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イグアナ・トカゲの疾病

グリーンイグアナの熱傷


爬虫類を飼育する上で、飼育環境が原因で各種疾病が発生します。

その中でも、飼育環境下のランプが原因であることが実は多いです。

特にカメレオンの幼体が、UV照明ランプが原因でおこる眼球障害で、瞼が開かなくなるケースが抜きんでて多いです。

その次に多いのが保温用に使用されるホットスポット用ランプの熱による熱傷です。



今回、ご紹介させて頂くのはグリーンイグアナの との君(9歳、雄) です。

との君は2週間ほど前から、右腰側部に青いしみができて、だんだん患部が茶色に変色してきたとのことで来院されました。



下写真の黄色丸がその患部です。

2週間前は、健康な周囲の皮膚と比較して濃い蒼い感じの色を呈していたそうです。

その時には受診されていませんので、この場で写真を載せることが出来ないのが残念です。



患部を拡大します。





皮膚自体を外部環境から守るために鱗が存在しますが、皮膚は、表皮と真皮から成り立っています。

表皮には、体表部からの水分蒸発を防ぐための多くのケラチンを含んだ死滅・偏平化した細胞群が角質層を形成しています。

との君の患部を診ますと鱗の剥離はないけれど、表皮深部まで褐色が浸透しているように思えます。

表皮の基底層にあるメラニン細胞でこの青い皮膚の発色がされています。

おそらくこのメラニン細胞までのダメージを受けているようです。

加えて表皮には浮腫が生じています。


最近のとの君は保温用のスポットランプの至近距離にいることが多いと伺いました。

先の皮膚の病変と飼主様の申告から、ランプの熱による第二度熱傷であると診断しました。

哺乳類の熱傷に準じた治療になるわけですが、実際受傷されて2週間ほどの時間が経過しています。

細菌感染による皮膚炎が懸念されますので抗生剤、消炎剤を処方しました。




との君の場合は、体重が1.3kgあり体長も1mはありますので、体が大きくなると熱さにも敏感でなくなるのかもしれません。

いずれにせよ、大型爬虫類を飼育される方は、スポットランプの設置位置にも十分お気を付け下さい!





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投稿者 院長 | 記事URL

ヒョウモントカゲモドキの慢性皮下膿瘍


爬虫類は前方に歩く時は、頭部がまず真っ先に障害物にぶつかって、それから進路を決めて行きます。

つまり鼻先から眼球周辺にかけて外傷(特に擦過傷)を受ける個体は、意外に多いです。


今回ご紹介させて頂くのは、ヒョウモントカゲモドキのこんぶちゃん(6か月齢、雌)です。

こんぶちゃんは9か月前から左側耳周辺に直径5㎜近い腫瘤が出来ました。

腫瘤の大きさは次第に大きくなってきているとのことで来院されました。



下写真黄色丸の箇所がその腫瘤です。





患部が腫瘍なのかそれとも膿瘍なのかを鑑別するために、腫瘤の細胞診を実施しました。







注射針で穿刺して、なかなか注射器に細胞が吸引されないため、腫瘤を鉗子で圧迫しました。

すると中からクリーム状の膿が出て来ました(黄色矢印)。



スライドガラスに塗沫して染色しました。

爬虫類の赤血球は核があります(赤丸)。

黄色丸で囲んだのはマクロファージです。

腫瘍細胞と思しき細胞は見つかりません。

むしろ、青く小さく点状に染まった細菌が前面に認められます。



上の写真から、この腫瘤は膿瘍であることが判明しました。



膿瘍なので、カプセルになってる嚢胞自体を綺麗に切除出来たら良かったのですが、場所がデリケートなところなのでそうはいきません。

患部が耳と目にかかる部位なので、こんぶちゃんはそれなりのストレスを長い期間感じていたかもしれません。

患部の圧迫して、極力全部排膿させました。

あとは、暫く抗生剤の内服を継続して頂きます。




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投稿者 院長 | 記事URL

ヒョウモントカゲモドキの代謝性骨疾患(強直性痙攣伴う)

哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類にわたって幼体時にカルシウムが十分に摂取されないと発症する疾患に代謝性骨疾患(MBD)があります。

以前にも当院HPに、各種動物種の代謝性骨疾患についてコメントさせて頂きました。

ご関心のある方は当院HP内の検索キーに代謝性骨疾患と入力の上、チェックしてみて下さい。


今回、ご紹介するのはこの代謝性骨疾患でも強直性痙攣(テタニー)といって、四肢が疼痛を伴って筋肉が硬く痙攣する症状が出現した症例です。

ヒョウモン君(年齢不明、おそらく6か月齢前後・性別不明)は体が痙攣をして、暴れているとのことで来院されました。

下写真の黄色丸の顎関節上部が大きく腫脹しているのがお分かり頂けるでしょうか?





