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院長ブログ

2020年9月20日 日曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(軍手、ヘッドホーンのイヤーパッド等)

院長の伊藤です。

本日もアーカイブシリーズ・犬の異物誤飲をお送りします。

紹介例は、大型犬(シベリアンハスキー)です。

大型犬は胃が大きいだけあり、信じられない異物を誤飲していることがあります。

最近は、大型犬の数も減少傾向にありますが、大型犬の飼主様はご参考にして頂ければ幸いです。








こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、異物誤飲の症例です。

各種の異物を犬は誤飲します。

大型犬の場合、一度に多量の異物を誤飲してしまうケースも多く、また常習的に誤飲する犬もいます。


シベリアンハスキーのホクト君(雄、10歳8か月)は軍手を飲み込んだとのことで他院にかかっていたのですが、嘔吐が続き良くならないとのことで当院を受診されました。



飲み込んだ異物にもよりますが、長い時間そのままで放置することは危険です。

エコー・レントゲンでお腹の中を確認しました。



下はレントゲン写真ですが、黄色丸の胃内には何か異物が存在しているのは明らかです。

加えて黄色矢印が示している十二指腸から空回腸の領域にはガスが貯留しています。



下写真は側面の状態ですが、黄色丸の胃には線維状の異物があるようです。

さらに赤丸の空回腸にはまた別の異物があるようです。



ホクト君は異物を誤飲してから数日は経過しているそうなので、早速試験的開腹を行うこととなりました。

気管挿管を行います。



大型犬のシベリアンハスキーなので手術台から頭一つ分はみ出してしまいます。





上腹部からメスを入れていきます。



最初に胃からアプローチします。

下写真の中央部に見えるのが胃です。

胃の4か所に支持糸をかけて胃にテンションを与えます。



血管があまり走行していない部位にメスを入れます。



胃切開直後に出てきたのは、黒い物体です。

摘出後に分かったのですが、ヘッドホンの耳当て(イヤーパッド)でした。



次に出てきたのは、飼主様も誤飲を認識していた軍手です。







この軍手を摘出して胃内はスッキリしたのですが、まだ胃内に硬い線維が触知されました(下写真黄色矢印)。



この線維は十二指腸へと入り込んでおり、空回腸まで及んでいるかもしれません。

十二指腸にメスを入れ、この線維の断端を鉗子で把持します。





ついでさらに下に位置する空腸近位端を引き出します。

写真にありますように空腸は中に入り込んだ線維物により、アコーディオンカーテンのように引っ張られて固まっています。



この空腸に切開をして、内容物を摘出することとしました。

このような線維状の異物を線状異物といいます。

ホクト君は腸閉塞の状態にあります。

線状異物は腸を強い力で牽引して、腸の粘膜を傷害します。

場合によっては、腸が壊死を起こすこともあり慎重に摘出します。



数か所にわたり、空腸を切開して線状異物をリレー式に摘出します。



随分長い繊維が空腸まで降りていました。



メスを入れた複数個所を縫合します。



空回腸の腸間膜には下写真の黄色矢印にします点状出血が認められます。

線状異物により牽引された空回腸及び腸間膜の血管が破たんして出血したものと思われます。



胃も縫合します。



腹腔内を何回も洗浄して閉腹します。

手術終了後のホクト君です。





摘出した胃腸内異物です。



下の黒い物体がヘッドホンの耳当てです。



軍手です。



下写真の黄色丸が空回腸までダメージを与えた線維状の異物です。

ボロボロになった雑巾の端切れのようです。



これらの異物は胃腸内で長らく停留すれば、胃腸に障害を与えますし、腸内フローラを乱して腸内発酵を生じます。

その結果、腸内細菌の産生する毒素により腸性毒血症を引き起こし、ショック症状に至る場合もあります。

なぜこのような異物を摂食するのかは犬自身の性格や本能に根差す部分もあると思います。

しかしながら、口の届く範囲に食べて問題を起こしそうな物体は下げておくこと。

これが一番大切なことです。

異物誤飲は飼い主様の責任です。



退院時のホクト君です。

お疲れ様でした!








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投稿者 院長 | 記事URL

2020年9月10日 木曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(湿布)

こんにちは 院長の伊藤です。

残暑が続きますが、皆様元気にお過ごしでしょうか?

