アーカイブシリーズ
2024年2月17日 土曜日
犬の異物誤飲(魚骨)
こんにちは 院長の伊藤です。
本日も犬の異物誤飲です。
毎回、腹部切開して異物を摘出する場面を展開して参りましたが、今回はちょっと違います。
きららちゃん(6歳、避妊済)は、3日前から体が熱っぽいことと、声がかすれた感じがするとのことで来院されました。
確かに喉の周辺が少し腫れている感じがあり、口腔内を診ますと喉が赤くなっています。
口喉炎かと思い、消炎剤・抗生剤を処方して経過観察することとしました。
その3日後、きららちゃんの喉がとんがってきたとのことで再診です。
下写真黄色丸の箇所が皮膚を下から突き上げているかの如く突出しています。
超音波検査を実施しました。
下写真の黄色矢印の部分が異物を表しています。
異物周辺は特に血管の走行も、また出血の形跡も認められません。
患部を注射針で切開してみることとしました。
きららちゃんは非常に性格がおとなしく協力的なので、局所麻酔のみで対応できました。
患部の切開を進めていきますと、鋭い突起物(黄色丸)が現れました。
おそらく何か異物を食べて、その異物が食道壁を穿孔して飛び出してきたのではないかと推察されます。
その突起物を鉗子で把持して引き抜くこととしました。
下写真の黄色矢印が摘出した硬い棘のようなものです。
プラスチックの破片の様にもみえますが、飼主様に確認したところ、どうやら鯖の骨ではないかとのことでした。
患部からの出血もなく、スムーズに処置は完了しました。
皮膚縫合したところです。
先端が鋭利な異物を誤飲した場合、食道に刺さってしまう場合はあるかと思いますが、嚥下と共に餌が上からどんどん流れてきて、異物も胃に落ちていくことが殆どでしょう。
今回の様に、異物が食道壁を突き破って皮下に突出する症例は初めてです。
子どもの頃、魚の骨が喉に刺さって辛い思いをしたことがあります。
きららちゃんは、よほど我慢強い子ですね。
局所麻酔だけでよく耐えてくれました。
考えようによっては、胃や腸にこの骨が流れ込んで消化管を穿孔したら、腹膜炎を起こして敗血症になっていたかもしれません。
外科手術をすることなく、シンプルに摘出できたのは幸いと言えるでしょう。
くれぐれも、魚の骨には気を付けて下さい!
本日も犬の異物誤飲です。
毎回、腹部切開して異物を摘出する場面を展開して参りましたが、今回はちょっと違います。
きららちゃん(6歳、避妊済)は、3日前から体が熱っぽいことと、声がかすれた感じがするとのことで来院されました。
確かに喉の周辺が少し腫れている感じがあり、口腔内を診ますと喉が赤くなっています。
口喉炎かと思い、消炎剤・抗生剤を処方して経過観察することとしました。
その3日後、きららちゃんの喉がとんがってきたとのことで再診です。
下写真黄色丸の箇所が皮膚を下から突き上げているかの如く突出しています。
超音波検査を実施しました。
下写真の黄色矢印の部分が異物を表しています。
異物周辺は特に血管の走行も、また出血の形跡も認められません。
患部を注射針で切開してみることとしました。
きららちゃんは非常に性格がおとなしく協力的なので、局所麻酔のみで対応できました。
患部の切開を進めていきますと、鋭い突起物(黄色丸)が現れました。
おそらく何か異物を食べて、その異物が食道壁を穿孔して飛び出してきたのではないかと推察されます。
その突起物を鉗子で把持して引き抜くこととしました。
下写真の黄色矢印が摘出した硬い棘のようなものです。
プラスチックの破片の様にもみえますが、飼主様に確認したところ、どうやら鯖の骨ではないかとのことでした。
患部からの出血もなく、スムーズに処置は完了しました。
皮膚縫合したところです。
先端が鋭利な異物を誤飲した場合、食道に刺さってしまう場合はあるかと思いますが、嚥下と共に餌が上からどんどん流れてきて、異物も胃に落ちていくことが殆どでしょう。
今回の様に、異物が食道壁を突き破って皮下に突出する症例は初めてです。
子どもの頃、魚の骨が喉に刺さって辛い思いをしたことがあります。
きららちゃんは、よほど我慢強い子ですね。
局所麻酔だけでよく耐えてくれました。
考えようによっては、胃や腸にこの骨が流れ込んで消化管を穿孔したら、腹膜炎を起こして敗血症になっていたかもしれません。
外科手術をすることなく、シンプルに摘出できたのは幸いと言えるでしょう。
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2024年2月16日 金曜日
犬の異物誤飲(手袋)
こんにちは 院長の伊藤です。
