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ヘビの疾病

2014年12月31日 水曜日

ボールパイソンの便秘(尿酸結晶による)

こんにちは 院長の伊藤です。


本日はヘビの便秘についてコメントさせて頂きます。

ボールパイソンのハローちゃん(6か月齢、性別不明)は、食欲はあるのだけれど4週間近く排便がないとのことで来院されました。



多くのヘビの給餌は、ピンクマウスを与えるケースが多いかと思います。

大雑把に給餌の目安は、ヘビの頭3個分の大きさのピンクマウスを1回分の給餌量とします。

最初の1~2年は週に2回与え、それ以降は週に1回、成体になれば10日に1回の給餌とします。

特に幼体期は食べさせるだけ食べさせて、体を大きくさせる必要があります。

排便も摂食量に応じて、量も回数も変動します。

ただ今回のように排便が4週間以上ないようですといわゆる便秘状態と考えられます。

鳥類や爬虫類は総排泄腔という一つの穴から排便、排尿、産卵を済ませるという解剖学的構造をしています。




念入りに体を触診しますと総排泄腔の少し上に硬い腫瘤の存在を触知しました。

下写真黄色丸が総排泄腔です。



下写真黄色矢印が少し赤みを帯びており、触診で硬い腫瘤が認められる部位です。

そして黄色丸が総排泄腔です。



この矢印の部位を優しく圧迫を加えながら、硬い腫瘤を総排泄腔へと誘導していきます。

丁度イメージとしては、鳥の卵詰まりの圧迫排卵の感じと言えばよいでしょうか。



まず、白い塊が出てきました。

これは尿酸です。



次に茶色い塊(下写真黄色丸)で排出されました。



これが、今回の便秘の原因かもしれません。

非常に硬い結晶体のようです。

続いて、再度尿酸が出て来ました。



下写真の草色矢印は尿酸(白色の排泄物)。

黄色矢印は硬い結晶(触ると非常に硬い石のようなもの)です。

尿酸と硬い結晶を排出した後、赤丸の糞便、そして尿が多量に出て来ました。



この硬い結晶の詳細を確認するために、砕いて顕微鏡で検査しました。

下写真は低倍率のものですが、尿酸の結晶体が確認されます。



さらに高倍率です。



ボールパイソンは定期的に尿酸を排泄します。

そもそも尿酸は、ヘビの体内でタンパク質代謝の結果生じる窒素化合物です。

尿酸は尿管を通過して腎臓から総排泄腔へと送り込まれます。

総排泄腔内で尿酸は白い粘液様のペーストとして、その一部が体内に再吸収されます。

今回は、たまたま尿酸ペーストの再吸収が進行して、硬化が進んでしまったものかもしれません。

あるいは、蛋白質の過剰摂取により、析出した尿酸がカルシウムと結合して結石を形成したのかもしれません。

尿酸の結石(尿酸塩)が犬では、ストルバイトやシュウ酸カルシウムと同様、尿石症の原因となる場合があります。

ただヘビの場合は総排泄腔での排泄になりますから、犬や猫であれば尿路結石となる尿酸塩が、今回は総排泄行のすぐ手前まで降りてきて総排泄行の閉塞(便秘)に陥った可能性があります。






ヘビの一般的な便秘(消化管内の糞便の停滞の場合)の原因は以下のように考えられています。

1:過食で運動不足

食欲は個体差がありますが、前述したように給餌量は適切に守ること、加えて狭いケージですと個体は運動不足に陥りやすくなります。


2:飼育環境の温度・湿度が低い

この場合、ヘビは体をパネルヒーターなどの熱源に巻き付いて、腹部を高温で温めることになり、結果便は硬化して石のように固くなり便秘に至ります。


便秘の治療法

1:環境の改善
広いケージを用意する。
ケージ内の空気を乾燥させる床材(段ボール、おが屑、木材)を撤収する。
加湿器をケージ内に入れる。

2:お湯に全身をつける
ひと肌のぬるま湯に1日1回15分ほど全身を浸漬させて、4~5日継続することで消化管運動を促し排便を促進させる。

以上の点にご注意いただければと思います。


ハローちゃんは今回の便秘解除処置で、溜まっていた便や尿も一挙に出ましたが、表情は爬虫類ですから変わりません。

爬虫類の場合は食欲不振(拒食)にしても便秘にしても、哺乳類の様に表情に現れませんし、むしろ隠す傾向がありますので要注意です。




今年も無事、診察を終えることが出来ました。

来年も皆様のペット達が健康に暮らせますことを祈念いたします。





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投稿者 院長 | 記事URL

2014年11月13日 木曜日

ヘビ2題(臭腺炎・敗血症)


