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フェレットの疾病

2012年6月22日 金曜日

フェレットの異物誤飲

フェレットは非常にいたずら好きで、色んな消化できない異物(ウレタンスポンジとかゴム製品等)を誤飲したりする場合もあります。

飼主様が気づかれてる場合は良いのですが、嘔吐が止まらないとか食欲消失、苦悶の表情を示すとかし始めたら異物誤飲を疑って下さい。

今回、ご紹介するのは飼主様がひょっとしたらスーパーボールを誤飲したかも?と疑って来院されたケースです。

ただ問題なのは、異物誤飲してからの時間経過が5日前とも2週間前とも飼主様から言われますので、どれくらい経過しているのかは不明です。



フェレットの場合は下腹部を触診することで異物の存在を確認することが比較的容易にできます。

今回、明らかに異物の感触が小腸にありましたので、試験的開腹をすることになりました。

非常に気がかりなのは、遊泳運動が始まり、明らかな神経症状が出ている点です。



このまま点滴を継続して内科的療法で症状が改善するのを待つよりは、一刻も早く異物を摘出した方が賢明と考え手術に踏み切りました。



気管挿管して静脈に留置針を入れ点滴を継続し、モニターで心電図、呼吸数、酸素分圧等など万全の準備で手術に臨みました。



黄色の矢印の部分が小腸で閉塞している異物です。



閉塞している部分より上流の小腸(黄色矢印)は内部で出血があり、赤く腫れています。

一方、閉塞部より下流の小腸は腫れもなく、綺麗なピンク色をしています。

おそらくは異物を誤飲してから長い時間にわたって、異物が小腸内を無理やり腸蠕動で下流に押し流され、通過する過程で腸粘膜を障害した模様です。

ある程度の距離は腸蠕動で移動したけれど、これ以上は下流まで移動できない、いわゆる腸の完全閉塞になっています。



メスで腸を切開したところ、腐敗臭と共にボール状の異物が出てきました。





見る限り直径6㎜位の球体が摘出されました。

飼主様に確認したところ、遊んでいたスーパーボールということでした。

普通のスーパーボールなら適度な弾力性を伴った硬さが触知されるのですが、この異物はすでに鉗子で掴むとブドウの実のごとく裂けそうなくらいの柔らかさでした。

おそらく長い時間、腸管内に存在して消化液に浸食され硬度を失ったものと思われます。




腸管の炎症は認められましたが、腸の壊死までには至っていませんので腸切開のみの処置で閉腹しました。




いつもの異物摘出手術なら、これで終了となるのですが今回はそんなわけにはいきませんでした。

意識が戻ってきません。

心拍も正常ですし、呼吸数、血圧等々も問題ありません。

それでも意識が戻りません。






意識が戻らない状態のまま5時間以上が経過したところで、シバリング(体の震戦)が起こり意識が一旦戻り、希望が少し見えてきました。

残念ながら、その後心拍・呼吸停止が起こり、お亡くなりになりました。

おそらくは、長きにわたった腸閉塞で腸管内で細菌の作り出す毒素が血中に回り、敗血症性ショックに至ったものと推察されます。

異物を誤飲してから、半日程度であれば適切な外科手術を施せば、よほどのことがない限り無事生還できるものと思います。

しかし、腸閉塞が長引けば、色んな命を奪う危険な二次的な病気が起こります。

特に若いフェレットは異物誤飲をしますので、少しでも怪しいと感じたらお早めに受診下さい。




異物誤飲でも命を失う場合もあることを認識して頂いた方は
 

 
