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スタッフブログ

2015年11月 7日 土曜日

新米獣医師カーリーのつぶやき-part54~抗がん剤について~-

こんにちは、獣医師の苅谷です。

少し停滞していた500円玉貯金を最近また再開しはじめました。

市販されている貯金箱の中でもブリキの貯金箱を使用していて、もうすぐ満タンになるのですが、結構重さがあり、その重さでそこが少しへこんできています。

満タンになるとどのくらいになっているか楽しみにしながら少しづつ貯めていきたいと思います。

今回は抗がん剤についてお話しします。

まず抗がん剤はどのような時に使用するかということですが・・・

腫瘍は基本摘出できるようならば手術を行うことが第一ですが、腫瘍が大きすぎて取り切れなかったり、肺に転移していたり、摘出不可能な血液の腫瘍といった場合に使用されます。

抗がん剤にもいろいろと種類がありますが、1種類の抗がん剤で効果はありますが、複数の抗がん剤の組み合わせで相乗効果が出てくることもあります。

また腫瘍の中には抗がん剤の効く種類の腫瘍もあれば、効きにくい種類の腫瘍もあります。

そのため、抗ガン剤を用いた化学療法においては腫瘍の部分の細胞を採取して病理組織学的に判断して治療していくことが重要となってきます。





さて、抗がん剤による化学療法は腫瘍細胞に効果がありますが、その反面で副作用が出やすいという面があります。

そもそも抗がん剤はどのようにして腫瘍細胞をやっつけているのかというと・・・

細胞が増える上で重要なDNAの複製できなくしたり、細胞の分裂をできなくしたり、細胞のアポトーシス(細胞の自己死)を促すことにより腫瘍細胞をやっつけていきます。

しかし、正常な細胞でも細胞は増えなければいけないので抗がん剤があると正常細胞もやられてしまいます。

ただ腫瘍細胞は正常な細胞に比べて、抗がん剤の効果を受けやすい理由があります。

1つ目は栄養血管と呼ばれる太い血管が腫瘍細胞の近くまで張り巡らされているため、正常な細胞に比べて抗がん剤が運ばれてきやすい点です。

2つ目は腫瘍細胞は正常な細胞に比べて何十倍も増えるスピードが速いため、抗がん剤の影響を受けやすい点です。

腫瘍と正常な細胞のこの二つの違いを用いて、腫瘍に最大限の効果を、正常な細胞には最小限のダメージで済むように抗がん剤を使用していきます。




抗がん剤を使った化学療法はぎりぎりまで体を追い込むわけですので、当然のことながら副作用が出やすくなります。

副作用には投薬1週間以内に出てくるものと一週間以降に出てくるものがあります。

体の中でも比較的細胞の入れ替わり―つまり細胞の増殖の多い消化管(胃や腸の粘膜)はダメージを受けやすいため、嘔吐や下痢、食欲不振といった消化器の症状は比較的早い段階で出てきます。

一方、骨髄や肝臓や腎臓など問題は1週間以降に現れてきます。

特に骨髄は赤血球や白血球、血小板といった血の成分をつくるため、骨髄抑制が起こると貧血や免疫細胞である白血球の数が減るため、様々な感染症にかかりやすくなってしまいそれによりなくなってしまう可能性が出てきます。

こういった副作用が出てきてしまうとかなりQOL(生活の質)が下がってしまいます。

そのため、投薬後1週間の時点で血液検査をしてその前兆を察知しなければいけません。

そして、症状が出ないように、嘔吐ならば制吐剤を使用したり、骨髄抑制をみこして抗生剤を投与したり、腎臓にダメージを与える抗がん剤であれば、点滴をして尿として腎臓から早く出させるようにします。

このように抗がん剤を用いた治療では腫瘍と体のぎりぎりの戦いのため、つらい思いをさせないように先手先手をとっていく必要があります。

この治療においてはしっかりとした治療計画を立てた上で実地するため、順延を繰り返していると体にも負担がかかる上に腫瘍が耐性を獲得し、抗がん剤が効かなくなるようになってしまいます。

そのため、化学療法を行う上では獣医師、動物看護士、飼い主さんというチーム結成し、治療を受ける当人をバックアップしていく必要があります。

治療を成功させる上では、当人の頑張る力は勿論のことながら、このチームが機能するかが重要なポイントとなってきますね。

それでは今回は以上で終わります。

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投稿者 ブログ担当スタッフ

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