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ヘビの疾病

2013年12月15日 日曜日

ミドリニシキヘビのマウスロット(あなたはヘビの口を覗いたことがありますか?)

久々にヘビの症例報告です。

本日ご紹介しますのは、ミドリニシキヘビ(旧和名:グリーンパイソン)です。

ミドリニシキヘビのアルちゃん(性別不明、1歳未満)は口から涎がたくさん出て食欲不振とのことで来院されました。



ミドリニシキヘビはインドネシア・オーストラリア・パプアニューギニアに棲息する全長2mを超えるヘビです。

特に口内は細長い牙が多数並び、獲物の鳥類の羽毛に邪魔されずに口で咬みつけるようになっているのが特徴です。

熱帯雨林の樹上で生活し、夜行性で夜は獲物を求めて地上に降りたりするそうです。

爬虫類で口内炎を起こしている場合は、大量の流涎が認められます。

下写真、アルちゃんの口からの溢れ出ている涎がお分かり頂けると思います。





早速、アルちゃんの口を開けて確認してみました。



下写真の黄色丸は口蓋部に付着している膿です。



この膿をしっかり摘出しておかないと口内炎は完治しません。

下写真黄色矢印は摘出した膿の塊です。







こんな感じで口腔内の膿を全部摘出しましたのが下写真です。



この膿を染色して顕微鏡で確認しました。

アルちゃんの口腔粘膜の上皮細胞が剥離しているのが認められます(黄色丸)。



別のアングルでは、レンガをばらけたように多数の細菌が認められます。



飼い主様の稟告から、マウス等の餌を食べた後に口の中を傷つけ、そこから細菌が侵入して口内炎を引き起こしたものと考えられます。

いわゆるマウスロットと言われる症状です。

治療法は、まず口腔内の膿を一掃して炎症部を外用薬で消毒します。

場合のよっては、口の中を流水でしっかり洗い流したりします。

下写真は、口腔内を希釈したイソジンで消毒しているところです。







一旦これで口腔内の消毒は終了です。

アルちゃんはかなりお疲れの表情です。



高度の口内炎のため水も満足に飲めない状態なので、抗生剤の注射を行いました。



翌日、アルちゃんは口腔内消毒のため来院されました。

口の中は昨日と比べて非常にすっきり綺麗になりました。



まだ唾液の分泌量は多いけどいい感じになってきました。



ミドリニシキヘビは気性が比較的荒く、この細かな牙で咬まれるとそれなりのダメージを受けます。

アルちゃんは非常に性格が穏やかな個体なので治療をする上では幸いでした。

非常に鮮やかなグリーンでいかにも東南アジア産のヘビと言う感じで魅かれるものがあります。

下写真は治療後3日目のアルちゃんです。

さらに口の中は綺麗になりました。

でも食欲はまだありません。



抗生剤の内服は可能になりましたので、しばらくは自宅で治療を継続して頂くこととしました。

アルちゃん、お疲れ様でした!







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投稿者 院長 | 記事URL

2013年10月20日 日曜日

ヘビの臭腺

臨床獣医師が日常的に処置する行為に肛門嚢しぼりがあります。

これは、犬を飼われている方ならご存知の肛門嚢(臭腺)を指で圧迫して、肛門嚢内に貯留した分泌液を出す行為です。

この分泌液は独特の匂いがありますが、好きな方はまずいないでしょう。

スカンクはこの臭腺を利用して、外敵に向けて噴霧して逃走するそうです。

いろんな利用法があるようですね。

この臭腺ですが、哺乳類だけのものではなく爬虫類にも存在します。

本日は、ヘビの臭腺についてご紹介させて頂きます。


コーンスネークの はるまき君(年齢・性別不明、体重450g) は総排泄口の周辺が腫れていて皮膚が赤くなってるような気がするとのことで来院されました。



爬虫類は鳥類と同様、尿と便と卵を一つの穴から排泄します。

この穴を称して総排泄口といいます。

下写真の黄色丸が総排泄口です。

若干、赤くなっているようです。



患部を触診しただけでは、よくわかりません。

確かに若干の総排泄口周囲が腫れているようです。

実際、ヘビのような特徴の乏しい外貌の動物の場合、得られる情報量が少ないため診断が難しいことが多いです。

早速、患部の詳細を検査するためレントゲン撮影を実施しました。







レントゲン上では、とくに骨格系で異常な所見は認められませんでした。

レントゲン撮影のために、はるまき君を保定していたところ、総排泄口から何やら分泌液が出て来ました(黄色丸)。







総排泄口周辺の腫れはおそらく臭腺に分泌液が貯留した結果だと思います。

この分泌液の匂いが特徴的で、何かが焼けたのではないのかという非常に焦げ臭い匂いです

ヘビの種類によってこの分泌液の匂いは種々あるようです。





自ら興奮することで、臭腺に溜めこんでいた分泌液を放出して、相手を威嚇するようです。

この分泌液の放出で他の個体に危険を知らせているという説もあるようです。

ヒトにはこの臭腺は存在しないけれど、犬猫はじめとしてエキゾチックアニマルの多くが臭腺を持っています。

生存競争の激しい自然界では、自己主張も含めてこの臭腺は必要なんでしょうね。





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投稿者 院長 | 記事URL

2013年1月 1日 火曜日

ヘビの気道感染

年始早々の症例報告です。

今年の干支にちなんで、ボールパイソンの症例です。



呼吸する時に鳴き声が聞こえるとのことで来院されました。

果たして,ヘビは鳴くのか?

