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2024年3月16日 土曜日

犬の血管肉腫

こんにちは 院長の伊藤です。

脾臓に関わる疾病について、これまでに数件報告させて頂きました。

脾臓の結節性過形成血腫組織球性肉腫については下線をクリックして頂けると過去の記事が見れます。

興味のある方はご覧下さい。


さて、本日ご紹介しますのは犬の血管肉腫です。

この血管肉腫は悪性腫瘍の一つです。

血管肉腫は血管を構成する血管内皮細胞に由来する腫瘍です。

つまり血管が存在する場所であれば、どこで発生しますし高い転移性を持ちます。

特に脾臓は血管肉腫の好発部位で脾臓に発生する病変の第1位となっています。

犬の脾臓腫瘍の発生率において2/3ルールがあります。

脾臓腫瘤の約2/3は悪性腫瘍で、そのうちの2/3は血管肉腫と言うものです。



ミニュチュア・シュナウザーのポッケちゃん(10歳5か月、避妊済み)は腹囲の膨満、食欲・元気の低下で来院されました。



血液検査上では炎症性蛋白(CRP)が7.0㎎/dlオーバーと体の内部で高度の炎症がおこっていること、RBC(赤血球数)500万/μl、さらにHb(ヘモグロビン)9.5g/dl

Ht(ヘマトクリット) 28.6% 血小板数が147,000/μlと貧血傾向を示しています。

早速、レントゲン撮影を実施しました。

下写真の黄色丸は脾臓が腫大していることを示します。



下写真の赤丸は膀胱内に存在する尿石です。

これはストラバイト尿石であることが判明しました。



次いでエコー検査です。

脾臓が腫大しており、脾臓の腫瘤内部は低エコー源性を示す領域が認められます。



ここで脾臓が悪性の腫瘍なのか良性なのかを判断するのは難しいです。

組織生検をするのも一法ですが、生検した部位からの過剰な出血があれば、命に関わります。

脾臓腫瘤に由来する腹腔内出血(血腹)を呈した症例の1/3が良性の腫瘍であったとの報告があります。

良性であっても、脾臓が破裂して血腹になってしまうと考えた時に良性か悪性かの精密検査の意義は低いと思われます。

3㎝以上に達した脾臓腫瘤は術前の良性・悪性の判断する必要性はないとする獣医師もいます。

むしろ、迅速に脾臓を全摘出して血腹を防止した方が賢明です。

私も飼主様に脾臓の全摘出手術を薦めさせて頂きました。


ポッケちゃんの脾臓全摘出手術を始めます。



ポッケちゃんのお腹は見た目から若干張っている感じがあります。





腹膜下には腫大した脾臓が控えているはずですので、慎重に脾臓を傷つけないように腹膜を切開して行きます。



いきなり脾尾部が飛び出してきました。



続いて脾頭部です。

結節部が大きく膨隆しているのがお分かり頂けると思います。



脾臓表面は脾内出血のためかうっ血色を呈しています。





ポッケちゃんの体に対して脾臓が腫大してるのが分かります。



脾臓と胃をつなぐ動静脈を丁寧にシーリングしていきます。



バイクランプを用いて動静脈をシーリングします。





シーリング出来た箇所をメスで離断していきます。







最後に脾尾部のシーリング部位をメスで離断して脾臓全摘出は完了です。



ポッケちゃんのお腹を閉腹したところです。

術前と比較してお腹周りがスッキリした感じですね。

今回は写真を添付しませんでしたが、膀胱切開も一緒に行い膀胱内の結石も摘出しました。

また血管肉腫は他の臓器への転移率が高い腫瘍であるため、確認できる範囲を肉眼的レベルで診たところ、他の臓器への転移は認められませんでした。



手術はこれで終了です。

まだ麻酔から完全に覚めきれていないポッケちゃんです。



摘出した脾臓です。

脾頭部は腫瘤が結節を形成して、高度に膨隆してます。









この脾臓を病理検査に出しました。



病理検査の結果は血管肉腫でした。

下写真は低倍率の病理標本です。

異型性のある内皮細胞によって内張りされたスリット状・海綿状の血管腔が認められます。



