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ハムスターなど小型げっ歯類の疾病

2018年12月 1日 土曜日

ラットの脂腺癌

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ラットの脂腺癌の症例です。

ラットはいろんなタイプの腫瘍に罹患します。

遺伝的に発症する腫瘍もあれば、突発的に発症する症例もありますが、ラット自体腫瘍の多い動物種であるという感があります。


ラットのたろ君(雄、2歳5か月齢、体重470g)は右臀部の腫瘤が次第に大きくなってきたとのことで来院されました。



患部の腫瘤は直径が約3㎝ほどあります。

ラットの体格からすれば、かなり大きな腫瘤と思われます。

短期間で腫大した腫瘤であることと、膿瘍で無い点から腫瘍の可能性を考えました。

飼い主様のご要望もあり、腫瘍摘出手術の実施となりました。



いつも通りの麻酔導入箱に入ってもらい、イソフルランを流します。



麻酔導入は速やかに完了しました。



外に出てもらい、患部を剃毛します。





被毛に隠れて見えずらかったのですが、下写真黄色矢印が今回の腫瘤です。



拡大した写真です。

触診では、患部と周囲組織(特に筋肉層)との固着はなさそうです。





早速、腫瘤の麓にあたる部位から外周にかけて硬性メスを入れて行きます。



薄い被膜につつまれた腫瘤が現れました。



周囲組織からの血管浸潤があり、電気メス(バイポーラ)で止血と切開を繰り返して腫瘤を剥離します。



腫瘤に向けて栄養血管(黄色矢印)が走行しています。



止血は完了して、皮膚と腫瘤をまとめて摘出します。



これで摘出は終了です。



腫瘤摘出後の患部です。



皮膚をナイロン糸で縫合します。



縫合完了です。





全身麻酔から覚醒したたろ君です。







摘出した腫瘤です。



この腫瘤にメスで切開を入れます。



腫瘤内部は脂肪と赤血球に富んでおり、多結節状の腫瘤で形成されたに肉芽様組織です。



この腫瘤を病理検査に出しました。

下写真は中等度の倍率です。

シート状に多形細胞(類円形、短紡錘形)が増殖しています。



高倍率の像です。

多形細胞(腫瘍細胞)の一部は、細胞質が泡沫状を呈して、脂腺細胞への分化を呈しています。

病理学的な診断は、脂腺癌とのことです。



今回の腫瘍細胞は、核分裂像が多数認められる点、大小不同を示す点、明瞭な核小体を有する点などから悪性度の高い腫瘍であるとのことです。

たろ君は今後、要経過観察が必要です。



たろ君、お疲れ様でした!





