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ハムスターなど小型げっ歯類の疾病

2013年10月15日 火曜日

ハムスターの尿石症(ストルバイト尿石)

犬猫では尿石症は一般に認められる疾病の一つです。

その診断・治療法も確立されており、療法食は各社から多数販売されています。

その一方で、エキゾッチクアニマルの尿石症は疾病として存在しているのですが、特に治療法については療法食も存在せず、ちょっと困ってしまう事も度々です。


今回ご紹介させて頂きますのは、ハムスターの尿石症です。


ハムスターは高カルシウム食を好みます。

ヒマワリ、くるみなどの種子が良い例です。

また尿中へのカルシウムを大量に排泄する傾向があります。

犬猫はカルシウムの尿中排泄が2%なのにウサギ・ハムスターは45~60%と言われてます。

加えて、水を多量に飲む動物でないため排尿量が少ないです。

以上の理由から、ハムスターはカルシウムを主成分とするシュウ酸カルシウム尿石ができやすいのです。

ところが、今回ご紹介させて頂く症例はシュウ酸カルシウム尿石ではなく、マグネシウムを主成分とするストルバイト尿石症のケースです。


ゴールデンハムスターのハムリボンちゃん(1.5歳、雌)は血尿をするとのことで来院されました。



下写真は巣箱にした血尿です。



採尿してみたところ、尿石を顕微鏡下に認めました。





この尿石は検査に出したわけではありませんが、結晶の形態からしてストルバイト尿石と思われます。

このガラスの破片のような尿石が、膀胱内に貯留した尿の波動と共に膀胱壁を傷つけ、結果として出血を招きます。

尿のpHがアルカリとなるとリン酸アンモニウムマグネシウム(以下ストルバイト)の結晶化がおこります。

ハムスターの正常尿pHは7.0~8.5とアルカリ尿です。

したがって、ストルバイトはできやすい環境なんですが、それでもカルシウム排泄量が非常に多く、酸性食品(種子等)を好むからシュウ酸カルシウム尿石が圧倒的にできやすいようです。

今回の様にストルバイトが生じた場合、まずこのスツルバイト結晶を溶かす必要があります。

犬・猫用のストルバイト尿石溶解のためにヒルズ社のS/dを処方することが当院では多いのですが、試験的に猫用S/dを食べていただくことにしました。

栄養学的な問題がありますので、従来のハムスター用ペレットに加えてという形にしました。

細菌性膀胱炎も起こしていますので、止血剤と抗生剤を合わせて処方しました。

実はハムリボンちゃんは約1年前にもこの血尿の症状があり、尿検査の結果ストルバイト尿石が疑われ、今回の治療を1か月行いました。

その後は血尿は1年近くなくて経過良好とみていました。





この1週間後に血尿は治まり、1か月後にはストルバイト結晶は陰性となりました。

しかし、これですべてOKというわけにはいきません。

さらに3か月後の先日、ハムリボンちゃんは再び血尿をして来院されました。

尿検査をしてストルバイト尿石が認められました。



療法食で今後も対応するべきかは悩ましいところです。

栄養学的に猫用の療法食は望ましくありません。

今後はフマル酸やDLメチオニンなどの薬を用いた治療を考慮していきたいと思っています。

状況によっては、膀胱結石や尿道結石も考えられますのでレントゲン撮影も必要となります。

ハムスターのシュウ酸カルシウム尿石症治療の報告は散見されますが、ストルバイト尿石治療はほとんどないようです。

食餌管理が一番の課題になりそうです。

経過は追って報告します。


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2013年10月 6日 日曜日

ジャンガリアンハムスターの線維肉腫

ジャンガリアンハムスターの皮下腫瘍をご紹介します。

ジャンガリアンハムスターの腫瘍は色んなタイプが認められます。

腫瘍の外貌から、自分のハムスターはこの症例に近いなとか、ある程度の参考になればと考え、掲載していこうと思います。



今回ご紹介しますのは、ジャンガリアンハムスターのぶっちゃん(1.5歳、雌)です。



他院からのご紹介で来院されました。

右腋下周辺に大きな腫瘤を認めます。



まずは細胞診を実施しました。



黄色丸で囲んだ細胞群は線維肉腫です。

加えて下写真・黄色丸の部分には膿瘍が認められます。



悪性の腫瘍ということもあり、早速外科的に摘出することとしました。



近くで見ると、腫瘍に栄養を供給している怒張した太い栄養血管が認められます。



小さな動物なので、最小限の出血に留めるために電気メスで切開をします。





動脈を確実に止血するためにバイポーラで凝固させます。



切開部を細かく縫合して終了です。

出血は殆どなく終わりました。



麻酔の覚醒と同時に大暴れするぶっちゃんです。



摘出した腫瘍です。



割を入れましたところ、黄色矢印の示す部位に膿瘍が認められました。

細菌感染も合併していた模様です(色調が暗くてすみません)。



ぶっちゃんは経過も良好です。



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