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ハムスターの疾病

2017年5月25日 木曜日

ラットの紅い涙

こんにちは 院長の伊藤です。

蒸し暑い日が続きますが、当院ではすでに熱中症の患者さんも来院されるようになりました。

涼しい環境でペットのお世話をしていただくようご注意下さい。


さて本日ご紹介しますのは、ラットの紅い涙です。

キリスト像の血の涙でもあるまいし、宗教的な話題でもありません。

ファンシーラットのぽっけちゃん(雌、8か月)は眼から紅い涙を流しているとのことで来院されました。

診る限り眼球や瞼の外傷は見当たりません。



下写真黄色丸が赤い涙が流れた後です。



眼球を洗浄しました。





瞼周辺の紅いものも一緒に拭き取ってみます。



一見すると血液の様に思えますが、実はこれはラットによく現れるポルフィリンの涙です。



ぽっけちゃんは眼の周辺を洗浄すると特に問題はありません。





ポルフィリンとは有機化合物でピロールが4つ組み合わさって出来た環状構造を持つ物質です。

古代から使用されてきた貝紫(ポルフィラ)がその名の由来とされてます。

このポルフィリンはハーダー氏腺(涙腺と同様に存在する眼の分泌腺)から分泌されます。

正確には、このポルフィリンはhematoporphyrinという誘導体で光と反応して赤色を発する特性があります。

hematoporphyrin誘導体は現在、腫瘍に対する光線力学療法に用いられてます。

この誘導体は腫瘍細胞によく吸収される性質があり、光を当てることで活性化して腫瘍細胞を殺傷する効果が認められてます。


一般的には、ラットはストレスが溜まると紅い涙を流すとされます。

ストレス時にハーダー氏腺からのポルフィリン分泌量が増えるようです。


下は、ポッケちゃんに次いで同じく赤い涙で来院されたおこめちゃん(雌、10か月)です。



黄色丸の箇所は同じく赤い涙の流れた跡が分かります。






ポルフィリンはウサギでも尿中に排泄されて赤色尿・血尿と間違われることがあります。

ラットの場合は分泌されるのがハーダー氏腺という眼の分泌腺にため、血の涙もしくは鼻涙管を通じて鼻血という形で気づかれることが多いです。

いずれにしても、疾病ではありませんのでご心配なく!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2015年1月26日 月曜日

キンクマハムスターのジアルジア症


こんにちは 院長の伊藤です。


ハムスターは特に小さなお子さんのいる家庭で、飼育されるケースが多いです。

ご両親がお子さんの教育(動物の飼育指導)も兼ねていると思われます。

そんなハムスターですが、ペットショップで販売される個体については、生後1か月満たないものもあり、飼主様が購入されてすぐに体調不良で来院される症例も多いです。


本日、ご紹介しますのはキンクマハムスターの内部寄生虫疾患です。

キンクマハムスターのモコ君(2か月齢、雄)は購入してまもなく軟便、下痢が続くとのことで来院されました。







ゴールデンハムスターは、体調不良になると眼を閉じて沈鬱な表情を浮かべる個体が多いです。

モカ君は診察中ずっと眼を閉じて猫背の姿勢のままです。

下写真の様に軟便が肛門に付着しています(黄色丸)。





下痢をしているとのことで、まずは検便です。

動画を乗せられないのが残念ですが、活動性のある多数の原虫が群れを成しています。



高倍率の顕微鏡写真です。



木の葉が舞うような動きをしているこの原虫は、ジアルジアと呼ばれます。

ジアルジアは腸粘膜に吸着し、障害を与え、消化器症状(下痢)を引き起こします。

このジアルジアは栄養体のステージにあります。

モカ君はまだ2か月という幼体ですから、免疫力も弱く今回のようなジアルジアの多数寄生では、下痢に至るのも無理ありません。

特に幼体が下痢を起こすとすぐに脱水状態に陥ります。

脱水を改善するために皮下にリンゲル液を輸液します。



このジアルジアの駆除にはメトロニダゾールという薬を使用します。

この薬は非常に苦く不味いようで、ハムスターはじめとして動物には不評のようです。

ブドウ糖も混ぜて、飲みやすくしたものを内服して頂いてます。

下写真はその投薬しているところです。



飼い主のお兄ちゃんも心配しています。

モカ君、早く治って下さいね!