こんにちは 院長の伊藤です。

ここ2週間ほど多忙につき、ブログの更新が出来ずにいました。

開業して以来、10数年に及びお付き合いさせて頂いてきた患者様が、この2週間のうちに本当に何件も加齢に伴う腎不全や僧房弁閉鎖不全症から来る肺水腫でお亡くなりになりました。

生きている以上、いつかはお別れする時が来るのは必然ですが、それが連日連夜集中するということは医者の身であっても辛いの一言です。

仔犬、仔猫の頃から10数年にわたりお付き合いさせて頂いたペット君達、素敵な思い出を残してくれてありがとうございました。

そして、当院HPの読者の皆様、ブログ更新遅延いたしまして申し訳ありませんでした。

本日は福を呼ぶとのことでヘビについて2題、ご紹介させて頂きます。




まずはボールパイソン・アイリューシ(性別不明、6歳)君です。



ボールパイソンには体表色により各種バリエーションがあります。

その中でもひときわ目立つのがこのブルーアイリューシです。

体色は白、眼がブルーです。



とても神秘的なオーラを放っています。

写真でその魅力を十分伝えられないのが残念です。

このブルーリューシ君は下腹部が発赤しているとのことでの受診です。



上写真尾黄色丸が患部です。



そのすぐ隣が総排泄腔になっており、いわゆる臭腺が炎症を起こし腫れて赤くなっています。

ヘビの臭腺については以前、ブログに載せましたので興味のある方はこちらをご覧ください。

炎症を抑えるため、このブルーリューシ君には抗生剤を処方させて頂きました。






お次は同じくボールパイソン(雄、6歳)です。





実はこのボールパイソン君は皮膚に点状の出血斑が出てきたとのことで受診されました。

下写真は体表部の患部です。











広い範囲にわたる出血斑のため、局所的に物理的な打撲で出血したものではありません。

哺乳類に限らず爬虫類も、ウィルスや細菌感染によって血管・臓器が障害を受けますと点状出血が出現します。

問診では単独飼育であること、他の個体との接触がないことから感染のルートが不明です。

内服では十分な効果が期待できないと判断して抗生剤を注射しました。





1週間ほど抗生剤の注射を継続して経過を診る予定です。

敗血症の場合、細菌が作る毒素によってショック症状に至る場合もありますので注意が必要です。



2匹のボールパイソン君達、早く回復して頂きたいです。






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投稿者 院長 | 記事URL

2014年1月21日 火曜日

ヘビの外傷



ヘビの皮膚は鱗で覆われており、体表部の柔軟性・強靭性を保つことが可能です。

しかし、一旦皮膚が物理的に障害を受けて剥離してしまうと皮下組織の脆弱なヘビは、筋肉がむき出しになり、細菌や真菌の侵入を容易にしてしまいます。



本日ご紹介しますのは、ボールパイソンのボン君(約2歳、性別不明)です。

ボン君は猫に襲われて、爪の攻撃で皮膚が一枚剥がされてしまったとのことで来院されました。

黄色丸の部分が皮膚が剥離して筋肉がむき出しの箇所です。



ボン君は他院からの転院で、既に受傷されてから1週間くらい経過しているとのこと。

患部は化膿したりはしていませんが、乾燥している点が気になります。



患部を外用消毒液できれいに洗浄し、アイプリームや抗生剤軟膏を塗布します。





体表部の乾燥・雑菌感染を防ぐために閉鎖性ドレッシング剤で被覆します。



加えて抗生剤の注射をします。



ドレッシング剤だけですとヘビの動きでは簡単にはがれてしまうため、粘着テープでゆるくテーピングします。







鱗が剥離して皮膚が剥がれる位の障害であれば、脱皮と同じ経緯を辿ります。

床面が不衛生ですとどうしても細菌感染が絡んできます。

ポピドンヨードなどの消毒液を浸漬させたペーパータオルを、ケージの下に敷いてヘビをしばらくその消毒液に漬けておき、その後洗浄、抗生剤軟膏を塗布する方法もあります。

いづれにせよ、1か月位は治療にかかると思って下さい。



ボン君、早く皮膚が再生してくれると良いですね。



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投稿者 院長 | 記事URL

2013年12月15日 日曜日

ミドリニシキヘビのマウスロット(あなたはヘビの口を覗いたことがありますか?)

