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ウ―パールーパー・カエルの疾病

ウーパールーパーの外鰓が溶ける!

昨日に続いてウーパールーパーの話をします。


本日、ご紹介するウーパー君は外鰓(えら)がだんだん小さくなって来たとのことで来院されました。

下写真の黄色丸が示す外鰓が小さくなっているのがお分かりでしょうか?





同じ水槽内で複数飼育している場合、ウーパールーパーは互いを咬んで指がちぎれたり、尻尾が切れたりする場合はあります。

今回のウーパー君は単独飼育とのことで、咬症によるものではありません。

ではなぜ立派で大きかった外鰓が小さくなってしまったのか?

答えは飼育水中の細菌が原因で、外鰓が炎症を起こしてしまったのです。

Aeromonas hydrophila 等が原因菌とされています。

治療法としては、水槽の水を清潔なものに変えること。

飼育水が不衛生な状態なので、飼育水の濾過やエアレーションを徹底する必要があります。

外鰓を昨日ご紹介したメチレンブルーや魚病用のグリーンFゴールド等で薬浴を実施します。

これも昨日コメントしたように薬物中毒にならないように、魚用の規定量の3分の1位の用量で3分くらい体を浸漬します。

この処置をしばらく続け、外鰓の回復を経過観察していきます。



基本的には、水質をしっかり衛生的に管理できていれば、ウーパールーパーは元気に飼育することが可能です。

特に水温を25度以下に保つことが重要です。

実際、この夏に水温が30度以上の状態の水槽に入れたままにして、熱中症にかかり死亡したケースもあります。

水温が高くなるほどに、水槽内の水質は悪化して雑菌は増殖していきます。

この外鰓の委縮・溶解は細菌感染症なので、しっかり治療する必要があります。



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投稿者 院長 | 記事URL

ウーパールーパーのメチレンブルー中毒

今年の暑さは酷いですね。

メディアは、熱中症について毎日しつこく報道していますので、幸いなことに当院では熱中症の患者は少ないです。


犬猫のみならず、飼育環境の温度・湿度管理で爬虫類や両生類の飼主様方も苦労されています。

本日は、両生類では非常に人気の高いウーパールーパーの薬物中毒の話です。



ウーパールーパーのしろちゃんは、皮膚病のため飼主様が自己責任で薬浴をされました。

しろちゃんを購入されたペットショップのスタッフから、メチレンブルーの薬浴を進められて1晩以上薬浴をしていたところ、体のバランスを崩してローリングをするようになり、心配になっての来院です。







じっと一か所に居るのが辛そうに絶えず動き回っている状態です。

どちらかというと苦悶しているかのように見えます。

顔を診ますとメチレンブルーの青色が残っています。





ウーパールーパーは薬剤の反応が、魚類に比べるとデリケートで慎重に薬浴はすべきだと私は思っています。

今回はメチレンブルーの薬量も多く、長時間の浸漬であったことを考慮しますと、メチレンブルーの中毒の可能性が高いと思います。

血液検査ができない生物なので、残念ながら客観的な医学的データ―を明示できないのが残念です。


入院していただき様子を診ていますと次第に下顎が腫れはじめ、開口し始めました。



この時、すでにしろちゃんは動くこともなく動きが停止しています。

ひょっとしたら死亡しているかもと思い、触れると動きます。

しかし、鰓の色も白くあせ始めてきました。

さらに体全体がむくみ(浮腫)始めました。



両生類は、浸透圧の関係で絶えず水分子が体内に入り込んできますので、この水を体外に排出するために腎臓が活躍します。

このとき腎臓が薬物で傷害を受けますと、体内に入ってくる水分が原因で体液の異常分泌が起きます。

体全体が浮腫を起こして腫れあがったり、下顎に体液が貯留して口が閉じなくなります。

今のしろちゃんが、まさにこの状態で、開口状態が続きました。




両生類に対応した生理食塩水の濃度は0.65%とされています。

理論上はこの0.65%生理食塩水中にウーパールーパーを入れておけば、水槽内の水とウーパールーパーの体内との浸透圧差はゼロとなります。

結果、浮腫を防ぐことは可能となります。


哺乳類用の生理食塩水0.9%を希釈して0.6%の生理食塩水中にしろちゃんを浸漬しても特に容態は改善しません。

浸透圧調整以前にすでに腎機能が、メチレンブルーにより壊滅的な障害を受けていたと思われます。

こうなると両生類の治療は、厳しくなります。


残念ながら、翌日しろちゃんは亡くなられました。

両生類の治療の限界を感じる症例でした。

ウーパ―ルーパーの薬浴は基本短時間で薬用量も魚類の濃度3分の1位から初めて、少しづつ濃度を上げていくべきと思います。

薬は使用法を間違えると命に係わりますので、少しでも不明な点があったり、不安があれば両生類に詳しい獣医師にお尋ね頂くようお願い致します。



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投稿者 院長 | 記事URL

ベルツノガエルの皮膚外傷

本日ご紹介しますのはベルツノガエルの皮膚外傷です。

基本的にカエルの皮膚はデリケートで簡単に傷を負ってしまいます。

一方、皮膚の再生力は強く比較的短期間で皮膚損傷は治癒します。


ベルツノガエルのガンモちゃん(1.5歳・雌)はお尻と下腹部に外傷を負って来院されました。



下写真の黄色丸が皮膚の外傷で、皮膚が裂けています。



次に背側尾部の皮膚外傷です。

丸く穿孔傷(黄色丸)が生じています。



外傷の原因が何なのかは不明です。

ガンモちゃんは、テラリウムの中で生活しているため、環境中で何か患部を引っ掛けたりしたのかもしれません。

いずれにしても、患部を消毒し縫合して、細菌感染から保護する必要があります。

早速、縫合処置を行います。





次に下腹部の縫合です。



カエルは後足は発達していますので、それなりに縫合時の出血は多いです。



下写真の様に縫合して終了です。



カエルの場合、絶えず生活環境には不衛生な水が存在して、傷口との接触があります。

つまり、細菌感染が前提での治療になりますので、術後の衛生管理が重要になります。

1週間、抗生剤の投薬をして頂きます。



ベルツノガエルの場合は、器用に患部を口で干渉したりはしないので、術後の患部は2週間以内に抜糸できるのではないかと思っています。





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投稿者 院長 | 記事URL

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