アーカイブシリーズ
2024年1月26日 金曜日
パンサーカメレオンの代謝性骨疾患(その後のアオ君)
こんにちは 院長の伊藤です。
先日、カメレオンのアオ君のご紹介をさせていただきました。
アオ君は、代謝性骨疾患の疑いで治療させていただいてますが、その後の経過報告です。
症状は、左下顎部の腫れとそれに伴う不整咬合、左結膜炎です。
下写真は1か月前のアオ君です。
赤丸で示した部分の下顎部が腫大しているのがお分かり頂けると思います。
次の下写真は、1か月後のアオ君です。
黄色丸で囲んだ下顎部がスッキリし始めています。
以前にもまして、アオ君は元気・食欲もあり、飼主様も投薬に苦労されていないようです。
下写真は1か月前のアオ君です。
赤矢印にありますように、結膜炎で瞼を開けることが出来ない点、左下顎部の咬合不全で顎の咬みあわせに隙間が生じています。
下写真(黄色矢印)は1か月後のアオ君です。
眼はパッチリ、顎もある程度しっかり咬みあうことができています。
アオ君の飼主様とのツーショットです!
まだアオ君の治療は続きますが、頑張りましょう。
はるばる静岡からご来院頂き、お疲れ様でした。
最後に,アオ君のお姉ちゃんから私にいただいたプレゼントをご披露させて頂きます。
手作りのアオ君のストラップです。
可愛いですね。
素敵なプレゼント、ありがとうございました。
先日、カメレオンのアオ君のご紹介をさせていただきました。
アオ君は、代謝性骨疾患の疑いで治療させていただいてますが、その後の経過報告です。
症状は、左下顎部の腫れとそれに伴う不整咬合、左結膜炎です。
下写真は1か月前のアオ君です。
赤丸で示した部分の下顎部が腫大しているのがお分かり頂けると思います。
次の下写真は、1か月後のアオ君です。
黄色丸で囲んだ下顎部がスッキリし始めています。
以前にもまして、アオ君は元気・食欲もあり、飼主様も投薬に苦労されていないようです。
下写真は1か月前のアオ君です。
赤矢印にありますように、結膜炎で瞼を開けることが出来ない点、左下顎部の咬合不全で顎の咬みあわせに隙間が生じています。
下写真(黄色矢印)は1か月後のアオ君です。
眼はパッチリ、顎もある程度しっかり咬みあうことができています。
アオ君の飼主様とのツーショットです!
まだアオ君の治療は続きますが、頑張りましょう。
はるばる静岡からご来院頂き、お疲れ様でした。
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2024年1月24日 水曜日
パンサーカメレオンの代謝性骨疾患
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのは、カメレオンの代謝性骨疾患です。
パンサーカメレオンのアオ君は、はるばる静岡県から来院されました。
左下顎が腫れあがり、食餌もしっかり食べられなくなったとのこと。
静岡の動物病院でマウスロットであろうとことで、抗生剤の投薬と口腔内の消毒を受けていたとのこと。
それでも症状はあまり改善されないようです。
アオ君はノシベというブルーの綺麗な体色をしています。
本来、カメレオンは開口をしたままでいることは少ないと思われますが、アオ君はあたかも怒ったように口を開けています。
下写真をご覧いただきますと左下顎が腫れており、上下の顎を噛み合わせるのが辛そうです。
以前、グリーンイグアナの代謝性骨疾患を載せたことがありますが、それと似ています。
顎関節が外れているわけではなく、怒って咬みつくことはできます。
ただ顎を咬みあわせるときに間違いなく疼痛があるようです。
この代謝性骨疾患(MBD)は顎の変形を伴うため、口を完全に閉じることが出来ないという特徴があります。
このMBDという疾患の特徴は、先のグリーンイグアナの代謝性骨疾患に詳細を載せましたのでご覧ください。
代謝性骨疾患は食餌中のカルシウム不足、ビタミンD3の過剰・不足、ミネラル・ビタミンの不足、紫外線の照射不足等などが原因と考えられています。
まずはこのMBDの治療を優先して、加えて抗生剤の投薬も継続させて頂くこととしました。
エキゾチックの場合、自力で食餌がとれなくなると衰弱が早いです。
ある程度、飼主様からの強制給餌が必要になりますので頑張って頂きたいです。
アオ君のしっかり綺麗に閉じた口元が早く見られますように!