日常業務に追われて、なかなかブログの更新が出来ずにおります。

本日もアーカイブシリーズで犬の誤飲症例を載せます。

この半年の間に取り溜めしたデータ・資料をまとめて、早急に新ネタを掲載しますのお持ち下さい。






本日ご紹介しますのは、久しぶりとなります犬の異物誤飲シリーズです。

色んな異物を犬は誤飲します。

飼い主様からすれば、意外な物を誤飲しますので、どんな異物を誤飲するのかをご紹介しています。

皆様の愛犬は、このような異物を誤飲しないよう日常生活でご注意いただければ幸いです。



トイプードルのシュシュ君(6歳、雄)は飼主様の湿布を誤飲したとのことで来院されました。



実は、このシュシュ君は免疫介在性溶血性貧血(IMHA)で、以前から当院で治療を受けて頂いています。

このIMHAとは、免疫グロブリンが結合した赤血球がマクロファージによって貪食され、赤血球が破壊される難しい疾病です。

その治療のため、シュシュ君は免疫抑制量のプレドニゾロンを投薬して頂いている最中でのアクシデントです。


シュシュ君は飼主様が使用している湿布を誤食してしまったとのことで来院されました。

まずは、レントゲン撮影を行いました。

異物誤飲で最初の1時間くらいなら、胃の中に異物が停留していることが多いです。

しかし、今回は胃の中はガスしか認められません。

下写真の黄色丸の部位が気になります。

黄色丸は空回腸部に当たります。



下は患部をさらに拡大した写真です。

小腸内に湿布と思しき異物(下黄色丸)が確認されます。



飼い主様が誤飲した事実を確認している場合は、こちらも状況を把握しやすいです。

シュシュ君の場合はおそらく、腸閉塞になっている可能性が高いです。

直ぐに開腹し、異物摘出手術を行うこととしました。

麻酔前投薬を前足の橈側皮静脈から行います。



気管挿管を行います。

イソフルランによる全身麻酔を行います。



生体情報モニターでシュシュ君は安定した麻酔下にあることが確認できます。





雄の場合はペニスの傍らを皮膚切開して、腹筋を切開します。



脂肪で包まれた小腸(空回腸)を体外に出したところです。

シュシュ君はIMHAのため、腸の色が全体的に貧血色をしているのがお分かり頂けると思います。



下写真の黄色矢印は異物が腸内を閉塞して腸の血液循環が滞り、この個所だけ充血色を呈しています。

白矢印は、異物そのものを示しています。

このままいけば、腸壊死に至ります。





触診で異物が存在していると思える箇所にメスを入れます。



腸粘膜下に灰褐色の異物が見えます。



鉗子で異物を把持して、緩やかに牽引します。



幾重にも折りたたまれた湿布が出て来ました。





完全に湿布を摘出しました。



腸管の切開部を洗浄します。



患部に抗生剤を滴下します。



腸管切開後の縫合は、腸管の管腔径の狭窄を防ぐことが重要です。

切開部を横断するように縫合します。





異物が大きいこともあり、腸管を縦に大きく切開したため縫合すると多少いびつな形状になります。

重要な点は、腸内容物がスムーズに縫合部を通過できるかに尽きます。







腹腔内の脂肪(大網)で縫合部を包み、閉腹します。











麻酔から覚醒後のシュシュ君です。



摘出した湿布です。

10×12cmもの大きさがありました。

早急な対応が出来たのは幸いです。

おそらく、あと2日もしたら腸閉塞から腸壊死にいたり腹膜炎、敗血症と進んでいたことでしょう。




術後のシュシュ君です。

暫しの流動食生活です.。

元気も出てきて,術後の経過は良好です。





異物を誤飲したのを見たら、1時間以内にかかりつけの動物病院を受診して下さい。

シュシュ君、お疲れ様でした!



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2020年7月13日 月曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(多量の飴)

本日もアーカイブシリーズの犬の異物誤飲をご紹介させて頂きます。



今回、ご紹介させて頂きますのはフレンチブルドッグのブル夫君(1歳、去勢済)です。

飼い主様の申告では、飴玉が入っている袋ごと漁って、中身の飴玉を食べてしまったとのこと。

飴玉は1つずつ包装されており、数十個は大袋に入っていたそうです。

包装紙は消化不可能な素材でできており、もし数十個も誤飲されたら腸閉塞になる可能性があります。

加えて、胃内に浸透圧で水分が貯留したり、急性の高血糖による昏睡状態に至る可能性もあります。

ブル夫君には可哀そうですが、胃を切開して飴玉の包装紙を全部回収することとしました。

まずはブル夫君を全身麻酔します。



胃にメスを入れます。



胃を切開しますと、飴玉の香料が胃内にむせ返るほどに充満していました。

胃内は胃液で一杯になっており、バキュームで胃液を吸引することとしました。





胃内に鉗子を入れますと、飴玉の包装紙が一杯入っているのが分かります。





下写真黄色丸が包装紙です。



包装紙の取り残しが無いように丁寧に回収していきます。











結局、なんだかんだで包装紙を集めたところ、20枚近く胃に入っていました。

胃の中に包装紙の取り残しがないことを確認してから、胃を縫合します(下写真黄色丸)。





この包装紙がくせもので、腸に降りてから腸閉塞を起こされるよりは胃の中にあるうちに一掃した方が賢明です。

ブル夫君には、しばらく点滴の生活をして頂くこととなります。


犬からすれば、飼主様が口にしているものは旨いにせよ、不味いにせよ、興味津々です。

飼い主様と同じものを口にしたいという潜在的欲求を持っています。

眼を離した隙に犬におやつを食べられてしまった等と言う話は、毎日のように耳にします。

くれぐれも、あなたの傍らに座っておやつの強奪計画を練っている犬にご注意ください!