久々にヘビの症例報告です。

本日ご紹介しますのは、ミドリニシキヘビ(旧和名:グリーンパイソン)です。

ミドリニシキヘビのアルちゃん(性別不明、1歳未満)は口から涎がたくさん出て食欲不振とのことで来院されました。



ミドリニシキヘビはインドネシア・オーストラリア・パプアニューギニアに棲息する全長2mを超えるヘビです。

特に口内は細長い牙が多数並び、獲物の鳥類の羽毛に邪魔されずに口で咬みつけるようになっているのが特徴です。

熱帯雨林の樹上で生活し、夜行性で夜は獲物を求めて地上に降りたりするそうです。

爬虫類で口内炎を起こしている場合は、大量の流涎が認められます。

下写真、アルちゃんの口からの溢れ出ている涎がお分かり頂けると思います。





早速、アルちゃんの口を開けて確認してみました。



下写真の黄色丸は口蓋部に付着している膿です。



この膿をしっかり摘出しておかないと口内炎は完治しません。

下写真黄色矢印は摘出した膿の塊です。







こんな感じで口腔内の膿を全部摘出しましたのが下写真です。



この膿を染色して顕微鏡で確認しました。

アルちゃんの口腔粘膜の上皮細胞が剥離しているのが認められます(黄色丸)。



別のアングルでは、レンガをばらけたように多数の細菌が認められます。



飼い主様の稟告から、マウス等の餌を食べた後に口の中を傷つけ、そこから細菌が侵入して口内炎を引き起こしたものと考えられます。

いわゆるマウスロットと言われる症状です。

治療法は、まず口腔内の膿を一掃して炎症部を外用薬で消毒します。

場合のよっては、口の中を流水でしっかり洗い流したりします。

下写真は、口腔内を希釈したイソジンで消毒しているところです。







一旦これで口腔内の消毒は終了です。

アルちゃんはかなりお疲れの表情です。



高度の口内炎のため水も満足に飲めない状態なので、抗生剤の注射を行いました。



翌日、アルちゃんは口腔内消毒のため来院されました。

口の中は昨日と比べて非常にすっきり綺麗になりました。



まだ唾液の分泌量は多いけどいい感じになってきました。



ミドリニシキヘビは気性が比較的荒く、この細かな牙で咬まれるとそれなりのダメージを受けます。

アルちゃんは非常に性格が穏やかな個体なので治療をする上では幸いでした。

非常に鮮やかなグリーンでいかにも東南アジア産のヘビと言う感じで魅かれるものがあります。

下写真は治療後3日目のアルちゃんです。

さらに口の中は綺麗になりました。

でも食欲はまだありません。



抗生剤の内服は可能になりましたので、しばらくは自宅で治療を継続して頂くこととしました。

アルちゃん、お疲れ様でした!







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投稿者 院長 | 記事URL

2013年10月20日 日曜日

ヘビの臭腺

臨床獣医師が日常的に処置する行為に肛門嚢しぼりがあります。

これは、犬を飼われている方ならご存知の肛門嚢(臭腺)を指で圧迫して、肛門嚢内に貯留した分泌液を出す行為です。

この分泌液は独特の匂いがありますが、好きな方はまずいないでしょう。

スカンクはこの臭腺を利用して、外敵に向けて噴霧して逃走するそうです。

いろんな利用法があるようですね。

この臭腺ですが、哺乳類だけのものではなく爬虫類にも存在します。

本日は、ヘビの臭腺についてご紹介させて頂きます。


コーンスネークの はるまき君(年齢・性別不明、体重450g) は総排泄口の周辺が腫れていて皮膚が赤くなってるような気がするとのことで来院されました。



爬虫類は鳥類と同様、尿と便と卵を一つの穴から排泄します。

この穴を称して総排泄口といいます。

下写真の黄色丸が総排泄口です。

若干、赤くなっているようです。



患部を触診しただけでは、よくわかりません。

確かに若干の総排泄口周囲が腫れているようです。

実際、ヘビのような特徴の乏しい外貌の動物の場合、得られる情報量が少ないため診断が難しいことが多いです。

早速、患部の詳細を検査するためレントゲン撮影を実施しました。







レントゲン上では、とくに骨格系で異常な所見は認められませんでした。

レントゲン撮影のために、はるまき君を保定していたところ、総排泄口から何やら分泌液が出て来ました(黄色丸)。







総排泄口周辺の腫れはおそらく臭腺に分泌液が貯留した結果だと思います。

この分泌液の匂いが特徴的で、何かが焼けたのではないのかという非常に焦げ臭い匂いです

ヘビの種類によってこの分泌液の匂いは種々あるようです。





自ら興奮することで、臭腺に溜めこんでいた分泌液を放出して、相手を威嚇するようです。

この分泌液の放出で他の個体に危険を知らせているという説もあるようです。

ヒトにはこの臭腺は存在しないけれど、犬猫はじめとしてエキゾチックアニマルの多くが臭腺を持っています。

生存競争の激しい自然界では、自己主張も含めてこの臭腺は必要なんでしょうね。





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