本日も引き続き、犬の異物誤飲の話です。
今回は手袋です。
保湿クリームを手に塗布後、手にはめる薄手の綿の手袋を誤飲してしまった症例です。
ミニチュア・ピンシャーのシンバ君(1歳7か月、去勢済)は、手袋を飼い主様の目の前で誤飲し、そのまま来院されました。
呼吸が荒く苦しそうな感じです。
レントゲン撮影を実施しました。
胃の中が内容物(上写真黄色丸)で膨満しているのがお分かり頂けると思います。
飼い主様が誤飲の現場を目撃している場合は、異物誤飲であることは疑いないため、その後の診察展開もスムーズです。
一側の女性用手袋なので、シンバ君の体格から考えて嘔吐剤で吐いて出すということは困難と思われます。
飼い主様のご了解のもと、胃切開手術で手袋摘出をすることとしました。
まずシンバ君を全身麻酔します。
いきなりですが、胃切開をしているシーンです。
胃の中を確認しますと手袋の一端が認められました。
速やかに手袋をアリス鉗子で把持して摘出します。
手袋の指の部分が出て来ました(下写真黄色丸)。
手袋と胃壁の多少の干渉はありましたが、無事胃に傷をつけることなく手袋を摘出しました。
間違いなく手袋です。
胃の漿膜・筋層・粘膜下織・粘膜と全層を合成吸収糸で単純結節縫合をします。
最後に皮膚縫合して終了です。
術後、しばらくは流動食で対応します。
シンバ君は手術直後から食餌が欲しくてたまらないといった感じですが、我慢して頂きます。
1週間後の退院時のシンバ君です。
元気に退院できて良かったです。
誤飲する犬は確信犯が多いようです。
異物を口にできないように飼主様、注意を怠りなくお願いします!
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本日も引き続き、犬の異物誤飲の話です。
今回は手袋です。
保湿クリームを手に塗布後、手にはめる薄手の綿の手袋を誤飲してしまった症例です。
ミニチュア・ピンシャーのシンバ君(1歳7か月、去勢済)は、手袋を飼い主様の目の前で誤飲し、そのまま来院されました。
呼吸が荒く苦しそうな感じです。
レントゲン撮影を実施しました。
胃の中が内容物(上写真黄色丸)で膨満しているのがお分かり頂けると思います。
飼い主様が誤飲の現場を目撃している場合は、異物誤飲であることは疑いないため、その後の診察展開もスムーズです。
一側の女性用手袋なので、シンバ君の体格から考えて嘔吐剤で吐いて出すということは困難と思われます。
飼い主様のご了解のもと、胃切開手術で手袋摘出をすることとしました。
まずシンバ君を全身麻酔します。
いきなりですが、胃切開をしているシーンです。
胃の中を確認しますと手袋の一端が認められました。
速やかに手袋をアリス鉗子で把持して摘出します。
手袋の指の部分が出て来ました(下写真黄色丸)。
手袋と胃壁の多少の干渉はありましたが、無事胃に傷をつけることなく手袋を摘出しました。
間違いなく手袋です。
胃の漿膜・筋層・粘膜下織・粘膜と全層を合成吸収糸で単純結節縫合をします。
最後に皮膚縫合して終了です。
術後、しばらくは流動食で対応します。
シンバ君は手術直後から食餌が欲しくてたまらないといった感じですが、我慢して頂きます。
1週間後の退院時のシンバ君です。
元気に退院できて良かったです。
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2024年2月15日 木曜日
犬の異物誤飲(鳥の骨)
こんにちは 院長の伊藤です。
柴犬の三四郎君(10歳)は、お散歩中にどうやら鳥の骨らしきものを飲み込んだと来院されました。
しっかり骨をかみ砕いて飲み込んでくれればよいのですが、散歩中ですと飼主様から奪われるのが嫌で速攻、飲み込んでしまう確信犯的な犬が多いのも事実です。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
お分かりいただけたでしょうか?
胃の周辺部を拡大してみます。
上の黄色丸・矢印で示したように、はっきりと鳥の骨の形状が確認できます。
胃の中を骨が突っ張り棒のごとく入り込んでいます。
これでは嘔吐させて回収するjことはできませんし、胃の幽門部から十二指腸まで送り込まれることも不可能でしょう。
この鳥の骨の全長を測定したところ、10㎝もあることが判明しました。
結局、胃を切開することとなりました。
いつものごとく全身麻酔です。
開創器で胃を露出して、メスで切開を加えるところです。
メスを入れたところ、すぐに胃を押しやるかのように下から鳥の骨が顔を出しました!
