犬の疾病
トイプードルの股関節脱臼(非観血的整復)
股関節脱臼はいろんな原因で発生します。
交通事故や高所からの落下などの大きな外力により生じるケースが多いと思われます。
物理的なダメージ以外にも副腎機能低下症や甲状腺機能低下症に伴う筋力低下などでも股関節脱臼が起こる場合があります。
あるいは先天的な股関節形成不全で激しい運動をしていなくても脱臼してしまうこともあります。
本日ご紹介しますのは、そんな股関節脱臼の症例でメスを入れての外科的整復術ではなく、用手法での非観血的整復術です。
トイプードルのクッキー君(6歳、去勢済)は突然、左後足を拳上して痛がっているとのことで来院されました。
左後肢に荷重をかけるのが辛そうです(下写真黄色矢印)。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
下のレントゲン写真黄色丸の箇所で、左股関節が脱臼しているのがお分かり頂けると思います。
クッキー君は股関節が浅く、どちらかといいうと不安定なので状況によって脱臼になりやすいと思われました。
実際、過去に何度か後肢を拳上することもあったようです。
股関節脱臼で発生率が一番高いとされる前背側方向の脱臼です。
レントゲン上で寛骨臼辺縁周囲の骨片、骨折も認められませんので脱臼した大腿骨頭を手で整復すること(非観血的整復法)としました。
と言っても、全身麻酔を施した上での整復処置となります。
早速、全身麻酔をかけます。
患肢の内股に紐をかけて助手に保持させます。
大転子の位置を確認します。
患肢を外旋させ、手前に向かってゆっくりと牽引していきます。
大腿骨頭が寛骨臼窩にうまく当たっている感触がありましたので、グッと押し込んだ所、カクッと嵌りました。
この状態で整復できているか、レントゲン撮影します。
しっかり整復できたようです。
整復がうまく成功したとしてもそのままでは、また脱臼を再発してしまう可能性があります。
したがって、整復後のテーピング処置が必要となります。
このような感じでテーピングを完了します。
クッキー君からすれば、早く患肢を地につけたいでしょうがしばらく我慢して頂きます。
麻酔から覚めたクッキー君です。
今後、再脱臼があるようなら外科手術による股関節脱臼整復手術が必要になると思われます。
そうならないように願うばかりです。
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投稿者 院長 | 記事URL
フレンチブルドッグの眼球突出
眼球突出、これは文字通り何らかの衝撃が頭部に加わり、その結果眼球が飛び出てしまう現象です。
この眼球突出が起こりやすい犬種に短頭犬種(フレンチブルドック、パグ、ペキニーズ、シーズーなど)が挙げられます。
短頭犬種は眼球の受皿である眼窩が非常に浅いため、眼球突出が容易に起こってしまいます。
今回ご紹介するフレンチブルドッグのフレンチ君は、飼主様がその現場に居合わせていなかったため詳細は不明ですが、階段から落ち頭部を強打した模様です。
顔面を見た所、眼球が飛び出しており緊急で来院されました。
ショッキングな画像になると思われますので、興味のある方に限ってこちらをクリックして下さい。
眼球を眼窩に固定する外眼筋と言う筋肉があります。
この筋肉が断裂しますと眼球を固定することができなくなります。
数本の外眼筋の断裂であれば、眼球が斜めに向く斜視となりますし、外眼筋がすべて断裂してしまうと眼球は眼窩から垂れ下がってしまいます。
こうなると眼球摘出しか方法はありません。
今回のフレンチ君は外眼筋の過半数が断裂している可能性があります。
また瞳孔のサイズが本来外傷により、虹彩は縮小してるのが普通であり、瞳孔が小さくなっていれば経過は良好と思われます。
しかし、重度の障害が動眼神経や網様体神経節に及ぶと瞳孔は逆に散瞳と言って大きく広がります。
写真をご覧いただいて分かるようにフレンチ君は散瞳状態にあります。
加えてフレンチ君は、光に対する瞳孔反射もなく、この状態が1週間以上続くようなら視力は戻ることはありません。
いずれにせよ、非常に緊急の状態ですから、突出した眼球の整復を実施することとしました。
全身麻酔を施します。
眼球に眼軟膏を十分塗布して、メスの柄を利用して眼球を優しく眼窩に押し戻していきます。
次いで瞼を縫合します。
フレンチ君はこの後抗生物質を1週間内服していただき、数週間後に瞼の抜糸を行います。
その時点で整復もうまく完了していれば良いのですが。
重度の角膜障害があれば2か月位治療に要するでしょう。
審美的な観点から、眼球摘出はできるだけ避けたいです。
今回の症例は眼球以外の部位については、特に異常はありませんでした。
抜糸後眼球が良い状態であることを祈ります。
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この眼球突出が起こりやすい犬種に短頭犬種(フレンチブルドック、パグ、ペキニーズ、シーズーなど)が挙げられます。
短頭犬種は眼球の受皿である眼窩が非常に浅いため、眼球突出が容易に起こってしまいます。
今回ご紹介するフレンチブルドッグのフレンチ君は、飼主様がその現場に居合わせていなかったため詳細は不明ですが、階段から落ち頭部を強打した模様です。
顔面を見た所、眼球が飛び出しており緊急で来院されました。
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この筋肉が断裂しますと眼球を固定することができなくなります。
数本の外眼筋の断裂であれば、眼球が斜めに向く斜視となりますし、外眼筋がすべて断裂してしまうと眼球は眼窩から垂れ下がってしまいます。
こうなると眼球摘出しか方法はありません。
今回のフレンチ君は外眼筋の過半数が断裂している可能性があります。
また瞳孔のサイズが本来外傷により、虹彩は縮小してるのが普通であり、瞳孔が小さくなっていれば経過は良好と思われます。
しかし、重度の障害が動眼神経や網様体神経節に及ぶと瞳孔は逆に散瞳と言って大きく広がります。
写真をご覧いただいて分かるようにフレンチ君は散瞳状態にあります。
加えてフレンチ君は、光に対する瞳孔反射もなく、この状態が1週間以上続くようなら視力は戻ることはありません。
いずれにせよ、非常に緊急の状態ですから、突出した眼球の整復を実施することとしました。
全身麻酔を施します。
眼球に眼軟膏を十分塗布して、メスの柄を利用して眼球を優しく眼窩に押し戻していきます。
次いで瞼を縫合します。
フレンチ君はこの後抗生物質を1週間内服していただき、数週間後に瞼の抜糸を行います。
その時点で整復もうまく完了していれば良いのですが。
重度の角膜障害があれば2か月位治療に要するでしょう。
審美的な観点から、眼球摘出はできるだけ避けたいです。
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