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ウサギの疾病

ウサギ消化器症候群(RGIS)

ウサギの食欲不振は突発的に発症することが多いです。


ウサギの食欲不振の原因は、その大部分が歯科疾患か消化器疾患によるものです。

口腔内検査で切歯や臼歯の伸びすぎが認められなければ、次に消化管の評価をします。

今回、ご紹介しますのはこの消化器疾患の中で、消化管うっ滞を主徴とする消化器症候群(RGIS)です。



消化管うっ滞は何かといいますと、胃腸の運動機能が何らかの原因によって低下している状態です。

原因は様々なストレス(栄養性・食餌性・精神的・基礎疾患)です。

その結果として胃内容の停滞、胃内ガス・胃液貯留、腸管蠕動の停滞、腸内ガス貯留といった病態が干渉して、食欲不振・排便量の減少・元気消失といった症状が現れます。

つまるところ、まさに便秘と思っていただければ結構です。

ただこの便秘、その病態によっては死に至ります。


ロップイヤーのミミ君(雄、5歳)は食欲不振で来院されました。

下顎の臼歯過長が認められ、棘状縁 (臼歯が伸びて棘を作っている箇所) を切断研磨し経過観察としました。

その後1週間ほど食欲改善が認められなくての再診です。

口腔内からのよだれがたくさん出ており、脱水は進行し全身状態は芳しくありません。

早速、点滴の準備をします。



レントゲン撮影を実施しました。





胃腸、特に盲腸にガスが高度に貯留しています(盲腸鼓張)。

胃内には毛球が認められます。

患部を拡大して黄色丸で示します。





このRGISに伴う胃腸内ガス貯留については、ガス抜去を第一に考えます。

ミミ君の場合、胃よりは盲腸部のガスが多量に貯留していました。

胃カテーテルを入れて、胃内ガスを除去する手法では盲腸部ガスまでは抜去できません。

今回は、腸管蠕動改善薬(メトクロプラミド)と腸内ガスを除去する消泡剤(ジメチコン)、ニューキノロン系抗生剤を投薬しました。

ミミ君は既に食欲廃絶状態になっていますので、強制的に給餌しなくてなりません。

鼻から栄養チューブを挿入して胃まで持っていき、流動食を流し込んで栄養状態を改善していきます。



胃の中にチューブがきちんと入っていれば、注射器の押し子(プランジャー)が陰圧で引っ張っても元に戻ります。

経鼻胃カテーテルの正しい留置を確認しました。





頭頂部にチューブを装着します。

このチューブに流動食(MSライフケア、青汁等)を流し込みます。





以上の内科的治療でミミ君の経過を診ていきます。

内科的治療に反応しない場合、特に毛球・異物による腸閉塞などでは外科的アプローチが必要になります。


ウサギ消化器症候群(RGIS)を予防する上で、日常食には留意して頂きたいと思います。

チモシーを主食とすること。

固形食(ペレット)は体重の1.5%程度に留めて給餌すること。


この2点を守って頂きたいです。


ウサギは非常にストレスに弱い動物です。

どんなに飼主様が飼育に気を遣い、ウサギの日常に目を光らせていても見抜けないことも多いと思います。

絶食状態が24時間以上続くようなら、ウサギにとって緊急事態であると認識して下さい。


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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギのノミ感染症



私の経験上、ウサギの外部寄生虫感染症で一番多いのはツメダニ等の疥癬です。

しかし、先日珍しくノミ感染症のウサギが来院されました。

本日はウサギのノミ感染症をご紹介します。



イングリッシュ・アンゴラの もな 君(6歳、雄)は背中の被毛が脱毛し、痒がるとのことで来院されました。



ご覧のとおり、アンゴラは長毛種で良く見ないと頭がどちらかわからないくらい被毛で覆われています。

まず背中を診てみますと下写真の様に黒い粉が大量に皮膚に付着しています。



これは何かといいうとノミの糞です。

実際、被毛を選り分けているときに何匹かのノミが皮膚を走っていくのを発見しました。

残念ながら、あまりにノミの動きが速すぎて写真を撮ることができませんでした。

ノミの喰いつかれて吸血される痒みで、一生懸命患部を肢で掻いたり、舐めているようです。

当然のことながら、脱毛のエリアも広がっているようです。



ノミの駆除に関しては、当院ではレボルーション®を試用しています。

フロントライン®は、ウサギの使用は禁忌です。

副作用で重篤な状態になる恐れがあります。

もな君に早速、レボルーション®を塗布しました。

加えてノミアレルギー皮膚炎を起こしていますので、ステロイドの内服を処方しました。





もな君のご自宅には、他に猫を飼っているそうなので、おそらくその猫からの感染と思われます。

ウサギへの感染は殆どが猫ノミです。

加えて犬のノミ感染も70%が猫ノミと言われています。


ノミが、皮膚から吸血する際に自身の唾液を、宿主の皮膚に入れます。

この唾液を異種蛋白として、宿主は認識します。

次にノミに咬まれると、アレルギー反応が稼働して、初回以上の痒みが増強されます。

結果として、ノミアレルギー症を発症してしまいます。


もな君の場合は、被毛が毛玉を形成して通気性が悪くなっており、ノミにとってはさらに繁殖しやすい環境にあったのでしょう。

まめなブラッシングも重要なポイントです。

飼育環境下で潜伏しているノミもいるかもしれませんので、定期的にノミ予防を実施した方が良いです。

もな君、お疲れ様でした。




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投稿者 院長 | 記事URL

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