鳥の疾病
ボタンインコの卵塞症(Egg binding)
小型愛玩鳥の卵塞症、いわゆる卵つまりは日常的に遭遇します。
初産での発生率が高いこと、産卵を集中して行う個体ほど発生するとされています。
殻付餌を中心とした給餌スタイルで、ビタミン・ミネラルを与えられず、日光浴もしていない個体に卵塞症は多発します。
今回、ご紹介しますのはボタンインコのアロエちゃん(10か月齢、雌)は4日間続けて産卵をしてから、急に元気がなくなってきたとのことで来院されました。
腹部を触診したところ、セキセイインコの様にはっきりと卵殻の感触が指先に感じられなかったためにレントゲン撮影を行いました。
上写真の黄色丸で囲んだ箇所が降りてこない卵です。
卵塞症の治療の一つとして、卵圧迫排出処置があります。
これは、体を保定して指で卵を押して強制的に塞卵を排出させる方法です。
ただ圧迫排出が可能なのは、卵が子宮部から膣部にある場合だけに限られます。
卵管が逆蠕動をして、卵管の上部(膨大部や卵管采)に上がっている場合は、この圧迫排出は危険で禁忌とされます。
早速、圧迫排出法を実施します。
下腹部をやさしく揉み解すような感じで、触っていると卵が卵管の下の方へと降りてきました。
流動パラフィンを総排泄口に滴下して卵の潤滑をよくします。
特に出血もなく無事に卵は排出できました。
スッキリしたアロエちゃんです。
卵塞の原因は以下の通りとされます。
1:低カルシウム血症による子宮収縮不全
2:卵殻形成異常
3:環境ストレスによる産卵機構の急停止
4:卵管口が何らかの原因で閉塞した場合
アロエちゃんの場合は、4日間毎日産卵して、低カルシウム血症になっての卵塞ではないかと思われます。
卵塞を防ぐためには、過産卵させないことが重要です。
以前、過産卵を防ぐ方法を掲載しましたので興味のある方はこちらをクリックして下さい。
あとはビタミンDとミネラル(塩土)を確実に与えて下さい。
日光浴はガラス越しは紫外線がガラスで吸収されてしまい、意味がありません。
必ずケージごと屋外に出すようにして下さい。
初産での発生率が高いこと、産卵を集中して行う個体ほど発生するとされています。
殻付餌を中心とした給餌スタイルで、ビタミン・ミネラルを与えられず、日光浴もしていない個体に卵塞症は多発します。
今回、ご紹介しますのはボタンインコのアロエちゃん(10か月齢、雌)は4日間続けて産卵をしてから、急に元気がなくなってきたとのことで来院されました。
腹部を触診したところ、セキセイインコの様にはっきりと卵殻の感触が指先に感じられなかったためにレントゲン撮影を行いました。
上写真の黄色丸で囲んだ箇所が降りてこない卵です。
卵塞症の治療の一つとして、卵圧迫排出処置があります。
これは、体を保定して指で卵を押して強制的に塞卵を排出させる方法です。
ただ圧迫排出が可能なのは、卵が子宮部から膣部にある場合だけに限られます。
卵管が逆蠕動をして、卵管の上部(膨大部や卵管采)に上がっている場合は、この圧迫排出は危険で禁忌とされます。
早速、圧迫排出法を実施します。
下腹部をやさしく揉み解すような感じで、触っていると卵が卵管の下の方へと降りてきました。
流動パラフィンを総排泄口に滴下して卵の潤滑をよくします。
特に出血もなく無事に卵は排出できました。
スッキリしたアロエちゃんです。
卵塞の原因は以下の通りとされます。
1:低カルシウム血症による子宮収縮不全
2:卵殻形成異常
3:環境ストレスによる産卵機構の急停止
4:卵管口が何らかの原因で閉塞した場合
アロエちゃんの場合は、4日間毎日産卵して、低カルシウム血症になっての卵塞ではないかと思われます。
卵塞を防ぐためには、過産卵させないことが重要です。
以前、過産卵を防ぐ方法を掲載しましたので興味のある方はこちらをクリックして下さい。
あとはビタミンDとミネラル(塩土)を確実に与えて下さい。
日光浴はガラス越しは紫外線がガラスで吸収されてしまい、意味がありません。