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年5月24日 木曜日

フェレットのミミヒゼンダニ症

フェレットの0歳児に多く見られるのが、ミミヒゼンダニの感染症です。

耳の中を覗くと耳垢でギッシリというケースも多いです。

よくよく検耳鏡で注意してみていますと耳垢の表面にダニがゾロゾロうごめくのが見られたりします。

今回ご紹介するのはフェレットのチロちゃんとラッキーちゃんです。

健診の際に2匹ともに真っ黒な耳垢が外耳道に詰まっていました。



この耳垢を顕微鏡で見たのが下の写真です。



多数のミミヒゼンダニがうごめいています。



中には交尾している個体もいます(黄色い部分)。



ミミヒゼンダニは接触によって感染していきます。

幼体の寄生例が多いのも親フェレットからの感染によるところが大です。

感染すると耳道に激しい痒みを伴い、頭を激しく振ったり、後ろ足で耳を掻く仕草をします。

いずれにせよ、このままにしておくと何世代にもわたって外耳道内をミミヒゼンダニが蹂躙し、慢性化すると外耳道壁の肥厚、耳道閉塞、耳血腫などを引き起こします。

まずは、耳垢を耳道から洗浄して掃除をします。





耳の中が痒かったようで、気持ちよさげなラッキーちゃんです。





ミミヒゼンダニには、レボリューション®(成分名セラメクチン)が効果があります(下写真の黄色丸)。

このレボリューション®はフィラリア予防もでき、ダニの駆除も可能で当院では、フェレットに処方することが多いです。



ラッキーちゃんの相棒のチロちゃんも同じくミミヒゼンダニの感染を受けているのが判明しました。





フェレットを多頭飼育しているご家庭では、このような接触性感染する外部寄生虫は要注意です。

全頭を同時に治療していかないといつまでたっても、ダニの移しあいを続けることになります。

フェレット愛好家の皆さま、耳の中をいつも清潔にするよう心がけて下さい。


フェレットのミミヒゼンダニって気色悪い!と思った方は
 

 
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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2012年3月17日 土曜日

フェレットのリンパ腫

第3次フェレットブームもそろそろ終焉を迎えているのかもしれません。

2005年あたりの、いわゆる第2次フェレットブームの頃は当院のフェレットの患者数は猫を追い抜き、第2位でした。

それが、2012年に入りますと当院では犬に次いでウサギが第2位、猫が第3位、その後にフェレットが第4位といったところです。

フェレットは、純粋な肉食獣ではあるけど、寝起きはボサーとしていたり、おもちゃ(貴金属類)を当人しか知らない秘密の場所に隠したりといたずらっ子のような行動が、愛くるしく個人的に大好きです。





しかしながら、フェレットの宿命というべきか、3歳くらいまでは元気はつらつが、4歳以降になると副腎腫瘍やインシュリノーマ、リンパ腫になって、治療に専念します。

終生にわたる投薬が必要な場合もあります。

それでも残念ながら助けられず、悲しいお別れをすることになることも多いです。

その後、フェレットは中高年以降に腫瘍の罹患率が高いことが世間的にも認知され、思いのほか治療費がかかり致命率も高いため、2代目、3代目のフェレットを飼われる愛好家の方は明らかに減少しています。





