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ウサギの疾病

ウサギのツメダニ感染症

ツメダニ(Cheyletiella spp. ) の寄生性皮膚疾患をご紹介します。

このツメダニはウサギのみならず、犬猫にも寄生します。

特にツメダニは表皮の角質層に寄生し、ライフサイクルは35日間です。

約1か月強で次世代に交代します。

このツメダニ感染症は症状として、背部・肩甲骨間・尾根部に寄生し、白く大きな鱗屑を認めます。

次いで、脱毛が起きます。

この段階で非常に痒みを感じる個体も多いです。

場合によっては、ヒトにも感染は起こります。人畜共通感染症とされています。




今回のツメダニ感染患者はロップイヤーのサスケ君です。

背中の鱗屑がひどいとのことで来院されました。

下の写真にあるように背部の脱毛と鱗屑が認められます。

赤丸の部分・赤の矢印に集中して鱗屑・脱毛があります。







加えて、飼主様もサスケ君と接触した腕に強い痒みを感じると申告されています。

患部に密着したセロハンテープをスライドガラスに張り付け、顕微鏡で検査しました。




多くのツメダニが被毛の中から検出されました。





上の写真はツメダニの卵です。




顎の部分を拡大しますと下の写真のようになります。

この顎で食い付かれるとさぞかし痛いでしょうね。



治療法としては、イベルメクチンやセラメクチンの投薬できれいにツメダニを駆除出来ます。

健康で正常なグルーミングができる個体は、ツメダニの感染があっても、無症状であることが多いとされています。

ツメダニは宿主から離れても10日間は生存するとされています。

そのため、ケージ内の敷料は紙製に変えて、毎日廃棄できるようにし、ケージ内の掃除を徹底することが大事です。




ツメダニが気持ち悪いと思った方は、こちらを



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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの子宮腺癌

ウサギは繁殖力に特化した動物です。

これは当院のホームページのウサギの疾病に載せたとおりです。

そして多くの避妊していないウサギは平均4歳以降に子宮疾患を起こします。

その理由は、発情期が極めて長いため子宮が長期間にわたりエストロジェンに暴露されるためです。

今回、ご紹介するのはホーランドロップのクルミちゃん(8歳4か月)です。

最近、食欲不振・尿量低下で来院されました。



尿検査をしたところ、潜血反応・顕微鏡下での赤血球を確認しました。

高齢でもあり、血尿がからんでくると子宮疾患の可能性が高くなります。

レントゲン写真でも下腹部に腫瘤(マス)の存在を認めます。




腹部の膨満が著しいため、急遽、卵巣子宮摘出を前提とした試験的開腹手術を実施することとしました。



仰向けの姿勢で既に下腹部が膨隆しているのがお分かりいただけると思います。



早速メスを入れたところ、腹膜下より子宮とおぼしき組織が出てきました。



慎重に内容を外に出します。



卵巣から子宮角、子宮間膜、子宮頚部へと大きな腫瘍が形成されています。



これだけ腫瘍が広い範囲に及んでおり、出血量も多いと見込まれましたのでバイクランプによる止血を実施しました。









これだけ大きな腫瘍ですから、手術も長時間にわたる覚悟でいましたが、バイクランプによる迅速な止血でわずか30分ほどで終了しました。



腫瘍摘出後の腹腔内出血もなく、実にすっきりした感があります。








皮膚縫合を終え、麻酔の覚醒を待ちます。







無事、麻酔から覚醒したところです。

クルミちゃん、よく頑張ってくれました!