必ずケージごと屋外に出すようにして下さい。
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投稿者 院長 | 記事URL
文鳥の脛骨骨折
鳥の骨折は、その骨折パターンが品種ごとに様々です。
先日はサザナミインコの骨折についてコメントさせて頂きました。
今回は、文鳥のハクちゃん(恐らく雌、6か月齢)が立てなくなったとのことで来院されました。
歩行を確認しますと左肢をかばって拳上しています。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
ちょっと見ずらいかもしれませんが、黄色丸で囲んだ箇所(脛骨)が骨折しています。
さらに患部を拡大します。
骨髄に注射針を骨髄ピンの代わりに入れて固定できると良いのですが、飼主様の意向もあり、骨折部をギブスの外固定ですることとしました。
折れている脛骨をまっすぐに牽引して骨折端を整復します。
この手技が本人にとって一番痛く、術者にとっても指先の感覚で整復しますので難しいところです。
骨折の整復がある程度決まったところで、外固定のために外副子を当ててテーピングします。
このような形で外固定は終了です。
セキセイインコや文鳥位のサイズですと4週間ほどあれば、外固定で骨折端は癒合します。
問題はこの後、おとなしくケージ内で最低3週間ほど生活ができるかという点です。
肢に負担をかけないように止まり木を外します。
平床にすると、それはそれで鳥にとっては、ストレスになると思いますが止むを得ません。
ハクちゃん、骨が癒合するまで頑張っていきましょう。
先日はサザナミインコの骨折についてコメントさせて頂きました。
今回は、文鳥のハクちゃん(恐らく雌、6か月齢)が立てなくなったとのことで来院されました。
歩行を確認しますと左肢をかばって拳上しています。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
ちょっと見ずらいかもしれませんが、黄色丸で囲んだ箇所(脛骨)が骨折しています。
さらに患部を拡大します。
骨髄に注射針を骨髄ピンの代わりに入れて固定できると良いのですが、飼主様の意向もあり、骨折部をギブスの外固定ですることとしました。
折れている脛骨をまっすぐに牽引して骨折端を整復します。
この手技が本人にとって一番痛く、術者にとっても指先の感覚で整復しますので難しいところです。
骨折の整復がある程度決まったところで、外固定のために外副子を当ててテーピングします。
このような形で外固定は終了です。
セキセイインコや文鳥位のサイズですと4週間ほどあれば、外固定で骨折端は癒合します。
問題はこの後、おとなしくケージ内で最低3週間ほど生活ができるかという点です。
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平床にすると、それはそれで鳥にとっては、ストレスになると思いますが止むを得ません。
ハクちゃん、骨が癒合するまで頑張っていきましょう。
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投稿者 院長 | 記事URL
オカメインコの翼の骨折(橈・尺骨の若木骨折)
鳥にとって翼は肢の骨同様、重要な器官です。
骨折の発生部位としては、肢に次いで多いのが翼です。
飼育ケージの中で生活している分には問題はないのですが、部屋の中で放鳥した場合、翼を傷つけることがあります。
本日ご紹介するのは、オカメインコのドラコ君(♂、3歳)です。
左の翼が下がっているとのことで来院されました。
翼を触診すると痛がります。
触診では特に翼の骨折時に生じる軋轢音はなく、翼の内出血も認められませんでした。
念のため、レントゲン撮影を実施しました。
下写真をご覧頂いて、異常な点にお気づきになりましたか?
