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ハムスターなど小型げっ歯類の疾病

2012年10月17日 水曜日

ジャンガリアンハムスターの後躯不全麻痺

ジャンガリアンハムスターは運動好きで、ケージの中でも回し車を初めとして、ケージの天井部分の格子で雲梯遊びをしたりします。

安全に遊んでくれれば何も心配はありませんが、遊具で肢を挟んだり、雲梯遊びから落下して骨折したりする場合も多いです。

今回ご紹介するのは、非常に活発で運動好きなジャンガリアンハムスターのうーちゃんです。

後肢が不全麻痺を起して、歩行ができないとのことで来院されました。

非常に小さな動物なので犬猫のように神経学的検査も詳細にわたって実施することが難しいです。



鉗子で後肢をつまんで痛覚のチェックを行いました。

両後肢とも痛覚反射が弱いです。



おそらく脊椎損傷が原因で後躯不全麻痺に陥ったと思われましたので、レントゲン撮影を実施しました。





明瞭な椎体脱臼や骨折は認められませんでした。

犬猫なら脊椎造影して損傷の部位を特定できるのでしょうが、これだけ小さな動物では診断にも限界があります。

ウーちゃんの場合は、幸いなことに排便・排尿障害はなく、尿毒症に移行する心配はありませんでした。

下が受診された当日の写真です。

ちょっぴり、ふくよかな体型ですが前肢を駆動して、機敏に匍匐前進をします。





発症直後ということもあり、ケージ内での安静を命じ、ステロイドの投与を行うこととしました。

時は流れ、次の写真は5か月後のウーちゃんです。



随分とスレンダーになりました。

飼い主様がうーちゃんの健康管理をしっかりされており、適度な運動・リハビリを実施し、バランスのとれた食生活をされている結果です。投薬もしっかりして頂いています。

不全麻痺を呈していた後躯も今では、しっかり駆動しており(特に左後肢)、右後肢もある程度の動きはできるようになっています。





この調子で回し車を回せるくらいまで回復して欲しいと思っています。

ハムスターを取り巻く環境は危険がいっぱいです。

なるべく飼育環境はシンプルにレイアウトして、未然に事故を防いで下さい。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年9月11日 火曜日

