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ヘビの疾病

2017年12月 4日 月曜日

ボールパイソンの原虫症

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのはヘビの下痢の原因と思われる原虫感染です。


一般に爬虫類はヘビに限らずトカゲであれ、カメであれ、何らかの寄生虫を腸管内に持っています。

哺乳類、特に犬猫では問題となる内部寄生虫でも、これら爬虫類では病気の原因となるのかというと不明な点が多いです。

爬虫類の腸内環境で他の腸内細菌とのバランスを取っており、やみくもに寄生虫を駆虫すべきではないという意見の研究者もいます。

何しろ、哺乳類の様に血液検査を初めとした精密検査自体が難しい動物ですから、診察する獣医師側からしても情報量の少ない中での診療展開となります。



ボールパイソン君(名称なし、性別不明、1歳)は数週間にわたり軟便・下痢便を繰り返すとのことで来院されました。





診察中にタイミング良く排便しました。

ご覧の通りの下痢便です。





早速、検便をしました。

多数の原虫が遊泳しているのを確認しました。

下写真黄色丸がその原虫です。





原虫はこれまでにも他の動物種で度々、ホームページの疾病紹介で掲載しています。

原虫は基本的に活動的で、顕微鏡写真でピントを合わせて撮影が難しいです。

今回も撮影には苦労したのですが、動きが早すぎて低倍率で多数の原虫をとらえることが出来ませんでした。

ボールパイソン君は高度に感染してましたので、明らかにこの原虫が原因であろうと思われました。

ただこの原虫が犬猫では一般的に認められるジアルジアやトリコモナスとは異なる種類です。

一方で、原虫の仲間でクリプトスポリジウムによる感染症が話題になったりしています。

ヘビの場合は慢性肥厚性胃炎の原因になったりします。

今回のこの原虫はこのクリプトスポリジウムではありません。

犯人が特定できない状態での治療となります。

一般的に原虫症にはメトロニダゾールという薬剤が選択されます。

ヘビの体重1㎏に対して50㎎のメトロニダゾールを1~2週間経口投薬します。

75~125㎎を一回投与して、2週間後にもう一回投与する臨床医もいます。

いづれにせよ、ヘビの投薬は慎重に行う必要があり、個体によっては拒食に至ります。


一般的には野生の個体でなく、飼育孵化・繁殖させた健康な個体においても、一定レベルの原虫は保有しています。

ところが、何らかのストレスに暴露されたりすると胃腸系に障害をもたらします。

原虫症は、今回のような下痢に始まり、嘔吐・胃腸内ガスによる鼓張、呼吸器感染といった多くの問題を引き起こします。





ボールパイソン君、早く下痢が治って欲しいです。




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投稿者 院長 | 記事URL

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