下写真の黄色丸で囲んだ箇所が問題です。
橈骨・尺骨共に亀裂が生じていて、完全に骨折しているわけではありません。
若木骨折(greenstick fracture)とも呼ばれ、弾力性があって骨膜が厚い骨の場合、完全に折れずに生木を折ったようになります。
この場合、骨髄ピンで内固定することはせず、テーピングによる外固定を実施します。
鳥の場合、翼をたたんだ状態でテーピングを行います。
若木骨折をしてる箇所を粘着性テープでしっかりテーピングします。
その後、翼をたたませて胴部の全周を紙テープで胸を圧迫しないようにテーピングします。
この時、強くテーピングしますと胸郭運動が抑制されて、呼吸不全を来しますので要注意です。
ドラコ君はこの状態で約10日~2週間ほど過ごして頂きます。
鳥の羽ばたきは強い力を要しますので、このテーピングで羽ばたきをブロックします。
結果として、若木骨折している橈尺骨に休息を与え、亀裂骨折している部位を回復させます。
デリケートな個体では、このテーピングのストレスで食欲低下や自傷行為に至る場合があります。
ドラコ君、テーピング期間おとなしく過ごして下さいね。
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投稿者 院長 | 記事URL
烏骨鶏の爪切り
烏骨鶏(うこっけい)という鳥をご存知ですか?
皮膚・内臓・骨に至るまで黒色を呈する鶏の一品種です。
羽毛は白色と黒色の二種類あります。
この羽毛ですが、成鳥でもヒヨコ同様の綿毛を呈しています。
鶏の中でも他の品種と一線を画す品種です。
本日、ご紹介するのは、この烏骨鶏のうーちゃん(♂、3歳)です。
爪が過剰に伸びたとのことで来院されました。
爪が下写真の黄色丸で囲んだように槍のごとく伸びています。
この爪で踵落としされたら、大変な傷を被るでしょうね。
本来、鳥は足の指が前向きに3本あり、後ろ向きの指が1本あり、計4本です。
烏骨鶏の場合、前向きで3本、後ろ向きで2本指があるとされます。
この指の特徴は鳥の中でも、烏骨鶏のみで、特異的な外貌から中国では霊鳥と見られていたそうです。
加えて、不老不死の食材とされた歴史もあります。
後ろ向きの指以外にも、前向きの指3本も爪が伸びてます。
犬猫用の爪切りでは、この丈夫な爪をカットすることは不可能です。
下写真の矢印のように線鋸(のこぎり)でカットします!
カットした爪の断面が下写真です。
いかに立派な爪はお分かり頂けると思います。
他の爪は大工道具のニッパーでカットします。
この点はリクガメの爪切りと同様です。
続いてうーちゃんの全身チェックです。
うーちゃんですが、頭頂部が脱毛が気になるとのことで、真菌の検査を実施しました。
脱毛部の周辺の毛を培地に接種して培養します。
2週間後にうーちゃんの培地は真っ赤に陽性と出ました(下写真)。
うーちゃんはこの後、真菌の治療を実施します。
このうーちゃんには相棒の烏骨鶏がいます。
その名はこーちゃん(♂、3歳)です。
冠が立派な烏骨鶏です。
烏骨鶏はペットとして飼われている家庭が最近は増えているようです。
手入れを行き届かせると、霊鳥にふさわしい荘厳な雰囲気を漂わせる鳥になると思います。
皮膚・内臓・骨に至るまで黒色を呈する鶏の一品種です。
羽毛は白色と黒色の二種類あります。
この羽毛ですが、成鳥でもヒヨコ同様の綿毛を呈しています。
鶏の中でも他の品種と一線を画す品種です。
本日、ご紹介するのは、この烏骨鶏のうーちゃん(♂、3歳)です。
爪が過剰に伸びたとのことで来院されました。
爪が下写真の黄色丸で囲んだように槍のごとく伸びています。
この爪で踵落としされたら、大変な傷を被るでしょうね。
本来、鳥は足の指が前向きに3本あり、後ろ向きの指が1本あり、計4本です。
烏骨鶏の場合、前向きで3本、後ろ向きで2本指があるとされます。
この指の特徴は鳥の中でも、烏骨鶏のみで、特異的な外貌から中国では霊鳥と見られていたそうです。
加えて、不老不死の食材とされた歴史もあります。
後ろ向きの指以外にも、前向きの指3本も爪が伸びてます。
犬猫用の爪切りでは、この丈夫な爪をカットすることは不可能です。
下写真の矢印のように線鋸(のこぎり)でカットします!