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2018年11月 9日 金曜日

デグーマウスのリンパ腫

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、デグーマウスのリンパ腫です。

リンパ腫は血液の腫瘍です。

白血球中のリンパ球がガン化して発症します。

発生する部位はリンパ系組織とリンパ外臓器に分かれます。

リンパ系組織はリンパ節、胸腺、脾臓、扁桃などです。

リンパ外組織は骨髄や肺などの臓器です。

リンパ系の組織は全身に分布していますので、リンパ腫は全身どの部位でも発症する可能性があります。


デグーマウスのたけちゃん(雄、3歳、体重185g)は左の頚部に大きな腫瘤が出来て、頭部の動きもままならないとのことで来院されました。

下写真、赤矢印の部位が問題の腫瘤です。







細胞診を実施しましたが、細菌と炎症系の細胞(白血球やマクロファージ、リンパ球)が大部分を占める構成であり、腫瘍細胞は確認できませんでした。

エキゾチックアニマルの場合、腫瘤の表層部は、自ら掻破したりして細菌感染を起こしている場合が多いため、腫瘍自体が基底部に隠れている場合もあります。



腫瘍が大きすぎるということもあり、首を曲げての摂食も満足に出来ません。

少しでもたけちゃんのストレスを軽くしたいという飼主様の意向です。

結論として、腫瘍を可能なだけでも外科的に摘出するということになりました。



たけちゃんを全身麻酔します。

イソフルランで麻酔導入を行います。



この大きさの腫瘤(下写真黄色丸)になりますと前足で餌を把持することは困難と思われます。





麻酔導入が効いて来たようです。

腫瘤が大きいため、横になっても頭部が持ち上がってしまいます。





イソフルランを維持麻酔に変えて電極版の上にたけちゃんを乗せます。

腫瘍で顔面が隠れてます。



電気メス(モノポーラ)を使用して腫瘤の外周から皮膚を切開して行きます。



続いてバイポーラを使用して皮下組織を止血・切開します。





表層部の腫瘤(下写真黄色矢印)は硬結した脂肪組織のようです。

その下の腫瘤層(下写真白矢印)は血管に富んだ脆弱な組織です。



この脆弱な腫瘤の裏側には太い動脈が走行していましたので、バイクランプでシーリングします。



さらに続いて、バイポーラで切除を続けます。




切除出来る範囲の腫瘤を摘出完了しました。

すぐ下には頸静脈が走行しています。



思いのほか、根深い腫瘤でしたので広範囲の皮膚を切除することとなりました。

そのため、皮膚縫合のための縫い代を十分に取るため、皮膚と皮下組織の間を外科剪刃で鈍性に剥離していきます。



耳根部にまで切除域が及んでいます。



5-0ナイロン糸で皮膚を縫合します。



縫合部の緊張が高いと皮膚が簡単に裂けてしまうため、かなり細かく縫合します。







皮膚縫合は終了です。



麻酔から覚醒直後のたけちゃんです。



縫合部の血行障害もなさそうです。




摘出した腫瘤です。

直径5㎝ほどありました。

下写真は腫瘤の表層部です。



腫瘤の裏側から見た写真です。





病理検査に出した結果、大細胞型リンパ腫との診断でした。



高倍率の写真です。

独立円形細胞腫瘍が認められます。

核仁が明瞭で、核の大小不同を示しています。

核の分裂が非常に活発で増殖活性の高い腫瘍であるため、摘出した患部の局所再発は免れないであろうとの病理医からのコメントを頂きました。

加えて、体腔内臓器への腫瘍の波及も考慮する必要があります。



たけちゃんの術後経過は患部の疼痛のためか、食欲不振が認められました。

縫合部が広範囲にわたってるため、縫合糸で口が引っ張られて、左側の開口運動がしづらそうです。

大きな腫瘍を摘出できたので、四肢の動きは円滑に出来るようになりました。





残念ながら、術後4日目にして、たけちゃんは逝去されました。

リンパ腫ですから体腔内に腫瘍の転移もあったでしょうし、手術前までギリギリのところで頑張っていたのだと思います。

今回はリンパ腫という全身性の腫瘍ですから、外科的な皮膚腫瘍摘出で全ての治療が終了とはいきません。

おそらく、たけちゃんの術後経過が良好でも、化学療法が必要となったと思われます。



とにかく小さくても腫瘍の可能性を感じられたら、病院を受診して下さい。

小さなエキゾッチクアニマルであるほどに、早めの対処をすべきだと思います。

何しろ、犬の体表面積の何十分の1という小さな動物達です。

特に外科的摘出で解決できる腫瘍であるほどに、小さなサイズの腫瘍であれば、腫瘍の種類によりますが完治の可能性はあります。






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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2018年5月30日 水曜日

ジャンガリアンハムスターの頬袋脱出(その2)

