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筋骨系の疾患(整形)/うさぎ

2017年2月21日 火曜日

ウサギの橈尺骨骨折(その2 創外固定法)

こんにちは 院長の伊藤です。

先回、ウサギの橈尺骨骨折(その1 外固定)をご紹介させて頂きました。

その詳細はこちらをクリックして下さい。

ネザーランド・ドワーフのラテちゃん(7か月齢、雌)は左橈尺骨遠位端を骨折されました(下写真黄色丸)。



幼若ウサギの骨の特性を踏まえて、包帯状熱可塑性キャスト材で外固定しました(下写真)。



しかしながら、肘関節と手根関節の間を確実に固定するのが難しく、翌日にはキャスト材は外されてしまいました。




次策として、骨折部位の固定のため創外固定法を選択することにしました。

創外固定法は、骨折部の遠位端と近位端にピンを刺入して整復する術式です。

創外固定法は刺入したピンで骨折部を整復しますので、骨折してから時間が経過しますと骨折部の筋肉が拘縮しますので整復の難易度がアップします。

外固定を外された翌日、早速手術となりました。



イソフルランによる導入・維持麻酔をします。



患部をカミソリで剃毛します。



骨折部(黄色丸)が発赤・腫大しているのが分かります。







整形外科手術は厳密に無菌的手技が要求されますので、慎重に患部周辺を剃毛消毒してから実施します。





ラテちゃんの麻酔状態は安定してきました。



骨折部を挟んで、創外ピン遠位端2本と近位端2本を刺入して整復します。

下写真はドリルで創外ピンを刺入してるところです。



ラテちゃんのような幼若ウサギの場合は、骨が柔らかく細いこともあり、骨の位置を目視するために皮膚に切開を入れて創外ピンを挿入します。

使用する創外ピンは直径が0.8mmのネジ付きタイプを使用します。





ピンは骨髄の中心を貫くように打ち込みます。

骨の表面は曲面ですから、思いのほか難しいです。







患部をレントゲン撮影した画像です。

骨折部を挟んで2本ずつのピンで挿入しました。



ピンの両端をペンチでカットします。





切皮した箇所を縫合します。

ピンの両端にパテ(エポキシ樹脂製)をつけて固定します。



この時点でのレントゲン像です。

骨折部がずれていますので、つま先を牽引して皮膚の上から骨折部の整復を指先で確認します。





骨折部は整復してありますが、牽引する手を緩めるとズレが生じます。

エポキシパテを片側にまず盛り付けて、数分で硬化するのを待ちます。



次いで反対側にパテを盛り付けて硬化を確認して終了です。



体に対してあまりにパテが大きすぎても宜しくなく、また自身でぶつけたりして破壊されても困ります。

かといって、パテが小さすぎればピンを固定する力が弱く、骨癒合までの長期間もちません。

その点は経験に応じて、盛り付けるパテの量・大きさを決めます。





手術終了時のレントゲン像です。

骨折部も綺麗に整復できました。



次にパテはむき出しのままですと色んな所にぶつけて、その衝撃がピンを介して骨に伝導します。

再骨折を回避するためにも、パテを脱脂綿などで保護します。



粘着テープを巻き付けます。



血行障害に陥らない程度の緩さで二重に巻きつけました。



犬猫であればこれで終了しますが、ウサギの場合骨が脆いのでアルミ製のスプリントでさらに固定します(下写真)。



最後にずれないように粘着テープで固定します。





麻酔から覚醒したラテちゃんです。



結果的には体の大きさに比べて患部が大きく見えますが、何とかこの状態で骨癒合まで頑張って頂きたいです。



床材のスノコに指を引っ掛けパニックに陥り、結果として骨折するウサギは多いです。

遊び盛りの月齢ですから、エリザベスカラーや創外固定装置で不自由な生活を強要されることは可哀そうです。

それでも癒合させるためには、安静な生活が必要不可欠です。

ウサギの骨折治療は、犬猫以上に術後管理が重要で時間もかかるから大変です。



最近は創外固定法を選択することで骨癒合までスムーズに到達しています。

創外固定法の場合、骨折部を開創せず少侵襲で整復できれば最短で完治できると思います。