早期の回復を考慮して、胃の切開部は2cm以内に留めました。
あとは胃を縫合していきます。
次に腹膜・腹筋を縫合します。
最後に皮膚縫合で終了です。
手術は1時間以内で終了して、三四郎君も無事麻酔から覚醒し始めました。
三四郎君は1週間ほど入院して頂き、その間流動食も含め、胃に優しい食生活を送ってもらいました。
柴犬は比較的、異物誤飲が多い犬種です。
特に散歩中に、瞬間的に何でもお気に入りの物を見つけたら、何も考えずに口の中に入れる傾向が強いように思います。
飼い主様から、その時点で注意を受けようものなら、取られるくらいなら飲み込んでしまえ、とばかりに異物誤飲に至ります。
お散歩中にはくれぐれもご注意ください。
最後に入院中にちょっとダイエットした三四郎君です。
無事退院できてよかったです。
柴犬の三四郎君(10歳)は、お散歩中にどうやら鳥の骨らしきものを飲み込んだと来院されました。
しっかり骨をかみ砕いて飲み込んでくれればよいのですが、散歩中ですと飼主様から奪われるのが嫌で速攻、飲み込んでしまう確信犯的な犬が多いのも事実です。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
お分かりいただけたでしょうか?
胃の周辺部を拡大してみます。
上の黄色丸・矢印で示したように、はっきりと鳥の骨の形状が確認できます。
胃の中を骨が突っ張り棒のごとく入り込んでいます。
これでは嘔吐させて回収するjことはできませんし、胃の幽門部から十二指腸まで送り込まれることも不可能でしょう。
この鳥の骨の全長を測定したところ、10㎝もあることが判明しました。
結局、胃を切開することとなりました。
いつものごとく全身麻酔です。
開創器で胃を露出して、メスで切開を加えるところです。
メスを入れたところ、すぐに胃を押しやるかのように下から鳥の骨が顔を出しました!
早期の回復を考慮して、胃の切開部は2cm以内に留めました。
あとは胃を縫合していきます。
次に腹膜・腹筋を縫合します。
最後に皮膚縫合で終了です。
手術は1時間以内で終了して、三四郎君も無事麻酔から覚醒し始めました。
三四郎君は1週間ほど入院して頂き、その間流動食も含め、胃に優しい食生活を送ってもらいました。
柴犬は比較的、異物誤飲が多い犬種です。
特に散歩中に、瞬間的に何でもお気に入りの物を見つけたら、何も考えずに口の中に入れる傾向が強いように思います。
飼い主様から、その時点で注意を受けようものなら、取られるくらいなら飲み込んでしまえ、とばかりに異物誤飲に至ります。
お散歩中にはくれぐれもご注意ください。
最後に入院中にちょっとダイエットした三四郎君です。
無事退院できてよかったです。
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2024年2月14日 水曜日
犬の異物誤飲(ボール)
こんにちは 院長の伊藤です。
フレンチブルドッグのカミュ君はボールを誤飲したとのことで来院されました。
当初、直径3cm位のボールと伺っておりましたので嘔吐をさせる薬を投薬し、吐き出してくれたら良いかなと悠長に構えていました。
何度も餌付くのですが、なかなかボールらしきものは出てきません。
ひとまずレントゲン撮影を実施しました。
するとしっかり、測定すると直径6cmものボールが胃内に納まっておりました。
これがそのレントゲン像です。
本人はケロッとしていまして、特にお腹が痛い感じもありません。
6cmというとかなり大きな異物なんですが、フレンチは食道も太く、勢いで飲み込んでしまったようです。
結局、カミュ君は胃切開手術を受けることとなりました。
本人はそれほどの緊迫感も無いまま、手術室へ向かいます。
下の写真はカミュ君の手術の模様です。
これが摘出したボールです。
術後はしばらくは流動食の生活が待っています。
多くの異物誤飲犬は入院中ダイエットをして、スリムな体になって退院されます。
実際、異物を飲み込むのはあっと言う間のことです。
この瞬間を注意してみている飼い主様はまずいません。
飲んだのに気付いて、吐かせようとすれば、本人は取られたくないからそのまま嚥下してしまう。
過去の手術した犬達は、皆こんな展開となります。
そして異物誤飲する犬は、その後も何度も誤飲を繰り返します。
飼い主様がこの子は誤飲する子なんだという、意識を持って接して下さい。
もし異物(おもちゃ)で遊ばせる時は最大限の注意を払って下さいね!
