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犬の疾病

犬の帝王切開(その2)

以前犬の帝王切開で帝王切開の概要を述べさせていただきました。


今回ご紹介しますのは、2度目の帝王切開をしなくてはならなくなったポメラニアンのクルミちゃんです。

クルミちゃんは3年前に初産を経験しました。

その当時、陣痛が始まり第一子が死産となり、その後3時間近く経過しても分娩が始まらなくて、帝王切開の運びとなりました。

結果、3匹を無事取り上げることが出来ました。


今回は、飼主様も自然分娩で行きたい思いが強かったのですが。。。

下の写真はクルミちゃんが、今回の帝王切開を受ける8日前のものです。





お腹がずいぶん大きくなっており、撮ったレントゲン写真が下のものです。





何匹の胎児がお腹にいるかお分かりでしょうか?

よりわかりやすくするためにレントゲンを拡大します。

黄色矢印で胎児の頭蓋骨を示します。





4kgたらずの小さな体に5匹の胎児が認められました。

内訳は5匹のうち、逆子が3匹、正常位が2匹です。

産道にいちばん近い位置にある胎児が正常位なので、今回はこの胎児が活路を開いてくれるのではという期待があります。

ところが出産予定日になって、最初の陣痛が起こってから4時間が経過しても分娩が始まりません。

そして既に2時間前に破水も起こっています。

飼い主様とも話し合って、帝王切開を実施することとなりました。



麻酔薬が胎児に回って、スリーピングベビーにならないよう麻酔を軽くかけます。













帝王切開は時間との戦いです。

迅速、正確に胎児を取出し、後産も子宮内に残さないように心がけます。

5匹の胎児を20分で取り上げ、胎児が産声を上げるようスタッフに任せます。



無事、5匹の新生児達は産声も上げ動き回り始めました。



最後に新生児達をクルミちゃんに会わせます。



クルミちゃん自身は、今しがた麻酔から覚めたところなので、状況がつかめません。

この5匹のベビーが、自分の赤ちゃんなんだと気づくにはまだ時間が必要でしょう。

浅い麻酔をかけられ、覚醒すれば痛い腹はそのままに、わが子達に初乳を与えなければならない状況がクルミちゃんに課せられます。

帝王切開当日は赤ちゃん達と共にクルミちゃんは帰宅してもらいました。

術後2日目に来院されたクルミちゃんと赤ちゃんです。



既に母親の貫禄が出てきて、赤ちゃんを触ろうとすると威嚇するほどのクルミちゃんです。



クルミちゃんの母乳も出ているようで、赤ちゃん達の体重も順調に増えています。



これから育児に大変だと思いますが、クルミちゃん、そして飼主様頑張ってください!

