ウサギの疾病
ウサギのスナッフル
ウサギの鼻炎・副鼻腔炎、気管支炎、肺炎などの原因による鼻汁の排出をスナッフル(snuffles)と呼びます。
加えて、切歯や前臼歯の根尖炎症に伴う鼻腔の閉塞で生じるくしゃみの症状も称してスナッフルと言います。
このスナッフルは病名ではなく、一症状を指しています。
スナッフルの原因とされるのは Pasteurella multocida、 Bordetella bronchiseptica 等の細菌感染です。
症状としては、くしゃみを連発し、初期症状は漿液性鼻汁や異常な鼻音、流涙・結膜炎が認められます。
さらに病状が進行しますと、鼻汁は粘性を帯びた白色鼻汁となります。
下写真はスナッフルで治療中のウサギです。
白色鼻汁が被毛にこびりついています(黄色丸)。
鼻炎から鼻涙管へ炎症が及ぶと涙が過剰に溢れ、眼周辺の被毛が絶えず濡れるようになります(上写真黄色丸)。
下写真は別のウサギです。
同じくスナッフルの症状を示しています。
膿性の鼻汁が鼻孔周囲に付着しています。
ウサギは基本が鼻呼吸です。
スナッフルで鼻炎が進行して、鼻腔内が膿性の鼻汁で一杯になりますと鼻呼吸がスムーズにできなくなり、ストレスが溜まります。
結果として、食欲不振につながります。
慢性化する症例も多く、鼻甲介と呼ばれる鼻の奥のヒダ状の骨構造が炎症で融解すると治療は困難になります。
結局、抗生剤、消炎剤、蛋白分解酵素剤を投与して経過をみていきます。
ネブライザーによる噴霧治療も推奨されています。
いづれにせよ、スナッフルは初期のステージで完治に持っていきたい疾病です。
反復性のくしゃみが続くようなら、お早めに受診して下さい。
加えて、切歯や前臼歯の根尖炎症に伴う鼻腔の閉塞で生じるくしゃみの症状も称してスナッフルと言います。
このスナッフルは病名ではなく、一症状を指しています。
スナッフルの原因とされるのは Pasteurella multocida、 Bordetella bronchiseptica 等の細菌感染です。
症状としては、くしゃみを連発し、初期症状は漿液性鼻汁や異常な鼻音、流涙・結膜炎が認められます。
さらに病状が進行しますと、鼻汁は粘性を帯びた白色鼻汁となります。
下写真はスナッフルで治療中のウサギです。
白色鼻汁が被毛にこびりついています(黄色丸)。
鼻炎から鼻涙管へ炎症が及ぶと涙が過剰に溢れ、眼周辺の被毛が絶えず濡れるようになります(上写真黄色丸)。
下写真は別のウサギです。
同じくスナッフルの症状を示しています。
膿性の鼻汁が鼻孔周囲に付着しています。
ウサギは基本が鼻呼吸です。
スナッフルで鼻炎が進行して、鼻腔内が膿性の鼻汁で一杯になりますと鼻呼吸がスムーズにできなくなり、ストレスが溜まります。
結果として、食欲不振につながります。
慢性化する症例も多く、鼻甲介と呼ばれる鼻の奥のヒダ状の骨構造が炎症で融解すると治療は困難になります。
結局、抗生剤、消炎剤、蛋白分解酵素剤を投与して経過をみていきます。
ネブライザーによる噴霧治療も推奨されています。
いづれにせよ、スナッフルは初期のステージで完治に持っていきたい疾病です。
反復性のくしゃみが続くようなら、お早めに受診して下さい。
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投稿者 院長 | 記事URL
ウサギの頚部咬傷(肉垂損傷)
ウサギの雌はどんなに遅くとも、2,3歳以降になりますと頚部下方に大きな肉のヒダが形成されます。
これを肉垂(にくすい)と称します。
この肉垂は個体差があり、肥満傾向のあるウサギは大きな肉垂をしていることが多いです。
よく肉垂を指してウサギのマフラーといわれる飼主様も多いです。
出産時にこの肉垂の被毛をむしって、巣材にしたりもします。
今回、ご紹介しますのは、三重県からはるばるご来院頂きましたホーランドロップイヤーのきなこちゃん(7か月)です。
きなこちゃんは、この肉垂の付け根にあたる皮膚が炎症を起こし、自身で齧って皮膚潰瘍になってしまいました。
上写真黄色丸で囲んだ部位が、自咬症で生じた皮膚の傷です。
すでに薄い瘡蓋が形成されていますが、きなこちゃんからすると患部が痒いようで自咬が続いているようです。
早速治療に入ります。
まず患部を丹念に消毒液で先勝消毒します。