ただウサギの骨の特性として、治癒まで時間がかかることはご了解ください。

ラテちゃんの場合は、骨癒合に2か月近くかかりました。



骨折治療は骨癒合するまでをさします。

したがって、骨折整復手術が成功したとしても、術後の管理が適当だったりすると骨癒合不全に至り、再手術が必要になったりします。

ラテちゃんの術後の経過を次回 ウサギの橈尺骨骨折(その3 術後管理)でお知らせします。

なるべく早く載せますので、宜しくお願い致します!





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2017年2月 5日 日曜日

ウサギの橈尺骨骨折(その1 外固定)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介するのはウサギの前腕骨(橈尺骨)骨折です。

この橈尺骨骨折はウサギに限らず、犬でもよく遭遇する骨折です。

細く繊細なウサギの骨だけに手術の難易度は高く、また術後管理にも気を遣います。


ネザーランドドワーフのラテちゃん(雌、7か月齢、体重1.4kg)は左前足がつかないとのことで来院されました。



触診をするとどうやら骨折をされているようです。

早速、レントゲン撮影を実施しました。

下写真の黄色丸が骨折している箇所です。





橈骨・尺骨が共に折れています。

特に橈骨は生木骨折のようです。

犬であれば橈尺骨骨折は、プレートによる内固定か、骨髄ピンによるピンニングか、創外固定法を選択する場合が多いです。

ウサギは犬に比べて骨組織が脆弱でプレート固定で再骨折するケースもあります。

ラテちゃんは非常に活動的なウサギで、プレート固定には不安があります。

創外固定法にしても体が小さなウサギですから、患部に突出した創外ピンが色んな場所で引掻けたり、ぶつけたりして破壊されないか不安です。


飼い主様とも相談して、ギブスによる外固定で骨癒合まで持っていこうという方針になりました。

後肢は関節部の可動域が広く、比較的外固定に適していますが、前肢はまっすぐ下に降りていますのでギブス装着の難易度は高いと言えます。

これまでにも何度か、ご紹介させて頂きましたが外固定の副子として包帯状熱可塑性キャスト材 レナサームを使用しました。

いづれにせよ、外固定であれ骨折整復手術であれ、全身麻酔を施します。



ガス麻酔でラテちゃんを寝かせます。





骨折のため、骨折部を中心に前腕部が腫脹しています。

趾端にサージカルテープであぶみを付けます。



前腕部にストッキネットを装着します。



次にシルキーテックスをストッキネットに巻き付けます。



キャストパッドプラスを最後に巻き付けます。



骨折部をレナサーム(下写真)で外副子(スプリント)代わりに成形して装着します。



必要な長さをカットして熱湯中にレナサームを入れます。



3分でレナサームは軟化しますので、速やかに外副子を成形します。

軟化してから4分で硬化が始まります。



この外副子による固定では、ギブス固定の様に血流障害は起こりにくく、皮膚の弱いウサギには理想的です。





外固定は骨折部を挟んで2か所の関節を固定して治療が始まります。

今回の様に橈尺骨遠位端骨折の場合は、手根関節と肘関節をこのレナサームで固定します。

外固定後の患部のレントゲン写真です。





物理的な構造として、肘を少し屈曲した姿勢で、外固定をしないとそのままレナサームは脱落してしまいます。

ラテちゃんは活動的なので、この外固定をいつまで維持できるものか不安です。



伸縮包帯によるテーピングを、皮膚の血流障害を招かない程度の力で行います。




外固定で安定するのを期待していたのですが、なんと翌朝、外副子ごと前足から外れていました。

非常に残念ですが、正攻法で骨折整復にあたることに進路変更することにしました。

創外固定による橈尺骨整復手術を実施することになりました。

この創外固定手術の模様は次回のウサギの橈尺骨骨折(創外固定法)でお伝えします。





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2013年11月 8日 金曜日

ウサギの代謝性骨疾患(食餌にはくれぐれもご注意を!)

