アーカイブシリーズ

2024年5月30日 木曜日

コリーノーズ

こんにちは 院長の伊藤です。

日光を過剰に浴びることで、紫外線に鼻周辺の皮膚が炎症反応を起こしてしまう疾病があります。

特に鼻周辺にメラニン色素の少ない犬種に発症しやすく、その代表格がコリーやシェルティで称してコリーノーズと呼びます。

症状としては、鼻鏡(鼻の正面)から鼻梁(鼻から額の正中線にかけての部分)に局所的に脱毛が始まり、発赤、斑点、痒み、膿疱(のうほう)、糜爛(びらん)と症状が悪化していきます。

今回、来院されたシェルティ君は幼犬期から鼻にコリーノーズを認めるケースで、投薬して一旦快方に向かっても休薬すれば、また再発を繰り返しています。




今回の鼻の症状はそんなに酷くはありませんが、黄色の丸で囲んである病変部をご覧ください。

鼻の背面部の色素脱落、痂皮形成、脱毛が目立ちます。





この病気の原因として、紫外線に対する免疫反応が挙げられます。

特に屋外で飼育されている場合、直射日光を避けて下さい。

コリーノーズが高度に進行しますと鼻の軟骨部が変形してしまう場合もあります。

また病状が進行して日光性角化症を経て扁平上皮癌という皮膚癌に移行するケースもあります。

以前はこの鼻周辺部に入れ墨を施して紫外線を防ぐことで、コリーノーズを予防していたという話があります。



現状では、紫外線に対する免疫反応を抑えるためにステロイド剤を内服して頂き、治療を進めています。

加えて長い時間の散歩は控えていただき、犬舎は屋内か日陰に移動して下さい。

紫外線による暴露が最小限に抑えられれば、症状もある程度までは落ち着きます。




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2024年5月28日 火曜日

外耳炎によるフレンチブルドッグの耳血腫(その2)

