犬の疾病
犬の異物誤飲(その9:石)
犬の異物誤飲シリーズ、今回で8回目となります。
本日ご紹介いたしますのは石です。
犬は,散歩の途中に口の中に石を含むことがあります。
チューインガムよろしく口の中で石を転がして吐き出す犬もいれば、何も考えずに丸呑みこみして、後で大騒ぎするケースもあります。
今回の症例は、チワワのひなちゃん(1.7kg 2歳4か月)です。
空えづきが続き、元気食欲がないとのことで来院されました。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
ご覧いただいて気づかれましたか?
下腹部にある金属のピンは、実は1年半ほど前に手術をした時に動脈を留めるために使用したチタン性のヘモクリップです。
今回の疾患とは関係ありません。
画像を拡大します。
黄色丸で囲んだ箇所ですが、骨よりも白く描出されている物体が2つ認められます。
骨よりも密度の高い硬い物体ということになります。
恐らく石あたりではないかと考えられました。
1㎝ちょっと位の石なので、嘔吐させられないか、過酸化水素水を飲ませてみました。
ひなちゃんは何度となく、嘔吐するのですが残念ながら異物は出て来ません。
体重が1kg台の小さな子なので、やはり嘔吐して出すのは限界があると判断しました。
開腹手術を行いました。
開腹して胃を触診しますと、幽門部に近い所で何やら硬い物体が触知されました。
しっかり把持していないと、すぐに移動してしまいます。
胃に極力大きな傷をつけないよう、メスで胃を穿孔します。
まずは1個目の石です。
続いて2個目の石です。
傷口を丹念に縫合して、腹腔内を洗浄します。
皮膚を縫合して手術終了です。
下写真は摘出した石です。
小型犬種にあっては、この程度の小さな石ですら嘔吐できずに場合によっては、命に関わることになりかねません。
ひなちゃんには、しばしの入院と流動食を我慢して頂き、無事退院されました。
ひなちゃん、お疲れ様でした!
異物誤飲癖がある子は、何度となく繰り返しますので今後も注意を怠らないようにしていただきたく思います。
本日ご紹介いたしますのは石です。
犬は,散歩の途中に口の中に石を含むことがあります。
チューインガムよろしく口の中で石を転がして吐き出す犬もいれば、何も考えずに丸呑みこみして、後で大騒ぎするケースもあります。
今回の症例は、チワワのひなちゃん(1.7kg 2歳4か月)です。
空えづきが続き、元気食欲がないとのことで来院されました。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
ご覧いただいて気づかれましたか?
下腹部にある金属のピンは、実は1年半ほど前に手術をした時に動脈を留めるために使用したチタン性のヘモクリップです。
今回の疾患とは関係ありません。
画像を拡大します。
黄色丸で囲んだ箇所ですが、骨よりも白く描出されている物体が2つ認められます。
骨よりも密度の高い硬い物体ということになります。
恐らく石あたりではないかと考えられました。
1㎝ちょっと位の石なので、嘔吐させられないか、過酸化水素水を飲ませてみました。
ひなちゃんは何度となく、嘔吐するのですが残念ながら異物は出て来ません。
体重が1kg台の小さな子なので、やはり嘔吐して出すのは限界があると判断しました。
開腹手術を行いました。
開腹して胃を触診しますと、幽門部に近い所で何やら硬い物体が触知されました。
しっかり把持していないと、すぐに移動してしまいます。
胃に極力大きな傷をつけないよう、メスで胃を穿孔します。
まずは1個目の石です。
続いて2個目の石です。
傷口を丹念に縫合して、腹腔内を洗浄します。
皮膚を縫合して手術終了です。
下写真は摘出した石です。
小型犬種にあっては、この程度の小さな石ですら嘔吐できずに場合によっては、命に関わることになりかねません。
ひなちゃんには、しばしの入院と流動食を我慢して頂き、無事退院されました。
ひなちゃん、お疲れ様でした!
異物誤飲癖がある子は、何度となく繰り返しますので今後も注意を怠らないようにしていただきたく思います。
投稿者 院長 | 記事URL
犬の肥満細胞腫(その2)
以前、犬の肥満細胞腫についてコメントさせて頂きました。
本日も同じ肥満細胞腫の報告です。
パグの のり吉君(6歳・雄) は右肘にできものができたので来院されました。
下写真の黄色丸の箇所がそうです。
早速、細胞診を実施しました。
黄色丸で囲んだ細胞が肥満細胞腫の細胞群です。
細胞内に多数の顆粒を容れているのが特徴です。
肥満細胞腫は犬を初めとして猫、フェレット、ハムスター等よく認められます。
その中で肥満細胞腫のステージが確立されているのは、犬のみです。
のり吉君の腫瘍は真皮内に限局したもので、リンパ節への浸潤も認められない点からステージ1のタイプです。
悪性腫瘍であることから、外科手術を行うこととしました。
出来うる限り腫瘍の辺縁(マージン)を広くとるよう切開します。
出血箇所を電気メスで止血します。
切除した腫瘍です。
グレード1の肥満細胞腫では、1cmのマージンで切除後は完全なコントロールが可能とされています。
つまり再発はないとされています。
のり吉君の腫瘍は直径5㎜程度でしたので、早期発見早期摘出ができたので良かったです。
今後は再発を含めて経過を見ていきたいと思います。
のり吉君、お疲れ様でした!
