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猫の疾病

猫の下部尿路疾患(終章 排尿復旧)

こんちは 院長の伊藤です。

先回まで猫のデュオ君の排尿障害から恥骨前尿道造婁術の実施までを報告しました。

その詳細については、猫の下部尿路疾患(序章 排尿障害)猫の下部尿路疾患(本編 恥骨前尿道造婁術)の2篇に分けて載せてあります。

興味ある方は上記下線部をクリックして下さい。


さて、尿路を変更する手術を受けられたデュオ君ですが、術後の経過を中心にまとめました。



今回の恥骨前尿道造婁術では、乳房から排尿させる尿路変更術です。

離断した尿道を切除した乳房部に生着させるまでは油断が出来ません。



排尿を確保するために、離断した尿動口にバルーンカテーテルを挿入して1週間経過しました。

自力で排尿できるかを確認しなければならない時期になりましたので、バルーンカテーテルを抜去します。

カテーテルのカフ内の精製水を抜きます。



カフが膨らんでいたのが一挙にしぼみますので、簡単にカテーテルが抜去できます。



抜去したバルーンカテーテルの先端です。



実際には、下写真のように黄色丸のカフの部位が膀胱内で膨らんで、カテーテルが抜けないようになっています。



術後10日目のデュオ君です。

自力で排尿も出来ています。

表情も良くなってきました。



下写真の黄色丸は尿道の開口部です。

5‐0の非吸収性合成モノフィラメント縫合糸が確認できます。

デュオ君の場合は肥満の傾向があったため、尿道開口部が下方(腹腔内側)に牽引されて皮下組織に下垂・埋没しないかが心配でした。

それでも、何とか尿道開口部は乳房の皮膚に生着出来ているようです。





この術式でよく飼主様から質問されるのは、自分の意志で排尿が出来るのかと言う点です。

実際、任意でデュオ君も排尿できますし、脊髄から膀胱への神経経路が障害を受けていませんので、慣れてくればトイレで外すことなく乳房からの排尿が容易に出来ます。

退院時のデュオ君(術後12日目)です。

下写真の様に皮下脂肪をある程度摘出しましたので、尿道開口部の周辺がへこんでいるのがお分かり頂けると思います。



さらに術後16日目にして抜糸を行いました。



抜糸直後の患部です。



尿道開口部(下写真黄色丸)の拡大像です。

黄色丸の部位から排尿は気持ち良く出来ています。



この頃にはデュオ君も本来の表情を我々に見せてくれるようになっています。

排尿障害の苦痛は大きいです。



術後4週間経過のデュオ君です。



下腹部正中線の縫合部はテンションをかけて縫合したため縫合糸の跡が残っていますが、尿道の開口部は外見でも下垂することなく、その所在は認められます。



下写真の黄色丸が尿道開口部です。



術後6週間経過の写真です。



デュオ君の排尿は特に問題なく出来ています。

デュオ君はストルバイト尿石症が背景にあり、今回の手術に至った訳です。

食餌療法により、今後も尿石症の再発を防止していかなくてはなりません。




術部の周囲は既に下毛が生え始めています。



尿道開口部も綺麗になって来ました。



術後19週目のデュオ君です。



下写真の黄色丸が尿道開口部ですが、気を付けないと分からないくらいです。

排尿は出来ていますが、尿道開口部周辺の被毛が伸びると尿漏れを起こして、皮膚が爛れることがしばしばあります。

ある程度、被毛が伸びたらバリカンで剃毛が必要です。



今後、ストルバイト尿石症が再発しても、転移した尿道部は手術前の自然な状態の尿道に比較して太いため、いきなり尿道閉塞には至らないと思われます。

ただ尿道の長さが短くなった分、また乳房部に開口しているため、腹部を圧迫したりすれば尿漏れは起こる場合もあるでしょう。

まめに尿道開口部の清潔状態に留意して頂ければ大丈夫です。



デュオ君、お疲れ様でした!




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投稿者 院長

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