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ハリネズミの疾病

2021年6月13日 日曜日

ハリネズミ救出作戦

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、ハリネズミがハムスター用のハウスに頭ごと突っ込んで抜けなくなり、急遽ハウスを破壊して救出をしたという話です。

一言でいえば簡単な話なんですが、実際は一時間以上時間を要した救出劇です。

ハリネズミのオーナー様にあっては、このようなことが起きないように注意喚起の意味を込めて載せます。




ヨツユビハリネズミのハリ君(雄、2.5歳、体重400g)はハムスター用のハウスに頭から入り込んで、抜けなくなったとのことで来院されました。

当初、事態が読めなかったのですが、完全に頭がハウスの中に嵌っており、自力で抜くことは不可能な状態です。



このハウスは、頑丈な白木で出来た頑丈なハムスター用のハウスです。

そもそもハリネズミ用の製品ではありません。

ヨツユビハリネズミは狭い所が好きで頭から突っ込んでいく習性がありますが、まさかこのような事態になるとは飼主様も予想していなかったようです。

この重いハウスは、ハリ君にはストレス以外の何物でもありません。

昨夜からまる一日、飲まず食わずの状態が続いているそうです。

すでにハリ君は動く気配もなく、グッタリしています。



ハウスが首に食い込むため、血行障害を伴って顔面から頚腹部皮下に浮腫が出来ているようです。

緩やかに首を絞められているような状態です。





一先ず、大工道具を揃えてハウスを外していきます。





鋸でハウスを切ろうとしましたが、思いのほか硬くなかなか切ることが出来ません。

力を最大限出せば、ハリ君の首を折って仕舞いかねません。





円刃のグラインダーでハウスをカットすることにしました。

これは慎重に行わないと首を切ることになります。









ある程度の切れ込みが出来たところで、ニッパーで皮膚を切らないようにハウスを離断します。



ニッパーでは歯が立たないため、ワイヤーロープカッターで破壊することにしました。



ハウスは手荒に扱えば破壊することは出来ますが、ハリ君を無事救出することが急務です。

時間の経過と共に生還の可能性は低下していきます。



焦る一方で、事態は進展しません。



いよいよ最後に残ったハウスの柱をニッパーで渾身の力を込めてカットします。



下写真の黄色丸は、外したハウスの角の部位を示します。



ハリ君の頚周囲の傷が無いかを確認します。



何とか、ハウスからハリ君を抜き出すことが出来ました。



ハリ君はしばらくグッタリしていましたが、数分後には体を丸めることが出来る様になりました。



顔面から頚部にかけて浮腫が認められます。



今後、ハリ君が気を付けなければならないのはクラッシュ症候群です。

クラッシュ症候群は,家屋や車体な どの重量物による長時間の圧迫が原因で生じる骨格筋の虚血や損傷,圧迫の解除による再灌流が主な病態です。

特徴的な症状は下肢 の腫脹・水疱,患肢の知覚・運動低下,ショ ック,黒色から褐色の尿(ポートワイン尿) であり,急性腎不全,高カリウム血症などを呈

し,死に至る場合もあります。

ハリ君もクラッシュ症候群の可能性を考えなくてはなりません。



下写真は今回、救出のために破壊したハムスター用のハウスです。

非常に頑健に作られていますので、間違ってもヨツユビハリネズミ用に使用しないで下さい。







ハリ君は見た目では、大丈夫に思えますが、クラッシュ症候群に備えてリンゲル液を皮下輸液します。

加えて、ステロイド・抗生剤の投薬を行いました。



ある意味、外科手術よりも大変な救出劇となりました。

今後のハリ君の容態を注意して診て行きたいと思います。

ハリ君、お疲れ様でした!





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投稿者 院長 | 記事URL

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