最後に元気に退院されたカミュ君です。
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フレンチブルドッグのカミュ君はボールを誤飲したとのことで来院されました。
当初、直径3cm位のボールと伺っておりましたので嘔吐をさせる薬を投薬し、吐き出してくれたら良いかなと悠長に構えていました。
何度も餌付くのですが、なかなかボールらしきものは出てきません。
ひとまずレントゲン撮影を実施しました。
するとしっかり、測定すると直径6cmものボールが胃内に納まっておりました。
これがそのレントゲン像です。
本人はケロッとしていまして、特にお腹が痛い感じもありません。
6cmというとかなり大きな異物なんですが、フレンチは食道も太く、勢いで飲み込んでしまったようです。
結局、カミュ君は胃切開手術を受けることとなりました。
本人はそれほどの緊迫感も無いまま、手術室へ向かいます。
下の写真はカミュ君の手術の模様です。
これが摘出したボールです。
術後はしばらくは流動食の生活が待っています。
多くの異物誤飲犬は入院中ダイエットをして、スリムな体になって退院されます。
実際、異物を飲み込むのはあっと言う間のことです。
この瞬間を注意してみている飼い主様はまずいません。
飲んだのに気付いて、吐かせようとすれば、本人は取られたくないからそのまま嚥下してしまう。
過去の手術した犬達は、皆こんな展開となります。
そして異物誤飲する犬は、その後も何度も誤飲を繰り返します。
飼い主様がこの子は誤飲する子なんだという、意識を持って接して下さい。
もし異物(おもちゃ)で遊ばせる時は最大限の注意を払って下さいね!
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2024年2月13日 火曜日
ウサギの橈尺骨骨折(外固定法)
こんにちは 院長の伊藤です。
本日ご紹介するのは、ウサギの前足(橈尺骨)骨折の症例です。
過去の記事にもこの橈尺骨骨折整復例を載せております。
過去の橈尺骨整復法(創外固定法)はこちらを、ピンニング法はこちらを参照下さい。
今回は、非観血的(患部にメスを入れない)整復法としての外固定法を選択しました。
この外固定法は、副子(ギブスなど)を骨折部に当てて骨癒合を目指す固定法です。
外固定法は比較的簡単な処置とも言えますが、状況によっては骨折部位・骨折パターンにより不適となります。
あるいは、飼主様の費用面での事情も絡み、外固定を選択しなければならないことも多いです。
ミニウサギのチョコ君(雄、2か月齢、体重1.0kg)は左前足が折れてブラブラしているとのことで来院されました。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色丸は橈尺骨骨幹部の骨折を示します。
ここで問題となるのはチョコ君はまだ生後2か月齢の幼体であること。
それは、骨がまだ脆弱であることや長時間全身麻酔のリスク(呼吸器・肝腎機能の未成熟による)を持ってることを意味します。
チョコ君の将来を考えた時に外固定による整復法を選択しました。
若いので骨癒合は2ヶ月以内に完了するでしょう。
ただ、好奇心旺盛なので大人しく過ごせるかという点が心配です。
いずれにせよ、ごく短時間の全身麻酔は必要です。
早速、チョコ君にイソフルランによる吸入麻酔を行います。
息止めを防止するため、局所麻酔の点鼻薬を入れます。
イソフルランで麻酔導入を行っています。
次いで、患部周囲の剃毛を実施します。
生体情報モニターの電極をセットします。
副子としてアルフェンス®(9号・アルケア㈱・厚さ1.0㎜トンボ型)を好んで私は使用しています。
アルフェンス(下写真)はアルミ製の副子で、患部の形状に合わせて折り曲げが容易に出来ます。
アルフェンスの裏側はポリウレタンフォームとなっており、ある程度のクッション性が期待できます。
チョコ君の爪先から肘関節を含めて上腕骨までをアルフェンスで型合わせをします。
アルフェンスの翼の部分は、後に折り曲げてテーピングするのに便利です。
患部をストッキネット(下写真の茶色の不織布)で覆い、次にキャッド・パッド・プラス(水色のクッション材)を巻きます。
次に強力な粘着テープで手根関節部を牽引し、骨折部を指先の感覚で整復し、手根部と肘関節部を粘着テープでアルフェンスに固定します。