こんにちは 院長の伊藤です。

蒸し暑い日が続いてますが、これから熱中症のペットが来院する時期となります。

ペットの飼育環境を改めて見直し、高温多湿な環境を改善して頂くことで熱中症対策して下さい。


さて、本日ご紹介しますのはハムスターの頬袋脱出(頬袋脱)です。

以前にも、この頬袋脱をご紹介させて頂きました。

興味のある方はこちらをクリックして下さい。


ジャンガリアンハムスターのおもちちゃん(約1歳、雌)は頬袋が飛び出して戻らなくなったので来院されました。

下写真の黄色丸は脱出した頬袋を示します。



頬袋は食べた物を一時的に溜めこんでおく袋です。

順次、食べた物を頬袋から口腔内に出して咀嚼・嚥下します。

頬袋に入れた食物の量が多かったりすると、靴下を裏返すように頬袋の内面が口腔外へ脱出します。

この状態を頬袋脱と呼びます。



頬袋脱は脱出したばかりであれば、綿棒などを利用して元に戻すことが可能です。

脱出して数時間以上経過しますとハムスター自身が頬袋を気にして齧ったり、あるいは頬袋が血行障害を来して浮腫を招きます。

こうなってくると食欲が無くなり、自傷で受傷した部位から細菌感染を受けて治療が必要となります。



おもちちゃんの場合は、頬袋を整復処置をしても再脱出しました。

脱出してからの経過時間から、頬袋を切除することとしました。

全身麻酔を施します。



下写真のアングルから見ますと頬袋脱が良く分かると思います。



麻酔導入が完了しました。



自家製マスクで維持麻酔をします。

モノポーラ(電気メス)で患部を切除しますので、アースとしての電極板をおもちちゃんの体の下に敷きます。





脱出した頬袋を鉗子で牽引します。



モノポーラで慎重に頬袋を切除します。



特に大きな出血もありません。





脱出した頬袋を離断しました。



患部は浮腫を呈しており、切除部には漏出液が貯留しています。



鉗子で切除後の頬袋を口腔内に押し戻します(黄色矢印方向)。



整復後の右側口周りは、若干の腫脹が認められます。



切除した頬袋です。





麻酔から半覚醒したおもちちゃんです。





頬袋を切除した後、頬袋は再生します。

特に切除部を縫合しなくでも癒合するため、おもちちゃんはこの状態で経過観察します。

暫くは抗生剤や鎮痛剤の内服をして頂きます。

その後の経過は良好です。

おもちちゃん、お疲れ様でした!





