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異物誤飲/犬

2014年4月 2日 水曜日

犬の異物誤飲(その12 手袋)


久々の犬の異物誤飲シリーズです。

今回は手袋です。

保湿クリームを手に塗布後、手にはめる薄手の綿の手袋を誤飲してしまった症例です。



ミニチュア・ピンシャーのシンバ君(1歳7か月、去勢済)は、手袋を飼い主様の目の前で誤飲し、そのまま来院されました。

呼吸が荒く苦しそうな感じです。






レントゲン撮影を実施しました。





胃の中が内容物で膨満しているのがお分かり頂けると思います。

飼い主様が誤飲の現場を目撃している場合は、その後の展開もスムーズです。

一側の女性用手袋なので、シンバ君の体格から考えて嘔吐剤で吐いて出すということは困難と思われます。

飼い主様のご了解のもと、胃切開手術で手袋摘出をすることとしました。


まずシンバ君を全身麻酔します。



いきなりですが、胃切開をしているシーンです。



胃の中を確認しますと手袋の一端が認められました。

速やかに手袋をアリス鉗子で把持して摘出します。





手袋の指の部分が出て来ました(下写真黄色丸)。







手袋と胃壁の多少の干渉はありましたが、無事胃に傷をつけることなく手袋を摘出しました。



間違いなく手袋です。



胃の漿膜・筋層・粘膜下織・粘膜と全層を合成吸収糸で単純結節縫合をします。



縫合部からの胃内容の漏出がないかを確認するために、生理食塩水を患部に注入しているところです。

生理食塩水の漏れはありませんでした。



最後に皮膚縫合して終了です。



術後、しばらくは流動食で対応します。

シンバ君は手術直後から食餌が欲しくてたまらないといった感じですが、我慢して頂きます。



1週間後の退院時のシンバ君です。





元気に退院できて良かったです。

誤飲する犬は確信犯が多いようです。

異物を口にできないように飼主様、注意を怠りなくお願いします!







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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年12月 1日 日曜日

犬の異物誤飲(その11 多量の飴玉)



今回、ご紹介させて頂きますのはフレンチブルドッグのブル夫君(1歳、去勢済)です。

飼い主様の申告では、飴玉が入っている袋ごと漁って、中身の飴玉を食べてしまったとのこと。

飴玉は1つずつ包装されており、数十個は大袋に入っていたそうです。

包装紙は消化不可能な素材でできており、もし数十個も誤飲されたら腸閉塞になる可能性があります。

ブル夫君には可哀そうだけど胃を切開して飴玉の包装紙を全部回収することとしました。

まずはブル夫君を全身麻酔します。



胃にメスを入れます。



胃を切開しますと、飴玉の香料が胃内にむせ返るほどに充満していました。

胃内は胃液で一杯になっており、バキュームで胃液を吸引することとしました。





胃内に鉗子を入れますと、飴玉の包装紙が一杯入っているのが分かります。





下写真黄色丸が包装紙です。



包装紙の取り残しが無いように丁寧に回収していきます。











結局、なんだかんだで包装紙を集めたところ、20枚近く胃に入っていました。

胃の中に包装紙の取り残しがないことを確認してから、胃を縫合します(下写真黄色丸)。





裸の飴玉だけであれば、胃切開など必要ありませんでした。

ブル夫君の胃液で飴玉はきれいに消化されてしまったでしょうから。

この包装紙がくせもので、腸に降りてから腸閉塞を起こされるよりは胃の中にあるうちに一掃した方が賢明です。


犬からすれば、飼主様が口にしているものは旨いにせよ、不味いにせよ、興味津々です。

飼い主様と同じものを口にしたいという潜在的欲求を持っています。

眼を離した隙に犬におやつを食べられてしまった等と言う話は、毎日のように耳にします。

くれぐれも、あなたの傍らに座っておやつの強奪計画を練っている犬にご注意ください!



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2013年11月19日 火曜日

犬の異物誤飲(その10 魚骨)

犬の異物誤飲シリーズも10症例目になります。

毎回、腹部切開して異物を摘出する場面を展開して参りましたが、今回はちょっと違います。


きららちゃん(6歳、避妊済)は、3日前から体が熱っぽいことと、声がかすれた感じがするとのことで来院されました。

確かに喉の周辺が少し腫れている感じがあり、口腔内を診ますと喉が赤くなっています。

口喉炎かと思い、消炎剤・抗生剤を処方して経過観察することとしました。


その3日後、きららちゃんの喉がとんがってきたとのことで再診です。





下写真黄色丸の箇所が皮膚を下から突き上げているかの如く突出しています。



超音波検査を実施しました。

下写真の黄色矢印の部分が異物を表しています。

異物周辺は特に血管の走行も、また出血の形跡も認められません。



患部を注射針で切開してみることとしました。

きららちゃんは非常に性格がおとなしく協力的なので、局所麻酔のみで対応できました。



患部の切開を進めていきますと、鋭い突起物(黄色丸)が現れました。



おそらく何か異物を食べて、その異物が食道壁を穿孔して飛び出してきたのではないかと推察されます。

その突起物を鉗子で把持して引き抜くこととしました。



下写真の黄色矢印が摘出した硬い棘のようなものです。



プラスチックの破片の様にもみえますが、飼主様に確認したところ、どうやら鯖の骨ではないかとのことでした。



患部からの出血もなく、スムーズに処置は完了しました。

皮膚縫合したところです。





先端が鋭利な異物を誤飲した場合、食道に刺さってしまう場合はあるかと思いますが、嚥下と共に餌が上からどんどん流れてきて、異物も胃に落ちていくことが殆どでしょう。

今回の様に、異物が食道壁を突き破って皮下に突出する症例は初めてです。

子どもの頃、魚の骨が喉に刺さって辛い思いをしたことがあります。

きららちゃんは、よほど我慢強い子ですね。

局所麻酔だけでよく耐えてくれました。

考えようによっては、胃や腸にこの骨が流れ込んで消化管を穿孔したら、腹膜炎を起こして敗血症になっていたかもしれません。

外科手術をすることなく、シンプルに摘出できたのは幸いと言えるでしょう。

くれぐれも、魚の骨には気を付けて下さい!