患部に肉芽組織形成を促すクリームと抗生剤のクリームを塗布します。
患部を保護するためにガーゼでテーピングして保護します。
遠方から受診されていますので、ご自宅で患部の消毒とクリームの塗布を指示して終了です。
下写真は、きなこちゃんの3週間後の患部です。
潰瘍を起こしていていた患部は、きれいに新生した皮膚に被覆されています。
発毛もすでに始まっており、患部を隠すくらいになっています。
肉垂は大きいほど皮膚の間で通気性が悪くなりますので、状況によっては湿性皮膚炎を引き起こします。
皮膚炎の患部が気になり始めますと、今回のきなこちゃんの様に自咬に走る可能性があります。
ウサギの切歯(前歯)は非常に鋭利ですから、簡単に皮膚を剥離してしまいます。
暑い日が続きます。
大きな肉垂をお持ちのウサギを飼育されている飼主様は、肉垂の周囲の皮膚が蒸れて炎症を起こしていないかご確認ください。
これを肉垂(にくすい)と称します。
この肉垂は個体差があり、肥満傾向のあるウサギは大きな肉垂をしていることが多いです。
よく肉垂を指してウサギのマフラーといわれる飼主様も多いです。
出産時にこの肉垂の被毛をむしって、巣材にしたりもします。
今回、ご紹介しますのは、三重県からはるばるご来院頂きましたホーランドロップイヤーのきなこちゃん(7か月)です。
きなこちゃんは、この肉垂の付け根にあたる皮膚が炎症を起こし、自身で齧って皮膚潰瘍になってしまいました。
上写真黄色丸で囲んだ部位が、自咬症で生じた皮膚の傷です。
すでに薄い瘡蓋が形成されていますが、きなこちゃんからすると患部が痒いようで自咬が続いているようです。
早速治療に入ります。
まず患部を丹念に消毒液で先勝消毒します。
患部に肉芽組織形成を促すクリームと抗生剤のクリームを塗布します。
患部を保護するためにガーゼでテーピングして保護します。
遠方から受診されていますので、ご自宅で患部の消毒とクリームの塗布を指示して終了です。
下写真は、きなこちゃんの3週間後の患部です。
潰瘍を起こしていていた患部は、きれいに新生した皮膚に被覆されています。
発毛もすでに始まっており、患部を隠すくらいになっています。
肉垂は大きいほど皮膚の間で通気性が悪くなりますので、状況によっては湿性皮膚炎を引き起こします。
皮膚炎の患部が気になり始めますと、今回のきなこちゃんの様に自咬に走る可能性があります。
ウサギの切歯(前歯)は非常に鋭利ですから、簡単に皮膚を剥離してしまいます。
暑い日が続きます。
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投稿者 院長 | 記事URL
ウサギの乳腺腫瘍
避妊手術をうけていない雌のウサギで、子宮腺癌についで多い疾患が乳腺腫瘍です。
今回、ご紹介しますのはネザーランド・ドワーフのいちごちゃん(♀・6歳)です。
右側の2番と3番目の乳房間にしこり(下写真黄色丸)があり、最近大きくなってきたとのことで来院されました。
早速患部を穿刺して、細胞診を実施しました。
検査結果は、乳腺癌です。
ウサギの乳腺腫瘍の90%以上が乳腺癌で悪性腫瘍です。
また乳腺癌は転移しやすく、肺やリンパ節への転移もあります。
レントゲン撮影を行い、肺野の腫瘍の転移を確認します。
腫瘍の転移は認められず、乳腺癌の摘出手術を実施することとなりました。
いちごちゃんは頸のところにあるマフラーが非常に発達しているため、手術台を傾斜させマフラーが気管を圧迫しないようにします。
摘出患部からの出血はほとんどなく、手術は無事終了しました。
いちごちゃんは術後の経過も良好で、患部は綺麗に治癒しました。
今後、乳腺癌の再発あるいは他の乳房への転移を経過観察していきます。
つまるところ、1歳までに避妊手術を積極的に受けていただくことで乳腺癌の発症を防いでいただきたいと思います。
今回、ご紹介しますのはネザーランド・ドワーフのいちごちゃん(♀・6歳)です。
右側の2番と3番目の乳房間にしこり(下写真黄色丸)があり、最近大きくなってきたとのことで来院されました。
早速患部を穿刺して、細胞診を実施しました。
検査結果は、乳腺癌です。
ウサギの乳腺腫瘍の90%以上が乳腺癌で悪性腫瘍です。
また乳腺癌は転移しやすく、肺やリンパ節への転移もあります。
レントゲン撮影を行い、肺野の腫瘍の転移を確認します。