食餌から摂取する栄養分で体は作られています。

バランスの崩れた食餌をペットに与えることは、結果として大切なペットを病気にしてしまう事です。

以前から、食餌に含まれるカルシウムが欠乏することで起こる代謝性骨疾患についてはコメントしてきました。

この代謝性骨疾患は、犬猫では比較的少ない疾患だと思います。

それは、ドッグフードやキャットフードが完全食でそれだけ食べていれば、栄養学的に問題ないからです。

その一方で、いかにエキゾチックアニマルでは多いことか!

当院HPのサイト内検索で代謝性骨疾患を入力してみて下さい。

結局、エキゾチックアニマルには完全食なるフードが存在しないため、何種類かの食材を組み合わせる必要があり、飼主様がそれを十分認知していないがために、栄養不良による疾患が引き起こされます。




さて今回、ご紹介しますのはこの代謝性骨疾患が原因で骨折に至ったウサギの話です。

ライオンラビットのミミちゃん(8歳、雌)は前肢に力が入らないとのことで来院されました。



レントゲン撮影を実施しました。

下写真の黄色丸の箇所をご覧ください。

両側上腕骨の中央部が斜骨折しています。





ミミちゃんは特に高い場所から飛び降りたりしていないとのことです。

レントゲン写真から骨密度が非常に低く、骨の向こう側が透けて見えるような感じです。

年齢から考慮して、代謝性骨疾患の可能性が高いと考えられました。

過去の経験から、このような骨密度の低い骨を骨髄ピンや創外固定を実施しても骨癒合を期待することは厳しいと判断しました。

ひとまず、ギブスで外固定して栄養状態を改善させてから、次の手を考えることとしました。

ガス麻酔を行う中でレナサームという熱可塑性キャスト剤でギブスを作ります。







前肢が不自由になりますが、飼主様にも頑張って頂いて介護の必要性をお伝えしました。

問題はミミちゃんが退院された8日後です。

今度は後肢が折れてしまったとのこと。

下がそのレントゲン像です。



特に右の脛骨遠位端が斜骨折で骨折端が皮膚を突き破り、解放骨折の状態です(下写真黄色丸)。



解放骨折をしてから患部は糞便などで汚染されています。

むしろこの個所については、残念ながら感染症を考えて断脚することを提案させて頂きました。

飼い主様によっては、このような場合は安楽死を希望される方もみえます。

ミミちゃんの飼主様は、このような状態でも是非、頑張って乗り越えてほしいという意見でした。

断脚手術をすることとなりました。



出血が予想される血管を縫合糸で結紮していきます。





非常に痛々しくみえるミミちゃんですが、術後の経過は良好です。



流動食を口へと注射器を用いて飲ませます。

大変、気に入ってるようで流動食をたくさん飲んでくれます。





今回の代謝性骨疾患になった理由は、まだ小さい頃からミミちゃんは食餌の好き嫌いが激しかったそうです。

チモシーやペレットは拒否し、えん麦(エンバク)から成る嗜好品(おやつ)は喜んで食べるので、食べてくれるのならと飼主様もえん麦をずっと給餌していたそうです。

この点が代謝性骨疾患を引き起こした原因のようです。


ミミちゃんは無事退院されたのち、流動食を給餌する時に誤嚥され、それがもとで呼吸不全に陥り、逝去されました。

非常に残念な結果でしたが、小さい頃からの食生活が大人になった体を作っていることを忘れないでください。

生命を維持するために必要な栄養は必ず与える努力を忘れないでください。

取り敢えず、食べるからといって嗜好品に走ると栄養不良性疾患に至ります。





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2013年10月 8日 火曜日

ウサギの脊椎損傷


ウサギの脊椎損傷は、犬猫同様に後躯不全麻痺に始まり、排尿排便障害を呈します。