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2013年4月22日 月曜日

犬の異物誤飲(その9:石)

犬の異物誤飲シリーズ、今回で8回目となります。

本日ご紹介いたしますのはです。

犬は,散歩の途中に口の中に石を含むことがあります。

チューインガムよろしく口の中で石を転がして吐き出す犬もいれば、何も考えずに丸呑みこみして、後で大騒ぎするケースもあります。


今回の症例は、チワワのひなちゃん(1.7kg 2歳4か月)です。

空えづきが続き、元気食欲がないとのことで来院されました。



早速、レントゲン撮影を実施しました。





ご覧いただいて気づかれましたか?

下腹部にある金属のピンは、実は1年半ほど前に手術をした時に動脈を留めるために使用したチタン性のヘモクリップです。

今回の疾患とは関係ありません。

画像を拡大します。





黄色丸で囲んだ箇所ですが、骨よりも白く描出されている物体が2つ認められます。

骨よりも密度の高い硬い物体ということになります。

恐らく石あたりではないかと考えられました。

1㎝ちょっと位の石なので、嘔吐させられないか、過酸化水素水を飲ませてみました。

ひなちゃんは何度となく、嘔吐するのですが残念ながら異物は出て来ません。

体重が1kg台の小さな子なので、やはり嘔吐して出すのは限界があると判断しました。

開腹手術を行いました。





開腹して胃を触診しますと、幽門部に近い所で何やら硬い物体が触知されました。

しっかり把持していないと、すぐに移動してしまいます。



胃に極力大きな傷をつけないよう、メスで胃を穿孔します。



まずは1個目の石です。



続いて2個目の石です。



傷口を丹念に縫合して、腹腔内を洗浄します。





皮膚を縫合して手術終了です。

下写真は摘出した石です。



小型犬種にあっては、この程度の小さな石ですら嘔吐できずに場合によっては、命に関わることになりかねません。

ひなちゃんには、しばしの入院と流動食を我慢して頂き、無事退院されました。

ひなちゃん、お疲れ様でした!





異物誤飲癖がある子は、何度となく繰り返しますので今後も注意を怠らないようにしていただきたく思います。




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投稿者 もねペットクリニック | 記事URL

2013年2月16日 土曜日

犬の異物誤飲(その8)吐いていただきます!

異物誤飲については、これまで犬の疾病のコーナーでいくつかの症例を上げてコメントさせて頂きました。

そのほとんどが、誤飲した異物の外科的摘出をテーマとしたものです。


でも実際、当院では外科的摘出は最終手段であり、でき得る限り催吐処置をして自力で吐けるものは吐いていただいています

勿論、どんなケースでも異物誤飲であれば嘔吐させればよいというものではありません。

以下の4点を満たしている時に催吐処置を実施します。

1:異物を摂取したことが明らかであること。

2:異物誤飲から1時間以内であること。

3:異物の大きさが、嘔吐させたときに食道を閉塞するような大きさでなく、十分に小さいものであること。

4:全身状態が良好であること。




催吐剤(嘔吐をさせる薬)としては、一般家庭でも用意できるのがオキシドール(過酸化水素水)と飽和食塩水です。

飽和食塩水は、食塩中毒を起こす可能性があるため、お勧めできません。

オキシドールは薬局で購入することが可能で、傷口消毒用3%前後のもので良いです。

犬の体重1kgあたり1~2 mlの原液を飲ませます。

このオキシドールにしても安全というわけではなく、胃粘膜障害や催吐作用による循環器系への抑制が見られることがあります。

ですから、夜中と外出先とかで緊急処置で必要な場合を除いては、動物病院で催吐処置を受けられることを強くお勧めします。


本日、ご紹介するのはのトイプードルのカレンちゃん(8か月令)です。



飼い主様の化粧用パフを30分ほど前に誤飲したとのことで来院されました。

早速、オキシドールを飲んでいただきました。

飲んでほんの数分で嘔吐が始まりました。









激しい嘔吐と共にパフ(黄色矢印)がしっかり出て来ました。

お食事中の方、申し訳ありません。

白い泡の胃液と黄色の胆汁を合わせて出てきたパフです。



オキシドールは胃内で発泡して嘔吐を促しますので、この処置後には胃粘膜保護剤を投薬するようにしています。





ちょっとだけスッキリしたような表情のカレンちゃんでした。

異物誤飲は100%飼主様の責任であることを認識して下さい。

数度にわたって、催吐処置をしても嘔吐できなければ外科的に摘出するしかありません。

一度、異物誤飲した子は何度も繰り返すケースが多いのも事実です。

よくよくご注意のほどお願いします!




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