握しやすいです。

シュシュ君の場合はおそらく、腸閉塞になっている可能性が高いです。

直ぐに開腹し、異物摘出手術を行うこととしました。

麻酔前投薬を前足の静脈から実施します。



気管挿管を行います。

イソフルランによる全身麻酔(ガス麻酔)に導入して行きます。



シュシュ君は完全に麻酔下で管理されてます。





雄の場合はペニスの傍らを皮膚切開して、腹筋を切開します。



脂肪で包まれた小腸(空回腸)を体外に出したところです。



下写真の黄色矢印は異物が腸内を閉塞して腸の血液循環が滞り充血しています。

白矢印は、まさに異物が閉塞して血流障害を起こしてうっ血色を呈しています。

このままいけば、腸壊死に至ります。

IMHAに罹患しているため、腸管は貧血色を呈しています。





触診で異物が存在していると思える箇所にメスを入れます。



腸粘膜下に灰褐色の異物が見えます。



鉗子で異物を把持して、緩やかに牽引します。



幾重にも折りたたまれた湿布が出て来ました。





完全に湿布を摘出しました。



腸管の切開部を洗浄します。



患部に抗生剤を滴下します。



腸管切開後の縫合は、腸管の管腔径の狭窄を防ぐことが重要です。

切開部を横断するように縫合します。





異物が大きいこともあり、腸管を縦に大きく切開したため縫合すると多少いびつな形状になります。

重要な点は、腸内容物がスムーズに縫合部を通過できるかに尽きます。







腹腔内の脂肪(大網)で縫合部を包み、閉腹します。











麻酔から覚醒後のシュシュ君です。



摘出した湿布です。

10×12cmもの大きさがありました。

早急な対応が出来たのは幸いです。

おそらく、あと2日もしたら腸閉塞から腸壊死にいたり腹膜炎、敗血症と進んでいたことでしょう。




術後のシュシュ君です。

暫しの流動食生活です.。

元気も出てきて,術後の経過は良好です。





異物を誤飲したのを見たら、1時間以内にかかりつけの動物病院を受診して下さい。

シュシュ君、お疲れ様でした!



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投稿者 院長 | 記事URL

犬の子宮蓄膿症とクッシング症候群

こんにちは 院長の伊藤です。


いつものことですが、複数の手術をこなす日々が毎日続いてます。

ブログ更新も途絶えてしまい申し訳ありません。


さて、本日ご紹介しますのは、子宮蓄膿症とクッシング症候群が合併症状として現れた症例です。

子宮蓄膿症は以前から他の記事で載せてありますのでこちらをご参照ください。



クッシング症候群については、副腎皮質機能亢進症ともいいます。

クッシング症候群は、副腎皮質から持続的に過剰分泌されるコルチゾール(副腎皮質ホルモン)によって引き起こされる様々な臨床症状及び臨床検査上の異常を示す病態を総称します。

その原因として以下の3つに分類されます。

①脳下垂体の腫瘍が原因で、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌されるタイプ。下垂体性腫瘍(PDH)と言います。犬のクッシング症候群の90%を占めます。

②コルチゾール分泌能を有する副腎皮質の腫瘍によるタイプ。機能性副腎腫瘍(AT)と言います。

③プレドニゾロンなどグルココルチコイド剤の過剰投与によっておこるタイプ。医原性クッシングともいいます。



クッシング症候群の症状は以下の通りです。

多飲・多尿
多食
腹部膨満
運動不耐性(動こうとしない)
パンティング(荒い呼吸)
皮膚の菲薄化




ミニュチュア・シュナウザーのリンジーちゃん(8歳7か月、雌)は1年近く前から多飲多尿の傾向があり、お腹が張って来たとのことで来院されました。

一日の飲水量が4Lを超えるそうです。



腹囲が張っているのがお分かり頂けるでしょうか?