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2020年6月29日 月曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(魚の骨)

本日も引き続き、犬のアーカイブシリーズをご紹介します。

毎回、腹部切開して異物を摘出する場面を展開して参りましたが、今回はちょっと違います。

今回は魚の骨です。


きららちゃん(6歳、避妊済)は、3日前から体が熱っぽいことと、声がかすれた感じがするとのことで来院されました。

確かに喉の周辺が少し腫れている感じがあり、口腔内を診ますと喉が赤くなっています。

口喉炎かと思い、消炎剤・抗生剤を処方して経過観察することとしました。


その3日後、きららちゃんの喉がとんがってきたとのことで再診です。





下写真黄色丸の箇所が皮膚を下から突き上げているかの如く突出しています。



超音波検査を実施しました。

下写真の黄色矢印の部分が異物を表しています。

異物周辺は特に血管の走行も、また出血の形跡も認められません。



患部を注射針で切開してみることとしました。

きららちゃんは非常に性格がおとなしく協力的なので、局所麻酔のみで対応できました。



患部の切開を進めていきますと、鋭い突起物(黄色丸)が現れました。



おそらく何か異物を食べて、その異物が食道壁を穿孔して飛び出してきたのではないかと推察されます。

その突起物を鉗子で把持して引き抜くこととしました。



下写真の黄色矢印が摘出した硬い棘のようなものです。



プラスチックの破片の様にもみえますが、飼主様に確認したところ、どうやら鯖の骨ではないかとのことでした。



患部からの出血もなく、スムーズに処置は完了しました。

皮膚縫合したところです。





先端が鋭利な異物を誤飲した場合、食道に刺さってしまう場合はあるかと思いますが、嚥下と共に餌が上からどんどん流れてきて、異物も胃に落ちていくことが殆どでしょう。

今回の様に、異物が食道壁を突き破って皮下に突出する症例は初めてです。

子どもの頃、魚の骨が喉に刺さって辛い思いをしたことがあります。

きららちゃんは、よほど我慢強い子ですね。

局所麻酔だけでよく耐えてくれました。

考えようによっては、胃や腸にこの骨が流れ込んで消化管を穿孔したら、腹膜炎を起こして敗血症になっていたかもしれません。

外科手術をすることなく、シンプルに摘出できたのは幸いと言えるでしょう。

くれぐれも、魚の骨には気を付けて下さい!



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2020年6月23日 火曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(トリの骨)

本日、アーカイブシリーズで犬の異物誤飲を載せたいと思います。

過去の異物誤飲症例の中でも、比較的多いのが鳥の骨です。

家庭で調理する機会が多いということもあると思いますが、丸呑みこみして受診という形が多いように思います。




柴犬の三四郎君(10歳)は、お散歩中にどうやら鳥の骨らしきものを飲み込んだと来院されました。

しっかり骨をかみ砕いて飲み込んでくれればよいのですが、散歩中ですと飼主様から奪われるのが嫌で速攻、飲み込んでしまう確信犯的な犬が多いのも事実です。

早速、レントゲン撮影を実施しました。





お分かりいただけたでしょうか?

胃の周辺部を拡大してみます。





上の黄色丸・矢印で示したように、はっきりと鳥の骨の形状が確認できます。

胃の中を骨が突っ張り棒のごとく入り込んでいます。

これでは嘔吐させて回収するjことはできませんし、胃の幽門部から十二指腸まで送り込まれることも不可能でしょう。

この鳥の骨の全長をコンピューターで測定したところ、10㎝もあることが判明しました。

結局、胃を切開することとなりました。

いつものごとく全身麻酔です。



開創器で胃を露出して、メスで切開を加えるところです。



メスを入れたところ、すぐに胃を押しやるかのように下から鳥の骨が顔を出しました!







早期の回復を考慮して、胃の切開部は2cm以内に留めました。

あとは胃を縫合していきます。





次に腹膜・腹筋を縫合します。



最後に皮膚縫合で終了です。



手術は1時間以内で終了して、三四郎君も無事麻酔から覚醒し始めました。



三四郎君は1週間ほど入院して頂き、その間流動食も含め、胃に優しい食生活を送ってもらいました。

柴犬は比較的、異物誤飲が多い犬種です。

特に散歩中に、瞬間的に何でもお気に入りの物を見つけたら、何も考えずに口の中に入れる傾向が強いように思います。

飼い主様から、その時点で注意を受けようものなら、取られるくらいなら飲み込んでしまえ、とばかりに異物誤飲に至ります。

お散歩中にはくれぐれもご注意ください。

最後に入院中にちょっとダイエットした三四郎君です。

無事退院できてよかったです。






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