アーカイブシリーズ

2024年5月22日 水曜日

ハリネズミの卵巣腫瘍(性索・間質性腫瘍)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ハリネズミの卵巣腫瘍です。

今年の4月、5月はハリネズミの腫瘍摘出手術(特に子宮腫瘍)が集中してありました。

連日のようにハリネズミの開腹手術となりました。

ハリネズミは本当に腫瘍が多い動物種だと再認識します。



ヨツユビハリネズミのみんとちゃん(3歳8か月齢、雌)は血尿が酷いとのことで来院されました。

以前、みんとちゃんは当院で乳腺癌の摘出手術を受けました。

ハリネズミの乳腺癌に興味のある方はこちらをクリックして下さい。



下写真はみんとちゃんの一回分の尿(血尿)です。



出血量も多く、元気食欲のないみんとちゃんです。



みんとちゃんの年齢、症状から産科系の疾患はまず疑いないと判断しました。

1年ほど前に乳腺癌の手術を受けられてから、また別件での手術となると飼い主様的にも悩まれるところだと思います。

しかし、子宮腺癌が絡んでいますと時間の問題です。

飼い主様にもご決断頂き、開腹手術を行うこととなりました。

イソフルランによる導入麻酔を行います。



少しずつ、麻酔が効いてきます。





麻酔導入が出来たところで、外に出て頂き維持麻酔に変えます。



生体モニターのためにセンサーを接続し、切開部を消毒します。





手術の準備が出来ました。



皮膚の正中部にメスを入れます。



皮下脂肪を切除します。

軽く腹部を圧迫しただけで、みんとちゃんの陰部からは出血が認められます(下写真黄色丸)。



腹筋にメスを入れます。



腹膜を切開したところで、尿が溜まった膀胱(下写真黄色矢印)が飛び出してきました。



続いて膀胱の隣に子宮が確認できます。

子宮が貧血色を呈しているのがお分かり頂けると思います。



膀胱がこのままですと背側面に位置する子宮の摘出が困難になりますので、膀胱を穿刺して尿を吸引します。



下写真は卵巣と子宮の全容です。

赤矢印は左卵巣(うっ血色)、青矢印は右卵巣(のう胞状)、白矢印は子宮壁漿膜面に発生した白色の腫瘤です。

この3点がまず異常所見として認められました。



注意深く左卵巣をバイクランプでシーリングしていきます。





シーリングした卵巣動静脈をメスで離断します。





同様に、右の卵巣動静脈もシーリング後に離断し、子宮頚部を縫合糸で結紮します。







私の場合は、子宮頚部を2か所にわたり結紮します。



次いで、子宮頚部をメスで離断します。



子宮頚部断端を吸収糸で縫合し、卵巣子宮全摘出は完了です。



次に腹筋を縫合します。



最後に皮膚を縫合して手術は完了です。



下写真をご覧いただくとお分かり頂けると思いますが、陰部から出血が激しく下のタオルが赤く染まっています。





出血量の補正のために皮下にリンゲル液を輸液します。



ほどなく、みんとちゃんは麻酔から覚醒し始めました。






大変な手術でしたが、頑張ってくれました。






さて、今回摘出した卵巣と子宮です。

開腹している写真で示した矢印の色と合わせてあります。

左卵巣(赤矢印)の腫大が著しく、うっ血色を呈しています。

右卵巣(青矢印)は腫大傾向を示しています。

白矢印は子宮角漿膜から派生している腫瘤です。



裏側からみた写真です。



側面の写真です。



病理所見としては、みんとちゃんの子宮は内膜が肥厚してポリープを形成していました。

ポリープの一部は子宮内膜間質肉腫という腫瘍細胞が見つかりました。

下写真は子宮内膜が過形成されている病理写真(低倍率)です。



子宮内膜に生じたポリープの中拡大像です。



下は上述写真の白矢印(子宮角部)を拡大した写真です。

低悪性度の平滑筋肉腫の腫瘍細胞が認められます。



下は上述写真の赤矢印で示した左卵巣の写真(低倍率)です。

左卵巣には血液を含んで拡張した嚢胞様構造が認められます。



下写真は左卵巣(中拡大像)です。

この左卵巣には大型類円形・多角形細胞がシート状に増殖しています。



下は上写真の強拡大像です。



犬のライディッヒ細胞腫に近似した細胞の所見(大型類円形、多角形細胞のシート状増殖)が認められました。

ライディッヒ細胞腫について興味のある方は、こちらをクリックして下さい。


みんとちゃんの左卵巣は性索・間質性腫瘍という卵巣腫瘍でした。

性索・間質性腫瘍の中でもさらに間質細胞腫瘍というタイプに分類されるようです。

この間質細胞腫瘍はステロイドホルモンを産生することもあり、結果としてエストロゲン過剰症や雄性化、長期にわたる無発情などの臨床徴候が現れることがあります。

ただこれは犬の卵巣腫瘍における知見であり、ヨツユビハリネズミにおいてはまだはっきり分かっていません。

ちなみに右卵巣は正常所見でした。

みんとちゃんの場合は、左卵巣の性索・間質性腫瘍、子宮内膜過形成及び子宮内膜ポリープ、低悪性度平滑筋肉腫という疾患であったことが判明しました。

病理医から卵巣・子宮摘出は完全であり、予後は良好であろうとコメントを頂きました。

いずれにせよ、今後は要経過観察です。



退院時のみんとちゃんです。

元気食欲も戻り、無事退院できて良かったです。







次いで、退院後2週目のみんとちゃんです。



本日は抜糸のため、来院されました。




傷口も綺麗に治っています。



みんとちゃん、お疲れ様でした!