まずは血液検査を実施しました。

白血球数が34,500/μlと高値(正常値は6,000~17,000/μl)を示しています。

CRP(炎症性蛋白)が7.0mg/dlオーバーとこれもまた高値(正常値は0.7mg/ml未満)です。

リンジーちゃんの体内で何らかの感染症や炎症があるのは明らかです。

次にレントゲン撮影です。

腹囲膨満が分かると思います。



気になるのは膀胱が過剰に張っていることです(下写真黄色丸)。

そして子宮(左右子宮角)も大きくなっており、下写真の白矢印で示した部位がそれに当たります。



側臥のレントゲン像です。



これも同じく膀胱(黄色丸)と子宮(白丸)を示します。



多飲多尿から、リンジーちゃんは排尿障害はでなく、スムーズに出来ています。

しかしながら膀胱がこれだけ大きく腫れている点から、慢性的に蓄尿期間が長かったのではと推定されます。

膀胱アトニ―といわれる膀胱壁が蓄尿によって伸びきってしまい膀胱の収縮が上手くできていない状態かもしれません。



次にエコー検査です。

白矢印は膀胱を示します。

黄色矢印は子宮を示し、低エコー像を表してます。



さらに調べますと、腫大した子宮角内に液体状の内容物(黄色矢印)が停留していることが判明しました。



以上の検査結果から、リンジーちゃんが子宮蓄膿症になっていることは明らかです。

加えて臨床症状からクッシング症候群の可能性もあるため、エコーで副腎の測定をしました。

下は、左副腎のエコー像です。

左副腎の長軸が4.2mmであり、健常な犬の副腎は6mm以下とされますので特に副腎の肥大は認められません。



次に右の副腎(下黄色丸)です。

右副腎は5.6mmでした。

こちらも正常な大きさです。



クッシング症候群については手術後に血液学的に内分泌検査を実施して確認することとしました。


子宮蓄膿症は緊急疾患です。

全身の感染症と見なすべきで、最善の治療は卵巣・子宮の摘出です。

まずは、リンジーちゃんの卵巣・子宮を摘出することとしました。

麻酔前投薬を行います。



リンジーちゃんのお腹を剃毛しました。

お腹が張っていることが分かると思います。





腹部正中線にメスを入れて切開します。



腹筋下に顔を出しているのは膀胱です。



随分と膀胱が腫大していますね。



子宮はこの膀胱の下に存在していますので、膀胱内の尿を吸引することとしました。



トータルで400mlの蓄尿が認められました。

尿を吸引するのに20分程もかかってしまいました。

下写真は吸引で小さくなった膀胱です。



やっと核心となる子宮を露出します。

大きなウィンナーソーセージが連結したような子宮が認められました。



腫大した分節上の子宮内にはおそらく膿が貯留しています。



卵巣動静脈をバイクランプでシーリングします。



子宮内膜の血管も同様にシーリングしていきます。



子宮頚部を縫合糸で結紮し離断します。





皮膚縫合して終了です。



麻酔から覚醒したリンジーちゃんです。



下写真は、摘出した卵巣・子宮です。

子宮蓄膿症は、全身性の感染症なので手術が終わったからといってすべて終了というわけではありません。

リンジーちゃんもこれから全身に回っている細菌を制圧するため、抗生剤の投薬をしていきます。



リンジーちゃんは入院中に先に申し上げたクッシング症候群の検査を受けて頂きました。



今回実施した検査はACTH刺激試験です。

この試験は、合成ACTH製剤(コートロシン)を筋肉注射し、ACTH投与前と投与1時間後の血中コルチゾールを測定して結果を評価します。

リンジーちゃんの検査結果はACH投与前は12.3μg/dl(正常値は1.0~7.8μg/dl)、投与後は29.3μg/dlと高値を示しました。

ACTH刺激試験でコートロシンに過剰に反応し、正常値を超える血中コルチゾールを示す点でクッシング症候群であることが確定しました。

加えて、副腎エコーで両副腎の大きさが正常範囲にある点で、リンジーちゃんは下垂体性腫瘍(PDH)であることが判明しました。

結局リンジーちゃんの場合は、多飲多尿の臨床症状は子宮蓄膿症によるものと、クッシング症候群によるものがブッキングしたものと思われます。