左側が明らかに右側の顎周辺に比べて腫れ上がっています。

これは代謝性骨疾患に特徴的な症状です。

食餌性のカルシウム欠乏や紫外線照射不足により、血中カルシウム濃度が減少します。

結果、血中カルシウムを増やすために、骨に貯蔵してあるカルシウムを放出して骨の強度が弱くなり、変形・骨折を引き起こします。

ヒョウモン君はおそらく採食時の顎への負荷が原因で顎関節周辺が大きく変形したものと思われます。

そして、ヒョウモン君は激しい強直性痙攣を示しました。

写真なので動画の様に動作をしっかりお伝えできないのが残念です。













自らの意思とは裏腹に勝手に体が硬直して、長時間にわたって痙攣が続くのです。

体力を消耗していきますので、早急にこの症状を抑える必要があります。

早速、カルシウムとビタミンDの投薬を実施します。



代謝性骨疾患によって、骨内のカルシウムが血中に放出されても、まだ血漿中のカルシウムイオン濃度が低下している場合に最悪、この強直性痙攣が起こります。

血漿中のカルシウムイオン濃度の低下は神経や筋肉の興奮性を増加させます。

そのため反射の亢進、強直性痙攣が引き起こされます。

治療法は血中カルシウム濃度を安定化するため、十分なカルシウムやビタミンDの摂取を心がけることと、十分量の紫外線をランプで照射することです。

特に幼体期の飼育環境・食餌のアンバランスなどで代謝性骨疾患は惹起されますので要注意です!



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投稿者 院長 | 記事URL

フトアゴヒゲトカゲの肺炎

フトアゴヒゲトカゲは10年くらい前と比べて、ペットとしてメジャー化したと感じます。

当院では、リクガメ以上にカメレオンやフトアゴヒゲトカゲの来院率が高いです。

このフトアゴヒゲトカゲの疾患の中でも、最近は呼吸不全で来院するケースが多いようです。


本日ご紹介しますのは、フトアゴヒゲトカゲのクルミちゃん(1歳2か月、雌)です。

クルミちゃんは呼吸が荒くなり、開口呼吸を頻繁にするため来院されました。



聴診をしますと呼吸のたびに雑音が聴取されます。



レントゲン撮影を実施しました。





さらに患部を拡大します。

下写真の黄色丸で囲んだ箇所は、肺野が炎症を起こして白くなっています。

クルミちゃんは肺炎に罹患してしまったようです。






開口している時間が長く、あまり動きもしません。



食欲も今後低下しないかと心配なところです。

抗生剤と気管支拡張剤、それからビタミン剤を投薬して経過を診ていくこととします。

フトアゴヒゲトカゲの肺炎の場合は、ウィルス性か細菌性感染で発症する場合が多いです。

飼育環境の温度・湿度設定も重要ですし、食餌のバランスも留意して頂きたいところです。

一般にフトアゴヒゲトカゲをはじめとして、爬虫類は通常鼻呼吸をしますが、開口呼吸に変わったらこれは呼吸がかなり辛いということを認識して下さい。

そして早く受診されることをお勧めします。





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インドシナ・ウォータードラゴンのマウスロット・拒食症


インドシナ・ウォータードラゴンという名のトカゲがいます。

タイ、ベトナム、中国南部に分布するトカゲです。

成体の全長は60~90cmに及びます。

平地の水辺の森に棲息しており、半樹上生活を送ります。

最近はペットとして飼育される個体も多いです。

動物性の餌を必要とし、高温多湿の環境を好むため、飼育環境の整備が重要となります。

そんなインドシナ・ウォータードラゴンですが、体調を崩して来院された症例をご紹介します。


インドシナ・ウォータードラゴンのロキ君(6か月令、雄)とズーミーちゃん(6か月令、雌)ですが、2匹揃って食欲不振とのことです。

下写真の左がズミーちゃんで右がロキ君です。



診察台の上においてもあまり動こうとしません。

そして2匹に共通して言えるのは、栄養状態が悪く、脱水状態に陥っていることです。

まずロキ君です。



眼が虚ろで軽度の虚脱状態になっています。





栄養状態がよろしくないため、体色がくすんだグリーンですが、健康な状態なら綺麗な青みがかったグリーンを見せてくれるはずです。

早速、脱水補正のために皮下にリンゲル液を補液します。



拒食症の原因は色々です。

飼育環境が温度・湿度・照明等など不適切な場合。

餌の嗜好性が合わなくて採食を拒否する場合。

何らかの疾患にかかっての食欲不振。

ショップで購入した時点から、拒食の傾向は2匹ともあったようです。

まずは、この状態を少しでも改善するために、最低限のストレスに抑えた強制給餌を自宅でして頂くことと、飼育環境の再チェックをお願いしました。

次にズミーちゃんです。



口を開けるのが辛そうです。

良く見ると口の端には瘡蓋(かさぶた)が何ヶ所もできています。

こんな時は開口させて口腔内のチェックが必要です。

口や歯を傷つけないために、時としてゼムクリップで優しく開口することもあります。



下写真の黄色丸で囲んだ箇所は高度の口内炎と舌炎・潰瘍になっていました。



この疾病を称してマウスロットと言います。

爬虫類は動物性の餌を好むものが多く、マウスやコオロギを餌として与えます。

この時、爬虫類の口のサイズより大きなエサを給餌したり、暴れる餌であると口腔内に傷を負ってしまいます。

傷口から雑菌が入り、口腔内の炎症に至り、マウスロットになってしまいます。



2匹ともに状態は悪いので、今後の慎重な対応が必要と思われます。

抗生剤・消化改善薬・食欲増進剤・消炎剤等を組み合わせて内服させ、食欲を喚起させて経過を見ていきます。

水だけでも1か月以上生き続ける個体もいますから、拒食に陥っても焦って無理に食べさせず、自然と食欲が出てくるのを待つようにして下さい。

爬虫類の拒食症の治療は、非常に奥が深く知識と経験が必要です。

2匹とも早く回復してくれるのを祈ります。



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