本日ご紹介しますのは、カメレオンの代謝性骨疾患です。
パンサーカメレオンのアオ君は、はるばる静岡県から来院されました。
左下顎が腫れあがり、食餌もしっかり食べられなくなったとのこと。
静岡の動物病院でマウスロットであろうとことで、抗生剤の投薬と口腔内の消毒を受けていたとのこと。
それでも症状はあまり改善されないようです。
アオ君はノシベというブルーの綺麗な体色をしています。
本来、カメレオンは開口をしたままでいることは少ないと思われますが、アオ君はあたかも怒ったように口を開けています。
下写真をご覧いただきますと左下顎が腫れており、上下の顎を噛み合わせるのが辛そうです。
以前、グリーンイグアナの代謝性骨疾患を載せたことがありますが、それと似ています。
顎関節が外れているわけではなく、怒って咬みつくことはできます。
ただ顎を咬みあわせるときに間違いなく疼痛があるようです。
この代謝性骨疾患(MBD)は顎の変形を伴うため、口を完全に閉じることが出来ないという特徴があります。
このMBDという疾患の特徴は、先のグリーンイグアナの代謝性骨疾患に詳細を載せましたのでご覧ください。
代謝性骨疾患は食餌中のカルシウム不足、ビタミンD3の過剰・不足、ミネラル・ビタミンの不足、紫外線の照射不足等などが原因と考えられています。
まずはこのMBDの治療を優先して、加えて抗生剤の投薬も継続させて頂くこととしました。
エキゾチックの場合、自力で食餌がとれなくなると衰弱が早いです。
ある程度、飼主様からの強制給餌が必要になりますので頑張って頂きたいです。
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2024年1月23日 火曜日
ウスタレカメレオンのヘミペニス脱
こんにちは 院長の伊藤です。
哺乳類のペニスは、排尿と生殖機能を兼用しています。
一方、爬虫類のペニスはヘミペニスと呼ばれ、生殖機能のみを果たします。
排尿は総排泄口から糞と一緒に排出されます。
カメレオンを飼育する上で、以前ご紹介しました直腸脱以外にヘミペニス脱という疾患があります。
直腸脱と異なり、このヘミペニス脱は所定の場所に完納することが難しく、苦労することが多いです。
今回ご紹介させて頂きますのは、はるばる三重県からお越しいただきましたウスタレカメレオンのジミー君です。
ウスタレカメレオンは別名ジャイアントカメレオンとも呼ばれ、世界最長のカメレオンです。
最長80㎝くらいまで体長が達する個体もいるそうです。
そんなジミー君ですが、数日前からヘミペニスが脱出して戻らなくなったとのことで来院されました。
黄色丸で囲んだ部分が脱出したヘミペニスです。
実はこのヘミペニス、カメレオンは左右に1本づつあります。
今回脱出しているのは左側のヘミペニスとなります。
下写真の黄色矢印と青矢印で示す箇所にヘミペニスが1本づつ出てくるとイメージして下さい。
脱出したヘミペニスを戻そうと懸命に努力をいたしましたが、ヘミペニスを傷つけるばかりで戻すことが出来ません。
このまま脱出した状態が続きますと、ヘミペニスは重度の浮腫となり、最悪壊死し始めます。
樹上で生活するので、樹皮に患部をこすり付けて感染症になる可能性も大きいです。
飼い主様ともよくよく話し合い、この脱出したヘミペニスを切除することにしました。
左側ヘミペニスを切除しても右側が残ってますから繁殖には支障はありません。
生殖器なので当然血流も多く流れています。
最小限の流血で留めるために電気メスでカット・凝固を繰り返して切除します。
切除したヘミペニスが黄色丸で示しています。
切除したヘミペニスの付け根を縫合して終了です。
加えて、脱出したヘミペニスの反対側(右側)のヘミペニスから下の写真の物体が採れました。
形状はグミのようでもあり、植物のようでもあり不思議な物体です。
皆様、これが何かお分かりになりますか?