リンジーちゃんのクッシング症候群の治療は、アドレスタン(成分名トリロスタン)の内服を実施します。

このトリロスタンは全てのステロイドホルモン合成を阻害します。

結果、リンジーちゃんは暫くの間トリロスタンを内服して頂くことになりました。

子宮蓄膿症の術後の経過は良好で1週間後にはリンジーちゃんは元気に退院されました。



1か月後のリンジーちゃんです。

飲水量は一日あたり1L以下に治まってます。

腹囲も少し細くなりました。



リンジーちゃん、お疲れ様でした!





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投稿者 院長 | 記事URL

犬の脾臓全摘手術(組織球性肉腫)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、犬の脾臓を全摘出した症例です。

何らかの原因で脾臓が著しく腫大した場合、腹腔内の脾臓破裂を防ぐために全摘出を選択する場合があります。

その詳細については、過去の記事でチワワの脾臓摘出手術(結節性過形成)で載せてありますので参考にして下さい。


ゴールデンレトリバーの雑種であるレオン君(12歳10か月齢、体重23.5kg、去勢済)は食欲不振、嘔吐、下腹部の腫れが主徴で来院されました。





血液検査を行い、白血球数が21,800/μl及びCRP(炎症性蛋白)が7.0㎎/dlオーバーと明らかに体内で炎症が起こっているのが判明しました。

ちなみに赤血球数、ヘモグロビン値、ヘマトクリット値は正常値であり、貧血を疑う所見はありませんでした。

触診で左側下腹部の腫れが気になりましたのでレントゲン撮影を実施しました。





黄色丸で囲んである部位が大きく腫大していおり、明らかに異常です。

該当する臓器は脾臓であると思われます。

引き続き、エコー検査をしました。



エコー像では無エコーと低エコーの領域で占められる病変部が脾臓に認められました。

脾臓をエコー下で針生検して細胞診を行いました。


検査センターの病理医に調べて頂き、結果が1週間後に通知されました。

結果は、高悪性度のリンパ腫や赤血球貪食性組織球肉腫の疑いはない、つまり悪性腫瘍の疑いは低いとのことでした。

いつものことながら、細胞診と実際に摘出した臓器の病理学的診断は違うことが多いです。

細胞診の結果を待っている1週間で、レオン君の全身状態は次第に悪化してきました。

試験的に開腹し、私の肉眼的判断で脾臓を摘出するべきか否かを判断させて頂くこととしました。

脾臓を摘出するにしても、少しでも全身状態の良好な早期に取るべきであると思います。


レオン君に全身麻酔を施します。





開腹を行います。



腹筋を切開したところで非常に大きな塊(黄色矢印)が顔を出しました。



思っていた以上に脾臓が大きく腫大しています。

手荒に扱うと内部で大出血しますので、慎重に体外へ持ち上げます。







最初に顔を出したのは脾臓表面に突出した隆起の一部であることが判明しました。

その隆起の下部に腫大した脾臓が控えていました。



下写真は腫大した脾臓の全容です。

脾臓に大網(脂肪組織)が絡まっており、残念ながら脾臓の高度腫大は、写真では伝わらないかと思います。

この脾臓の状態を診て、全摘出することにしました。



脾臓は胃と複数の血管で繋がっています。

短胃動脈、左胃大網動静脈、脾動静脈の3本の血管をバイクランプ(下黄色矢印)でシーリングしていきます。





従来は縫合糸で血管をまとめて結紮し、血管を離断していたのですが、バイクランプを使用することで確実な血管シーリングが可能となりました。

脾臓摘出にかかる時間も大幅に短縮することが出来ます。



このようにして脾臓の全摘出は終了です。



脾臓摘出後、他の腹腔内臓器・リンパ節等に腫瘍の伝播を確認しましたが、明らかな転移巣は認められませんでした。

高度に腫大した脾臓を摘出することで、レオン君のお腹は随分スッキリ、細くなりました。



出血も最小限に留めることが出来、手術は無事終了しました。



レオン君、お疲れ様でした!