こんにちは 院長の伊藤です。

以前、犬の耳血腫についてその外科的アプローチをご紹介させて頂きました。

詳細はこちらをクリックして下さい。


暑い日が続いています。

こんな時期は皮膚病について多いのが外耳炎です。

定期的に外耳道をクリーニングしているワンちゃんはあまり関係ないかもしれませんが、耳掃除の習慣が無かったり、暫くして無かったりすると外耳炎になりやすいです。

特に垂れ耳の傾向のワンちゃんに多い外耳炎ですが、痒みを強く伴いますので一生懸命に耳を引掻いたりすると、耳介軟骨内の血管が破たんして、耳血腫を発症します。


今回、ご紹介するのはフレンチブルドッグのボス君(4歳10か月、去勢済)です。

左の耳が腫れているとのことで来院されました。



右耳は下写真のようにスッキリしています。



ところが、左耳はこのように腫れている(下写真黄色丸)のがお分かり頂けると思います。



側面を見ますと耳介が腫脹しています。



この状態は耳血腫という、耳介軟骨の血管が破たんして耳介に血腫が生じたものです。

よくよく外耳道を診ますとしっかり外耳炎になっており、外耳道はキャラメル状の耳垢と滲出液が貯留していました。

外耳炎の治療も耳血腫治療と並行して実施する必要があります。

以前、犬の耳血腫のコメントで耳血腫が高度に進行した場合の手術法を載せましたが、今回の耳血腫はまだ初期のステージです。

耳介内の貯留した血液を注射器で吸引することとします。





貯留していた血液は7mlほどでした。



耳はこれで一旦はスッキリしているように見えます。



一旦、貯留した血液を全量吸引できたとしても、数日内にまた血液は貯留します。

何度か血液吸引を繰り返して収束していくレベルと思われます。



耳介の中心部には耳介軟骨が存在します。

この耳介軟骨の内部には軟骨洞と呼ばれる微細な袋状があり、この洞内には毛細血管が密に走行しています。

耳介部に耳を引掻くとか、頭を振るといった物理的な振動が加えられると耳介軟骨に亀裂・分離が生じ、洞内血管が出血を来して血腫が形成されると考えられています。

血腫の程度が酷くなるほどに耳介軟骨は変形していき、耳介部がカリフラワー状になってしまうこともあります。

耳の変形はルックスに大きな影響を及ぼします。

立ち耳が垂れ耳になったりします。

血腫が出来たなと感じたら、速攻で受診して適切な治療を受けて下さい。



結局、ボス君は血液吸引を2,3日おきに4回繰り返して完治しました。

耳介部の変形も最小限にとどめることが出来、外耳炎も完治しました。





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2024年5月27日 月曜日

犬の耳血腫

こんにちは 院長の伊藤です。


耳血腫とは耳介部に血液が貯留して腫脹する疾患を指します。

耳介内部で出血が生じる何らかの原因があり、この疾患は起こります。

例えば、外耳炎やミミヒゼンダニの感染があって頭を振ったり、足で耳を搔きむしったりしての物理的外力が耳介部に加わって、生じるとされています。

一旦、耳血腫になって放置しておくと耳介軟骨が委縮し、耳はカリフラワー状に変形します。

こうなると元の耳介に戻すことは残念ながら無理です。

したがって、耳介の外観維持のために外科的手術で治療が行われます。

当院で実施している耳血腫の手術ですが、簡単にイラストで説明しますと以下の通りです。

 
上のイラストにありますように耳介軟骨層間に出血があり、血腫が作られます。
血腫にバイオプシー用のパンチを用いて穴をあけます。
 

パンチした孔から血腫を廃液し、洗浄します。

 
耳介軟骨同士を縫合して、血腫腔を密着させます。
 
最終的に下のイラストのようにパンチ孔を作成します。
 


今回、ご紹介するのは数週間前から耳血腫があり、経過を見ていても改善が認められないとのことで来院されたダルメシアン君です。







パンチで孔をあけて貯留している血液を外に流します。












上の写真はパンチ孔を作り、縫合糸を耳介内側から外側に向け貫通して、マットレス縫合をするところです。





耳を立てるため、耳介の内側面にガーゼを芯にして粘着テープで固定します。



耳血腫は血腫の大きさや耳介軟骨の損傷の程度により、その処置も異なる場合があります。

軽度の耳血腫であれば、血腫部位を針で穿刺して血液を吸引することを繰り返して患部にグルココルチコイドを注入する方法をとることもあります。

最近では血腫部にインターフェロンを注入すると良好な結果が得られたとの報告もあります。

今回のように耳介軟骨の障害が大きなケースは、早めの処置を施さなければ、残念ながら元の耳介の外観に回復することは不可能です。

ケースバイケースですが、外科手術が必要な場合ならば術後の手術部位の保護(バンテージ)が重要で、まめに交換の必要もあり、通院も含めれば1~1.5か月は必要です。




