イグアナ・トカゲの疾病
レッド・テグーのクル病(上腕骨骨折)
レッド・テグーは南米に生息する全身の赤いトカゲです。
全長で最大120cmに達すると言われています。
今回ご紹介するのは、このレッド・テグーのてぐ君です。
一か月ほど前から前肢が荷重できなくなり、尻尾と後肢で移動するような動きをみせるようになったとのことで来院されました。
今年で3才になる、てぐ君ですがテグーとしての貫禄は十分にあります。
しかし、前肢に力が入らない状態は見ていて非常に痛々しいものがあります。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
トカゲのレントゲン撮影は保定が難しいのですが、てぐ君の場合は動けない分、撮影は容易にできました。
レントゲン写真は下の通りです。
写真の黄色丸の中をよくご覧いただいますと、上腕骨が骨折しているのが分かると思います。
骨がレントゲン上で非常に薄く、つまり骨密度が低く写っています。
これは、以前フタアゴヒゲトカゲのクル病で詳細を記しましたが、まさに同じくクル病です。
てぐ君の場合は、さらにクル病の進行が進んでおり、加えて体重がフタアゴヒゲトカゲに比べてあるため、一番荷重をかける上腕骨が骨折してしまったものと考えられます。
本来ならここで骨折部を整復して固定したいところです。
骨髄にピンニングするなり、プレートで内固定したいものですが、骨自体が非常に柔らかくなっていますので無理です。
まずはクル病の治療を優先します。
ビタミンD3とカルシウムを補給して、骨密度を上げていきます。
その段階でギブス固定を施して仮骨が形成されるのを待とうと考えています。
骨が強化されたところで、少しずつ骨折部は癒合してくれるのではないかと期待をしています。
爬虫類の飼育は十分な日光浴が必要ですし、紫外線ランプやバスキングランプも準備して頂く必要があります。
ビタミンD3も適切量必要ですし、主食のコオロギ・マウス等からは十分量のカルシウム摂取をして欲しい所です。
てぐ君の治療はまだ始まったばかりですが、最終的に骨折治癒を目指して頑張ります!
全長で最大120cmに達すると言われています。
今回ご紹介するのは、このレッド・テグーのてぐ君です。
一か月ほど前から前肢が荷重できなくなり、尻尾と後肢で移動するような動きをみせるようになったとのことで来院されました。
今年で3才になる、てぐ君ですがテグーとしての貫禄は十分にあります。
しかし、前肢に力が入らない状態は見ていて非常に痛々しいものがあります。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
トカゲのレントゲン撮影は保定が難しいのですが、てぐ君の場合は動けない分、撮影は容易にできました。
レントゲン写真は下の通りです。
写真の黄色丸の中をよくご覧いただいますと、上腕骨が骨折しているのが分かると思います。
骨がレントゲン上で非常に薄く、つまり骨密度が低く写っています。
これは、以前フタアゴヒゲトカゲのクル病で詳細を記しましたが、まさに同じくクル病です。
てぐ君の場合は、さらにクル病の進行が進んでおり、加えて体重がフタアゴヒゲトカゲに比べてあるため、一番荷重をかける上腕骨が骨折してしまったものと考えられます。
本来ならここで骨折部を整復して固定したいところです。
骨髄にピンニングするなり、プレートで内固定したいものですが、骨自体が非常に柔らかくなっていますので無理です。
まずはクル病の治療を優先します。
ビタミンD3とカルシウムを補給して、骨密度を上げていきます。
その段階でギブス固定を施して仮骨が形成されるのを待とうと考えています。
骨が強化されたところで、少しずつ骨折部は癒合してくれるのではないかと期待をしています。
爬虫類の飼育は十分な日光浴が必要ですし、紫外線ランプやバスキングランプも準備して頂く必要があります。
ビタミンD3も適切量必要ですし、主食のコオロギ・マウス等からは十分量のカルシウム摂取をして欲しい所です。
てぐ君の治療はまだ始まったばかりですが、最終的に骨折治癒を目指して頑張ります!