高倍率の病理標本です。

病巣には出血、繊維素析出、壊死が頻繁に生じています。

腫瘍細胞は少量の弱酸性細胞質、軽度から中等度の大小不同を示す類円形正染核、明瞭な核小体を有しています。



さて、ポッケちゃんが血管肉腫であることが判明した以上、今後の治療計画を立てていく必要があります。

犬の血管肉腫における予後は極めて悪く、外科的脾臓摘出単独では2か月の生存率は31%、1年生存率は7%とされています。

外科的摘出後に化学療法を併用した場合は、生存期間は5~7か月間と生存期間の延長は期待できるとされます。


飼い主様と話し合った結果、化学療法を併用する治療方針を決めました。

治療効果・費用を比較して、塩酸ドキソルビシンとシクロホスファミドを使用する化学療法を選択しました。

この抗がん剤を3週間に1回投与(1クール)して5クール繰り返します。

下写真は塩酸ドキソルビシンです。

点滴に入れて投薬していきます。



ポッケちゃんに第1回目の化学療法を実施しているところです。





12月現在、ポッケちゃんの化学療法は5クール(全行程)を終了しました。

脾臓摘出後すでに5か月経過しました。

若干の貧血傾向はありますが、経過は良好です。

ポッケちゃんのご家族の熱心な応援もあって、本当に血管肉腫なのかと言うくらい活動性があります。

是非この調子でポッケちゃん、頑張って頂きたいと思います。

スタッフ共々、ポッケちゃんをバックアップしていきます!






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2024年3月15日 金曜日

アルゴンプラズマ凝固法(APC)を使用してみました。

こんにちは 院長の伊藤です。


手術を実施する中で気を使うのが、止血です。

特に出血層が浅い患部で、湧水のごとく出血している場合などは、電気メス(モノポーラ・バイポーラ)でも完全に止血が完了しないこともあります。

今回、当院でエルベ社の電気メスを使用している関係で、オプションとしてアルゴンプラズマのスプレー凝固を試用させてもらいました。



ミニチュア・ピンシャーのルーシーちゃんは、乳腺腫瘍が見つかり今回、避妊手術と乳腺腫瘍摘出手術を実施することとなりました。

乳腺腫瘍の手術では、術後もジワジワ出血が続く症例もありますので、このアルゴンプラズマを使用することとしました。






上写真の黄色丸の部分がプラズマが放電しているところです。

一般に電気メスでは患部とメスが物理的に接触するのみでの止血となります。

しかし、スプレー凝固(放電凝固)では、通常よりも高い電圧をかけることで、抵抗の高い空気中にスパークを飛ばす非接触的なで凝固する方法です。







電離しやすいアルゴンガスは、高電圧のスプレー凝固出力によってイオン化したプラズマとなり、電極と組織の間に電圧を通す媒体となります。

難しい話はこれくらいにして、使用感としては溶接用のバーナーで炙るような感じです。

気をつけないと、あっという間に広範囲を炙ってしまいますので要注意です。

下写真の黄色部分のように一部、炭化した箇所が認められます。

止血完了を確認後、ガーゼで優しく取る事は可能です。




乳腺腫瘍摘出手術は従来、何ヶ所も血管を結紮止血して対応してきましたが、このAPCは瞬間的に止血できてしまうのは手術時間の短縮化につながり便利です。

エルベ社のバイクランプにしても、一度使用するともう縫合糸で血管を結紮することが煩雑に思えてきます。



しかし、技術革新とはこのような小さなことの積み重ねで進歩するわけですから、受け入れて動物たちに還元できる技術なら進んで取り込んでいきたいと思います。



ルーシーちゃんのこの避妊と乳腺腫瘍の手術にしても、あわせて90分とかかりませんでしたので非常に好感触です。

ルシーちゃん、お疲れ様でした!



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2024年3月12日 火曜日

チワワの脾臓摘出手術(結節性過形成)

