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フェレットの疾病

2013年5月29日 水曜日

フェレットの皮膚型リンパ腫

フェレットの腫瘍の中で、リンパ腫は比較的多く副腎腫瘍、インシュリノーマと並んで好発する腫瘍です。

このリンパ腫ですが、4つのグループに分類されています。

多中心型リンパ腫、縦隔型リンパ腫、消化器型リンパ腫、節外リンパ腫の4つです。

以前、消化器型リンパ腫についてコメントさせて頂いたことがあります。

節外リンパ腫は、さらに細分化され中枢神経型リンパ腫、腎リンパ腫、皮膚型リンパ腫に分かれます。

この皮膚型リンパ腫について、今回コメントさせて頂きます。


フェレットのレンゲちゃん(♀、6歳)は左側口腔内が腫れてきたとのことで来院されました。







上写真黄色丸に示す部位が腫脹しており、口には涎が溢れているのがお分かり頂けると思います。

下写真の黄色丸の箇所がご覧ください。

左頬内側に大きな腫脹があり、歯肉は潰瘍を起こし裂けて一部歯槽骨が露出しています。

かなり痛そうです。



腫脹している部位の細胞診を実施しました。



さらに高倍率です。



非常に多数のリンパ芽球の増殖が認められます。

リンパ腫である点は疑いなく、発生部位から皮膚型リンパ腫と診断しました。

この皮膚型リンパ腫は、皮膚や口腔粘膜に病変を示します。

フェレットでは、この皮膚型リンパ腫の報告は稀であるとされています。



治療については、このリンパ腫は化学療法が良く効きます。

しかしながら、抗がん剤の使用については副作用を含めて抵抗感のある飼主様も多いです。

まして、抗がん剤は静脈から投与するタイプが多く、血管から漏れたりすると皮膚が壊死に至るものも多いです。

フェレットの静脈は非常に細く、何回も点滴の使用に耐えられませんので化学療法がより難しくなります。

せめてお奨めできるのは、経口投薬できる抗がん剤でしょうか。

その一方で、抗がん剤と比較して副作用が少ないのがステロイド剤です。

ステロイドには免疫抑制効果があり、リンパ球系細胞の分化・増殖にかかわるサイトカインを抑制して細胞増殖抑制する効果があります。


今回、飼主様の意向も伺い、ステロイド療法を行うことになりました。

下写真は6週間後のレンゲちゃんです。

潰瘍はなくなりましたが、まだ頬粘膜の腫脹が認められます。






さらに1週間後には腫脹がひどくなり、思いのほかステロイドの効果は認められなくなりました。

そこで、抗がん剤による化学療法を提案させて頂きました。

経口投与できるタイプの抗がん剤で、皮膚型リンパ腫と多中心型リンパ腫に有効とされるロムスチンです。

3週間に1回の投与で、ステロイドとの併用で相乗効果があるとも言われています。

下写真はロムスチンを飲んでるレンゲちゃんです。



下写真はロムスチン投薬後、9日後のものです。

頬粘膜腫脹がほぼ健常時に戻っています。





下顎部の腫脹が引いているのがお分かり頂けると思います。



頬の部分が腫れが引いた分、すっきりしています。



ステロイド単独投与と比較してロムスチン・ステロイドの併用投与は短期間で効果が認められました。

ロムスチンの副作用は好中球減少、血小板減少であり突然死もあるそうです。

レンゲちゃんは食欲も戻り、体調も復調されました。

今後は3週間に1度ロムスチンを内服して頂き、経過を見ていきます。

寛解(完治)目指して行きたいですね。





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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