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筋骨系の疾患(整形)/犬

2013年10月12日 土曜日

ポメラニアンの橈骨遠位端骨折の外副子固定について


本日のテーマは前腕骨の橈骨が骨折した場合、スプリントと言われる外副子で骨折をしっかり治癒させることが出来るかというものです。

患者様は隣のペットショップのポメラニアン君です。

成体販売の仔犬なのでまだ名前はありません。

ポメ君と呼ばせて頂きます。

ポメ君はまだ生後1.5か月足らずのちびっ子です。



前足をくじいて、びっこを引いているとのことでの来院です。

疼痛が酷いようで泣き叫んでいます。

早速、レントゲンを撮ってみました。





上写真の黄色丸で囲んだ箇所が骨折しています。

橈骨遠位端骨折です。

小型犬種の前腕骨骨折の中でも良く発生する骨折パターンです。

手術が失敗すると骨癒合不全を起こす、難易度の高い骨折と言えます。


以前、トイプードル(生後1歳)の橈骨遠位端骨折をプレート内固定法で治療しました。

その経緯を興味ある方は、こちらをクリックして下さい。

また別件でポメラニアン(生後2.5歳)の同じく橈骨遠位端骨折を創外固定法で治療しました。

その経緯はこちらをクリックして下さい。


上記の2件については、共に生後1年以上経過した大人の犬です。

今回は、まだ生後1.5か月齢の仔犬です。

橈骨の太さは1.2㎜足らずです。

しかも骨自体は強度もなく、ウェハスのごとく脆弱です。

このようなケース事例では、私はギプス固定かスプリント固定で肘からつま先までを外固定して対応するようにしています。

生後数か月は非常に骨成長が著しく、内固定法や創外固定をして患部をがっちり固めるよりも、骨折部位を外固定で包み込むように持って行った方が綺麗な骨癒合を導きます。

下写真はこのポメ君にスプリント固定(黄色矢印)を施したものです。



スプリントとは、プラスチックで肘から下が入るように成型されたもので、粘着テープを使用して骨折患部を外固定します。

勿論、ポメ君からすれば重いし、肘から下は思うに任せて稼働できないし、迷惑千万といったところでしょう。

スプリント固定をした当日から、ポメ君はスプリント破壊に情熱を傾け始めました。

最低、1か月の装着は必要と思いましたが、実際1か月経過するまでにスプリントの再装着を5.6回ほどさせて頂きました。



色々ありましたが、本日、スプリント装着からちょうど1か月経過しました。

ポメ君も邪魔なスプリントと1か月格闘している間に、体は大きくなりました。

このスプリントとお別れできるか否かをレントゲンで判定します。

スプリントを装着したままでレントゲン撮影しました。





上写真の黄色丸は1か月前に骨折していた橈骨遠位端が仮骨が形成され、若干こぶのようになっていますが、いい感じで癒合しています。

念のため、あと1週間ほどはポメ君にまだスプリントを我慢してもらい、その後は外す予定です。

小さな仔犬の骨折は管理が非常に大変です。

しかし、スプリント等の外副子で固定がきちんとできていれば成長が早い分、綺麗に治ります。

ただ高齢犬になるほど、外副子固定での治療は時間がかかるし患者のストレスも大きいと言えます。

ポメ君、早く骨がくっついてよかったね!



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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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