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2024年5月26日 日曜日

犬の外耳炎

こんにちは 院長の伊藤です。

当院では、この1~2週間外耳炎の外来が急増しています。

恐らくは、蒸し暑くなってる気象状況も関連していると思われます。

今回ご紹介する外耳炎ですが、日常診療では最もポピュラーな耳科疾患です。

外耳炎は、外耳道内に耳垢がたまり変質して、外耳道壁に刺激を与えたり、湿潤な耳垢に細菌が繁殖して二次感染をした結果、発症するとされています。



下写真のチワワ君は耳を痒がって、やたら頭を振る、耳の中が臭いとの理由で来院されました。



耳の中を診てみますと、下写真の様に耳介内が赤く腫れあがっており、耳の中からは耳だれが出ているのがお分かり頂けると思います。



耳に鼻を近づけると独特な腐敗臭を感じます。

さらに検耳鏡で外耳道内を診ますと、外耳道壁が腫れあがって耳の穴が閉塞しています。





話は変わってコーギー君ですが、先のチワワ君同様に耳の中を気にしての来院です。





既に耳の中は耳だれで充満しており、外耳道内からは耳だれが断続的に出てきています。



耳介部を綺麗に洗浄すると下の写真のように耳の入り口付近は、自身で引掻いて真っ赤に腫れあがっています。



先に外耳炎の原因を述べましたが、細菌以外にもマラセチアやミミヒゼンダニ、アレルギー性皮膚炎が関与しているケースもあります。

本日のこの2件は、耳垢をスライドガラス上に塗沫して染色・鏡見したところ、グラム陰性の細菌が多数認められました。

検耳鏡で鼓膜の破裂はありませんでした。

細菌性外耳炎ということで、外耳道内を刺激性の低い洗浄液で丹念に洗い、抗生剤の点耳薬を投薬しました。

ご自宅でも耳洗浄と点耳薬投与を続けていただく必要があります。

完治までに数週間要する場合も普通にあります。



外耳炎は何度も再発を繰り返す疾病です。

日常的に当院では耳掃除を励行しています。

耳垢を溜めこまないように定期的に耳洗浄を実施させて頂きます。

それだけでも外耳炎を予防することは可能です。

外耳炎を甘く見てますと、鼓膜が破れ中耳炎になり、最後には内耳炎に至ります。

内耳は平衡感覚を司っていますので、内耳炎になりますと斜頸、先回運動、顔面神経麻痺、運動失調等の症状が出ます。

健常な日常生活が送れなくなりますので、くれぐれも耳にご注意を!

まずは愛犬が耳を頻繁に引掻く、頭を振る、耳から臭い匂いがするという条件が重なったら、外耳炎になっているかもしれません。





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2024年5月25日 土曜日

ウェルシュ・コーギーのハエウジ症

こんにちは 院長の伊藤です。

これから6月を迎え、蒸し暑い日々が続きます。

体調を崩す動物たちが多いのもこの梅雨入り時期です。


本日、ご紹介いたしますのは犬のハエウジ症です。

ウェルシュ・コーギーのアイン君(12歳、去勢済)は胸とお尻周りを痒がるとのことで来院されました。

飼い主様が痒がる幹部から、ウジがいたと申告がありました。

暑くなってきた頃だから、ついでにサマーカットをして欲しいとの飼主様からの要望もあり、またハエウジがたかっている患部を確認する上でもバリカンカットをすることになりました。





ウジがいるとの患部については、カットをしたところ下の写真の通りでした。

黄色丸の部分が炎症を起こしています。



頸背部の炎症部です。



腰背部の炎症部です。



ニクバエなどのハエが患部(主に外傷や褥瘡等を起こしている皮膚)に産卵し、孵化したウジが傷の表面を移動して傷口からの滲出液や死滅した皮膚細胞を食べます。

ウジは場合によっては、天然孔(眼、鼻、口、肛門など)にももぐりこんでしまう事もあります。

当然、ウジが湧いてる部位は痒み、疼痛を伴い、犬は患部を気にして舐める、引掻くを繰り返し二次的に細菌感染を引き起こします。


今回のアイン君は1週間ほど下痢をしており、肛門周辺が不衛生な状況であったそうです。

恐らくその時にハエに卵を産み付けられたと考えられます。

バリカンで剃毛中、何匹かのウジが見つかりました。



幸いにして、ウジは少数寄生で皮膚も大きなダメージを受けていませんでした。

アイン君の皮膚炎治療のため、患部を消毒し、駆虫剤(フィプロニル)、抗生剤を処方しました。


ハエウジ症の治療の基本は、患部を綺麗に剃毛し、消毒、ウジを確実に用手で摘出することです。

加えて、皮膚の炎症の治療、飼育環境を衛生的にすることです。








ウジの重度寄生の場合、全てのウジを鉗子などで除去することは非常に手間がかかります。

長毛種であるほどに、ウジの寄生は見落としがちです。

特に今のような梅雨の時期は、飼主の皆さま要注意です。



 
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