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ウサギの疾病

ウサギの精巣腫瘍(その2)

ウサギの精巣腫瘍については、以前コメントさせて頂きました。

興味のある方はこちらをクリックして下さい。

ウサギの精巣腫瘍はセルトリ細胞腫、精上皮腫(セミノーマ)、間細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と3つの分類されます。

セルトリ細胞腫とセミノーマは悪性腫瘍とされ、ライディッヒ細胞腫は良性腫瘍に分類されています。

発生率はライディッヒ細胞腫が多いようです。


以前コメントしたケース事例では、精巣がかなり大きくなっており排便・排尿時に障害となり、肛門周辺が汚れて不衛生となっていました。

このようなケースでは、夏場では陰部・肛門周辺にハエが卵を産み付けてハエウジ症になることもあります。

したがって、精巣腫瘍が疑われるケースでは、早期摘出をお勧めしている次第です。


Mixウサギのまろん君(6歳9か月、雄)は、精巣の大きさが左側だけ大きくなってきた(黄色丸)とのことで来院されました。



腫瘍の可能性が高いことと、精巣が大きくなってから肛門周辺の衛生管理が大変になることを飼主様にお伝えしました。

結局、早速外科的に摘出をすることとしました。




去勢は15分くらいで終了する手術です。

まろん君は、術前の血液検査で問題なしと出ていましたので、麻酔前投薬はなしでそのままガス麻酔で導入・維持します。





精巣を覆っている総鞘膜という膜を切開したのが下写真です。

腫瘍の転移を考慮して、総鞘膜ごと摘出しました。



患部を縫合して終了です。





摘出した精巣は病理検査結果、間細胞腫(ライディッヒ細胞腫)と判明しました。

良性の腫瘍ということで、とりあえず良かったです。

10歳以上の高齢ウサギで、この精巣腫瘍となる事例は手術のリスク(特に麻酔)を考慮しなければなりません。

精巣が少しでも大きくなってきたな、と感じられたら最寄りの動物病院の受診をお勧めします。




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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの毛芽腫(その2)

ウサギの毛芽腫は発生頻度も高く、短期間で大きくなる傾向のある腫瘍です。

以前、この毛芽腫については詳細をコメントしましたので、興味のある方はこちらをクリックして下さい。

毛芽腫は皮膚の色んな箇所に発生します。

しかも周囲の皮膚から独立してキノコの様に出現するので、個人的に愛着のある腫瘍です。

毛芽腫は良性腫瘍なんですが、場所によっては床面はじめとした飼育環境との干渉で、ちぎれたり出血を繰り返すので外科的に切除することをお勧めしています。

今回ご紹介させて頂きますのは、うさこちゃん(5歳、雌)です。



右胸側面に親指位のできものがあるとのことで来院されました(下写真黄色丸)。

見た目も毛芽腫、そのものなんですが細胞診して確認した後、外科的切除を実施することとなりました。





ガスマスクをかけて全身麻酔をします。



患部を綺麗に消毒します。





メスを入れた後は、腫瘍に栄養を送る栄養血管を電気メスで凝固させて離断します。







摘出した腫瘍です。



腫瘍をスタンプ染色しました。

下写真の真ん中に存在している紫に染まった細胞群が毛芽腫細胞です。



ウサギ以外の動物ではこの毛芽腫は悪性腫瘍の仲間に属しています。

この毛芽腫は基底細胞腫とも呼ばれています。

ただこの腫瘍の起源が表皮の基底細胞ではなく、発生初期の毛芽に近いとのことで現在では毛芽腫と呼ぶことの方が多いようです。

うさこちゃんの麻酔の覚醒も速やかでスムーズに手術は完了しました。



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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの脊椎損傷


ウサギの脊椎損傷は、犬猫同様に後躯不全麻痺に始まり、排尿排便障害を呈します。

損傷の程度によっては呼吸不全を起こしたり、疼痛のストレスで突然死に至る場合もあります。

脊椎骨折や脱臼があれば、脊柱の外科的固定が必要となりますが、脊椎骨の脆弱さにより手技的に困難をきわめます。

飼い主様の介護が必要であり、予後不良となることが多いです。



今回ご紹介させて頂きますのは、ネザーランド・ドワーフのロビー君(2か月齢、雄、体重450g)です。

1.5mほどの高さから落下してしまい、後肢が立てないとのことで来院されました。



後肢は痛覚浅部・深部ともになく、前肢で匍匐(ほふく)前進をしてます。

下痢便を不随意に流しており、排尿はしていません。

触診では、後肢の骨折、脱臼はないようですが、脊椎損傷の疑いが強いです。





患部を拡大します。

黄色丸の脊椎骨が若干ずれています。





落下の時の衝撃が脊椎骨に達し、瞬間的な脊椎骨の変位や脊髄神経の過剰な伸展があって、後躯麻痺に至ったと思われます。





後躯麻痺の場合、陰部が排便排尿で汚れますので微温湯で清潔に洗浄する必要があります。

姿勢も褥瘡を防ぐために、低反発の床材マットを敷いたりする必要もあります。

自発的に食餌が取れなければ、強制給餌をします。

飼い主様にこのような介護の負担も生じます。

栄養状態を維持できれば、後躯麻痺でも長期生存は可能です。






ロビー君はまだ2か月齢という若さでの後躯麻痺です。

不慮の事故ということで、飼主様のご心配も察します。

現在は内科的にステロイドの投薬と腸蠕動促進薬を投薬して経過観察です。

ロビー君、立てるように頑張っていきましょう!

