犬の育て方・病気猫の育て方・病気哺乳類の育て方・病気両生類の育て方・病気
  • home
  • スタッフ
  • 医院紹介
  • アクセス・診療時間
  • 初めての方へ
  • HOTEL
 

異物誤飲/犬

2021年1月21日 木曜日

犬の異物誤飲(その21 シュシュ)

こんにちは 院長の伊藤です。

犬の異物誤飲のご紹介をさせて頂きます。

本日は髪などを束ねるシュシュを誤飲したトイプードルです。

実際、飼主様の目前で異物誤飲したケースは対応がスムーズに運ぶことが可能です。

勿論異物によりますが、誤飲してから数十分から1時間以内であれば、催吐剤を投与して強制的に吐かせて終了です。

しかし、飼主様が異物誤飲した事実を全く関知していなかった場合は、血液検査、エコー検査やレントゲン撮影(消化管造影検査含む)などで絞り込みが必要となります。




トイプードルのブラウン君(雄、4か月齢、体重3.1kg)は、飼主様の目前でシュシュを誤飲したとのことで大急ぎで受診されました。



異物の種類、材質、大きさにより対応は異なる部分がありますが、選択肢は以下の通りです。

1:強制的に吐かせることなく、自然に糞便と共に排泄させる。
  これは、どちらかというと消化管の直径よりも小さなサイズの異物を飲み込んだケースで時間と共に排泄見込みのある場合です。

2:催吐剤を投与して強制的に吐かせる。
  催吐剤としては、以前は当院もオキシドール(過酸化水素水)を使用していましたが、胃が荒れて嘔吐が持続したりする場合もあり、現在使用していません。
  あるいは、止血剤としてのトラネキサム酸を急速に静脈から注射します。
  当院では現在、このトラネキサム酸を使用しています。
  この催吐剤は、副作用として痙攣が認められる場合があること。
  犬には有効だが、猫には無効とされています。

3:物理的に異物を摘出する。
  (1) 内視鏡で摘出する。メリットとして開腹することなく低侵襲で摘出できる。
    ただ内視鏡で把持できる形状の異物ならば良いのですが、そうでないケースもあり、その場合は外科的摘出が選択されます。

  (2)   外科的に開腹し、異物を摘出する。
    安全・確実に異物を摘出出来るのですが、入院が必要であり、コストがかかるのが難点です。


さて、ブラウン君の場合はまだ4か月令の仔犬です。

異物はシュシュということで大きさ、材質から間違いなく胃内で留まっています(レントゲンで確認済み)。

そのまま、排泄される可能性は極めて低いです。

物理的に内視鏡や外科的摘出するには、仔犬には多大なストレスを強いることになります。

選択肢として、今回は催吐剤を使用することにしました。

ブラウン君に頭側皮静脈に留置針を入れます。

これからトラネキサム酸を50㎎/kg静脈に注射します。




  

注入後、約4,5分ほどでブラウン君は嘔吐をする気配が出て来ました。





ちょっと辛そうですが、思い切り嘔吐しました。



嘔吐物の中には青と白の柄のシュシュがありました。



この大きさだと自然に胃から腸へと自然の蠕動運動で排泄することが出来ないのは想像できると思います。



ブラウン君はちょっと疲れた表情をしていますね。

でも、確実にシュシュを吐き出すことが出来たので良かったです。



特に仔犬の場合は、どんなものにも興味がありますから、飼主様は異物誤飲をさせないよう十分に注意して下さい。

ブラウン君、お疲れ様でした!




にほんブログ村ランキングにエントリーしています。





宜しかったら、上記バナーをクリックして頂けるとブログ更新の励みとなります。

投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

カテゴリ一覧

カレンダー

2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30