スタッフ共々、応援しています。



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投稿者 院長 | 記事URL

犬の肥満細胞腫

犬の肥満細胞腫は色んな部位に発生しますが、その9割が皮膚に発生すると言われます。

皮膚の悪性腫瘍の内、3割近くをこの肥満細胞腫が占めており、皮膚腫瘍の中では最も多い腫瘍です。

この肥満という単語から太ることで発症する腫瘍なの?と質問を受けることが多いです。

これは、肥満細胞という血管周囲、皮膚、皮下組織、消化管、肝臓等に広く存在している細胞が原因となって引き起こされる悪性の腫瘍です。

決して肥満の犬がかかりやすくなる腫瘍ではありませんので念のため。

今回ご紹介しますのは、ヨークシャーテリアのルルクちゃん(雌、8歳)です。

左側口唇部が皮膚が赤くただれて、舐めまわしているとのことで来院されました。



黄色丸の部分が少し赤いのが分かると思います。



アカラス等の寄生虫も視野に入れ、皮膚掻爬検査をしましたが陰性です。

痒みが基調となって舐めまわしておりますので、ステロイドと抗生剤を処方して、かつ細胞診診断を検査センターへ依頼しました。

その結果が、アレルギー性口唇炎との診断結果でした。

腫瘍細胞も認められないとのことでしたので、その後同じ内服を継続しましたが、思いのほか改善がありません。

下は2週間後の写真です。





アレルギー性とは言え、左側口唇だけの病変で口周辺の炎症は他に認められず、ステロイドもそれ程の効果はなさそうです。

さらに4週間後の写真です。





患部は既に大きく腫大し始め、発赤を呈し皮膚の一部は潰瘍化しています。

加えて、下顎リンパ節の腫大が認められました。

この時点で、細胞診の再検査の必要を感じ、検査センターへ依頼したところ、グレードⅡ型の皮膚肥満細胞腫という診断書が送られてきました。

その細胞診の写真を下に載せます。







大小不同性の楕円形の核と乏しい細胞内顆粒の肥満細胞が多数認められます。

6週間前の細胞診では、肥満細胞は見つからなかったようなのですが、この6週間で肥満細胞が増殖したとの見解です。

このタイムラグが悔やまれます。

病変部の場所が問題で、外科的に切除するならば上の唇を大きく切除する必要があります。

また外科的にうまく切除したつもりでも、肥満細胞腫は再発する可能性が高いです。

飼い主様のご意見を尊重して、岐阜大学の動物病院をご紹介させていただくこととなりました。

現在、岐阜大学動物病院は高出力の放射線治療装置が配備されています。

腫瘍科の病院スタッフから、放射線治療と抗がん剤(イマチニブとプレドニゾロン)による化学療法の2本立ての治療を提案されました。

ルルクちゃんは定期的に岐阜大学で治療を進めることとなりました。

この肥満細胞腫には副腫瘍細胞腫症候群といって、腫瘍に随伴して生じる病態があります。

そのひとつにダリエール症状と言って、腫瘍細胞から顆粒が放出され紅斑・出血・浮腫等の炎症反応が引き起こされ、その結果、重篤な肺水腫やアナフィラキシーショック等突然死に至ることもあります。

必ずしも、簡単な治療ではないのです。

治療を開始してから約1か月後の写真です。



ルルクちゃんの患部の発赤・腫脹がおさまり、すっきりしているのが分かります。

さらにその3週間後の写真です。



患部は完全寛解と判断されました。

つまり腫瘍が消失したということです。

さらに下顎リンパ節の腫大も認められません。

現時点では他の臓器に転移も認められず、比較的短期間で完全寛解に至ったと考えられます。

今後は、定期検査を続行して経過観察していく予定です。



良かったね!ルルクちゃん!

今後、再発・転移がないことを祈念します。



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投稿者 院長 | 記事URL

犬のエプリス

エプリスとは歯肉部に生じる限局性腫瘤病変を指していいます。

つまり、歯茎にできたしこりのことです。

実はこのエプリス、組織学的・病理学的分類が不明瞭、混乱している部分があります。

人医領域では、炎症性エプリスと腫瘍性エプリスの2種類に分類されています。

炎症性エプリスには、肉芽腫性エプリス、線維性エプリス、血管腫性エプリス、巨細胞性エプリスがあります。

腫瘍性エプリスには、線維腫性エプリス、骨形成性エプリス等が挙げられます。

獣医領域では、1979年にDubiezigがエプリスを肉芽腫性エプリス、骨形成性エプリス、棘細胞性エプリスという3種類に分類しました。

1996年にはGardnerは反応性病変と周辺性歯原性腫瘍の2つのカテゴリーに分け、それぞれを細分化して分類するようになりました。

これ以上病理学的な分類を説明しても混乱を招きますし、本編の主旨でありませんので止めます。

結局のところ、エプリスなる病変は炎症性のものと腫瘍性のものがあるために外科的切除が必要な場合があるということです。

ゴールデンレトリバーのチャッピーちゃんは、右上顎部の歯肉に腫瘤が出来て来院されました。



患部を組織検査したのが以下の写真です。

弱拡大の顕微鏡写真で粘膜上皮の増生(黄色丸)と粘膜下織の結合組織の増生(草色丸)が認められます。



下写真は強拡大像です。

粘膜直下にリンパ球浸潤がありますが、異型細胞(腫瘍細胞)は認められません。



組織検査からこの腫瘤は線維性エプリスと診断されました。

そして、このエプリスの外科的切除を実施しました。







黄色丸の箇所がエプリスです。

全長3㎝ほどの腫瘤です。

電気メスで切除開始です。









取り残しの無いように電気メスのチップを変えつつ切除を完了しました。

再発の無いように気を付けてマージンを若干取りました。

歯茎が電気メスの熱で焦げ付いています。

退院後のチャッピーちゃんの患部回復も良好で、術後1か月後の写真が次のものです。




電気メスの跡も癒えてます。

今回の線維性エプリスは、反応性(非腫瘍性)病変としては比較的多く遭遇するタイプです。

局所的な刺激や外傷により歯肉内の線維性結合組織が、局所的に反応して過形成したエプリスです。

腫瘍性でなくて良かったです。

愛犬の口の中を定期的にチェックする習慣をつけて下さい。

そして、歯肉に腫瘤が認められたらお早めに受診して下さい。





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投稿者 院長 | 記事URL

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