ウサギは犬猫の比べて組織自体が脆弱で取り扱いは細心の注意を要しますが、それ以上に麻酔の管理が大変です。

ですから、麻酔から確実に覚醒してくれた時が一番嬉しいです。

摘出した腫瘍は400gありました。ちなみにクルミちゃんの体重は1700gでした。




手術は成功したのですが、術後3日目にクルミちゃんは急逝されました。

原因はいろいろ考えられますが、体の4分の1にあたる腫瘍が循環血流量及び栄養分の多くを吸収していたはずですから、摘出後の循環血流量の低下に伴うショックが生じたと思われます。

犬のように輸血自体ができない動物なので、限界を感じます。

ただこの文章をご覧になっていただいてる皆様に申し上げたいのは、雌のウサギの子宮疾患発生率は犬よりも高く、予防するための唯一の手段は避妊手術しかありません。

可能な限り、若い1歳未満の時期に避妊手術をお受けいただくことを強くお勧めいたします。


合掌








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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの脛骨骨折・創外固定手術

先日、スタッフブログでご紹介しましたウサギのミミちゃんの骨折創外固定手術をまとめました。

ウサギは非常に骨が脆く、自身でちょっと強くキックした位でも骨折するケースもあるほどです。

今回のミミちゃんは脛骨を骨折し、骨折部は斜骨折といって斜めに折れている状態です。



犬猫であればプレートで骨折部を内固定するか、骨髄にピンを入れて固定するところです。

しかし、ウサギの場合は骨が脆いがために斜骨折では、私はいつも創外固定を選んでいます。

今回は骨折端が皮膚を突き抜け開放創となっていました。



術後のレントゲン像は下の写真です。





骨折端が若干の転位があり、順調に骨癒合してたとしても3~4カ月は必要と思われました。
加えて非常に元気なウサギさんなので、その間飼い主様にも飼育に多大な注意が必要です。
術後1カ月の写真です。





飼い主様のお世話の甲斐あって、術後の再骨折もなく、術後約4カ月目にしてピンを抜くこととなりました。
下のレントゲン写真はピン抜去後のものです。



骨折部は骨折部を橋渡しして埋める新しい骨組織(化骨)に変わっています。
骨折部がもとの形状に戻る(再構築)まで少し時間がかかりますが、とりあえずエリザベスカラーと創外固定ピンのストレスから解放されてミミちゃん、良かったね!(ピン抜去後は1週間はエリザベスカラーはつけてもらってます。悪しからず。)



ウサギは骨折しますと治癒するまで、犬猫以上に時間を要します。
不注意に高いところに上げたり、抱いていて落としたりしないようご注意ください。


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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギのエンセファリトゾーン症

当院の外来患者でウサギの占める割合は犬についで高く、昨今のウサギブームを確実に反映している感があります。
最近、そのウサギの疾患の中でも斜頚という症状で来院されるウサギが増えています。

斜頚とは首を斜めに曲げて、その状態が続くものを言います。
当然のことながら、姿勢を維持するのが困難で、倒れてしまうウサギもいます。
さらに悪化すると体を回転する(ローリング)する個体もいます。

この斜頚は病名ではなく、症状を現しています。
正しくはウサギの前庭疾患と呼称されます。
この前庭疾患は末梢性(パスツレラ菌等の細菌感染によるもの)と中枢性のものとあります。
中枢性前庭疾患で特に注意するべき疾患にエンセファリトゾーン症(Ez)があります。

Ez症はEncephalitozoon cuniculi という微胞子虫が引き起こす疾病です。
Ezは中枢神経系や腎臓に感染し、以下に挙げるような症状を示します。

1:斜頸(眼球振とう)
2:四肢不全麻痺、起立困難
3:旋回(ローリング)、転倒
4:ブドウ膜炎


Ezの診断の確定診断は死後の病理組織検査です。
しかし、それでは治療に結びつきません。
確定診断とならない場合もありますが、血清学的検査(IgG抗体検査)は有用とされています。
抗体価が320倍なら感染であり、40倍以下なら非感染と診断診断されます。
ところが、実際はその中間である40~160倍のグレーゾーンであることが非常に多くて、診断に悩むところです。
結局,Ez(中枢性前庭疾患)と他の細菌感染(末梢性前庭疾患)も考慮して治療を進めることが多いです。


Ez治療法としては、フェンベンダゾール(FBZ)を投薬します。
EZ感染の初期ステージであれば、斜頚や眼振は1週間で完治する場合もあれば、半年以上を要する場合もあります。

