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モルモットの疾病

モルモットの尿石症


先日、フェレットの尿石症についてコメントさせて頂きました。


今回はモルモットの尿石症についてご紹介します。

モルモットはウサギと同様、尿中へのカルシウムの排泄量が多くて尿は白濁しています。

モルモットの尿路結石は3歳以上の雌に好発します。

結石はシュウ酸カルシウムや炭酸カルシウムを主成分とするものが多いと言われます。


モルモットのもんじゃちゃん(6.5歳 雌)は排尿が出来なくて元気食欲が低下してきたとのことで来院されました。





よくよく診ますと陰部あたりが大きく腫大しています(上写真黄色丸)。

触診しますと何やら硬いものが詰まっているようです。

まずはレントゲン撮影しました。





レントゲン写真の黄色矢印は大きな尿路結石を示します。

この結石の大きさを測定しましたら、20㎜以上あることが判明しました。

排尿はかろうじて出来ているようですが、このままの状態ではいずれは排尿障害で命に関わってくると思われました。

あと腹部を触診して大きな塊が触知されました。

下写真の黄色丸の箇所です。



これはひょっとしたら腫瘍の類の可能性が高いと思われました。

もんじゃちゃんの全身状態は今のところ良好なので、早いうちにこの尿路結石を摘出すること・腹部の腫瘤が何なのかを確認するための試験的開腹をさせて頂くことを飼主様にご了解いただきました。

全身麻酔を施します。



まずは尿路結石の摘出です。

尿道を損傷しないように保護するために尿道に尿道カテーテルの代わりに留置針を挿入します。





尿石が現れて来ました。







モルモットにしてはこのような巨大な結石も、尿道粘膜に埋没してしまえば排尿も可能な場合があることを再認識させられました。



尿道内には細かな砂粒が認められましたので生理食塩水で洗浄します。



摘出した結石は後でシュウ酸カルシウムであることが判明しました。




切開した尿道です。



この尿道を縫合します。



縫合後、生理食塩水をフラッシュして縫合部からの漏れがないかを確認します。



皮膚を縫合して尿道結石摘出は終了です。



次は腹部の試験的開腹です。

下写真は開腹直後のもので、大きな腫瘍が認められました(黄色丸)。



この腫瘍も先の尿石に負けないくらい大きなものです。

空回腸が原発巣で空回腸の多くを巻き込んで、盲腸まで癒着が及んでいました。



出来れば腫瘍を全て摘出したかったのですが、不可能なため閉腹させて頂きました。





覚醒直後のもんじゃちゃんです。



術後のもんじゃちゃんは予想以上に元気で食欲も戻り、活発にインキュベーター内を駆け回れるくらいに回復されました。



排尿も問題なくできるようになりました。



もんじゃちゃんは3泊4日の入院で退院されました。

しかし、尿石問題はクリアされても空回腸の腫瘍については今後問題が出てくると思います。

排便が出来なくなり、腸が穿孔したり、場合によっては腫瘍からの広範囲な出血もあるかもしれません。

要経過観察です。


最後に尿石症を含め、モルモットの泌尿器疾患予防は以下の点に気を付けて下さい。

1:十分な水分を与えること。

モルモットの飲水量は10ml/体重100gといわれ、体の割には多くの水を必要とします。


2:低カルシウムの食餌を与えること。

モルモットの食餌はマメ科植物(アルファルファ)を主原料にしたペレットが多いため、カルシウムが1.0%以上含まれています。

そのため低カルシウムであるイネ科植物(チモシー)の乾草、もしくはチモシーを成分としたカルシウム1.0%以下に抑えたペレットを

与えるようにして下さい。


3:十分なビタミンCとBを与えること。

ビタミンC・ビタミンB6は尿中のシュウ酸排出を抑制します。





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投稿者 もねペットクリニック 院長 | 記事URL

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