スタッフ共々応援していきたいと思います。


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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギ消化器症候群(RGIS)

ウサギの食欲不振は突発的に発症することが多いです。


ウサギの食欲不振の原因は、その大部分が歯科疾患か消化器疾患によるものです。

口腔内検査で切歯や臼歯の伸びすぎが認められなければ、次に消化管の評価をします。

今回、ご紹介しますのはこの消化器疾患の中で、消化管うっ滞を主徴とする消化器症候群(RGIS)です。



消化管うっ滞は何かといいますと、胃腸の運動機能が何らかの原因によって低下している状態です。

原因は様々なストレス(栄養性・食餌性・精神的・基礎疾患)です。

その結果として胃内容の停滞、胃内ガス・胃液貯留、腸管蠕動の停滞、腸内ガス貯留といった病態が干渉して、食欲不振・排便量の減少・元気消失といった症状が現れます。

つまるところ、まさに便秘と思っていただければ結構です。

ただこの便秘、その病態によっては死に至ります。


ロップイヤーのミミ君(雄、5歳)は食欲不振で来院されました。

下顎の臼歯過長が認められ、棘状縁 (臼歯が伸びて棘を作っている箇所) を切断研磨し経過観察としました。

その後1週間ほど食欲改善が認められなくての再診です。

口腔内からのよだれがたくさん出ており、脱水は進行し全身状態は芳しくありません。

早速、点滴の準備をします。



レントゲン撮影を実施しました。





胃腸、特に盲腸にガスが高度に貯留しています(盲腸鼓張)。

胃内には毛球が認められます。

患部を拡大して黄色丸で示します。





このRGISに伴う胃腸内ガス貯留については、ガス抜去を第一に考えます。

ミミ君の場合、胃よりは盲腸部のガスが多量に貯留していました。

胃カテーテルを入れて、胃内ガスを除去する手法では盲腸部ガスまでは抜去できません。

今回は、腸管蠕動改善薬(メトクロプラミド)と腸内ガスを除去する消泡剤(ジメチコン)、ニューキノロン系抗生剤を投薬しました。

ミミ君は既に食欲廃絶状態になっていますので、強制的に給餌しなくてなりません。

鼻から栄養チューブを挿入して胃まで持っていき、流動食を流し込んで栄養状態を改善していきます。



胃の中にチューブがきちんと入っていれば、注射器の押し子(プランジャー)が陰圧で引っ張っても元に戻ります。

経鼻胃カテーテルの正しい留置を確認しました。





頭頂部にチューブを装着します。

このチューブに流動食(MSライフケア、青汁等)を流し込みます。





以上の内科的治療でミミ君の経過を診ていきます。

内科的治療に反応しない場合、特に毛球・異物による腸閉塞などでは外科的アプローチが必要になります。


ウサギ消化器症候群(RGIS)を予防する上で、日常食には留意して頂きたいと思います。

チモシーを主食とすること。

固形食(ペレット)は体重の1.5%程度に留めて給餌すること。


この2点を守って頂きたいです。


ウサギは非常にストレスに弱い動物です。

どんなに飼主様が飼育に気を遣い、ウサギの日常に目を光らせていても見抜けないことも多いと思います。

絶食状態が24時間以上続くようなら、ウサギにとって緊急事態であると認識して下さい。


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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギのノミ感染症



私の経験上、ウサギの外部寄生虫感染症で一番多いのはツメダニ等の疥癬です。

しかし、先日珍しくノミ感染症のウサギが来院されました。

本日はウサギのノミ感染症をご紹介します。



イングリッシュ・アンゴラの もな 君(6歳、雄)は背中の被毛が脱毛し、痒がるとのことで来院されました。



ご覧のとおり、アンゴラは長毛種で良く見ないと頭がどちらかわからないくらい被毛で覆われています。

まず背中を診てみますと下写真の様に黒い粉が大量に皮膚に付着しています。



これは何かといいうとノミの糞です。

実際、被毛を選り分けているときに何匹かのノミが皮膚を走っていくのを発見しました。

残念ながら、あまりにノミの動きが速すぎて写真を撮ることができませんでした。

ノミの喰いつかれて吸血される痒みで、一生懸命患部を肢で掻いたり、舐めているようです。

当然のことながら、脱毛のエリアも広がっているようです。



ノミの駆除に関しては、当院ではレボルーション®を試用しています。

フロントライン®は、ウサギの使用は禁忌です。

副作用で重篤な状態になる恐れがあります。

もな君に早速、レボルーション®を塗布しました。

加えてノミアレルギー皮膚炎を起こしていますので、ステロイドの内服を処方しました。





もな君のご自宅には、他に猫を飼っているそうなので、おそらくその猫からの感染と思われます。

ウサギへの感染は殆どが猫ノミです。

加えて犬のノミ感染も70%が猫ノミと言われています。


ノミが、皮膚から吸血する際に自身の唾液を、宿主の皮膚に入れます。

この唾液を異種蛋白として、宿主は認識します。

次にノミに咬まれると、アレルギー反応が稼働して、初回以上の痒みが増強されます。

結果として、ノミアレルギー症を発症してしまいます。


もな君の場合は、被毛が毛玉を形成して通気性が悪くなっており、ノミにとってはさらに繁殖しやすい環境にあったのでしょう。

まめなブラッシングも重要なポイントです。

飼育環境下で潜伏しているノミもいるかもしれませんので、定期的にノミ予防を実施した方が良いです。

もな君、お疲れ様でした。




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