下の写真は、軽度の斜頚で来院されたウサギです。
外耳炎・中耳炎の既往歴もなく、末梢性前庭疾患の可能性は低く感じました。





次に眼を良く診てみますと前眼部の肉芽腫性ブドウ膜炎が認められました。
この点はEz症を裏付ける所見です。




このウサギ君は、数週間のFBZ投薬で斜頚も完治しました。
場合によっては、斜頚が後遺症として残るケースも多いです。


さらに別件のウサギ君ですが、重度の斜頚および回転を認める症状です。
来院された段階で食餌も自分で食べることができなくて、流動食による強制給餌が必要でした。
FBZを始めとする内科的治療も長期戦に及ぶことになります。
問題は、ウサギ君自身がそのストレスに耐えられるのかという問題があります。
飼い主様もウサギ君の介護指導が必要です。
特に一日中寝てばかりですから、床ずれ対策や排泄物による感染予防も必要です。
回転運動が酷い場合は、多くは眼球を傷つけ角膜炎を併発します。
残念ながらこのウサギ君は治療の甲斐なく亡くなられました。





EZの感染経路は母ウサギからの胎盤感染もあるとされていますが、感染個体の腎臓から尿中に排出されるスポアという病原体を摂取することで感染が成立します。
スポアは乾燥に強く、1~2ヶ月間環境中で感染力を持つようです。
もし、多頭飼育されている中で斜頚のある個体が出たら、消毒や飼育環境の衛生管理をしっかりしないと全頭に感染が及ぶ恐れがあります。
いづれにしても、このEz症は不治の病ではありません。
先に述べた症状で疑わしいと感じたなら早期に病院で受診され、治療を開始して頂きたく思います。




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投稿者 院長 | 記事URL

ウサギの乳腺腫瘍・ハエウジ症

ウサギの乳腺疾患は子宮疾患と比較して、決して多いとはいえませんが乳腺にできる腫瘍は乳腺癌である確率が高く、また転移も早く摘出後の再発も多いとされる、やっかいな疾患です。

ウサギも犬猫同様、若いうちに避妊手術を受けた個体は乳腺腫瘍の発症率は極めて低いとされています。
国内で有名なウサギの専門病院の院長いわく、3歳未満で避妊手術をうけれた個体で乳腺腫瘍になったウサギはないそうです。

ウサギの乳腺腫瘍は良性・悪性に限らず、疼痛を伴うことは少なく、むしろ患部が自壊して気にして舐めることで細菌感染を併発し悪化していきます。

下の写真は乳腺腫瘍になった4歳のウサギです。加えてハエウジ症(後で説明します。)にもなっています。






左側胸部乳腺・腹部乳腺・鼠径部乳腺に乳腺腫瘍ができています。
特に腹部乳腺腫瘍は自壊して皮膚が裂けた状態になっています(下写真参照)。
この場合は患部に熱感を伴っており著しい浮腫も出ています。
肺に腫瘍が転移している可能性もあります(まだ未確認)。
外科的に乳腺腫瘍および子宮卵巣を摘出するのがベストですが、全身状態が衰弱している個体ではリスクが高くケースバイケースです。






次にハエウジ症ですが、ウサギは基本的に自身の外陰部は舐めていつもきれいにしますが、諸般の事情で舐められない環境に置かれますと、肛門から外陰部にかけて糞便尿で汚染されます。
ハエが汚染された箇所に卵を産みつけウジが湧くと患部をかじり、場合によっては筋肉層にまで進出します。
ハエウジ症になりますと予後不良の傾向が強いと思います。
一匹ずつウジをつまみだし、患部を洗浄・治療します。
下写真はハエウジ症の患部です。
あまり気色のいいものではないと思いますが、ハエウジ症になるとどんなに悲惨かご理解いただく意味を込めて載せます。
悪しからず。




次に胸部乳腺腫の外科手術例を載せます。
このウサギも4歳です。
未避妊ウサギです。
ウサギは基本的に抱かれるのを嫌いますので、乳腺腫瘍を見逃すことが多いです。
できれば、日常的に触ってしこりがないか確認すると良いでしょう。

投稿者 院長 | 記事URL

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