立派な体格の爬虫類でも栄養のバランスを崩すと骨折してしまう事をご理解いただけた方は
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投稿者 院長 | 記事URL
フタアゴヒゲトカゲのクル病(代謝性骨疾患)
爬虫類を健康に飼育する上で、一番ご注意いただきたいのは食餌の管理です。
カルシウムの摂取量が少なかったり、カルシウムの吸収に必要不可欠なビタミンD3が足らない場合、体内のカルシウム吸収量が減少します。
血液中のカルシウム量が不足すれば、骨に貯蔵してあるカルシウムが血液中に放出されることとなります。
カルシウムが抜けた骨は非常に柔らかくなり、体の運動を支えることが出来なくなり、状況によっては容易に骨折したりします。
この状態をクル病(骨代謝疾患)と言います。
今回ご紹介しますのは、フタアゴヒゲトカゲのベッテルちゃんです。
もうすぐ1歳になる個体ですが、半年ほど前に後肢が麻痺を起こし、歩行困難になりました。
そのまま半年の月日が経過して、当院を受診されました。
上から見ますと、後肢が開脚姿勢のまま動かすことができません。
半年前と言えば丁度体を作る大事な時期です。
先に述べたビタミンD3は紫外線を受けることで体内でも生成されます。
太陽光を十分に浴びることのできる環境下では、食餌中にビタミンD3が不足していても、クル病はまず起こりません。
しかし、飼育環境によっては十分な太陽光が受けれない部屋も多く、紫外線ランプが必要となります。
一般に、クル病の治療は十分な紫外線の照射、適切なビタミンD3の摂取、食餌への適量のカルシウム添加で回復します。
ベッテルちゃんの骨の状態を確認するためにレントゲン撮影をしました。
特に後肢を拡大しますと下の通りです。
ついでに側面の画像です。
レントゲン写真を診る限りでは、骨密度が極端に低く(骨がスカスカ状態)はありません。
加えて骨折や脱臼も認められません。
脊椎骨のダメージを受けた形跡もなさそうです。
むしろ、クル病を半年前に発症してから少しづつ状態は改善してきたと思われます。
クル病になりますと、低カルシウム血症になり、神経症状が出ることも多いです。
神経症状とは、四肢のしびれ・痙攣発作・不全麻痺等です。
加えて、嘔吐・嗜眠状態を示す個体もいます。
ベッテルちゃんはクル病による低カルシウム血症から後肢の不全麻痺に至ったと考えられます。
現在、この不全麻痺に治療をさせていただいてます。
少しでも後肢の感覚が戻ってきて欲しいです。
カルシウムの摂取量が少なかったり、カルシウムの吸収に必要不可欠なビタミンD3が足らない場合、体内のカルシウム吸収量が減少します。
血液中のカルシウム量が不足すれば、骨に貯蔵してあるカルシウムが血液中に放出されることとなります。
カルシウムが抜けた骨は非常に柔らかくなり、体の運動を支えることが出来なくなり、状況によっては容易に骨折したりします。
この状態をクル病(骨代謝疾患)と言います。
今回ご紹介しますのは、フタアゴヒゲトカゲのベッテルちゃんです。
もうすぐ1歳になる個体ですが、半年ほど前に後肢が麻痺を起こし、歩行困難になりました。
そのまま半年の月日が経過して、当院を受診されました。
上から見ますと、後肢が開脚姿勢のまま動かすことができません。
半年前と言えば丁度体を作る大事な時期です。
先に述べたビタミンD3は紫外線を受けることで体内でも生成されます。
太陽光を十分に浴びることのできる環境下では、食餌中にビタミンD3が不足していても、クル病はまず起こりません。
しかし、飼育環境によっては十分な太陽光が受けれない部屋も多く、紫外線ランプが必要となります。
一般に、クル病の治療は十分な紫外線の照射、適切なビタミンD3の摂取、食餌への適量のカルシウム添加で回復します。
ベッテルちゃんの骨の状態を確認するためにレントゲン撮影をしました。
特に後肢を拡大しますと下の通りです。
ついでに側面の画像です。
レントゲン写真を診る限りでは、骨密度が極端に低く(骨がスカスカ状態)はありません。
加えて骨折や脱臼も認められません。
脊椎骨のダメージを受けた形跡もなさそうです。
むしろ、クル病を半年前に発症してから少しづつ状態は改善してきたと思われます。
クル病になりますと、低カルシウム血症になり、神経症状が出ることも多いです。
神経症状とは、四肢のしびれ・痙攣発作・不全麻痺等です。
加えて、嘔吐・嗜眠状態を示す個体もいます。
ベッテルちゃんはクル病による低カルシウム血症から後肢の不全麻痺に至ったと考えられます。
現在、この不全麻痺に治療をさせていただいてます。
少しでも後肢の感覚が戻ってきて欲しいです。
紫外線照射が健全な骨の成長のために必要なことがご理解いただけた方は
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投稿者 院長 | 記事URL