腫瘍の転移は認められず、乳腺癌の摘出手術を実施することとなりました。
いちごちゃんは頸のところにあるマフラーが非常に発達しているため、手術台を傾斜させマフラーが気管を圧迫しないようにします。
摘出患部からの出血はほとんどなく、手術は無事終了しました。
いちごちゃんは術後の経過も良好で、患部は綺麗に治癒しました。
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投稿者 院長 | 記事URL
ウサギの肺腫瘍
肺と言いう臓器は、血液中のガス交換をする重要な役割を担っています。
肺を絶えず血液が巡るということは、血中に腫瘍細胞が流出したら、肺に至る確率は極めて高いということです。
特にウサギの場合、雌は乳癌、子宮腺癌になることがあり、二次的に肺に腫瘍が転移するケースを多く診てます。
実際、ヒトの場合もそうでしょうが、ウサギにしても肺腫瘍となると完治することは至難です。
本日、ご紹介しますミニウサギのクロ君(雄、8歳、体重1.6㎏)は一時的なてんかん発作を起こしたとのことで来院されました。
呼吸が浅いという事、前肢を立てたままの状態でいることから呼吸が辛くなっているだろうと判断しました。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
黄色丸で囲んだ肺野が白く点々が入っているのがお分かりいただけたでしょうか?
さらに患部を拡大します。
特に上写真では心臓のシルエットも見にくくなるくらい肺野に多数のX線不透過の結節が認められます。
先に述べましたように、雌であれば乳癌、子宮腺癌がらみの腫瘍転移はありですが、クロ君は雄です。
クロ君を診る限り、体表部に腫瘍は認められません。
また他の箇所もレントゲンを撮影しましたが、腫瘍を疑わせる所見はありませんでした。
となると、肺がこの腫瘍の原発巣となるのでしょうか?
ウサギの肺原発性腫瘍は極めてまれな症例と言われています。
クロ君の腫瘍のステージはかなり進行しており、末期に至っていると思われました。
出来うることは対症療法となります。
流動食で最低限の体力は維持してもらい、内科的治療で呼吸を楽にし、疼痛管理をするという形になります。
飼い主様の意向もあり、しばし当院のICUに入院して頂き、治療をさせていただきました。
40%の酸素濃度で管理されたケージ内で、呼吸は安定しているかに見えたのですが、残念ながら翌日に逝去されました。
ウサギの胸腔の狭さと呼吸不全については、度々コメントさせて頂いてます。
ウサギの肺野が一旦、炎症を起こすと慢性化するケースが多く、治療・管理は大変となります。
呼吸が荒い、口で呼吸をしている等の症状が見られたら、早めの受診を強くお勧めします。
今回のクロ君は、どんな腫瘍なのかも特定できないままの急展開でした。
力及ばず、非常に残念です。
合掌
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肺を絶えず血液が巡るということは、血中に腫瘍細胞が流出したら、肺に至る確率は極めて高いということです。
特にウサギの場合、雌は乳癌、子宮腺癌になることがあり、二次的に肺に腫瘍が転移するケースを多く診てます。
実際、ヒトの場合もそうでしょうが、ウサギにしても肺腫瘍となると完治することは至難です。
本日、ご紹介しますミニウサギのクロ君(雄、8歳、体重1.6㎏)は一時的なてんかん発作を起こしたとのことで来院されました。
呼吸が浅いという事、前肢を立てたままの状態でいることから呼吸が辛くなっているだろうと判断しました。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
黄色丸で囲んだ肺野が白く点々が入っているのがお分かりいただけたでしょうか?
さらに患部を拡大します。
特に上写真では心臓のシルエットも見にくくなるくらい肺野に多数のX線不透過の結節が認められます。
先に述べましたように、雌であれば乳癌、子宮腺癌がらみの腫瘍転移はありですが、クロ君は雄です。
クロ君を診る限り、体表部に腫瘍は認められません。
また他の箇所もレントゲンを撮影しましたが、腫瘍を疑わせる所見はありませんでした。
となると、肺がこの腫瘍の原発巣となるのでしょうか?