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2018年4月 6日 金曜日

ラットの線維腫

こんにちは 院長の伊藤です。

4月を迎えて、当院もフィラリア予防、狂犬病ワクチンの接種や春の健康診断などのイベントがあり、飼主様の受診までの待ち時間が長くなり、ご迷惑をおかけしております。


さて、本日ご紹介しますのはラットの線維腫です。

ラットの皮膚の腫瘍の中では、比較的一般的に発症するものです。

ラットのおこめちゃん(1歳3か月、雌、体重300g)は左前肢の腋下から上腕部に向けて腫瘤が出来たとのことで来院されました。





細胞診を実施したところ、マクロファージを主体とした炎症細胞の出現との診断を病理医から受けました。

しかしながら、その後1か月の間にも腫瘤は増大し、腫瘍の疑いも否めなくなりました。

飼い主様との話し合いで、結局のところ外科的に摘出することとしました。

いつものことですが、患部の細胞診と摘出組織の病理所見とは食い違うこともあります。

摘出後の腫瘤は病理検査に出すこととしました。


おこめちゃんに全身麻酔を施します。



麻酔導入箱におこめちゃんに入ってもらい、イソフルランを流します。



下写真の黄色丸に腫瘤が認められます。



麻酔導入が終了して、維持麻酔に変えます。



改めて、黄色丸が患部になります。



被毛を剃毛すると比較的大きな腫瘤であることがお分かり頂けると思います。



おこめちゃんの小さな体にたくさんのコードを装着しています。

これも生体情報(心電図、血中酸素分圧、血圧など)をモニターするために必要です。



皮膚を電気メスで切開して行きます。



腫瘤の大きさに合わせて、皮膚もマージンを十分取って切除したいのですが、患部が腋下から上腕部にかけてのエリアなので最小限に留めました。



腫瘤を鉗子で把持して上方に牽引します。



腫瘤と皮下組織を気を付けながら、バイポーラで剥離していきます。







下写真のように腫瘤へ栄養を運ぶ太い栄養血管が認められます。



大きな出血もなく無事、腫瘤を摘出しました。



摘出後の患部です。

皮下組織に腫瘤の浸潤は留まっていました。



皮膚縫合をして終了です。






ラットの場合、覚醒後の動きが素早く点滴も困難なため、皮下輸液を施します。



麻酔覚醒後のおこめちゃんです。



覚醒は速やかで手術は無事終了です。



摘出した腫瘤です。

2×2×2.5cmの大きさがありました。

ラットの小さな体からすれば、比較的大きなサイズの腫瘤です。





病理組織の所見です。

低倍率(40倍)の顕微鏡画像です。



中等度(100倍)の顕微鏡画像です。



高倍率(400倍)の画像です。

病理学的な診断名は線維腫でした。

線維腫の組織学的特徴は、成熟した線維細胞ないし線維芽細胞が豊富に膠原線維(コラーゲン)を産生しながら増殖します。

その膠原線維の配列は方向性が明瞭で、線維の束が織り込まれたような(花むしろ状)配列や渦巻き状の配列が見られることもあります。

線維腫は発育の遅い腫瘍で、完全摘出により治癒する良性腫瘍です。

今回のおこめちゃんの所見は、繊維芽細胞に類似した軽度の多形性は認められるものの、異型性に乏しい紡錘形細胞の錯綜状な増殖が認められました。

繊維芽細胞由来の良性腫瘍なので、摘出は完全であり、良好な予後が期待されるとの病理医からのコメントを頂きました。



おコメちゃん、お疲れ様でした!






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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2017年5月25日 木曜日

ラットの紅い涙

こんにちは 院長の伊藤です。

蒸し暑い日が続きますが、当院ではすでに熱中症の患者さんも来院されるようになりました。

涼しい環境でペットのお世話をしていただくようご注意下さい。


さて本日ご紹介しますのは、ラットの紅い涙です。

キリスト像の血の涙でもあるまいし、宗教的な話題でもありません。

ファンシーラットのぽっけちゃん(雌、8か月)は眼から紅い涙を流しているとのことで来院されました。

診る限り眼球や瞼の外傷は見当たりません。



下写真黄色丸が赤い涙が流れた後です。



眼球を洗浄しました。





瞼周辺の紅いものも一緒に拭き取ってみます。



一見すると血液の様に思えますが、実はこれはラットによく現れるポルフィリンの涙です。



ぽっけちゃんは眼の周辺を洗浄すると特に問題はありません。





ポルフィリンとは有機化合物でピロールが4つ組み合わさって出来た環状構造を持つ物質です。

古代から使用されてきた貝紫(ポルフィラ)がその名の由来とされてます。

このポルフィリンはハーダー氏腺(涙腺と同様に存在する眼の分泌腺)から分泌されます。

正確には、このポルフィリンはhematoporphyrinという誘導体で光と反応して赤色を発する特性があります。

hematoporphyrin誘導体は現在、腫瘍に対する光線力学療法に用いられてます。

この誘導体は腫瘍細胞によく吸収される性質があり、光を当てることで活性化して腫瘍細胞を殺傷する効果が認められてます。


一般的には、ラットはストレスが溜まると紅い涙を流すとされます。

ストレス時にハーダー氏腺からのポルフィリン分泌量が増えるようです。


下は、ポッケちゃんに次いで同じく赤い涙で来院されたおこめちゃん(雌、10か月)です。



黄色丸の箇所は同じく赤い涙の流れた跡が分かります。






ポルフィリンはウサギでも尿中に排泄されて赤色尿・血尿と間違われることがあります。

ラットの場合は分泌されるのがハーダー氏腺という眼の分泌腺にため、血の涙もしくは鼻涙管を通じて鼻血という形で気づかれることが多いです。

いずれにしても、疾病ではありませんのでご心配なく!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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