今回、ご紹介するのはリンパ腫のフェレットです。

生後9カ月にして、腹部の腫れに気付いて来院されました。

触診してみますと銀杏の実が2つ分ほどの大きさの腫瘤が認められました。

早速、レントゲン撮影をしました。





黄色く丸をつけたところに大きなマス(腫瘤)があります。

腫瘍の可能性も高く、本人も嘔吐が続くため、試験的切開を実施しました。




腸管が発赤し、表面が凸凹し腸壁は肥厚してます。

加えて腸間膜リンパ節の腫張も認められました。

見た感じが腸腺癌ではなくリンパ腫の可能性が高く、リンパ節を細胞診をした結果が以下の通りです。





結局、消化器型のリンパ腫であることが判明しました。

フェレットの消化器型リンパ腫は発生頻度は少ないのですが、悪性が多いとされます。

今回のリンパ腫は特に癒着が著しく、小腸の広範囲に腫瘍が広がっていますので手術が困難で、内科的療法で治療することとなりました。

フェレットのリンパ腫はこの消化器型の他、多中心型リンパ腫、縦隔型リンパ腫等に分類されます。

治療法として完全寛解を目標にするなら、多剤併用の化学療法を実施します。

これは犬猫のリンパ腫と同じです。

経済的な理由で多剤耐性の化学療法が出来ない場合は、ステロイド療法を選択することもあります。

今回はステロイド療法を飼い主様が希望され、投薬2週目にして、触診しても腹部の腫瘤は認められませんでした。

リンパ腫は比較的よくステロイドに反応しますが、免疫力も抑制するので投薬量のチェックはかかせません。

今後、終息したかにみえても再発を繰り返す可能性が高いです。

治療をしなければ、腸壁に穴があき内容物が漏れて腹膜炎をひきおこすか、腸壁が肥厚して腸閉塞に至ることもあります。

フェレットのリンパ腫の原因は不明な点が多く、現在ではウィルス感染の関与が示唆されています。



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2011年11月 7日 月曜日

フェレットの脊索腫

フェレットを日常的に診察してますとこの脊索腫に遭遇することがあります。
尻尾の先端にできものが出てきたら、この脊索腫を疑います。

脊索とは胎生期に体を支える支柱として現れて、脊椎骨として発展していく過程で退化し、出生後は椎間板の髄核として痕跡が残る組織を指して言います。
脊索腫は出生後に椎間板の髄核として遺残した脊索から発生する悪性腫瘍を言います。
ヒト・ミンク・フェレット・ラット・マウス等に発症例の報告はされていますが、フェレット以外の動物ではヒトを含めて非常に稀だそうです。

下の写真は来院されたフェレット君ですが、尾端部の腫瘍がお分かり頂けると思います。





脊索腫は局所での侵襲性が高くて、発生した部位で確実に周辺の正常組織を破壊して増殖していきます。
一般にフェレットの脊索腫の治療については、尾端の脊索腫は十分なマージンを2~3椎体分を取って切除すれば、再発・転移は認められず完治すると考えられています。

このフェレット君も切除後は再発も無く、きれいに治りました。




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2011年9月 2日 金曜日

フェレットの副腎疾患(その1)

フェレットは幼年期は比較的疾病の罹患率は低く、異物誤飲等が当院では多い感があります。
一方、中年齢以降になりますと副腎腫瘍、インシュリノーマ、リンパ腫等、直接命にかかわる病気になる確率が一挙に高くなります。

 フェレットは発情期になりますと交尾をしないとエストロジェンが過剰に分泌され、骨髄機能が抑制され死亡することもあり、結局生後早い時期に去勢や避妊を施します。
幼くして去勢・避妊をされてホルモンバランスが崩れると副腎が頑張って内分泌のバランス統御に努めるわけですが、これが中年齢になりますと副腎の過形成・腺腫・腺癌が起こるとされています。

この病気になりますと、以下の特徴的な症状が現れます。

尾部や背中から始まる両側性、対称性の脱毛。
皮膚の痒み(この疾病の40%に認められます。)
雌の場合、外陰部の腫大。
雄の場合、前立腺の腫大に伴う排尿障害(尿漏れ、排尿回数の増加、トイレ以外での不適切な排尿等)。
体臭がきつくなる。
貧血。
四肢や上半身が貧弱になる一方で、腹囲が膨満。

当院では以上の症状に加えてエコーで副腎を描出して、その直径が5mm以上の場合、副腎腫瘍を疑って治療を進めています。

下の写真は尻尾から背部にかけて、脱毛がすすんだフェレットです。また外陰部も腫大しているのがご理解いただけると思います。

一般的には、左副腎の腫瘍は全体の60%、右副腎は25%、両側が15%と報告されています。
左副腎は太い動静脈から独立しており、外科的に摘出が可能です。
一方、右副腎は後大静脈に密接しており外科的な摘出は不可能です。
最近では内科的治療法として、酢酸リュープロレリンの注射を取り入れるエキゾチック専門病院も多いです。
当院では、この酢酸リュープロレリン250μgの皮下注射を実践しています(1~2カ月に1回接種)。
接種後、約2週間で背部脱毛が著しかったフェレットがしっかり、ふさふさに発毛した症例を経験しています。
約1.5~2カ月で発毛が確認されることが多いです。
左副腎だけであれば外科手術で完治は期待できますが、それ以外のケースでは内科的治療で腫瘍を抑えていくという形になります。一生にわたって投薬でコントロールしていくわけです。



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