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2014年7月14日 月曜日

ゴールデンハムスターの悪性リンパ腫


こんにちは 院長の伊藤です。


本日ご紹介しますのは、ハムスターの悪性リンパ腫です。

ハムスターの体表腫瘍は日常的に遭遇する機会が多いです。

背部の腫瘍であれば外科的切除も容易ですが、腋下や内股等血管の走行が密な部位ほどに摘出は難しくなってきます。

犬猫に比べて非常に小さな動物ですから、手術時の出血を最小に抑えることに苦心します。


ゴールデンハムスター・シルバー(長毛種)のゴルダちゃん(雌、1歳)は左側背部に大きな腫瘤があるとのことで来院されました。



下写真黄色丸内がその腫瘤です。

ゴルダちゃんも気にして患部を引掻いて化膿しています。



腫瘍の可能性が高く、細胞診を実施しました。

下写真のように核が濃縮して、核仁が明瞭な大型リンパ球の分裂像も多数認められます。





悪性リンパ腫との診断で、早速外科手術を実施することとしました。

まずは全身麻酔を施すため、犬用のガスマスクに入ってもらい寝て頂きます。



次いで自家製のガスマスクに顔を入れて術野の剃毛・消毒に移ります。

腫瘍がずいぶん大きいのがお分かり頂けると思います。



電気メスで細心の注意を払って、腫瘍のマージンを極力維持しながら切開をしていきます。





若干、うっ血気味の腫瘍が顔を出しました。



腫瘍に栄養を運ぶための太い栄養血管が何本も走行しています。

血管をバイクランプでシーリングしていきます。

従来は細い縫合糸で結紮していましたが、限界を感じていました。

極力、出血は回避したいので現在、このバイクランプを使用して無血手術を目指してます。









腫瘍切除後の患部です。



皮膚欠損が広い範囲に及んでいますので、細かく縫合していきます。





ガス麻酔を切って、少し意識が戻ってきたゴルダちゃんです。



全身麻酔のリスクは犬猫以上に小動物にはついて回ります。

犬猫であれば術前に血液検査を実施して、麻酔のリスクに対処できますが、ハムスタークラスになると血液検査はできませんので、水面下に潜んでいる基礎疾患を見つけることは難しいです。

長時間の手術に及ぶ場合はさらに慎重になります。

麻酔覚醒20分後のゴルダちゃんです。

しっかり動くことが出来るようになりました。





すすんで食餌も口にできるようです。



患部を自咬しないようにフェルト地のエリザベスカラーを装着します。





今回、他の組織への浸潤は認められず、分離摘出はスムーズに出来ましたが、再発の可能性はあります。

抗癌作用のあるサプリメントで、今後対応していきたいところです。

ゴルダちゃん、しばらく患部が回復するまで安静にして下さい。




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2014年6月12日 木曜日

ジャンガリアンハムスター(幼体)の断脚


こんにちは、院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ジャンガリアンハムスターのまだ生後1週足らずで、後肢が血行障害を起こし断脚せねばならなくなった症例です。


ジャンガリアン君(生後8日齢、雄)は、左後肢が腫れあがっているとのことで来院されました。

このジャンガリアン君、母ハムスターが自宅で出産した子供の内の1匹なんです。



良く患部を診ますと糸状の線維が絡みついたような跡があります。



飼い主様によると、下に敷いていた布切れのほつれた線維が絡んだのではないかとのことでした。

全長3㎝あるか否かと言うサイズの動物なので、たとえ糸が1本絡んだだけでも致命傷になることはあります。

既に患部に絡んだ線維は存在していなく、絞扼されて血行障害が認められます。

このまま壊死していくのか、それとも血流は再開するのかが悩ましい問題です。

患部の腫脹が著しいため、まずは浸透圧の差を利用して少しでも浮腫を軽減できるか、患部をブドウ糖液に浸して反応を見てみました。

患部を綿花で包みます。

綿花にブドウ糖液を含ませます。



飼い主様には綿花が乾かないよう、絶えずブドウ糖で患部を浸潤して頂くようお願いしました。



果たしてこの方法でうまく患部の腫脹は治まらないか、期待しました。

3日間、この処置をしていただいたのですが残念ながら改善するほどには至りませんでした。



このままでは患部は壊死を起こし、本人の命も危ぶまれます。

飼い主様と話し合い、断脚することとしました。

まだ生後11日齢という若年齢のため、手術には不安が残りますが実行しました。

全身麻酔は勿論、できませんので局所麻酔することにしました。



線維で絞扼されている箇所を鋏で離断します。



患部断面は離断された血管からの出血が始まりますので、焼烙します。



まだ若年齢なので、比較的止血は短時間で完了しました。

焼烙のショックで死んでしまわないか、この処置が実は一番心配でした。

思いのほか、ジャンガリアン君は頑張ってくれました。

皮膚を髪の毛よりも細い縫合糸で縫合していきます。





手術は無事完了しました。



ジャンガリアン君の術後6日目の患部です。(下写真)



患部の縫合糸が一本取れていますが、傷口は綺麗に癒合しています。

手術時と比べて被毛も生えてきて、一回り大きく成長したジャンガリアン君です。





この手術は耐えられないだろうな、と思われるようなケースでも小型齧歯類幼体は頑張ってくれることが多いです。

ジャンガリアン君は順調に成長してくれてます。

一本後肢が無くても元気です!





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2014年5月16日 金曜日

デグーマウスのアカラス感染症

院長の伊藤です。

久々のブログ更新になります。

本日、ご紹介しますのはデグーマウスのアカラス(ニキビダニ)感染症です。

アカラスについては、犬の感染例を以前コメントさせて頂きました。

アカラスは犬のみならず、ハムスター等の小型齧歯類でも感染例は多くみられます。

アカラスの伝播様式は出生直後に母親から移されます。

一度、感染が成立するとその個体の体内でアカラスは生涯を全うし、他の個体に感染することはありません。


デグーマウスのディーズ君(6か月齢、雄)は、大腿部の脱毛が拡大しているとのことで来院されました。



両大腿部外側に広い範囲で脱毛が認められます(下写真黄色丸)。





痒みも伴っているようで自咬の傾向が出ています(下写真黄色矢印)。



まずは皮膚の掻破検査を実施します。

検査対象は外部寄生虫(疥癬、アカラス等)です。

顕微鏡で検査した写真を下に載せます。



黄色丸で囲んだものが今回の犯人であるアカラス(毛包虫)です。

拡大写真です。



アカラスが根毛の中に入り込み、増殖して脱毛が進行していきます。

治療法としては、イベルメクチンの内服を処方します。

投薬から1週間後の皮膚掻破検査では、アカラスが陰性でした。

さらに4週間後のディーズ君の患部写真を下に載せます。





脱毛していた患部には被毛がふさふさと生え揃っています。

免疫力が低下した結果、アカラスは増殖します。

完全にアカラスを制圧するのは難しいとされますが、今回のディーズ君の結果は良好です。





ディーズ君、お疲れ様でした!




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