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異物誤飲/犬

2020年8月15日 土曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(化粧用パフ)

こんにちは 院長の伊藤です。

暑い日が続きますが、皆様のペット達は元気にお過ごしでしょうか?

本日もアーカイブシリーズとして犬の異物誤飲の症例をご紹介します。

今回は、化粧用のパフを誤飲されてしまったマルチーズです。




こんにちは 院長の伊藤です。

4月からの繁忙期にかまけて、ブログの更新が1か月近くできずにいました。

院長は再度入院したのかと心配される飼主様もおみえで、ご心配おかけしました。

私もスタッフも元気で、臨床の現場で日々精進しております。

その間、疾病の紹介ネタが溜まりに溜まりまして、これから順次ご紹介させて頂きたいと思います。


さて、本日ご紹介しますのは、犬の異物誤飲シリーズの第14弾目になります。

これまでにも様々な犬が誤飲する異物をご紹介してきましたが、今回は化粧用のパフです。

マルチーズのひなちゃん(雌、5か月、1.9kg)は飼主様の化粧用パフを食べてしまったとのことで来院されました。





パフの大きさは5㎝位はあるかもしれません。

嘔吐させる薬を飲ませて、口から吐出させるにはちょっと厳しいように思えます。

ひなちゃんは体重が2kgもありませんので、もし嘔吐剤を投薬して食道で閉塞してしまったら大変です。



早速、レントゲン撮影を実施します。

下のレントゲン写真の黄色丸が誤飲したパフと思われます。

胃内の大部分をパフが占めている感があります。





このような場合は、最善策として胃切開を選択します。

まだ5か月令の幼犬なので、可哀そうに思われるかもしれませんが胃の中で異物が停留している時が摘出のタイミングとしてはベストです。

飼い主様の了解をいただき、胃切開手術を行います。

ひなちゃんに気管挿管をしてガス麻酔をかけます。



メスを入れる部位を剃毛して消毒してます。



麻酔に関わる生体情報をモニターで確認します。





メスを入れて皮膚切開をします。



胃を体外に出します。

若いだけあって、非常にきれいな胃です。

この時、胃体を支持するために縫合糸をかけます。



パフが存在すると思われる箇所にメスを入れます。



切開した部位は極力小さく留めます。

患部から鉗子を入れてたところ、弾力性のある異物を確認しました。

パフと思しき物体を鉗子で把持します。

下写真にあるようにパフが胃から頭を出し始めています。





胃の中はパフでその内腔は一杯になっています。

胃切開が正解でした。





パフを胃から摘出しました。



次に切開した胃を縫合していきます。

縫合糸はモノフィラメントの吸収性縫合糸を使用します。

縫合は丁寧に確実に行います。





これで胃縫合は終了です。

胃を腹腔に戻し、腹筋と皮下脂肪、皮膚を順次縫合していきます。



下は皮膚縫合した手術終了時の写真です。



ひなちゃんは術後の経過も良好です。



胃切開術後は24時間は絶飲食が必要で、その間は点滴を行います。

この手術は酸塩基平衡や電解質のバランスが崩れやすいので、しばらく点滴と流動食で対応していきます。

下写真は摘出したパフです。



生後1歳未満は、どんなものにも興味を持ちます。

特に飼主様が身につけたり、匂いが付いているものは口に入れたいという衝動を持ちます。

今回のパフはその最たるものでしょう。

飼い主様がその場を見ているから、今回速やかな対応が取れました。

これが一人で留守番中であれば、こちらも確信が持てないので、バリウムを飲んでもらい消化管造影をして精密検査になったりする場合もあり得ます。

まずは、ワンちゃんの口の届く所に興味を持つ物体、特に誤飲したら問題を起こしそうな物は置かないことです。

ひなちゃん、お疲れ様でした。








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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2020年7月25日 土曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(ボール)