摘出した脾臓です。

高度に腫大(特に縦方向)した脾臓であることが分かります。

脾臓の重量は2kgありました。







腫瘍であることは疑いなく、メスで患部を切開したところです。



この組織片を病理検査に出しました。



病理検査の結果では、異型性を示す紡錘形・多角形細胞が分裂している像(下黄色丸)が多く認められます。



病理検査では組織球性肉腫という診断でした。

組織球性肉腫は間質樹状細胞由来の悪性腫瘍とされます。

脾臓以外にもリンパ節、肝臓、肺、関節周囲などにも発生することが多いです。

この組織球肉腫の好発犬種として、レトリーバー、ウェルシュコーギー、バーニーズマウンテンドッグなどが挙げられます。

レオン君は開腹して確認した限りでは、腹腔内の腫瘍は認められませんが、顕微鏡レベルでは何とも言えません。

念のため、内科的にも抗がん剤の投薬をさせて頂き、経過を診ていく予定です。

術後3日目のレオン君です。

食欲も戻り、表情も良くなってきました。





レオン君は1週間の入院の後、元気に退院することが出来ました。

ベティ(写真中央)と避妊手術で入院中のマリリンちゃん(青色☆)とレオン君(黄色☆)のスリーショットです。

みんなでレオン君の退院を祝っての一コマです。



レオン君は今後、組織球性肉腫がどんな挙動を示すか、経過観察していく必要があります。

レオン君、頑張っていきましょう!




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投稿者 院長 | 記事URL

犬の尿石症(シュウ酸カルシウム尿石)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日は、犬の尿石症についてコメントさせて頂きます。

以前、リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)尿石について、症例報告しましたのでご興味のある方はこちらを参照下さい。