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2024年5月21日 火曜日

ウサギの腹腔内膿瘍

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのはウサギの腹腔内膿瘍です。

膿瘍とは、細菌感染によって限局された組織間隙に膿が貯留した状態を指します。

特にウサギの免疫系は、細菌に限らず異物に対しても可能性反応を示し、乾酪様(チーズ様)の膿を形成して癒着を生じやすいとされています。

そして、その結果として厚い壁を持つ膿瘍を形成します。

今回のウサギは腹腔内に膿瘍が形成された症例です。


ホーランドロップのポロン君(雄、4歳、体重1.8kg)はお腹に出来物があるとのことで来院されました。





触診では下腹部に4~5㎝の腫瘤が認められました。

早速、レントゲン撮影を行いました。

下写真2枚の黄色丸はその腫瘤を示します。

中心部に石灰化した8㎜程の塊が認められます。





腫瘤が胃や腸を圧迫している感があります。

ポロン君は食欲が落ちてきているとのことです。

腫瘍かもしれないし膿瘍かも知れないのですが、いずれにせよ試験的開腹の目的で外科手術を飼主様に勧めさせて頂きました。

イソフルランのガス麻酔を実施します。





下写真の黄色丸は腹腔内の腫瘤です。

真上と真横から見た状態でも、腫瘤が盛り上がっているのが分かります。





これから開腹手術に入ります。



皮膚を切開します。



続いて腹筋を切開します。



開腹後、すぐ飛び出してくる空回腸ですが、慎重に腸を確認します。



少し奥まったところに腫瘤が見つかりました(黄色矢印)。



腫瘤を外に出しました。

空回腸から結腸に移行する部位にこの腫瘤が存在していました。




腫瘤は明らかに膿瘍で、粘稠性のある黄色を帯びた内容物が納まっています。





過去のウサギの腹腔内膿瘍は、腸に癒着した状態がほとんどです。

しかし、今回は下写真のように、完全に独立した膿瘍に血管を含んだ軟部組織が繋がっていました(黄色矢印)。



当初、膿瘍に繋がっている軟部組織は空回腸から分かれたものかと疑っていたのですが、膿瘍に栄養を運んでる血管を保護している脂肪組織でした。



止血のため、この栄養血管を結紮します。





結紮後、鋏で膿瘍と軟部組織とを離断します。



離断面からは特に出血や腸内容物の漏出は認められません。



その他に、腹腔内の膿瘍がないかチェックします。



特に膿瘍はありませんでした。



合成吸収糸で腹筋を縫合します。



皮膚を縫合して手術は終了です。



膿瘍摘出後のレントゲン像です。

下写真には、手術前に認められていた石灰化した部位を含む腫瘤は存在しません。





ガス麻酔を切り、覚醒を待ちます。



麻酔から覚醒したポロン君です。





摘出した膿瘍です。





内容を確認するため、硬性メスで切開しました。