本日もアーカイブシリーズです。

引き続いて犬の異物誤飲です。

ボールを誤飲してしまったラブラドルレトリバーのお話です。

大型犬で食道も太いため、嘔吐剤を投与して異物を吐き出すことが出来た症例です。

全ての犬種に該当できる治療法ではありません。

状況に応じて外科的に開腹して摘出するか、内視鏡で摘出するかという選択が必要となります。





こんにちは 院長の伊藤です。

本日は久しぶりの異物誤飲の症例をご紹介します。

ラブラドルレトリバーのバル君(雄、2歳6か月、体重27kg)は遊んでいてボールを飲み込んでしまったとのことで来院されました。



飼い主様の見てる前での行動ですから、誤飲は間違いありません。

早速、レントゲン撮影をしました。

下写真の黄色丸がボールです。

柔軟性を持った柔らかな素材のボールのようです。

ボール内の空気が抜けてつぶれて胃の中に納まっています。





レントゲン画像からその大きさを測定すると約8cmの直径です。

バル君の体格で、柔らかな素材(ビニールやゴム)の場合であれば、催吐剤を使用して吐かせることは可能です。

嘔吐させるつもりが、食道あたりでボールが詰まってしまうと逆効果となります。

異物誤飲の場合は嘔吐剤で吐かせるか、あるいは胃切開で外科的に摘出するか、誤飲した異物の大きさと材質、犬の体格や気質などを総合的に判断して対応させて頂きます。



バル君に催吐剤を飲ませて、5分くらいでいきなり嘔吐が始まりました。



胃液と共にボールが出て来ました。

バル君は特に苦悶するわけでもなく、簡単にボールを吐き出すことに成功しました。

吐きだせなければ、最終的には胃を切開してボールを摘出しなくてはなりません。

スタッフ共々、ホッとしました。



バル君自身は異物を飲み込んだことに対する反省はなさそうです。





今回飲み込んだボールです。

大型犬になると10cm位の異物なら簡単に飲み込んでしまいます。




過去の患者様で、異物誤飲で3回胃切開や腸切開をして摘出手術をした症例があります。

犬自身は、異物誤飲の怖さを認識できません。

やはり、飼主様が犬の口の届く範囲に異物を置かないようご注意して頂くしかありません。

現在は、屋外よりも室内犬が圧倒的に多い飼育環境となってますから、なおのことです。

一度、異物誤飲した犬は2度、3度と繰り返すということをお忘れなきようお願い致します!

バル君は催吐剤の使用で胃の中が荒れることが予想されますので、胃粘膜保護剤を投薬させて頂きます。



すっきりした顔でご帰還のバル君でした。




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2020年6月12日 金曜日

アーカイブシリーズ 犬の異物誤飲(焼き鳥の串)

アーカイブシリーズを本日も掲載させて頂きます。

8年ほど前に当院HPに掲載した文章です。

今回は焼き鳥の串です。

場合によっては、胃や腸を穿孔して腹膜炎を引き起こしたりしますので、怖い異物です。





犬の異物誤飲シリーズ、今回で5回目になります。

こんなものまで食べてしまうの?

