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ウサギの疾病

ウサギの皮膚糸状菌症

犬猫同様にウサギも皮膚糸状菌(カビ)の感染を受けます。

病変部としては、頸背部・顔面・四肢に限局的に脱毛や皮膚の発赤、鱗屑(フケ)が見られます。

今回ご紹介しますのは、両耳介部と両眼間部の脱毛がはじまったモモちゃんです。



黄色丸の部分が脱毛部です。





まずは皮膚掻破検査を行い、メス刃で脱毛部をこすって顕微鏡で検査を行いましたが毛包虫(アカラス)に代表される外部寄生虫は見つかりませんでした。

次に脱毛部周辺の被毛を抜いて、真菌鑑別用培地に被毛を培養して培地の色の変化を確認します。

モモちゃんの場合は、約1週間ほどで培地は最初の黄色から真菌陽性である赤に変わりました(下写真の黄色矢印)。



犬猫では皮膚糸状菌症の原因は、MIcrosporum canis であることが多いのですが、ウサギの場合は白癬菌のTricophyton mentagrophytes が圧倒的に多いそうです。

治療法は抗真菌薬(グリセオフルビンやケトコナゾール)の投薬、あるいは患部を剃毛してニゾラールローション(ケトコナゾール)の局所塗布を実施します。



皮膚糸状菌の場合は、ヒトにも感染する場合もありますので要注意です。


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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの毛球症

ウサギの疾病の中でも致死率が高いのが、この毛球症です。

当院に来院されるウサギの半数が、この毛球症が関係しているといっても良いでしょう。

ウサギは換毛期になりますと進んで毛づくろいをします。

その時に自らの毛を飲み込み、その毛が胃腸内で毛玉を形成し、状況によっては消化管内で閉塞を起こし毛球症に罹患します。

ウサギは猫のように嘔吐ができません。

加えてウサギは単胃動物の中でも、最も大きな胃と十二指腸を有するとされています。

単純に摂食した食物を胃内に多量に貯蔵してしまい、一方で毛玉で腸が閉塞を起こしていたりすると胃拡張と胃内容が食渣で充満してしまいます。

この胃内容が食渣で一杯になった状態が続くとガスがさらに胃から腸へと生じ、腸蠕動は停止します。

その先は、適切な治療を施さないとショック状態に陥り、死の転帰をたどります。

今回、ご紹介するのは突然、食欲が無くなったホーランドロップ君です。



最近、毛が著しく抜ける点、臼歯の過長が認められない点、数珠のように毛で連結した便をする点等などから毛球症を疑いました。

以前は積極的に外科的手術を実施しておりましたが、単純に胃内に停滞している毛玉を摘出してしまえば、すべて終了というほど簡単な治療ではありません。

毛球症のステージに合わせて、ガスを消す消泡剤、胃内容物を軟化させる緩下剤、消化管運動改善薬、鎮痛薬、強制給餌などをうまく組み合わせることで内科的治療で完治する場合も多いです。

今回のホーランドロップ君のレントゲン撮影は以下の通りです。

黄色丸で示した胃には内容物とガスが溜まっています。



急性期というよりは亜急性期に分類される病態です。



現在の私の治療法としては、突発的な急性期は手術を優先しますが、それ以外の亜急性期から慢性期は内科的治療で対応します。

このホーランドロップ君は一週間ほど内科治療を実施しましたが、いよいよ薬の反応が弱く本人の衰弱の兆しが認められましたので外科手術を行うことにしました。



胃を切開したところ、毛玉を含めドライフルーツ等がたくさん貯留していました。









毛玉は胃の内容物や胃液などと混ざり合い、汚泥のような性状になっています。





術後は点滴を施し、鎮痛剤・抗生剤・腸蠕動促進剤等を投薬します。






毛球症の外科手術をどの病態期で決断するのかというのは、非常に難しいです。

私の場合は、内科療法で4日以内に反応が乏しければ積極的に外科手術をお勧めすることが多いです。

できれば、内科的治療で治してあげたいです。

しかし、内科的治療にこだわっていると命を救うタイミングを失することもあります。

毛球症は胃内の食渣を停滞させて腹痛やガスを発生し、拒食は悪液質へと移行します。

これらの病態が進行する中で肝リピドーシスや腎不全、免疫低下も引き起こされます。

ウサギの飼主様にお伝えしたいのは、毛球症は初期の段階で気づいて欲しいということです。

食欲廃絶という症状が出る前に、糞便が毛で連結して出てこないか(毛の混入便の有無)・排便量の低下・歯ぎしりといった症状がないか必ず確認して頂きたく思います。

そしてもっと重要なのは、毛球症の予防を日常的にして欲しいということです。

具体的には、換毛期ならばまめなブラッシングをすること・ペレットよりもチモシーを大量にたべさせること・ラキサトーン等の緩下剤を与えることを守って頂けたら、毛球症はある程度は予防が可能です。

引き続き毛球症の情報を発信していきたいと考えています。



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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギキュウセンヒゼンダニ感染症の治療経過とウサギ蟯虫症

