犬の育て方・病気猫の育て方・病気哺乳類の育て方・病気両生類の育て方・病気
  • home
  • スタッフ
  • 医院紹介
  • アクセス・診療時間
  • 初めての方へ
  • HOTEL
 

腫瘍疾患/犬

2017年8月 5日 土曜日

犬の黒色細胞腫-棘細胞腫

こんにちは 院長の伊藤です。

最近の傾向として、外科手術の中心が腫瘍摘出となって来ています。

当院では、犬猫よりエキゾッチクアニマルの腫瘍外科が多いです。

今回は、犬の皮膚腫瘍の中で黒色細胞腫ー棘細胞腫についてコメントします。

以前に犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)ウサギの悪性黒色腫について記述してますので興味のある方は下線をクリックして下さい。


ミニュチュア・シュナウザーのロック君(13歳、去勢済、体重8.5kg)は下腹部に黒いできものがあるとのことで来院されました。



直径1㎝近くの潰れたキノコのような腫瘤です。

早速、細胞診を実施したところ、検査センターの診断は上皮性腫瘍(角化物産生腫瘍)とのことです。

細胞診の結果を鑑みて、速やかに腫瘍摘出することとしました。

下写真黄色丸がその腫瘍です。







黒色の扁平状の腫瘍です。

悪性黒色腫(メラノーマ)でないと良いのですが。



下写真黄色矢印が腫瘍を示しています。

全身麻酔でロック君は寝てます。



極力、腫瘍周囲のマージンを取って、摘出します。



ジワジワと出血が始まりますので、電気メス(バイポーラ)で止血しながら皮膚を剥離して行きます。







バイポーラによる炭化した痕跡がありますが、特に大きな出血もなく摘出終了です。



胸腹部で縫合時にテンションがかかりますので、皮下組織を鉗子で鈍性剥離して皮膚の進展の余裕を持たせます。





皮膚縫合完了です。



摘出した腫瘍です。







病理検査に出した結果です。

下写真は低倍率の画像です。

キノコ状の病変は高度に肥厚した表皮で覆われています。



上写真のピンク丸の箇所を倍率を上げて、下写真で説明します。


表皮細胞はその90%が角化細胞(ケラチノサイト)で残りの10%は色素細胞(メラノサイト)で構成されます。

下写真の赤色のひし形部がケラチノサイトで表皮を構成しています。

このケラチノサイトには腫瘍化した細胞(異型性)は認められません。


黄色丸は増殖したメラノサイトです。

このメラノサイトの細胞質内にはメラニン色素顆粒を多量に含んでいます。

メラノサイトには腫瘍化した細胞はありません。



以上の所見からケラチノサイトとメラノサイトが同時に良性に増殖しているのが特徴です。

この病変は黒色細胞腫ー棘細胞腫 と呼ばれる非常に珍しい病変とのことです。

両成分の増殖が真に腫瘍性のものなのかも不明で、報告例も少ないそうです。

その臨床的挙動も不明で、完全摘出により根治するとされています。

ロック君は当日退院して頂きました。




2週間後のロック君ですが、皮膚の癒合も問題ありませんでした。

抜糸時のロック君です。

ロック君、お疲れ様でした。





にほんブログ村ランキングにエントリーしています。



宜しかったら、こちらupwardleftをクリックして頂けるとブログ更新の励みとなります。

投稿者 もねペットクリニック

カテゴリ一覧

カレンダー

2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30