とブログをご覧いただいた飼主様から意見をいただくことがあります。

我々からすると信じがたい物まで犬は口にします。

犬の異物誤飲につきましては、今後も症例をあげつつ、飼主の皆さまにも注意を喚起する意味で継続させて頂きたく思います。


さて、今回は焼き鳥の串を半分齧って、そのまま飲み込んでしまったミニチュア・ダックス君の症例です。

飼い主様の見てる前で、串を飲み込んでしまったとのこと。

何か分からないけど嘔吐が続いてる、とか食欲不振が続いている等の症状から、各種精密検査をして、異物誤飲まで絞り込んでいく手間が省けます。

早速、全身麻酔をして胃を切開しました。





胃を出した瞬間にすでに黄色矢印に示すように胃を内側から圧迫している異物が存在していることに気づきます。

その部分に注意深くメスを入れます。





胃切開と同時に飛び出してきたのが、飼主様の申告通り、半分に折れた焼き鳥の串でした。



長さが約6cmの串です。

状況にもよりますが、最悪この串が胃を穿孔して、横隔膜を貫いて心臓を傷つけることだってあり得ます。



胃切開した箇所も最小限にとどめることが出来ましたので、二重縫合を実施して胃を閉鎖しました。









結果として、正味30分ほどで手術は完了しました。

ダックス君にしても最小のストレスで済んだ手術と思います。




先端恐怖症の方は、この串等の誤飲は想像しただけで最悪と思われるでしょうね。
 

 
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2019年6月27日 木曜日

犬の異物誤飲(その19)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、犬の異物誤飲の症例です。

当院のHP上に犬の疾病で異物誤飲シリーズを載せています。

今回は19回目の異物誤飲紹介となります。

犬がどんな異物を誤飲するかを皆様に知って頂き、誤飲予防の一助になればと思います。



柴犬の豆太君(2歳5か月齢、去勢済、4.3kg)はおやつ用のペーストを塗りつける芯棒(スティック)をかみ砕いて誤飲してしまったとのことで来院されました。



約4㎝位のプラスチック製の芯棒とのことです。

早速、レントゲン撮影を実施しました。

レントゲン写真の黄色丸が胃を示します。



特に下写真の側臥像で胃内(黄色丸)の横に波線の入った異物が存在しているのがお分かり頂けると思います。



今回、誤飲したと申告のあった異物の形状に非常に酷似してます。

異物の大きさから恐らくは十二指腸まで降りることは不可能です。

結局、胃を切開して異物を摘出することとなりました。

豆太君を全身麻酔します。





剣状突起直後から臍までをメスで正中切開します。



切開線直下に胃が垣間見えます。



胃を牽引したところです。

胃内には硬い異物が触知できます。



下写真のとおりに胃の漿膜面(外側部)に異物の波状の横線が浮かび上がって描出されています。



レントゲンで撮影した通りの長軸が4㎝位の異物です。



胃体部で血管走行の少ない部位にメスを入れます。



メスを入れた部位から外科鋏で胃の漿膜・筋層・粘膜面(全層)をカットしていきます。



胃の創面部を鉗子で優しく把持し広げます。



胃内に黄色を帯びた異物が認められます。



当初、簡単に摘出できると見積もっていたのですが、胃の粘膜面に異物のヒダが食い込んで、思うように摘出が出来ません。



なるべく胃の切開ラインは広げることなく異物を取り出したいのですが、力を加えて牽引すると胃が裂けそうな感じです。





時間を掛けながら、慎重に少しづつ異物を胃内から引き出しました。



やっと摘出出来ました。



次に胃の閉鎖を行います。

胃切開した部位は二重縫合で閉鎖します。

私の場合、まず第一層目は単純連続縫合を行います。

下写真がその単純連続縫合です。

漿膜、筋層、粘膜下織まで全層貫通して針を入れます。





単純連続縫合が終了したところです。



次に第二層目は、結節レンベルト縫合を実施します。

漿膜・筋層までに針を入れて縫合します。







これで胃の閉鎖は終了です。

二重縫合法は創部の止血・漿膜の接着に優れているとされます。



合成吸収糸で腹膜・筋肉層を縫合します。



最後に皮膚をナイロン糸で縫合します。



これで豆太君の手術は終了です。



全身麻酔から覚醒したばかりの豆太君です。





スティックに塗布するペーストがおいしくて、スティックの先端部をまるごと噛み切って誤飲したようです。

この異物のヒダ状の形状もあって、胃の粘膜面にしっかり食い込んでいました。

早急に胃切開で摘出できて良かったと思われます。



下写真が摘出した異物です。



綺麗に洗浄した後の異物です。



豆太君は経過良好で1週間後に退院されました。


術後2週間目に抜糸で来院された豆太君です。



異物誤飲は飼主様の責任です。

異物をペットの口の届く場所の置かないこと、摂食する機会をなくすことを心がけて下さい。

当院の患者様で、異物誤飲で3回摘出手術を実施したケースがあります。



豆太君、お疲れ様でした!