さて、犬の尿路結石には、ストルバイト、シュウ酸カルシウム、尿酸塩、リン酸カルシウム,シスチンなどがあります。

尿石症は、尿路である腎臓、尿管、膀胱、尿道などに先に挙げた結石が形成されることによる疾患です。

結石の大きさは様々ですが、物理的な刺激により尿路の炎症を起こしたり、尿管や尿道に大きな結石がつまることにより尿が排

出できなくなって、尿毒症や膀胱破裂など重篤な病気に発展する場合があります。

尿石症の好発犬種は存在し、ミニチュア・シュナウザーやシーズー、ダルメシアン、ヨークシャー・テリアなどが挙げられます。



本日ご紹介しますのは、シュウ酸カルシウムの尿石症です。

シーズーのマロン君(12歳4か月、去勢済)は8年ほど前にストルバイト尿石症に罹患しているのが判明しました。

その後、療法食を継続して頂き、尿石症に関する問題は落ち着いているかに見えました。

今回、マロン君は排尿困難でトイレで辛そうにいきんでるとのことで来院されました。



尿石症の確認を含めて、レントゲン撮影を実施しました。

下のレントゲン写真にあるように黄色丸が膀胱石です。

そして尿道内へと降りてきた尿道結石が赤丸で囲んであります。



膀胱内に10個の尿石が認められ、骨盤腔から下に降りてきた尿道に1個尿石が認められます。

膀胱内尿石は直径が4㎜ほどの均一な大きさです。

おそらくマロン君が排尿困難になっているのは、尿道に降りてきた赤丸で囲んである1個の尿道結石が原因と思われます。



実はマロン君は、今回来院のひと月前に後足の跛行で来院されています。

その時撮影したレントゲン写真と比較してみましょう。

下のひと月前の写真では、膀胱内に11個の尿石が認められてます。



つまり、膀胱内尿石11個のうちの1個が、1か月の間に尿道に降り始めてしまったようです。

このひと月前の診察時に、尿石が問題を起こす前に外科的に摘出することをお勧めしてました。


今回は実際、尿道に降りてきた尿石が原因となって排尿障害を起こしていますから、この尿石を含めて11個の尿石を摘出することになりました。

翌日にマロン君の膀胱結石摘出を実施することとし、手術当日に尿道カテーテルを入れてみました。

膀胱まで容易にカテーテルがすんなりと入りました。

下は、その時のレントゲン写真です。



10個の尿石が膀胱内に依然、存在していますが、尿道へ降りていた結石が見当たりません。

どうやら、手術直前に排尿した時に一緒に結石が外に排出されたようです。

尿道内に降りてきて、尿道内閉塞すると尿道結石を解除するのが非常に難しくなります。

この点は不幸中の幸いです。


マロン君に全身麻酔をかけます。





正中切開で開腹します。



雄の場合、陰茎骨が正中部に位置してますので、その脇を切開します。



下写真は腹部から支持糸で牽引した膀胱です。



膀胱内の圧を下げるため、尿を注射器で吸引しましたところ、こげ茶色の血尿が採れました。

膀胱内結石により、膀胱炎が起こり血尿が生じています。



膀胱壁にメスで切開を加えます。



膀胱内部に存在する結石を一つずつ取り出していきます。

麻酔時に入れた尿道カテーテルから生理食塩水をフラッシュして膀胱内の結石を外部へ排出します。





結石を一つずつ確認して摘出します。



摘出した結石10個と小さな破片が摘出されました。



最終的に取り残しの結石は無いか、確認のためにレントゲンを撮りました。

黄色丸の部位は尿道カテーテルが入っている膀胱です。

結石は、膀胱内及び尿道内に存在していないのが確認できました。



切開した膀胱を縫合します。





縫合部から漏れがないか、生理食塩水を注射器より注入して確認します。



特に漏れもないので、膀胱を腹腔内に納め閉腹します。



膀胱に蓄尿による内圧をかけないために尿道カテーテルを留置します。

しばらくはマロン君は尿道カテーテルから排尿して頂きます。





麻酔から覚醒したマロン君です。





術中にサンプリングした尿を顕微鏡で見たところ、シュウ酸カルシウムの1水和物が見つかりました(下写真黄色丸)。



下写真が今回摘出した結石です。

検査センターでどんなタイプの結石か調べてもらったところ、98%以上がシュウ酸カルシウムから構成されている尿石であることが判明しました。



シュウ酸カルシウム結石は、ヒトで良く見られる結石であり、ヒトの尿石の80%近くを占めるそうです。

一方、犬の尿石はアメリカでは80年代はストラバイトが80%でシュウ酸カルシウムは5%であるとの報告があります。

その後、90年代になるとストラバイトが34%、シュウ酸カルシウムが55%と増加傾向をしています。

食生活の変化もあってのことでしょう。

恐らく、日本でもアメリカと同様の傾向があると思われます。

ストラバイトを溶解する療法食の普及が、ストラバイト尿石の基となるマグネシウムの制限に一役買っているのかもしれません。

またシュウ酸カルシウム結石は、ストラバイトの様に療法食で容易に溶解できないため、外科的に摘出するしか摘出する方法がありません。

尿石は前述したようにストラバイトやシュウ酸カルシウムが単独で形成される場合もあれば、両方が混在する混合型も存在します。

マロン君はこの混合型であったようです。

今後は、混合型対応の療法食を継続して頂きます。

入院中も排尿は問題なくできるようになりました。



退院時のマロン君です。

飼い主様とのツーショットを最後に載せさせて頂きます。

マロン君、お疲れ様でした!





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