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筋骨系の疾患(整形)/犬

2016年1月20日 水曜日

チワワのレッグペルテス病

こんにちは 院長の伊藤です。

本日はチワワのレッグペルテス病についてコメントさせて頂きます。

以前、トイプードルのレッグペルテスについて載せました。

その詳細はこちらをご覧ください。


レッグペルテスは成長期の小型犬に見られる疾患です。

平均生後6,7か月齢から後足の跛行(引きずる)が認められ、次第に悪化していくケースが多いです。

チワワのエイト君(1歳、去勢済)は左後足の跛行が気になるとのことで来院されました。



下写真のようにエイト君は左後足を拳上して、3本足で歩行しています。

まずはレントゲン撮影を実施しました。



エイト君が4か月前(当時8か月齢)の時、当院で別件でレントゲン撮影を行った時の写真です。

左の股関節(下写真黄色丸)は特に異常な所見が認められませんでした。



ところが、今回の写真は下の通りです。

下写真の左大腿骨頭が変形して、陰影が薄くなり、所どころ虫食い状態になっています(下写真黄色丸)。

反対側の健常な右大腿骨頭と比較して頂けるとその違いが明らかです。

エイト君は4か月の間に大腿骨骨頭部の変性が進行したことになります。

おそらく大腿骨頭が剥離骨折しているようです。



レッグペルテス病と診断し、治療法として大腿骨頭切除手術を実施することになりました。

これは大腿骨頚部を切除して、偽関節を形成させて歩行を可能にさせる手術です。

以下の手術の流れは、以前のコメントしたトイプードルのレッグペルテス病とほぼ同一です。

前足の留置針から麻酔導入剤を注入します。



気管挿管し、イソフルランで維持麻酔を行います。

エイト君の左臀部周辺を剃毛・消毒します。





大腿骨頭にアプローチするために皮膚切開から開始します。



大腿部から臀部には多くの筋肉層があり、これらのいくつかの筋肉(外側広筋、大腿筋膜、深殿筋など)を切開して、大腿骨頭にアプローチします。





下写真の黄色丸が脱臼した大腿骨頭です。

骨頭がすでに剥離骨折しています。



今回は残念ながら、鮮明な患部写真が取れませんでした。

術式の詳細な患部写真は、トイプードルのレッグペルテス病を参照にして下さい。



大腿骨頚部を振動鋸で切除します。





骨頚部を切除した跡の凸凹をラウンドバーで綺麗に研磨します(下写真黄色丸)。





最後に切離した各筋肉を縫合して終了となります。





下写真は、術後の患部(黄色丸)です。



麻酔覚醒直後のエイト君です。



切除した大腿骨頭頚部の離断面(赤矢印)です。

切除時に既に変性壊死して剥離した大腿骨頭(黄色矢印)です。



レッグペルテス病になると、大腿骨頭の血流が阻害されるため、大腿骨骨端の崩壊が生じます。

大腿骨近位の骨端線が閉鎖していない幼若犬では、大腿骨頭への血管供給を骨端血管のみに
依存しています。

この骨端血管の血流をレッグペルテス病は阻害するため、結果、大腿骨頭は無菌性壊死を起こします。

今回、エイト君は手術時には、既に大腿骨頭の壊死が進行していたと思われます。


退院直前のエイト君です。



エイト君は多少の患部をかばう感じは残っていますが、術後の経過は良好で歩行も普通にできます。







術後5か月のエイト君です。

左後足は問題なく日常生活を送ってます。

エイト君は油性脂漏症で、アトピーである点が今後の問題です。



エイト君、頑張って行きましょう!




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

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