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2016年10月26日 水曜日

犬の異物誤飲(その17 軍手・ヘッドホンのイヤーパッドetc.)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、異物誤飲の症例です。

毎回、各種の異物を犬は誤飲しますが今回は大型犬です。

大型犬の場合、一度に多量の異物を誤飲してしまうケースも多く、また常習的に誤飲する犬もいます。


シベリアンハスキーのホクト君(雄、10歳8か月)は軍手を飲み込んだとのことで他院にかかっていたのですが、嘔吐が続き良くならないとのことで当院を受診されました。



飲み込んだ異物にもよりますが、長い時間そのままで放置することは危険です。

エコー・レントゲンでお腹の中を確認しました。



下はレントゲン写真ですが、黄色丸の胃内には何か異物が存在しているのは明らかです。

加えて黄色矢印が示している十二指腸から空回腸の領域にはガスが貯留しています。



下写真は側面の状態ですが、黄色丸の胃には線維状の異物があるようです。

さらに赤丸の空回腸にはまた別の異物があるようです。



ホクト君は異物を誤飲してから数日は経過しているそうなので、早速試験的開腹を行うこととなりました。

気管挿管を行います。



大型犬のシベリアンハスキーなので手術台から頭一つ分はみ出してしまいます。





上腹部からメスを入れていきます。



最初に胃からアプローチします。

下写真の中央部に見えるのが胃です。

胃の4か所に支持糸をかけて胃にテンションを与えます。



血管があまり走行していない部位にメスを入れます。



胃切開直後に出てきたのは、黒い物体です。

摘出後に分かったのですが、ヘッドホンの耳当て(イヤーパッド)でした。



次に出てきたのは、飼主様も誤飲を認識していた軍手です。







この軍手を摘出して胃内はスッキリしたのですが、まだ胃内に硬い線維が触知されました(下写真黄色矢印)。



この線維は十二指腸へと入り込んでおり、空回腸まで及んでいるかもしれません。

十二指腸にメスを入れ、この線維の断端を鉗子で把持します。





ついでさらに下に位置する空腸近位端を引き出します。

写真にありますように空腸は中に入り込んだ線維物により、アコーディオンカーテンのように引っ張られて固まっています。



この空腸に切開をして、内容物を摘出することとしました。

このような線維状の異物を線状異物といいます。

ホクト君は腸閉塞の状態にあります。

線状異物は腸を強い力で牽引して、腸の粘膜を傷害します。

場合によっては、腸が壊死を起こすこともあり慎重に摘出します。



数か所にわたり、空腸を切開して線状異物をリレー式に摘出します。



随分長い繊維が空腸まで降りていました。



メスを入れた複数個所を縫合します。



空回腸の腸間膜には下写真の黄色矢印にします点状出血が認められます。

線状異物により牽引された空回腸及び腸間膜の血管が破たんして出血したものと思われます。



胃も縫合します。



腹腔内を何回も洗浄して閉腹します。

手術終了後のホクト君です。





摘出した胃腸内異物です。



下の黒い物体がヘッドホンの耳当てです。



軍手です。



下写真の黄色丸が空回腸までダメージを与えた線維状の異物です。

ボロボロになった雑巾の端切れのようです。



これらの異物は胃腸内で長らく停留すれば、胃腸に障害を与えますし、腸内フローラを乱して腸内発酵を生じます。

その結果、腸内細菌の産生する毒素により腸性毒血症を引き起こし、ショック症状に至る場合もあります。

なぜこのような異物を摂食するのかは犬自身の性格や本能に根差す部分もあると思います。

しかしながら、口の届く範囲に食べて問題を起こしそうな物体は下げておくこと。

これが一番大切なことです。

異物誤飲は飼い主様の責任です。



退院時のホクト君です。

お疲れ様でした!








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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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