本日も同じ肥満細胞腫の報告です。
パグの のり吉君(6歳・雄) は右肘にできものができたので来院されました。
下写真の黄色丸の箇所がそうです。
早速、細胞診を実施しました。
黄色丸で囲んだ細胞が肥満細胞腫の細胞群です。
細胞内に多数の顆粒を容れているのが特徴です。
肥満細胞腫は犬を初めとして猫、フェレット、ハムスター等よく認められます。
その中で肥満細胞腫のステージが確立されているのは、犬のみです。
のり吉君の腫瘍は真皮内に限局したもので、リンパ節への浸潤も認められない点からステージ1のタイプです。
悪性腫瘍であることから、外科手術を行うこととしました。
出来うる限り腫瘍の辺縁(マージン)を広くとるよう切開します。
出血箇所を電気メスで止血します。
切除した腫瘍です。
グレード1の肥満細胞腫では、1cmのマージンで切除後は完全なコントロールが可能とされています。
つまり再発はないとされています。
のり吉君の腫瘍は直径5㎜程度でしたので、早期発見早期摘出ができたので良かったです。
今後は再発を含めて経過を見ていきたいと思います。
のり吉君、お疲れ様でした!
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投稿者 院長 | 記事URL
ポメラニアンの橈尺骨骨折
ポメラニアンのぽむお君は、高いところ(約1m)から落下して骨折をしてしまいました。
ぽむお君(2.5歳、体重1.3kg)は体格の小さなポメラニアンです。
体は小さくても若干、気の強い所もあったりします。
レントゲンを撮ったところ、しっかり橈骨尺骨の遠位端が折れていました。
以前、トイプードルの橈尺骨骨折で報告しましたが、その症例よりもさらに体重が低く、橈骨の細い個体なのでT字型プレートを使用することは困難です。
結局、ウサギの骨折と同様、創外固定法を選択することとなりました。
直径1㎜ほどの創外ピンをピンドリルで固定していきます。
骨折ラインより遠位に1本、近位に3本ピンを入れました。
本当は遠位にもう1本入れたかったのですが、骨折ラインが手根関節が近すぎて無理でした。
創外固定ピンを適切な長さにカットして、パテで固定しやすいように創外ピンをL字に曲げます。
パテでピンを固定することで、骨折ラインを固定して骨癒合を待ちます。
創外固定の場合、華奢な個体に施術することが多いので術後の管理がとても重要になってきます。
暴れる個体ですと、創外ピンをあらぬ所に引っ掛けて抜けたり、再骨折したりする場合も考えられます。
ぽむお君はおとなしくしてくれるみたいで、その点は安心しています。
ぽむお君の体に比べるとスプリントが巨大に見えるかもしれません。
市販のものではこのサイズが最小なんです。
骨が癒合するまでの間、辛抱して下さいね。
よくも痛い目に遭わせてくれたな!と怒ってるぽむお君です。
下写真は、退院後の経過も良好で、1週間後の患部チェックに来院したぽむお君です。
最新型のカラーが素敵ですね!
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ぽむお君(2.5歳、体重1.3kg)は体格の小さなポメラニアンです。
体は小さくても若干、気の強い所もあったりします。
レントゲンを撮ったところ、しっかり橈骨尺骨の遠位端が折れていました。
以前、トイプードルの橈尺骨骨折で報告しましたが、その症例よりもさらに体重が低く、橈骨の細い個体なのでT字型プレートを使用することは困難です。
結局、ウサギの骨折と同様、創外固定法を選択することとなりました。
直径1㎜ほどの創外ピンをピンドリルで固定していきます。
骨折ラインより遠位に1本、近位に3本ピンを入れました。
本当は遠位にもう1本入れたかったのですが、骨折ラインが手根関節が近すぎて無理でした。
創外固定ピンを適切な長さにカットして、パテで固定しやすいように創外ピンをL字に曲げます。
パテでピンを固定することで、骨折ラインを固定して骨癒合を待ちます。
創外固定の場合、華奢な個体に施術することが多いので術後の管理がとても重要になってきます。
暴れる個体ですと、創外ピンをあらぬ所に引っ掛けて抜けたり、再骨折したりする場合も考えられます。
ぽむお君はおとなしくしてくれるみたいで、その点は安心しています。
ぽむお君の体に比べるとスプリントが巨大に見えるかもしれません。
市販のものではこのサイズが最小なんです。
骨が癒合するまでの間、辛抱して下さいね。
よくも痛い目に遭わせてくれたな!と怒ってるぽむお君です。
下写真は、退院後の経過も良好で、1週間後の患部チェックに来院したぽむお君です。
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