こんにちは 院長の伊藤です。


本日は腹腔内臓器摘出術の中でも、比較的高頻度に実施されている脾臓摘出術についてコメントさせて頂きます。

脾臓はリンパ系器官の中で最も大きな臓器です。


脾臓はどんな働きをしているかというと

1:血液の濾過

2:血液の貯蔵

3:免疫機能

4:造血

以上です。

そんな頑張っている脾臓ですが、全摘出術の適応となるのは原発性脾臓腫瘍や重度外傷による脾臓破裂です。

脾臓疾患の症状は、一般的にあいまいで脾臓疾患に特異的な症状はありません。

強いて挙げれば、突然の元気消失、嘔吐、体重減少、貧血です。



チワワのモカ君(11歳、雄)は突然の食欲不振、元気消失で来院されました。



血液検査ではCRP(炎症性蛋白)が4.3mg/dlと上昇している点が気になります。

他の血液検査項目は特に異常点はありません。

レントゲン検査を実施しました。





上の写真の黄色丸の箇所が円形に大きく腫大した腫瘤を表しています。

臓器の位置関係からすれば脾臓か、腸間膜リンパかといったところでしょうか。


その大きな腫瘤を超音波検査しました。

均一な微細斑点状の内部エコーを示す限界明瞭な低エコーの腫瘤が描出されました。

腫瘤エコーは脾臓エコーと連続性を持ち,脾臓の一部である画像所見が得られました。



恐らくこれは、脾臓の内部で出血をして腫大しているか、もしくは血管肉腫のように脾臓に生じる悪性腫瘍の可能性もあります。

この腫瘤が脾臓の腫瘍であった場合、脾臓全摘出して病理検査に出さないと悪性か良性かは不明です。

悪性であれば、血管肉腫や脾臓リンパ腫や内臓型肥満細胞腫であることが多いです。

腫瘍でなければ、結節性過形成の可能性もあります。

仮に結節性過形成であるとしても、腫瘤が大きくなれば腹腔内で破裂して死亡するケースもあります。

細胞診で患部を穿刺して確認する方法は、これが血管肉腫であった場合、禁忌とされます。

脾臓を穿刺することで患部から出血が止まらなくなったり、腹腔内に腫瘍をばらまくことになるので、開腹して肉眼で確認する方法が確実です。


いずれにせよ、試験的開腹を実施することとしました。

全身麻酔下のモカ君です。









皮膚、皮下組織、腹筋、腹膜にメスをいれて腹腔内が露出した時、大きな腫瘤が飛び出てきました(下写真)。



明らかに脾臓に形成された腫瘤です。

良く見ると2か所大きな腫瘤があり、腫瘍の可能性がありますし、部分的に切除しても境界面が不明瞭ですから全摘出することとしました。

脾臓は胃に沿って存在しており、摘出する場合は短胃動静脈、左胃大網動静脈、脾動静脈など多くの血管を縫合糸で結索して離断していきます。

当院では、バイクランプですべての血管をシーリングしていきます(下写真)。

これだけでも手術時間の短縮につながりますし、不整出血を防ぐこともできます。







すべて合わせて1時間以内に手術は終了しました。



覚醒時のモカ君です。



摘出した脾臓です。





下写真の黄色丸の部分が腫瘤です。



この腫瘤が腫瘍なのか確認するため、病理検査に出しました。

下写真は患部の顕微鏡写真(低倍率)です。

大小不整なリンパ濾胞と間質増生、うっ血、出血で構成されています。





下は高倍率の写真です。

リンパ濾胞を形成するリンパ球は多様で、単一系統の異型細胞の増殖は認められません。

つまり腫瘍細胞は認められませんでした。



腫瘤部以外の脾臓には、うっ血と髄外造血が認められました(下写真)。



病理医の結論は、脾臓の結節性過形成との診断でした。

結節性過形成は老齢犬にしばしば認められる非腫瘍性の病変です。

しかし、放置すると過形成リンパ組織がさらに融合していき、より大きな腫瘤となって脾臓破裂の原因になります。

結局、脾臓全摘出がベストの選択肢であり、全摘出後の予後も良好とされます。


脾臓は全摘出して大丈夫なの?

よくその質問を受けます。

脾臓の機能は他の臓器で代償できるものが多く、脾臓が必ずしも存在しないと命の維持に問題が生じるかというとそうでもありません。

ただ免疫介在性疾患や寄生性疾患の反応で腫大している脾臓は内科的治療を選択すべきとされてます。


モカ君の術後の経過は良好で、術後に食欲は戻り、1週間後に無事退院されました。

退院時のモカ君です。

お腹もすっきりして良かったね!





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2024年3月11日 月曜日

犬の精巣腫瘍(性腺芽腫)