患部の拡大写真です。
この時点で、骨折部の整復状態を確認するためにレントゲン撮影をしました。
橈尺骨の骨折端の変位があり、骨折してからの時間経緯から筋肉萎縮も認められました。
患部筋肉のストレッチングを試みましたが、限界があります。
結果として、骨折端の完全なる非観血的整復は困難でした。
骨折治癒を成功させるためには、骨折端の皮質骨部が50%以上接触している必要があります。
この条件が満たされないと骨癒合できず、遅延癒合に至るケースもあります。
今回、チョコ君の橈骨は変位して骨折端の接触が困難ですが、尺骨は接触しています。
骨折端をどの程度まで合わせることが出来るかが、外固定の成功するか否かの分かれ道です。
骨癒合が不良で、変形癒合に至った場合は後に脊椎の変形や対側肢の足底部皮膚炎(ソアホック)などが生じるばあいもあります。
後は、チョコ君の若さにかけることにしました。
最後に収縮粘着テープでアルフェンスを巻いて終了です。
麻酔から覚醒したチョコ君です。
最低1か月以上はエリザベスカラーを装着し、このスプリント固定の日々が続くと思われます。
2か月齢の子ウサギには辛い生活となりますが、頑張って頂きます。
1か月経過したチョコ君です。
定期的にスプリントの点検のため通院して頂き、大きな問題なく1か月過ごせました。
スプリントをはずしレントゲン撮影をしました。
下写真黄色丸が骨折部を示します。
尺骨はほぼ骨癒合出来てます。
橈骨は仮骨が過剰に形成されています。
側臥の状態でのレントゲン像です。
骨折部の拡大像です。
骨癒合は1か月足らずで出来上がっていたため、スプリントを外すこととしました。
若齢個体の骨癒合は早いとされますが、その通りの結果となりました。
激しい走り込みは避け、あと1か月位は穏やかに生活するよう指導しました。
時間は流れ、下写真は6か月後のチョコ君です。
体重も250g増加しました。
特に患足をかばうことなく、元気に毎日走り回っているそうです。
伏せの状態でレントゲン撮影を実施しました。
患足は橈尺骨共に健常側と比較して太く、頑丈な骨になっています。
患部を拡大したレントゲン像です。
側臥のレントゲン像です。
下写真黄色丸は骨折部の拡大像です。
橈尺骨共に機能的に可動出来ています。
今回の症例は、本来ならば非観血的整復が不十分であるため、ピンニングなどの観血的整復手術が理想でした。
しかしながら、チョコ君が若齢のため外固定法しか選択肢がありませんでした。
結果として、骨癒合が成功して良かったです。
若齢の個体に並んで高齢のウサギも骨折は多発します。
高齢ウサギの場合は外固定での骨癒合は非常に時間がかかり、若齢個体よりも難しいです。
犬猫の橈尺骨骨折整復では外固定単独で治すケースは少ないと思います。
その一方、ウサギの場合は、諸般の理由で外固定を選択するケースが比較的多いように思います。
いづれにせよ、ウサギはロケットのように突然飛び出します。
その一方、骨は脆く非常に折れやすい特性を持ってますのでご注意ください。
チョコ君、お疲れ様でした。
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本日ご紹介するのは、ウサギの前足(橈尺骨)骨折の症例です。
過去の記事にもこの橈尺骨骨折整復例を載せております。
過去の橈尺骨整復法(創外固定法)はこちらを、ピンニング法はこちらを参照下さい。
今回は、非観血的(患部にメスを入れない)整復法としての外固定法を選択しました。
この外固定法は、副子(ギブスなど)を骨折部に当てて骨癒合を目指す固定法です。
外固定法は比較的簡単な処置とも言えますが、状況によっては骨折部位・骨折パターンにより不適となります。
あるいは、飼主様の費用面での事情も絡み、外固定を選択しなければならないことも多いです。
ミニウサギのチョコ君(雄、2か月齢、体重1.0kg)は左前足が折れてブラブラしているとのことで来院されました。
早速、レントゲン撮影を実施しました。
下写真の黄色丸は橈尺骨骨幹部の骨折を示します。
ここで問題となるのはチョコ君はまだ生後2か月齢の幼体であること。
それは、骨がまだ脆弱であることや長時間全身麻酔のリスク(呼吸器・肝腎機能の未成熟による)を持ってることを意味します。
チョコ君の将来を考えた時に外固定による整復法を選択しました。
若いので骨癒合は2ヶ月以内に完了するでしょう。