膿瘍の内容はチーズ様の粘稠性の高い膿でした。

特に被毛や糞塊は認められません。



ウサギの腹腔内膿瘍は異物を摂取して、腸管を穿孔し、漏出した腸内容物が膜性の厚い壁を形成します。

今回、ポロン君がどんな異物を摂取したのかは不明です。

一般的にはウサギの場合、異物として壁紙や被毛が挙げられることが多いです。

幸いなことに腸管と膿瘍が癒着することなく、独立して膿瘍が存在していたため、容易に離断することが出来て幸いでした。



下写真は、術後2週間経過したポロン君です。

術後は、快食快便で体調も良好です。

早急に摘出手術に踏み切れて良かったです。

大きな膿瘍ほど、体を抱いたときに腹部を圧迫して膿瘍が破裂した場合、腹膜炎を引き起こして危険な状態になる可能性もあります。



ポロン君、お疲れ様でした!





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2024年5月19日 日曜日

ウサギのスナッフル

こんにちは 院長の伊藤です。

ウサギの鼻炎・副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの原因による鼻汁の排出スナッフル(snuffles)と呼びます。

加えて、切歯や前臼歯の根尖炎症に伴う鼻腔の閉塞で生じるくしゃみの症状も称してスナッフルと言います。

このスナッフルは病名ではなく、一症状を指しています。

スナッフルの原因とされるのは Pasteurella multocidaBordetella bronchiseptica 等の細菌感染です。



症状としては、くしゃみを連発し、初期症状は漿液性鼻汁や異常な鼻音、流涙・結膜炎が認められます。

さらに病状が進行しますと、鼻汁は粘性を帯びた白色鼻汁となります。

下写真はスナッフルで治療中のウサギです。

白色鼻汁が被毛にこびりついています(黄色丸)。







鼻炎から鼻涙管へ炎症が及ぶと涙が過剰に溢れ、眼周辺の被毛が絶えず濡れるようになります(上写真黄色丸)。


下写真は別のウサギです。

同じくスナッフルの症状を示しています。



膿性の鼻汁が鼻孔周囲に付着しています。



ウサギは基本が鼻呼吸です。

スナッフルで鼻炎が進行して、鼻腔内が膿性の鼻汁で一杯になりますと鼻呼吸がスムーズにできなくなり、ストレスが溜まります。

結果として、食欲不振につながります。

慢性化する症例も多く、鼻甲介と呼ばれる鼻の奥のヒダ状の骨構造が炎症で融解すると治療は困難になります。

結局、抗生剤、消炎剤、蛋白分解酵素剤を投与して経過をみていきます。

ネブライザーによる噴霧治療も推奨されています。

いづれにせよ、スナッフルは初期のステージで完治に持っていきたい疾病です。

反復性のくしゃみが続くようなら、お早めに受診して下さい。






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2024年5月17日 金曜日

ウサギの前縦隔疾患(胸腺腫の疑い)