ウサギの肺原発性腫瘍は極めてまれな症例と言われています。
クロ君の腫瘍のステージはかなり進行しており、末期に至っていると思われました。
出来うることは対症療法となります。
流動食で最低限の体力は維持してもらい、内科的治療で呼吸を楽にし、疼痛管理をするという形になります。
飼い主様の意向もあり、しばし当院のICUに入院して頂き、治療をさせていただきました。
40%の酸素濃度で管理されたケージ内で、呼吸は安定しているかに見えたのですが、残念ながら翌日に逝去されました。
ウサギの胸腔の狭さと呼吸不全については、度々コメントさせて頂いてます。
ウサギの肺野が一旦、炎症を起こすと慢性化するケースが多く、治療・管理は大変となります。
呼吸が荒い、口で呼吸をしている等の症状が見られたら、早めの受診を強くお勧めします。
今回のクロ君は、どんな腫瘍なのかも特定できないままの急展開でした。
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ウサギの腰椎骨折
ウサギは骨が脆く骨折をしやすいことは、皆様ご存知と思います。
我々もウサギの診察は診察台の上ですることはなく、椅子に助手を腰かけさせ、仰向けで保定した状態で診察させて頂いてます。
ウサギはちょっとした物音にも反応して、強力な後ろ足でキックします。
その時に脊椎骨に障害(脱臼、骨折等)が及びますと肢の麻痺、排便・排尿障害などが起こります。
本日、ご紹介しますのはミニウサギのジュニア君です。
飼い主様が気づかれた時には、すでにジュニア君は後肢が麻痺を起こしており、起立不能状態に陥っていました。
起立不能の原因を探るためにレントゲン撮影を実施しました。
さらに腰椎を拡大したのが下写真ですが、黄色丸で示した腰椎に亀裂が入っています。
第5腰椎が亀裂骨折を起こしています。
加えて、ジュニア君の膀胱は多量の尿が貯留していますので、排尿障害の心配もあります。
後肢の痛覚はなく、現時点では前肢による匍匐前進しかできません。
脊椎骨の骨折の場合、犬猫であればプレート、骨スクリュー等による固定も可能ですが、ウサギの場合は骨が柔らかく脆いため確実な固定は望めません。
したがって、内科的療法でリハビリを含めた介護が必要となってきます。
飼い主様がジュニア君のことを愛され、大事にされてます。
ジュニア君は麻痺している後肢が気になるらしく、齧って皮膚が裂けてしまい、その治療も必要です。
排便・排尿も自身で確実にコントロールはできませんので、紙おむつをしています。
内科的治療にジュニア君が少しでも反応してくれて、後肢の麻痺が改善することを祈念してます。
全国的に見ても、脊椎損傷で後躯麻痺で介護生活をおくるウサギ達は多いです。
飼い主様の治療への情熱によるところが大きいです。
我々、病院のスタッフもジュニア君の回復を応援していきます。
我々もウサギの診察は診察台の上ですることはなく、椅子に助手を腰かけさせ、仰向けで保定した状態で診察させて頂いてます。
ウサギはちょっとした物音にも反応して、強力な後ろ足でキックします。
その時に脊椎骨に障害(脱臼、骨折等)が及びますと肢の麻痺、排便・排尿障害などが起こります。
本日、ご紹介しますのはミニウサギのジュニア君です。
飼い主様が気づかれた時には、すでにジュニア君は後肢が麻痺を起こしており、起立不能状態に陥っていました。
起立不能の原因を探るためにレントゲン撮影を実施しました。
さらに腰椎を拡大したのが下写真ですが、黄色丸で示した腰椎に亀裂が入っています。
第5腰椎が亀裂骨折を起こしています。
加えて、ジュニア君の膀胱は多量の尿が貯留していますので、排尿障害の心配もあります。
後肢の痛覚はなく、現時点では前肢による匍匐前進しかできません。
脊椎骨の骨折の場合、犬猫であればプレート、骨スクリュー等による固定も可能ですが、ウサギの場合は骨が柔らかく脆いため確実な固定は望めません。
したがって、内科的療法でリハビリを含めた介護が必要となってきます。
飼い主様がジュニア君のことを愛され、大事にされてます。
ジュニア君は麻痺している後肢が気になるらしく、齧って皮膚が裂けてしまい、その治療も必要です。
排便・排尿も自身で確実にコントロールはできませんので、紙おむつをしています。
内科的治療にジュニア君が少しでも反応してくれて、後肢の麻痺が改善することを祈念してます。
全国的に見ても、脊椎損傷で後躯麻痺で介護生活をおくるウサギ達は多いです。
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