ただ、好奇心旺盛なので大人しく過ごせるかという点が心配です。
いずれにせよ、ごく短時間の全身麻酔は必要です。
早速、チョコ君にイソフルランによる吸入麻酔を行います。
息止めを防止するため、局所麻酔の点鼻薬を入れます。
イソフルランで麻酔導入を行っています。
次いで、患部周囲の剃毛を実施します。
生体情報モニターの電極をセットします。
副子としてアルフェンス®(9号・アルケア㈱・厚さ1.0㎜トンボ型)を好んで私は使用しています。
アルフェンス(下写真)はアルミ製の副子で、患部の形状に合わせて折り曲げが容易に出来ます。
アルフェンスの裏側はポリウレタンフォームとなっており、ある程度のクッション性が期待できます。
チョコ君の爪先から肘関節を含めて上腕骨までをアルフェンスで型合わせをします。
アルフェンスの翼の部分は、後に折り曲げてテーピングするのに便利です。
患部をストッキネット(下写真の茶色の不織布)で覆い、次にキャッド・パッド・プラス(水色のクッション材)を巻きます。
次に強力な粘着テープで手根関節部を牽引し、骨折部を指先の感覚で整復し、手根部と肘関節部を粘着テープでアルフェンスに固定します。
患部の拡大写真です。
この時点で、骨折部の整復状態を確認するためにレントゲン撮影をしました。
橈尺骨の骨折端の変位があり、骨折してからの時間経緯から筋肉萎縮も認められました。
患部筋肉のストレッチングを試みましたが、限界があります。
結果として、骨折端の完全なる非観血的整復は困難でした。
骨折治癒を成功させるためには、骨折端の皮質骨部が50%以上接触している必要があります。
この条件が満たされないと骨癒合できず、遅延癒合に至るケースもあります。
今回、チョコ君の橈骨は変位して骨折端の接触が困難ですが、尺骨は接触しています。
骨折端をどの程度まで合わせることが出来るかが、外固定の成功するか否かの分かれ道です。
骨癒合が不良で、変形癒合に至った場合は後に脊椎の変形や対側肢の足底部皮膚炎(ソアホック)などが生じるばあいもあります。
後は、チョコ君の若さにかけることにしました。
最後に収縮粘着テープでアルフェンスを巻いて終了です。
麻酔から覚醒したチョコ君です。
最低1か月以上はエリザベスカラーを装着し、このスプリント固定の日々が続くと思われます。
2か月齢の子ウサギには辛い生活となりますが、頑張って頂きます。
1か月経過したチョコ君です。
定期的にスプリントの点検のため通院して頂き、大きな問題なく1か月過ごせました。
スプリントをはずしレントゲン撮影をしました。
下写真黄色丸が骨折部を示します。
尺骨はほぼ骨癒合出来てます。
橈骨は仮骨が過剰に形成されています。
側臥の状態でのレントゲン像です。
骨折部の拡大像です。
骨癒合は1か月足らずで出来上がっていたため、スプリントを外すこととしました。
若齢個体の骨癒合は早いとされますが、その通りの結果となりました。
激しい走り込みは避け、あと1か月位は穏やかに生活するよう指導しました。
時間は流れ、下写真は6か月後のチョコ君です。
体重も250g増加しました。
特に患足をかばうことなく、元気に毎日走り回っているそうです。
伏せの状態でレントゲン撮影を実施しました。
患足は橈尺骨共に健常側と比較して太く、頑丈な骨になっています。
患部を拡大したレントゲン像です。
側臥のレントゲン像です。
下写真黄色丸は骨折部の拡大像です。
橈尺骨共に機能的に可動出来ています。
今回の症例は、本来ならば非観血的整復が不十分であるため、ピンニングなどの観血的整復手術が理想でした。
しかしながら、チョコ君が若齢のため外固定法しか選択肢がありませんでした。
結果として、骨癒合が成功して良かったです。
若齢の個体に並んで高齢のウサギも骨折は多発します。
高齢ウサギの場合は外固定での骨癒合は非常に時間がかかり、若齢個体よりも難しいです。
犬猫の橈尺骨骨折整復では外固定単独で治すケースは少ないと思います。
その一方、ウサギの場合は、諸般の理由で外固定を選択するケースが比較的多いように思います。
いづれにせよ、ウサギはロケットのように突然飛び出します。
その一方、骨は脆く非常に折れやすい特性を持ってますのでご注意ください。
チョコ君、お疲れ様でした。
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