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チンチラの疾病

2013年11月26日 火曜日

チンチラの脊椎障害(だいず君の危機!後編)


先日、チンチラのだいず君(1歳、雄)の脊椎障害の件(前篇)を報告させて頂きました。

突然、起立不能になっただいず君ですが、食欲もなくなり強制給餌で何とかしのぐ状況が続きます。





加えて、直腸脱を発症してしまいます。



直腸脱は整復に成功しましたが、排便もまだできていない状態です。

全身状態も不良で、回復出来るか否か不安定な状態です。



以上が前篇の概略(受傷後8日まで)となります。



非常に厳しい状況に追い込まれただいず君のその後の報告です。

受傷11日目(下写真)になりますと、強制給餌もしっかりと飲めるようになりました。

ほんの少しですが、ペレットも自分で採食し始めました。

ずっと眼は閉じていることが多かったのですが、パッチリ開けてくれるようになりました。

疼痛もある程度、投薬で管理できているようです。



直腸脱もその後、再発することなく排便も良好です。

まだ右足の跛行があり、体重を支えるのは辛そうです。

それでも自分で歩行しようとします。







リハビリ中のだいず君の傍らで、ベティが応援しています(?)





この頃からのだいず君の回復は素晴らしいものがあります。

食欲も出て来ましたし、排便・排尿も良好です。

受傷後13日目にだいず君は退院しました。



受傷後17日のだいず君です。

保定されるのも素直に抵抗して暴れるようになり、不全麻痺を起こしていた後肢も自分の意志である程度、可動することが出来ます。



下写真は受傷後19日目のものです。

両後肢はしっかり床面を蹴ることが出来るようになりました。



続いて受傷後32日目の写真です。

この段階で、表情は健常時と変わらないくらいになりました。





チンチラは非常に繊細な齧歯類です。

今回は特に、脊椎障害に伴う後躯不全麻痺、疼痛、直腸脱と立て続けに災難が降りかかってきました。

このような状況では、先のみえない介護・困難な食餌管理で、おそらくストレスで死亡する可能性もありました。

そんな中でも、飼い主様はほぼ毎日面会に来院され、だいず君を励ましてみえました。

そんな支えもきっとあったのでしょう。

だいず君がここまで回復されるとは思ってませんでした。

合計50本に及ぶ注射にも耐えてくれただいず君、全快おめでとうございます!





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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年11月24日 日曜日

チンチラの脊椎障害(だいず君の危機!前篇)

チンチラは非常に繊細な齧歯類です。

上手に飼育されると平均寿命は10年。

記録によると18~20年という長寿の個体もいるそうです。


今回、ご紹介させて頂きますのはチンチラのだいず君(1歳、雄)です。

突然起立不能に陥り、来院されました。

チンチラは体調が思わしくなかったり、疼痛が激しかったりすると眼を閉じて耐えていることが多いです。

だいず君はまさに、眼を閉じて自力で立ち上がることもできません。





さらに呼吸不全の兆候が表れてきましたので、ICU処置室(酸素室)に入れて呼吸管理を実施しました。



食欲は全くなく、ショック状態に陥っています。

後肢の痛覚が消失しており、おそらくは脊椎損傷の可能性があると思われます。



対症療法として、ステロイド剤、腸蠕動促進剤、抗生剤の注射をします。





呼吸が落ち着いたところで、レントゲン撮影を実施しました。





単純レントゲン撮影では特に脊椎骨の脱臼、亀裂などの所見は認められません。

CTで脊椎造影できれば、今回の原因の詳細は判明するかもしれませんが、今のだいず君にはこれ以上の検査は命に関わるため出来ません。

しかし、後躯不全麻痺と疼痛による振戦から脊椎障害であることは疑いないと思います。

だいず君は食欲が全くありませんので、流動食を少しずつ飲ませていくこととなりました。



チンチラはウサギと比較しても、繊細で今回のような状況におかれるとストレスだけで命を落とすこともあります。

投薬と強制給餌を続けて6日目のだいず君です(下写真)。

自主的に少しづつですが、流動食を飲んでくれるようになってきました。

でも、まだチモシー・ペレットについては口をつけてくれません。

相変わらず、眼はつむったままです。





受傷後、8日目にして流動食だけで生活していましたので、軟便が続き、だいず君は排便時に腹圧をかけていきむようになり、直腸脱を発症してしまいました。



肛門周囲を拡大したのが下写真です。





直腸が肛門から脱出した場合、その原因は2つあります。

直腸脱と腸重積の2種類です。

ゾンデ(探子)で用いて鑑別したところ、幸い直腸脱でしたので、飛び出した直腸をもどして肛門を縫合糸ですこし縫いこんで絞り込みました(下写真)。

1週間以内に縫合糸を抜糸します。

腸重積ですと開腹手術が必要となります。

正直、腸重積でなくて良かったです。

以前、腸重積のチンチラに症例報告をしましたが、興味をある方はこちらをクリックして下さい。



食餌も自力で摂食できず、いまだ起立不能のだいず君。

今後の展開が不安ですが、この続きは次回、「だいず君の危機!後編」をお待ちください。




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