犬の育て方・病気猫の育て方・病気哺乳類の育て方・病気両生類の育て方・病気
  • home
  • スタッフ
  • 医院紹介
  • アクセス・診療時間
  • 初めての方へ
  • HOTEL
 

モルモットの疾病

モルモットの乳腺腫瘍・脂肪腫及び膣脱

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのはモルモットの乳腺腫瘍です。

さらに乳腺腫瘍に加えて何ヶ所も脂肪腫の合併症が認められたケースです。


アビシニアン・モルモットのくろちゃん(4歳、雌、体重900g))は乳腺が大きく腫大しているとのことで来院されました。

下写真の黄色丸が右側の高度の乳腺が腫大してます。

モルモットの乳腺は雄雌ともに両鼠蹊部に一対しか存在しません。

さらに加えて、くろちゃんは膣が脱出しています(赤矢印)。



患部を拡大した写真です。

細胞診の結果、乳腺腫瘍であることが判明しました。



実はくろちゃんの飼主様はこの腫瘍が大きい点から、手術による摘出は諦め、抗生剤や鎮痛剤で対症療法を受けてみえました。

その中で膣脱を発症したことから、手術による解決を希望される運びとなりました。



まずレントゲン撮影を実施しました。

黄色矢印が腫瘍を示します。

何ヶ所も腫瘍が認められます。





特に右乳腺は腫脹が著しく、熱感を伴っているため乳腺内の膿瘍も考えられます。

既に患部の腫脹は高度で床材との干渉による出血も甚だしい状態(下写真黄色丸)です。



腫瘍摘出手術と膣脱整復手術を行います。

イソフルランによる導入麻酔を実施します。



次いで麻酔マスクによる維持麻酔に変えます。



右乳房は皮膚が裂けており、患部にはチモシーなどが入り込んでいる状態なので念入りに消毒洗浄を行います。



皮膚の洗浄・剃毛・消毒が完了しました。

下写真黄色矢印が腫瘍を示しています。





右乳房は最後にして、まずは小さな腫瘍から摘出して行きます。

電気メスのモノポーラとバイポーラを使い分けて摘出します。



脂肪腫です。

良性の腫瘍ですが、モルモットの場合は突然大きく腫大することもあるため、今回は全て摘出することとしました。







さて次は、右乳房摘出です。

本来なら、乳房の付根から皮膚ごと切開するところです。

おそらく摘出後の縫い代が確保できないと考えて、すでに裂けている皮膚から切開を始めました。



腫瘍内部には膿瘍が形成されており、少し圧迫するだけで排膿があります(下写真黄色矢印)。





最後に皮膚を離断する予定で皮膚内を削ぐように乳腺腫瘍をバイポーラで剥離切除して行きます。









乳房ごと摘出完了です。



腫瘍の急激な増殖で伸びきってる皮膚を離断します。



乳腺腫瘍摘出後の患部です。

大きな出血もなく、摘出できました。



腫瘍切除した部位をこれから縫合して行きます。





小さな体に何針も縫合するのは可哀そうですが、創部が癒合するまで我慢して頂きます。



縫合終了です。



腫大していた右乳房周辺はこれでスッキリしました。



最後に膣脱を整復します。



膣を消毒し、鉗子でゆっくりと押し戻すことで、整復はスムーズに完了しました。



再脱出を防ぐために外陰部の両端を縫合して、絞り込みます。

これで、手術は全て終了となります。



麻酔の覚醒直後のくろちゃんです。



翌日は少しですが、食餌を食べる元気が出てきています。



今回摘出した腫瘍です。





上の写真の右乳腺腫瘍の病理写真です。

黄色丸は壊死した乳房組織で、赤丸は壊死組織を取り囲むリンパ球、マクロファージ、白血球などの炎症系細胞群です。



下写真の赤矢印は乳汁で、黄色丸は脂腺に分化した腫瘍細胞です。



下写真黄色矢印も同じく、脂腺分化した乳腺腫瘍細胞です。



今回のくろちゃんの場合は、多形性はあるものの異型性の乏しい乳腺単純腺腫とのことでした。

悪性腫瘍の所見は認められなかったのは幸いでした。

ただくろちゃんは、腫瘍の損傷部からの細菌感染が高度なので、抗生剤の投薬は暫く必要となります。

モルモットの腫瘍は短期間で高度に腫大しますので、早期発見早期摘出を心がけて頂ければと思います。

くろちゃん、お疲れ様でした!




にほんブログ村ランキングにエントリーしています。



宜しかったら、こちらupwardleftをクリックして頂けるとブログ更新の励みとなります。

投稿者 もねペットクリニック 院長

カテゴリ一覧

カレンダー

2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31