実はこれはカメレオンの精子が固まったもので、交尾の際に雌の体内に押し込まれるとそれが原因で死亡するケースもあるそうです。
爬虫類特有のこれらの事象は興味深く、かつ驚かされることがあります。
ジミー君、大変な一日でしたが早く良くなって下さいね。
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哺乳類のペニスは、排尿と生殖機能を兼用しています。
一方、爬虫類のペニスはヘミペニスと呼ばれ、生殖機能のみを果たします。
排尿は総排泄口から糞と一緒に排出されます。
カメレオンを飼育する上で、以前ご紹介しました直腸脱以外にヘミペニス脱という疾患があります。
直腸脱と異なり、このヘミペニス脱は所定の場所に完納することが難しく、苦労することが多いです。
今回ご紹介させて頂きますのは、はるばる三重県からお越しいただきましたウスタレカメレオンのジミー君です。
ウスタレカメレオンは別名ジャイアントカメレオンとも呼ばれ、世界最長のカメレオンです。
最長80㎝くらいまで体長が達する個体もいるそうです。
そんなジミー君ですが、数日前からヘミペニスが脱出して戻らなくなったとのことで来院されました。
黄色丸で囲んだ部分が脱出したヘミペニスです。
実はこのヘミペニス、カメレオンは左右に1本づつあります。
今回脱出しているのは左側のヘミペニスとなります。
下写真の黄色矢印と青矢印で示す箇所にヘミペニスが1本づつ出てくるとイメージして下さい。
脱出したヘミペニスを戻そうと懸命に努力をいたしましたが、ヘミペニスを傷つけるばかりで戻すことが出来ません。
このまま脱出した状態が続きますと、ヘミペニスは重度の浮腫となり、最悪壊死し始めます。
樹上で生活するので、樹皮に患部をこすり付けて感染症になる可能性も大きいです。
飼い主様ともよくよく話し合い、この脱出したヘミペニスを切除することにしました。
左側ヘミペニスを切除しても右側が残ってますから繁殖には支障はありません。
生殖器なので当然血流も多く流れています。
最小限の流血で留めるために電気メスでカット・凝固を繰り返して切除します。
切除したヘミペニスが黄色丸で示しています。
切除したヘミペニスの付け根を縫合して終了です。
加えて、脱出したヘミペニスの反対側(右側)のヘミペニスから下の写真の物体が採れました。
形状はグミのようでもあり、植物のようでもあり不思議な物体です。
皆様、これが何かお分かりになりますか?
実はこれはカメレオンの精子が固まったもので、交尾の際に雌の体内に押し込まれるとそれが原因で死亡するケースもあるそうです。
爬虫類特有のこれらの事象は興味深く、かつ驚かされることがあります。
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2024年1月22日 月曜日
リチャードソンジリスの軟部組織肉腫
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのは、リチャードソンジリスの軟部組織肉腫です。
この軟部組織肉腫ですが、軟部組織から発生した肉腫(悪性間葉性腫瘍)を総称した診断名となります。
軟部組織肉腫には、線維肉腫や血管周囲肉腫、末梢神経鞘腫、平滑筋肉腫などが含まれます。
リチャードソンジリスの軟部組織肉腫については、犬のそれとは異なり、詳細は不明です。
今回は、短期間に腫瘍が増殖し、腫瘍を覆っている上皮が圧迫・壊死、加えて骨・神経にまで浸潤した症例です。
リチャードソンジリスのななちゃん(雌、4歳、体重350g)は右前足(手首の関節より先)が腫れ上がっているとのことで来院されました。
下写真は、前足にテーピングをしているななちゃんです。
手術前の写真を撮っていないため、手術中の写真で確認して頂きます。
手首の関節(手根関節)周囲が腫大しているため、レントゲン撮影を実施しました。
下写真(黄色矢印)では、指骨の一部が融解しています。
さらに下写真(黄色矢印)では、手根関節の一部が融解しています。
患部の細胞診を実施したところ、異型性を示す細胞(腫瘍細胞)が確認されましたので外科的に摘出する方針を選択しました。
今回の腫瘤は手根関節から前腕部にかけて瀰漫性に浸潤しているため、やむを得ず肘関節から断脚することとしました。
前足の断脚は摂食時に餌を両前足で把持できなくなるなど不便な点もありますが、今回は患部が既に一部壊死しているため、選択の余地がありません。
下写真は、腫瘍が手根関節周辺部に浸潤して、自傷も加わり壊死を起こしている状態を示しています。
これから全身麻酔を実施します。
ななちゃんに麻酔導入箱に入って頂きます。
麻酔導入もスムーズに完了して、維持麻酔を行います。
患部周辺の剃毛、消毒を行います。
下写真のレイアウトで手術を実施します。
肘関節にメスで切開を加え、靭帯を離断します。
まず肘関節周囲の皮膚の切開を行います。
続いて筋膜・筋肉層を切開、分離していきます。
肘関節周辺の血管をバイクランプでシーリングします。
筋肉層と靭帯を離断します。
筋肉層を合成吸収糸で縫合します。
最後に皮膚を5-0ナイロン糸で縫合します。
皮膚の縫合終了です。
全身麻酔を切ります。
断脚後の患部です。
麻酔から覚醒後のななちゃんです。
摘出した前足です。
この角度からだと既に壊死が進行しているのが分かります。
患部を病理検査に出しました。
中拡大像です。
新皮から皮下組織に高度に異型性を示す紡錘形腫瘍の錯綜状・充実性シート状の増殖巣が認められます。
腫瘍細胞は結合組織間や骨格筋間に高度に浸潤しており、手根部では骨組織が破壊されていました。
高倍率像です。
腫瘍細胞は豊富な好酸性細線維状細胞質、高度に大小不同を示す楕円形から長円形正染性核及び明瞭な核小体を有しています。
病理学的な結論として、紡錘形細胞を主体とする紡錘形細胞肉腫、いわゆる軟部組織肉腫とのことです。
今回、特に腫瘍細胞に高度な異型性や浸潤性が認められるため悪性度が高いです。
南部組織肉腫は、強い局所浸潤性を示すために外科切除後の再発率が高いため、今後もななちゃんは要経過観察です。
下写真は術後1か月のななちゃんです。
右前足を失ったわけですが、歩行や摂食に特に大きな負担なく、日常生活を送ることが出来ています。
ななちゃん、お疲れ様でした!