こんにちは 院長の伊藤です。

ウサギは色々な疾病にかかりますが、比較的胸部疾患は少ないとされます。

ウサギは草食獣であるため、全体腔内で消化器が占める割合が非常に大きく、胸郭はわずかなスペースしか取れていません。

そのため、一たび胸部疾患になりますと呼吸困難から重篤な症状になることが多いです。


本日ご紹介しますのはウサギの前縦隔疾患、特に胸腺腫の疑いの1例です。

胸腺とは、T細胞というリンパ球の大部分を占める免疫細胞を産生する組織で、心臓の上に位置しています。

ヒトではこの胸腺は思春期に最大になり、60歳以降は消失する組織です。

一方、ウサギでは成獣になっても退縮することなく遺残します。

この胸腺が腫瘍化する疾患を胸腺腫と言います。


本日ご紹介しますのは、ウサギのちゃちゃ丸君(6歳、雄、雑種)です。

ちゃちゃ丸君は突然、呼吸困難に陥り来院されました。



一般にはウサギは鼻で呼吸をしますが、呼吸困難になってきますと開口呼吸を始めます。

ちゃちゃ丸君は、肩で呼吸をしており、今にも開口呼吸が始まりそうです。

下写真をご覧いただくと、ちゃちゃ丸君の両眼が少し突出している(下黄色矢印)のがお分かり頂けるでしょうか?

加えて両眼共に瞬膜(第三眼瞼)という眼を保護する膜が眼頭から出てきてます。







以上の症状は胸部疾患、特に前縦隔疾患に共通する臨床症状です。

縦隔とは両肺と胸椎・胸骨で囲まれた部分を言います。

前縦隔とは、縦隔の内、心臓の腹側面側の部位を指します。


先ほどウサギの胸腺は成長後も遺残することを述べました。

加えてウサギの場合、左前大静脈という犬猫では発生過程で消失する静脈が生後も遺残します。

この左前大静脈が胸腺やリンパ節の腫大で圧迫されて生じる症状を前大静脈症候群といいます。

前大静脈症候群になりますと圧迫に伴い生じるうっ血により、無痛性・両側性の眼球突出や第三眼瞼突出、頭頸部・前肢の浮腫が生じます。



ちゃちゃ丸君はこの前大静脈症候群が出ているということです。

早速、レントゲン写真を撮影しました。



下写真は腹背像ですが、黄色矢印にあるように右側前縦隔に腫瘤を認めます。



側臥のレントゲン像です。



心臓の前のスペースに腫瘤が存在して(下写真黄色丸)心臓を圧迫しているのが分かります。




前縦隔疾患で発症率で多いとされるのは、胸腺腫とリンパ腫(前縦隔型)です。

レントゲン撮影ではこの2つの疾病は鑑別できません。

加えて、血液検査でも鑑別に関与する特異的所見はないとされています。

あとは針生検(FNA)による細胞学的な検査ですが、これも比較的未熟なリンパ芽球が多く出ればリンパ腫と診断が出来ますが、
針の生検では鑑別は困難とされます。

組織を外科的に摘出できれば確定診断は可能です。

しかし、今のちゃちゃ丸君では、全身麻酔よりも体を抑えるだけでも呼吸不全で死んでしまいます。

そのため、ICUの部屋に入院して頂き40%の酸素下で、呼吸不全を治療していくことにしました。

高用量のプレドニゾロンと気管支拡張剤・抗生剤の組み合わせて内科的治療を開始しました。

胸腺腫とリンパ腫も治療はプレドニゾロンの投薬であることは共通しています。

前大静脈症候群が認められたら、まずは胸腺腫を疑うのが鉄則です。



ちゃちゃ丸君は2日目には食欲が出始めて来ました。



入院3日目になりますと呼吸不全の症状も改善が認められてきました。

レントゲン撮影を実施しました。



右腫瘤(上黄色矢印)が縮小してきているのが分かります。

下側臥写真では前胸部の腫瘤が縮小してきて、気管を持ち上げていたのが、ほぼ正常に戻ってます。



今回のような高度の呼吸不全例では、あまり積極的な精密検査を実施することで、ウサギがそのストレスにより死亡することを念頭に置かねばなりません。

精密検査で病名は確定診断できたけど、患者が死亡しては本末転倒です。

まずはちゃちゃ丸君の容態が安定してから、改めて生検をして胸腺腫かリンパ腫であるかの鑑別を行う予定でいます。

入院4日目にして、ICUのケージから出ても呼吸は安定できるようになり、退院して頂くことになりました。

しばらくの間、ちゃちゃ丸君はプレドニゾロンの連続投薬が必要です。



呼吸不全はウサギにとって緊急の事態となります。

速やかな対応・治療ができれば、救済することは可能です。

ちゃちゃ丸君、お疲れ様でした!