損傷の程度によっては呼吸不全を起こしたり、疼痛のストレスで突然死に至る場合もあります。

脊椎骨折や脱臼があれば、脊柱の外科的固定が必要となりますが、脊椎骨の脆弱さにより手技的に困難をきわめます。

飼い主様の介護が必要であり、予後不良となることが多いです。



今回ご紹介させて頂きますのは、ネザーランド・ドワーフのロビー君(2か月齢、雄、体重450g)です。

1.5mほどの高さから落下してしまい、後肢が立てないとのことで来院されました。



後肢は痛覚浅部・深部ともになく、前肢で匍匐(ほふく)前進をしてます。

下痢便を不随意に流しており、排尿はしていません。

触診では、後肢の骨折、脱臼はないようですが、脊椎損傷の疑いが強いです。





患部を拡大します。

黄色丸の脊椎骨が若干ずれています。





落下の時の衝撃が脊椎骨に達し、瞬間的な脊椎骨の変位や脊髄神経の過剰な伸展があって、後躯麻痺に至ったと思われます。





後躯麻痺の場合、陰部が排便排尿で汚れますので微温湯で清潔に洗浄する必要があります。

姿勢も褥瘡を防ぐために、低反発の床材マットを敷いたりする必要もあります。

自発的に食餌が取れなければ、強制給餌をします。

飼い主様にこのような介護の負担も生じます。

栄養状態を維持できれば、後躯麻痺でも長期生存は可能です。






ロビー君はまだ2か月齢という若さでの後躯麻痺です。

不慮の事故ということで、飼主様のご心配も察します。

現在は内科的にステロイドの投薬と腸蠕動促進薬を投薬して経過観察です。

ロビー君、立てるように頑張っていきましょう!

スタッフ共々応援していきたいと思います。


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2013年2月19日 火曜日

ウサギの腰椎骨折

ウサギは骨が脆く骨折をしやすいことは、皆様ご存知と思います。

我々もウサギの診察は診察台の上ですることはなく、椅子に助手を腰かけさせ、仰向けで保定した状態で診察させて頂いてます。

ウサギはちょっとした物音にも反応して、強力な後ろ足でキックします。

その時に脊椎骨に障害(脱臼、骨折等)が及びますと肢の麻痺、排便・排尿障害などが起こります。


本日、ご紹介しますのはミニウサギのジュニア君です。

飼い主様が気づかれた時には、すでにジュニア君は後肢が麻痺を起こしており、起立不能状態に陥っていました。



起立不能の原因を探るためにレントゲン撮影を実施しました。





さらに腰椎を拡大したのが下写真ですが、黄色丸で示した腰椎に亀裂が入っています。





第5腰椎が亀裂骨折を起こしています。

加えて、ジュニア君の膀胱は多量の尿が貯留していますので、排尿障害の心配もあります。

後肢の痛覚はなく、現時点では前肢による匍匐前進しかできません。

脊椎骨の骨折の場合、犬猫であればプレート、骨スクリュー等による固定も可能ですが、ウサギの場合は骨が柔らかく脆いため確実な固定は望めません。

したがって、内科的療法でリハビリを含めた介護が必要となってきます。





飼い主様がジュニア君のことを愛され、大事にされてます。

ジュニア君は麻痺している後肢が気になるらしく、齧って皮膚が裂けてしまい、その治療も必要です。

排便・排尿も自身で確実にコントロールはできませんので、紙おむつをしています。





内科的治療にジュニア君が少しでも反応してくれて、後肢の麻痺が改善することを祈念してます。

全国的に見ても、脊椎損傷で後躯麻痺で介護生活をおくるウサギ達は多いです。

飼い主様の治療への情熱によるところが大きいです。

我々、病院のスタッフもジュニア君の回復を応援していきます。







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