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本日ご紹介しますのは、リチャードソンジリスの軟部組織肉腫です。
この軟部組織肉腫ですが、軟部組織から発生した肉腫(悪性間葉性腫瘍)を総称した診断名となります。
軟部組織肉腫には、線維肉腫や血管周囲肉腫、末梢神経鞘腫、平滑筋肉腫などが含まれます。
リチャードソンジリスの軟部組織肉腫については、犬のそれとは異なり、詳細は不明です。
今回は、短期間に腫瘍が増殖し、腫瘍を覆っている上皮が圧迫・壊死、加えて骨・神経にまで浸潤した症例です。
リチャードソンジリスのななちゃん(雌、4歳、体重350g)は右前足(手首の関節より先)が腫れ上がっているとのことで来院されました。
下写真は、前足にテーピングをしているななちゃんです。
手術前の写真を撮っていないため、手術中の写真で確認して頂きます。
手首の関節(手根関節)周囲が腫大しているため、レントゲン撮影を実施しました。
下写真(黄色矢印)では、指骨の一部が融解しています。
さらに下写真(黄色矢印)では、手根関節の一部が融解しています。
患部の細胞診を実施したところ、異型性を示す細胞(腫瘍細胞)が確認されましたので外科的に摘出する方針を選択しました。
今回の腫瘤は手根関節から前腕部にかけて瀰漫性に浸潤しているため、やむを得ず肘関節から断脚することとしました。
前足の断脚は摂食時に餌を両前足で把持できなくなるなど不便な点もありますが、今回は患部が既に一部壊死しているため、選択の余地がありません。
下写真は、腫瘍が手根関節周辺部に浸潤して、自傷も加わり壊死を起こしている状態を示しています。
これから全身麻酔を実施します。
ななちゃんに麻酔導入箱に入って頂きます。
麻酔導入もスムーズに完了して、維持麻酔を行います。
患部周辺の剃毛、消毒を行います。
下写真のレイアウトで手術を実施します。
肘関節にメスで切開を加え、靭帯を離断します。
まず肘関節周囲の皮膚の切開を行います。
続いて筋膜・筋肉層を切開、分離していきます。
肘関節周辺の血管をバイクランプでシーリングします。
筋肉層と靭帯を離断します。
筋肉層を合成吸収糸で縫合します。
最後に皮膚を5-0ナイロン糸で縫合します。
皮膚の縫合終了です。
全身麻酔を切ります。
断脚後の患部です。
麻酔から覚醒後のななちゃんです。
摘出した前足です。
この角度からだと既に壊死が進行しているのが分かります。
患部を病理検査に出しました。
中拡大像です。
新皮から皮下組織に高度に異型性を示す紡錘形腫瘍の錯綜状・充実性シート状の増殖巣が認められます。
腫瘍細胞は結合組織間や骨格筋間に高度に浸潤しており、手根部では骨組織が破壊されていました。
高倍率像です。
腫瘍細胞は豊富な好酸性細線維状細胞質、高度に大小不同を示す楕円形から長円形正染性核及び明瞭な核小体を有しています。
病理学的な結論として、紡錘形細胞を主体とする紡錘形細胞肉腫、いわゆる軟部組織肉腫とのことです。
今回、特に腫瘍細胞に高度な異型性や浸潤性が認められるため悪性度が高いです。
南部組織肉腫は、強い局所浸潤性を示すために外科切除後の再発率が高いため、今後もななちゃんは要経過観察です。
下写真は術後1か月のななちゃんです。
右前足を失ったわけですが、歩行や摂食に特に大きな負担なく、日常生活を送ることが出来ています。
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2024年1月21日 日曜日
リチャードソンジリスのアポクリン腺癌
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介しますのは、リチャードソンジリスの皮膚腫瘍です。
体表部の汗腺が腫瘍化して発生するものにアポクリン腺の腫瘍があります。
アポクリン腺の腫瘍には良性のアポクリン腺腫と悪性のアポクリン腺癌があります。
腺腫と腺癌の鑑別は臨床的に困難です。
腺癌は一般的に境界不明瞭な腫瘤で、びまん性に皮膚に浸潤していきます。