カットした爪の断面が下写真です。
いかに立派な爪はお分かり頂けると思います。
他の爪は大工道具のニッパーでカットします。
この点はリクガメの爪切りと同様です。
続いてうーちゃんの全身チェックです。
うーちゃんですが、頭頂部が脱毛が気になるとのことで、真菌の検査を実施しました。
脱毛部の周辺の毛を培地に接種して培養します。
2週間後にうーちゃんの培地は真っ赤に陽性と出ました(下写真)。
うーちゃんはこの後、真菌の治療を実施します。
このうーちゃんには相棒の烏骨鶏がいます。
その名はこーちゃん(♂、3歳)です。
冠が立派な烏骨鶏です。
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ウズラの皮下気腫
ウズラのズラちゃんは、胸部の腫れが気になって来院されました。
写真では分かりずらいかもしれませんが、下写真の黄色丸の部分が全体的に腫れています。
そして黄色丸内をよく見ると、皮下出血が部分的に認められました。
胸部の皮下に弾力性のあるものが存在しているのが触診で分かります。
光を患部に当てて、皮下を映し出します。
この段階では、その皮下組織に存在するものが液体なのか、否か不明なので試験的に皮下を穿刺します。
穿刺して診ますと液体はなく、空気が吸引されました。
空気を10ml吸引したところで、胸部の腫れは消失しました。
つまり、この腫れは皮下気腫であることが判明しました。
皮下気腫とは、皮下組織に何らかの原因で空気が溜まった状態を言います。
空気の侵入経路は大きく3つあります。
1つ目は皮膚損傷があり、外部からの空気の侵入する場合。
2つ目は胸膜が損傷して、胸腔内の空気が皮下に侵入する場合。
3つ目は気管支損傷・食道損傷があって、空気が縦隔経由で皮下に侵入する場合。
はたしてズラちゃんは何が原因で皮下気腫に至ったか?
呼吸音は正常で、聴診上も問題ありません。
おそらく胸膜損傷や気管損傷・食道損傷ではないと思われました。
翼の周囲や胸部の詳細を確認したのですが、大きな外傷はないようです。
皮膚の受傷跡はすでに治まっているものと考えられました。
ウズラの羽根は密生しており、全体表部をチェックするのは困難です。
胸部の腫脹は治まり、ズラちゃんの症状に変わりはありません。
しばらく経過観察をして、再腫脹がなければ治療は終了です。
写真では分かりずらいかもしれませんが、下写真の黄色丸の部分が全体的に腫れています。
そして黄色丸内をよく見ると、皮下出血が部分的に認められました。
胸部の皮下に弾力性のあるものが存在しているのが触診で分かります。
光を患部に当てて、皮下を映し出します。
この段階では、その皮下組織に存在するものが液体なのか、否か不明なので試験的に皮下を穿刺します。
穿刺して診ますと液体はなく、空気が吸引されました。
空気を10ml吸引したところで、胸部の腫れは消失しました。
つまり、この腫れは皮下気腫であることが判明しました。
皮下気腫とは、皮下組織に何らかの原因で空気が溜まった状態を言います。
空気の侵入経路は大きく3つあります。
1つ目は皮膚損傷があり、外部からの空気の侵入する場合。
2つ目は胸膜が損傷して、胸腔内の空気が皮下に侵入する場合。
3つ目は気管支損傷・食道損傷があって、空気が縦隔経由で皮下に侵入する場合。
はたしてズラちゃんは何が原因で皮下気腫に至ったか?
呼吸音は正常で、聴診上も問題ありません。
おそらく胸膜損傷や気管損傷・食道損傷ではないと思われました。
翼の周囲や胸部の詳細を確認したのですが、大きな外傷はないようです。
皮膚の受傷跡はすでに治まっているものと考えられました。
ウズラの羽根は密生しており、全体表部をチェックするのは困難です。
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