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2024年5月14日 火曜日

クランウェルツノガエルの代謝性骨疾患


こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、カエルの代謝性骨疾患(Metabolic Bone Disease)です。

以前、ベルツノガエルの代謝性骨疾患についてコメントしましたので、興味のある方はこちらをクリックして下さい。

代謝性骨疾患とは、骨を形成するため必要なカルシウム、リン、ビタミンD,紫外線などが足りなくて引き起こされる骨成長不全や低カルシウム血症を指していいます。

カエルの理想とする餌の栄養分は、カルシウムとリンの比が1:1もしくは2:1のバランスです。

カエルは基本的に動く物しか食べようとしません。

一般の家庭で給餌できるものと言えば、コオロギやミルワームなどです。

ところが、これらの餌はカルシウムが低くリンの含有率が高いため、餌単体では栄養分としては不適切です。

そのため、少ないカルシウムを補正するためにはカルシウムのパウダーやビタミンD を追加する必要があります。

カルシウムの摂取量が低下しますと低カルシウム血症になり、生体側は低カルシウムを補正するために骨に貯蔵してあるカルシウムを血中に放出し、血中カルシウム値を上昇させます。

結果として、カルシウムの抜けた骨組織は強度的に脆弱となり、骨変形や骨折、あるいは神経症状を引き起こします。

この病態が代謝性骨疾患と呼ばれるものです。

また,成体のカエルについての代謝性骨疾患を述べていますが、オタマジャクシの時代にさかのぼって栄養学的にバランスの不十分な給餌をされた個体は、当然のことながら成体になっても代謝性骨疾患へと移行していくことが推定されます。


クランウェルツノガエルのわらびちゃん(年齢はおそらく1歳未満、性別不明)は食欲低下と歩行困難とのことで来院されました。

クランウェルツノガエルは見た目がベルツノガエルと似ていますが、角がやや長めであり口吻部は尖り気味、頭部は大きめです。

アルゼンチンやパラグアイに分布する体長8~12㎝の地上棲のカエルです。



わらびちゃんは、一般のカエルの様にジャンプして前進することが上手に出来ません。



右前足が正常に機能していないようです。





腹側を診てみます。



右前足があらぬ方向へと曲がっています。



前腕部(橈尺骨)と上腕骨が内側に湾曲しています(下写真黄色矢印)。





次に口の咬み合わせについて調べます。



顎関節が若干変形しており、上顎・下顎の咬合がずれてます。





右前足及び顎関節の変形から、わらびちゃんは代謝性骨疾患に罹患しているのが判明しました。

残念ながら変形した骨や関節は投薬で治すことは不可能です。

まだ初期の代謝性骨疾患であれば、カルシウムやビタミンDの補給で骨を強化して、骨変形の進行を止めることは、ある程度まで出来ます。

下写真はわらびちゃんにカルシウム剤を投薬しているところです。



わらびちゃんは顎関節の可動がスムーズに機能しない点と右前足の変形で姿勢を上手に維持できない点で、飼主様の介護が少なからず必要となります。



特に餌を捕食することが上手に開口して出来ないようなので、暫くは強制給餌は必要となると思います。

代謝性骨疾患は知らない内に進行していきますので注意が必要です。

病態としては初期症状は、歩行が上手に出来ないことに始まり、食欲不振を伴うことも多いです。

病態が進行すると両後肢が起立不能となり、全身麻痺に至ります。

場合によっては、変形性脊椎症や骨折を生じます。

末期的になると高カルシウム血症になって、けいれん発作を起こしたりします。

飼育しているカエルの歩行がおかしいと気づかれたら、早めに受診して下さい。



わらびちゃん、頑張っていきましょう!





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