ジリスの場合は皮膚のアポクリン腺が腫瘍化しますので、皮膚に結節上の腫瘤が多発的に生じることが多いです。
リチャードソンジリスのバニラ君(2歳8か月、雄、体重600g)は顔の側面あたりに腫瘤があるとのことで来院されました。
触診をしますと確かに5~6㎜の結節上の腫瘤が両顔面と耳の間に3個ずつ認められます。
まずはこの腫瘤を細胞診しました。
結果はアポクリン腺癌でした(下写真)。
さらに背部表層部に同じような結節性腫瘤が多数認められました。
こちらも細胞診して同じアポクリン腺癌である事が判明しました(下写真)。
腫瘍を皮膚ごと切除する外科的処置を選択させて頂きました。
下写真は麻酔導入箱に入っているバニラ君です。
麻酔導入がうまくできた所でガスマスクで維持麻酔に変えます。
下写真黄色丸の箇所が腫瘍です。
体の正中線に沿って多数集まっているのがお分かり頂けると思います。
もともと小さな体ですからある程度のマージン(腫瘍の縁取り)を取る必要があるのですが、限界があります。
縫合時に皮膚にテンション(緊張)がかかることを予想して切除を進めていきます。
背中の切除は終了です。
次は顔と耳の間の腫瘍を切除していきます。
背部が乾燥しないように生理食塩水で濡らします。
これから皮膚を縫合していきます。
ジリスは激しい動きもしますので、ステンレスワイヤーで縫合することにしました。
バニラ君、ちょっと痛々しい感じですが縫合は終了しました。
麻酔の覚醒は速やかで手術は無事終了です。
術後に食欲不振になって、腸蠕動が停滞すると困りますので強制給餌で流動食を与えます。
翌日のバニラ君です。
元気に退院して頂きました。
皮膚が完全に癒合するまで数週間は必要です。
バニラ君、それまで患部を齧ったりしないようお願いします!
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本日ご紹介しますのは、リチャードソンジリスの皮膚腫瘍です。
体表部の汗腺が腫瘍化して発生するものにアポクリン腺の腫瘍があります。
アポクリン腺の腫瘍には良性のアポクリン腺腫と悪性のアポクリン腺癌があります。
腺腫と腺癌の鑑別は臨床的に困難です。
腺癌は一般的に境界不明瞭な腫瘤で、びまん性に皮膚に浸潤していきます。
ジリスの場合は皮膚のアポクリン腺が腫瘍化しますので、皮膚に結節上の腫瘤が多発的に生じることが多いです。
リチャードソンジリスのバニラ君(2歳8か月、雄、体重600g)は顔の側面あたりに腫瘤があるとのことで来院されました。
触診をしますと確かに5~6㎜の結節上の腫瘤が両顔面と耳の間に3個ずつ認められます。
まずはこの腫瘤を細胞診しました。
結果はアポクリン腺癌でした(下写真)。
さらに背部表層部に同じような結節性腫瘤が多数認められました。
こちらも細胞診して同じアポクリン腺癌である事が判明しました(下写真)。
腫瘍を皮膚ごと切除する外科的処置を選択させて頂きました。
下写真は麻酔導入箱に入っているバニラ君です。
麻酔導入がうまくできた所でガスマスクで維持麻酔に変えます。
下写真黄色丸の箇所が腫瘍です。
体の正中線に沿って多数集まっているのがお分かり頂けると思います。
もともと小さな体ですからある程度のマージン(腫瘍の縁取り)を取る必要があるのですが、限界があります。
縫合時に皮膚にテンション(緊張)がかかることを予想して切除を進めていきます。
背中の切除は終了です。
次は顔と耳の間の腫瘍を切除していきます。
背部が乾燥しないように生理食塩水で濡らします。
これから皮膚を縫合していきます。
ジリスは激しい動きもしますので、ステンレスワイヤーで縫合することにしました。
バニラ君、ちょっと痛々しい感じですが縫合は終了しました。
麻酔の覚醒は速やかで手術は無事終了です。
術後に食欲不振になって、腸蠕動が停滞すると困りますので強制給餌で流動食を与えます。
翌日のバニラ君です。
元気に退院して頂きました。
皮膚が完全に癒合するまで数週間は必要です。
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