声帯を振動させて音を発することを鳴くとするならば、声帯を持たないヘビは解剖学的に鳴くことはできません。

一方、気管と呼気(吐く息)を使って音を出すことは可能です。

特に咽頭部から気管にかけて炎症があった場合、炎症によって気道壁が狭くなり、そこに呼気が通過する時に異音が生じて、あたかも鳴いているように感じることがあります。

一般にはヘビは鼻で呼吸しますので、開口呼吸するということは、まずは鼻炎が存在しており肺炎・気嚢炎に及んでいる可能性もあるということです。

このボールパイソン君の呼吸状態をみる限りでは、鼻炎や開口呼吸に及ぶほどの症状はありません。

開口させて口腔内を確認しました。





口腔内の炎症はありません。

爬虫類は、飼主様の申告する症状を診察台の上で再現してくれることは、まずありません。

軽症例であればなおさらです。

加えてボールパイソンはデリケートな気質で有名なヘビです。

なるべく本人のストレスにならないように、優しく診察を進めます。







肺を一つ取ってみても、ヘビの肺は全長の3分の2を占めると言われます。

その肺の後方に気嚢が存在しています。

変温動物であるヘビは飼育環境温度の急激な低下や低温下の飼育・飢餓が原因となって、呼吸器疾患に罹患することが多いです。

今回はレントゲン撮影ができませんでしたが、気道炎の可能性が高いと診断して、抗生剤・ビタミン剤の投薬を処方させて頂きました。

寒い時期は特に飼育環境の温度管理にご注意いただき、体温の大幅な変動をさけるようにして下さい。





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投稿者 院長 | 記事URL

2012年11月 4日 日曜日

ボールパイソンの皮下出血

以前、ヘビダニの感染症でボールパイソンのキャサリンちゃんをご紹介させて頂きました。

今回、そのキャサリンちゃんが広範囲の皮下出血があるとのことで来院されました。









光線の加減で皮下出血がクリアにわからないかもしれませんが、体側面に広範囲の皮下出血が認められました。

黄色丸で囲んだ箇所は全て皮下出血しています。



皮下出血に至った原因ですが、皮膚への微生物の感染症とかヘビダニ感染症ではないようです。

何が原因なのか、しばし悩んでしまいました。

飼い主様に飼育環境を確認したところ、飼育槽に突っ張り棒をして、その上でキャサリンちゃんはとぐろを巻いているそうです。

突っ張り棒が細いため、キャサリンちゃんはよく下へ落下するそうです。

そのコメントを聞いて、おそらく原因はこれだと思われました。

一般には飼育槽内に木を入れてヘビを登らせます。

ヘビの体格に合った太さの木であれば問題はありません。

しかし、体格よりも細い突っ張り棒であれば、ヘビは落ちないように強い力でとぐろを巻いてしがみ付きます。

突っ張り棒と絶えず摩擦を生じるのは、キャサリンちゃんの体側部です。

状況によっては十分に皮下出血してもおかしくありません。

突っ張り棒を外すことと体格に合った太い木を入れることを提案させていただきました。

恐らくこれで皮下出血は今後、未然に防げると思います。



エキゾチックアニマルの飼育では疾病の原因が飼育方法や飼育環境にあることが少なくありません。

不自然な症状が認められたら、是非その点をチェックしてみて下さい。




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投稿者 院長 | 記事URL

2012年7月14日 土曜日

ヘビダニの感染症

ヘビにダニの感染は一般的に多いです。

特にこの季節は犬のみならず、他のエキゾチックアニマルにおいてもダニの感染は多いのですが、今回はヘビダニ感染症について説明します。

ボールパイソンのキャサリンちゃんは皮膚病が気になり来院されました。



よくよく体表部を拝見しますと



ダニが食い付いているのがお分かりになりますか?

黄色の丸で囲んだところがヘビダニが食い付いているところです。





ボールパイソンはコントラストのはっきりした体表部の模様をしていますので、よくよく見ないとこのヘビダニは見逃してしまいますね。

口器を傷つけないようにして、慎重に皮膚から剥がします。






加えて他の皮膚にもヘビダニが食い付いていました。

黄色の丸内がヘビダニが吸血しているところです。





ダニの脚が見えると思います。

鱗と鱗の間にヘビダニは口器を滑り込ませしっかりと吸血をします。

成ダニは卵をケージ内に産み落として、卵から成ダニになるのに10~30日かかります。

ヘビダニは多数寄生でヘビに貧血を起こさせるだけでなく、敗血症の原因となるAeromonas hydrophila という細菌を機械的に媒介することが知られています。

哺乳類ではダニ駆除にはフロントライン等が知られていますが、残念ながらヘビには溶剤であるアルコールが危険で死亡するケースもあります。

イベルメクチンの内服で駆除します。

あるいは 「ダニ。 ゼッタイ。」 というヘビダニ駆除薬が市販されています。

この市販薬は私は使用経験がありませんが、結構評判が良いようです(名前がインパクトがありますね)。



今回のヘビダニ感染とはおそらく別件だと思われますが、皮膚病も何ヶ所か認められます。





抗生剤の内服を自宅で実施して頂き、経過を観察することとしました。





抗生剤を飲ませた後にキャサリンちゃんはまずそうな仕草をしていました。

皮膚病、早く治るといいですね。




 ヘビダニの感染を初めてご覧になった方は
 

 
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