先日、ご報告させていただいたウサギキュウセンヒゼンダニの治療報告です。

足裏に痂皮(かさぶた)ができ、非常に痒がるため来院されたウサギ君ですが、この痂皮の中にウサギキュウセンヒゼンダニがしっかり見つかりました。

その時の写真がこれです。

黄色丸で囲んだ部位が痂皮を形成しているのが分かると思います。





セラメクチンを投薬して1週間後にお越しいただいた患部の写真は次の通りです。






赤丸で囲んだ部位をご覧ください。

セラメクチン投薬前(黄色丸)に比べて、痂皮が無くなりすっきりしているのがお分かり頂けると思います。




あらためてセラメクチンの効果を実感しました。

加えて、排便した糞便にウサギ蟯虫(Passalurus ambiguus)が排出されました(黄色矢印)。

虫体は5~10㎜くらいです。

今回、排泄された虫体はすべて死んでいました。



ついでにこのウサギ蟯虫は雌で子宮内に卵をたくさんを持っていました。

虫体があまりに大きいので顕微鏡写真をつなげてみます。





このウサギ蟯虫はウサギの盲腸と結腸に寄生します。

蟯虫はウサギの肛門まで出てきて、肛門周囲の皮膚に産卵をするという変わった産卵法をとります。

排泄時に虫卵が便の表面に付着して、他のウサギへの感染源となります。

あるいは、ウサギが自分の肛門周囲を舐めて再感染することもあります。

さいわいなことに、この蟯虫に感染しても無症状ですむことが殆どです。

成長期のウサギの場合は、増体が悪かったり毛艶が悪くなったりはあるようです。

一般的には、駆虫にパモ酸ピランテルやイベルメクチンが使用されます。

今回は、ウサギキュウセンヒゼンダニの駆虫のために使用したセラメクチンが蟯虫を駆逐してくれたと思われます。




ウサギ蟯虫のフルスケール顕微鏡写真まで見せられるとは思ってみなかった方は
 

 
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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギキュウセンヒゼンダニ感染症


ウサギのツメダニ感染症の多くは背部の皮膚に病変が生じるケースが多いです。

しかし今回の感染症は、皮膚よりも足裏や耳介部に寄生して顕著な痂皮(かさぶた)を生じています。





まず四肢の足裏ですが、黄色丸に示すように痂皮が形成されています。





ウサギ君自身も非常に足裏を気にして舐めたりしています。

加えて、耳介部の縁にそって痂皮(黄色丸中)が形成されています。





この耳介部もかなり痒いらしく、肢をつかって掻いたりしています。

早速、患部をメスの刃で掻把(ひっかくこと)して、顕微鏡で確認したところ下の写真の様にダニを発見しました。



以前、ウサギのツメダニ感染症をウサギの疾病に載せました。

ツメダニの特徴は皮膚にフケがたくさん生じるところに特徴があります。

今回のダニはウサギキュウセンヒゼンダニと言いまして、特に耳道内に入り込み耳の中にコーンフレークのような耳垢を形成します。

このキュウセンヒゼンダニは、皮表の脱落表皮と組織液を摂取しつつ、体表部で生活をします。

それでも、ウサギからすれば非常に患部は痒みを伴います。

このウサギ君は、そこまで感染症が進行していませんが、早く治療しておかないと特に足裏は、ソアホックに移行しそうな勢いなので要注意です。

早速、セラメクチンという薬剤を投与して治療を開始致しました。

寄生するダニの種類によっても、症状・病変部が異なりますので注意が必要です。



ウサゴキュウセンヒゼンダニなんて舌を咬みそうと思われた方は
 

 
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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの歯周病起因の膿瘍

ウサギの膿瘍(皮下にできる膿)は、発症例として非常に多いといえます。

特に歯牙疾患に由来する膿瘍は、しつこく完治させることが難しいです。

以前にウサギの膿瘍は総括的に載せましたが、あまりに発症件数が多いので、今後その詳細を載せていきたいと思います。

今回ご紹介しますのは、ライオンヘッドラビット君です。



上の写真をご覧いただいても、何の写真やら分からないかもしれません。

黄色の丸で囲んだのが右の眼です。

オレンジの丸は眼下の膿瘍を指しています。

黄色矢印は鼻のある側を指しています。

オレンジの丸内は、皮膚が黒くなっていますが、すでに皮膚が壊死を起こしています。





黒くなっている皮膚は簡単に裂け、まず膿瘍を綺麗に洗浄しました。







壊死を起こした皮膚が開いて多量の膿が貯留していました。



長毛のため、気づかなかったのですが下顎にも膿瘍があり、同じく洗浄を実施しました。

加えて上顎臼歯が伸びて頬の内側を穿刺していましたので、過長した臼歯をカットしました。

その後は患部に蛋白融解剤やアイプクリームを入れ、抗生剤の内服をお願いしました。

2週間後の写真を下に載せました。

やっとライオンヘッドラビット君の顔形が判明したことと思います。





投与した薬の反応も良く、比較的短期間で回復しました。

膿瘍の原因は臼歯過長によるものです。

臼歯が伸びたか否かは、ご自宅で確認することは困難です。

専用の開口器を使用して、ライトを照射して当院では確認しています。

おそらく膿瘍が形成される前にすでに伸びた臼歯によって、舌や頬内側が傷を負っていますから、過剰な涎が出ているでしょう。

その場合は下顎が涎で濡れているはずです。

開口器を使用しなくても下顎が濡れていたら、臼歯は伸びていると考えて下さい。

そして、その段階で病院で受診して頂ければ、膿瘍で長く苦しまなくても済むと思います。




臼歯過長が原因のウサギ顔面の膿瘍が多いことをご理解された方は
 

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