こんにちは 院長の伊藤です。

本日ご紹介しますのは、犬の精巣腫瘍です。

精巣腫瘍は高齢犬で発生が高く、特に停留精巣では陰嚢内精巣の10倍以上発生率が高いそうです。


シェルティのローリー君(11歳、体重10㎏、雄)は、数か月間で左側の精巣が大きくなり始め来院されました。

1歳未満の頃、特に発情を迎える前に去勢や避妊をお勧めしています。

雌の場合は赤ちゃんを産ませないという必然性もあり、積極的に手術を希望される飼い主様は多いです。

一方、雄の去勢については可哀そうだから止めます、という飼い主様(特に男性)が多いようです。

去勢しなくて、中高年以降で多発する疾病の一つとして当院HPで会陰ヘルニアをご紹介しましたが、この精巣腫瘍も同様に未去勢犬で認められます。

ローリー君はこの大きくなった精巣のため、床の上で伏せの姿勢が上手にできなくなり、排尿排便にも不便を来すようになりました。

問題解決のため、外科的に精巣を摘出することにしました。




下の写真にありますように黄色の円で囲んだ左側精巣の腫大が認められます。



メスで陰嚢基部を切開して総鞘膜ごと陰嚢から出します。





精管、精巣動静脈を縫合糸で結紮してメスで離断します。





次いで総鞘膜も腫瘍細胞が存在している場合も想定して、精巣と共に離断します。



傷口はこんな感じで手術は終了です。



摘出した精巣は左側は腫瘍化した精巣で右側は健常な精巣です。

この腫瘍化した精巣を病理検査に出しました。

下の写真はその病理標本(低倍率)です。

大小、不規則な形状の精細管様管状構造が多数認められ、その管状構造はセルトリ細胞様の細長い腫瘍細胞が密に内張りしています。



さらに高倍率の病理標本です。



セルトリ細胞様腫瘍細胞の間に細胞質の明るい胚細胞様細胞も存在しており、この腫瘍がセルトリ細胞と胚細胞の両者の腫瘍増殖によって形成されています。

病理専門医からこの特徴的な所見より、極めて稀な性腺芽腫という精巣腫瘍であると診断が下されました。

犬の精巣腫瘍はセルトリ細胞腫、セミノーマ、ライデイッヒ細胞腫の3種類に大別され、多くが良性腫瘍であることが多いといわれます。

今回の精巣腫瘍は、これら3つのカテゴリーに分類されないタイプの腫瘍のようです。

ローリー君の腫瘍は現時点で腫瘍臓器、各リンパ節への転移は認められず、経過は良好です。

やはり、腫瘍になってから慌てるよりも早い時期に去勢することで、防げる病気です。

特に男性の飼い主様、ちびっこの頃の去勢手術は可哀そうだからという前に、ご一考下さい。

老齢犬になってからの手術がいかに大変でリスクが高いか、ワンちゃん本人の気持ちになって頂けると幸いです。




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2024年3月 9日 土曜日

犬の肛門腫瘍とレーザーメス

こんにちは 院長の伊藤です。


本日ご紹介しますのは、犬の肛門腫瘍です。

シーズーのマロン君(去勢済、11歳7か月)は4年位前から肛門に腫瘤が認められ、次第に大きくなってきました。





肛門周囲腺腫の疑い(下写真黄色丸)があり、7歳の時点で去勢手術を実施いたしました。

去勢手術の効果を期待したのですが、腫瘤は少しずつ大きくなり、新たに別の腫瘍(白丸)も出て来ました。



本来、細胞診を実施してから外科的切除に至ります。

ただ肛門腫瘍の場合は、細胞診では悪性・良性の鑑別は確実性に欠ける言われています。

すでに腫瘍は大きくなっており、切除してから病理検査に出すことにしました。



消毒後の患部です。



患部から6時方向にある腫瘍は、牽引しますと蔓が伸びる感じで栄養血管を含んだ茎状の組織(下写真黄色矢印)が認められます。



半導体レーザーに装着するプローブの種類は多く、血管や管腔臓器を切断する時に使用するユニバーサルバイポーラー(下写真)を6時方向の腫瘍に使用しました。



血管ならばこのバイポーラ-で4mm径までシール切断が可能です。

下写真の黄色矢印がユニバーサルバイポーラです。

腫瘍の茎にあたる部位を挟んで切断をしていきます。







こんな感じで切断します。

茎の中の栄養血管も完全にシールされて出血は認められません。



次に腫瘍本体の切除ですが、チゼルハンドピース(下写真黄色矢印)を使用しました。







これで切除完了です。



次に九時方向の腫瘍です。



この腫瘍は細径コニカルプローブ(下写真黄色矢印)を使用して切除します。



こちらの腫瘍は、浅在性で底部周囲組織への固着は認められません。





レーザー切除の煙が漂っていますが、これで腫瘍切除は終了です。





九時方向の腫瘍切除後の皮膚縫合を行いました。



これでお尻周りがすっきりしたね、マロン君!



摘出した腫瘍を病理検査に出しました。

6時方向の腫瘍の病理所見です。

低倍率です。



高倍率です。



こちらの腫瘍は肛門周囲腺上皮腫と診断されました。

軽度の異型性が認められ、悪性腫瘍です。

単発性の腫瘍で、大きくなる前に摘出できて良かったです。



次に9時方向の腫瘍です。

低倍率です。



高倍率です。



こちらの腫瘍は、肛門周囲腺腫であることが判明しました。

肛門腫瘍の中で肛門周囲腺腫の発生率は80%以上を占めます。

肛門周囲腺腫は、雄で非常に多く発生し、雌では稀です。

高齢で未去勢の雄に認められ、アンドロジェン依存性が高いとされてます。

この肛門周囲腺腫は良性腫瘍であり、数か月から数年かけて次第に増大していきます。

増大する一方で、患部は通常無症候性で痛みを伴うことは少ないとされます。


肛門周辺は血管が豊富に集まっており、加えて肛門腫瘍にはさらに栄養血管が集結しています。

したがって外科的摘出にあたり、出血量は多量になる場合があります。

今回、使用した半導体レーザーは出血を極力抑えることが可能であり、それは手術時間の短縮にもつながります。

マロン君、お疲れさまでした!








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