キンクマハムスターの体表腫瘍

小型齧歯類の中でもハムスターは体表部に腫瘍ができる率が非常に高いです。

以前にもハムスターの皮下腫瘍としてコメントさせて頂いたことがあります。

ひとことで、体表部の腫瘍と言っても、発生する箇所によって色々な腫瘍のバリエーションが出て参ります。

飼い主様からの体表部の腫瘍についてのご質問も増えてきました。

今後、ホームページ上で体表腫瘍の症例報告をさせていただきたく思います。

今回ご紹介するのは、キンクマハムスター君の背部体表腫瘍のケースです。



黄色の矢印で表したように背部皮膚に2つの膨隆した腫瘍が認められます。

既に本人も患部を気にして咬んだりして、皮膚の一部が破れたりしてます。

キンクマ君の年齢、全身状態から麻酔にも十分耐えられると判断して、患部の摘出手術を早速行うこととしました。



患部を電気メスでできる限りのマージン(縁取り)を保って、切開摘出していきます。

問題は、小さな動物なのでマージンが余裕を持って取ることが出来ない点です。

できれば、ごっそりと皮膚ごと摘出したいところですが、予後を考えるとある程度のところで折り合いをつけるしかありません。












今回、摘出した腫瘍ですが、線維性組織球種であることが判明しました。






加えて、このキンクマ君は耳介内部にも腫瘍が存在しており、この部分こそマージンは取れません。

耳全部摘出するのが正しい選択かもしれませんが、飼い主様の意向も尊重して腫瘍のみを電気メスでカットします。





手術は約20分以内で終了させ、最後に皮下輸液を施しました。

麻酔覚醒後、キンクマ君はあまりに元気に動きますので、カメラのフォーカスを合わせるのが大変です。







元気に退院して頂いて良かったです。


ハムスターの体表腫瘍は色んな所にできるものだと思われた方は
 

 
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年6月19日 火曜日

デグーマウスの皮膚糸菌症

梅雨に入り、毎日蒸し蒸した日々が続きますね。

季節的にこの時期は、カビ(真菌)の感染症が多いです。

今回ご紹介するのは、この真菌に感染して広い範囲に脱毛を生じたデグーマウス君です。





黄色い丸の部分に著しい脱毛が認められます。





皮膚糸状菌は、皮膚のケラチンを好むため皮膚角質層や被毛に寄生して病変を作ります。

皮膚の損傷部分から侵入した菌は増殖しながら、皮膚の病変を引き起こして間もなく毛包に達します。

菌の侵襲を受けた被毛は、脆くなって皮膚表面付近でちぎれたり、脱毛したりして真菌症に特徴的な円形病巣を作ります。

いわゆる10円ハゲですね。

毛深い動物ではバリカンで患部を剃毛してはじめて、円形の脱毛が分かる場合もあります。

診断としては、患部の被毛を採取して直接顕微鏡で真菌の確認をしたり、下の写真にあるように真菌の培養を実施して確認をします。



向かって左側の黄色い培地は真菌陰性もので、右側の紅い培地は真菌陽性です。

真菌は増殖が細菌に比べて非常にゆっくりなので、培地の培養に最長2週間かかります。

その間、あまり積極的な治療に踏み込めないのが残念です。

またこの真菌は人畜共通伝染病の一つであり、人にも感染する場合があります。

したがって、しっかり完治するまで治療することをお勧めします。

治療薬として、グリセオフルビン、ケトコナゾール、イトラコナゾール等があります。

治療期間が6~10週間と長い期間投薬が必要なのが困ったところです。

はやく真菌症を直して、デグーマウス君にふさふさの被毛が生えることを祈念いたします。




デグーマウスも真菌症に感染すると初めて知った方は
 

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2012年5月25日 金曜日

デグーマウスの陥頓包茎(かんとんほうけい)

陥頓包茎(かんとんほうけい)とは、包皮腔から突出した陰茎亀頭部が包皮腔内へ戻れなくなった状態をさしていいます。

包皮口の皮膚やその周辺の被毛陰茎に付着して、巻き込まれた皮膚による圧迫で、陰茎の血液循環が障害を受けます。

この症状は、デグーマウスのみならず一般的に犬、猫にも日常的に起こります。

一旦、陰茎が露出しますと数分後には浮腫が陰茎に生じ、疼痛が現れます。

今回、ご紹介するデグーマウスは陰茎が露出して高度の浮腫に陥り、疼痛も伴って患部を舐めるようになって来院されました。





黄色の円に露出して戻らなくなった陰茎が認められます。



陥頓状態に陥ってからまだ短時間なら、上の写真のように流動パラフィン(ベビーオイルも可)を塗って、陰茎をスムーズに包皮内腔に戻します。

長時間にわたる露出では、亀頭部の浮腫も著しく容易に戻せないこともあります。

そんな時は、高濃度の砂糖水(約20%以上)を用意して頂き、亀頭部に塗布して浮腫を砂糖水との浸透圧差で亀頭部の浮腫を改善させたりします。

あるいは冷湿布を患部に施して圧迫して浮腫を軽減させます。

それでも戻らなければ、最終的に包皮を切皮して陥頓状態を整復します。





綿棒や鉗子を用いて、優しく包皮内に陰茎を押し戻しているところです。



綺麗に戻すことが出来ました!



この陥頓包茎は発見が遅れるほどに整復が非常に困難になります。

亀頭が壊死を起こしている場合もあります。

場合によっては陰茎を切除しなくてはならないということもあります。


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2012年4月26日 木曜日

デグーマウスの白内障

デグーマウスは以前から人気がある小型げっ歯類です。

彼らの特徴は非常に聡明で社会的な行動を取る点にあります。

鳴き声をうまく使い分けて仲間とコミュニケーションを取ります。

棒などの道具を使って餌を引き寄せるといった行動もとります。

原産がチリの山脈地帯ということから、「アンデスの歌うネズミ」と呼ばれています。


そんな学習能力の高いデグーマウスですが、この品種独特の疾病があります。

最近、特にデグーマウスの幼体で白内障にかかっているケースが非常に多いと感じます。

今回はこのデグーマウスの白内障についてです。

デグーは以前から 糖の代謝能力が低い と言われていました。

つまりは、糖を分解する能力が弱いと解釈されているわけですが、実際は インシュリンの分泌能・活性能が低く て体内に過剰に入ってきた糖を貯蔵することが苦手な動物ということです。

デグーの属する齧歯類の亜目は他の哺乳類と比較して インシュリンの活性が1~10%しか持っていない そうです。

ですから、ハムスターと比較して同じ糖分を摂取したとしても、分泌されるインシュリンが同じ量であったとしてもブドウ糖をグリコーゲンに還元する能力が10分の1くらいしかないから、すぐに高血糖になってしまうのです。

もともとデグーの分布するアンデス山脈が食料の豊富にある地帯ではなく、むしろ飢餓との戦いのような状況にあると思われます。

そんな中で血糖値を下げるインシュリンの必要性はあまりなかったのではないでしょうか?

常時粗食に耐えて生きてきたデグーがペットとして飼育されたところに、ある意味不幸な部分が表在化したようです。

ペットを飼育するうえで、デグーに限らず犬猫でも私たちが飼主様にいつも注意している、過剰な嗜好品の供給があります。

チモシーなどの粗食に耐えていけるデグーですが、飼主様がサツマイモやリンゴ等といった糖分を含んだ嗜好品を与えてしまいがちです。

結果として、糖尿病を招いてしまいます。

糖尿病を背景にして白内障の発症が起こります。








日常の診察でデグーで白内障の幼体を診るにつけ、絶対に 甘みのある根菜類や果実や人のおやつ等は与えないでいただきたい  と強く訴えます。

幼体で糖尿病や白内障とこの先何年も戦っていかなくてはならないのはとても辛いことですね。






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